花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

あいつ、この俺に弁当なんて、可愛いことしやがる。
なんて・・弁当を見て、少し浮かれたのもつかの間。
次に見つけたカードに愕然とする俺。

『司さんへ
優柔不断なあたしでごめんね。
今晩、マンションで待ってるから。話を聞いてね。』

なんだ・・これ?
すーっと足元が冷える。
これって、どういう意味だ?
マンションで待ってるって、フレンチ食いに行くんじゃなかったのか?

もしかして・・
別れでも切り出すつもりか?
小せぇことでイラつく俺に、愛想を尽かしたのか?
しかし、結論出すの早くねぇか?

いや・・あいつはグチグチ悩む割に、こうと決めたら突き進むとこがある。
一度別れると決めたら、もう、戻って来ねぇ。

こうしちゃいらんねぇよ!!


バンっと壁を叩いた後、俺は西田に伝えた。
「メープル行ってくるから、あと頼む。」
西田が、久しぶりにビビった顔をしやがった。
それ位に、俺の気が立ってんのが分かったんだろうな。

西田の返事も聞かないまま、リムジンに飛び乗って、メープルに急いだ。
正面玄関に乗り付けると、ベルボーイたちが驚いた様子で俺を見る。
その中に、牧野はいねぇ。

「牧野は?」
俺の声が威圧的過ぎたのか、すぐに返事もねぇ。
ちっ。
フロントに聞くか?
いや、全館に呼び出しかけてやるか?
今すぐだ。
今すぐに会って、話がしたい。

走り出そうとした俺に、一人の男がおずおずと話しかけて来た。
「まっ、牧野さんは、たぶん、中庭だと思います。さっき、同期と話をするって言ってましたから。」
俺はそいつを一瞥して、中庭に向かって走り出した。
中庭つっても、メープルの庭園は限りなく広い。
そんな中で、牧野を捕まえることなんてできるのか?
周りの奴らが、ダッシュしている俺をあんぐりと口を開けてみているのなんて、気にもなんねぇ。


日本庭園をあちこち走り回って、見えてきたのは、池の向こうの東屋。
メープルの制服を着た男女が見える。
女は牧野に間違いねぇ。
男は・・・誰だ?


息を整えながら、東屋へ近づいていく。
すると、牧野の声が聞こえて来た。




「本当にごめんね。今日、やっぱり食事は無理なの。」
「何で?急な用事?それなら、他の日に変更する?」
「ううん。そうじゃなくって、あのね。あたし、皆に言ってないんだけど、お付き合いしてる彼がいるの。いろいろあって、あんまり一緒に食事とか行けなくてね。でも、あたし、みんなと行くよりも、彼と一緒に行きたくて。別に、皆と食事に行ったってどうってことないんだろうけど、やっぱり楽しめそうにないの。だから、ごめんね。だれか、他の人、誘ってくれる?」

「・・・はぁー。」
「黒田君?」
「それって、その彼氏に行くなって言われた・・とか?」
「そんなんじゃ・・」
「それに、いろいろあるって何なの?皆に言えないような人?」
「そうじゃなくって。」

「俺は、牧野が好きだよ。同期で集まるようになってから、ずっと牧野のことを見てた。だから、この食事で告白しようと思ってた。相手の男、皆に紹介できないような奴なの?それなら、俺じゃダメなの?」

「そうじゃないの。皆に言えないような人じゃなくて、あたしがまだ言いたくないの。あたしはまだ彼にふさわしい女性じゃないから。だから、言いたくないの。でも、それは疚しいことじゃなくって、あたしが自分に自信が付いたら、ちゃんと紹介できると思う。それには、まだ時間がかかりそうで・・。」

「そっか・・。牧野はその男が本当に好きなんだ。そいつにふさわしい女性になりたいってことなんだ。」
「うん。」
「じゃあ、俺の出る幕じゃないってことだよな。」
「ごめんね。」
「いいよ、分かった。けど、これだけは言わせて。」
「何?」
「せめて、同期には、彼氏がいることぐらい伝えときなよ。俺以外にも、牧野狙ってる男はいるぜ。」
「ぷっ。嘘ばっかり。でも、うん。分かった。チャンスがあったらちゃんと言うね。」
「なんか・・牧野って感じだな。」
「何それ?」
「いや、何となく、彼氏の気持ちが分かるってこと。じゃ、俺、行くわ。今日は、高木たちだけで行ってもらうから、気にすんなよ。」
「ありがとう。」




___牧野が俺のことを言えない理由。
それは、仕事がやりにくくなるってことではなく、自分は俺にふさわしい女じゃないからだという。
けど、俺にふさわしい女って何なんだよ。
お前は誰より、俺にふさわしい女なのに。
俺の目にはお前しか映らねぇのにな。


黒田っつー男を見送る牧野に、背後からゆっくり近づいていく。
そして、その小さな体をそっと抱きしめた。
ビクッと体が揺れたけど、叫んだり、逃げ出したりはしない。


「司さん、さっきの話・・聞いてた?」
「おう。」
「あたし・・・司さんが好きだよ。誰よりも大切だと思ってる。」
牧野の手が、俺の手に重なった。

「知ってる。」
「あのね。あたし、今は堂々と彼女だって言えないけど、ちゃんと言えるようなるから。言えるように頑張るから。だからそれまで待ってて。」

牧野が何を頑張りたいのか、それはやっぱり仕事なんだろう。
社会人として、自分なりの目標を果たしたいんだろう。
こいつは、社会人として一人前の仕事をこなせるようになることが、俺にふさわしい女だと周囲に認められることにつながると考えているんだろう。
ったく、しゃーねーな。

「分かった。はやく、堂々と一緒に歩けるようになれよ。」
「うん。」
牧野がちょっと笑ったのが分かった。


「今日はさ、司さんの部屋で待ってるからね。おいしいフレンチを振っちゃったんだから、ちゃんと帰って来てよね。それに、今日はハンバーグ作ってあげるからね、楽しみにしてて。」
振り向いて、俺を見上げた牧野にキスを落とす。

「21時は完全に回る。」
「それでも、待ってるから。」
「じゃあ、待ってろ。」
「うん。」

彼女をもう一度抱きしめて、俺は思った。

俺は、待つしかない。
こいつが、自信をもって、俺を紹介してくれる日まで。
こいつも、俺との未来を考えてくれていると分かれば、俺はいつまででも待ってやれる。



結局、俺はいつも、牧野に振り回されっぱなしだ。
初めてもらったカードは、誕生日の俺に不思議な感情をもたらした。
そして、こいつを好きだと自覚したんだ。
今日もらった二度目のカードは、この俺を完全にビビらせた。
この俺様がフラれるんじゃないかと焦りまくって、メープル内を走り回った。
けど、そのカードには、こいつの気持ちがこもっているから、
そんなカードに振り回されても、全く嫌じゃない。
むしろどんどんこいつに惹かれていく。



この夜、初めて、牧野は俺のペントハウスに泊まった。
今までは、なんだかんだと、この部屋には入ろうとしていなかった。

今日、また少し、彼女との距離が縮まった。
俺たちの絆は、この日、確実に強くなったと断言できる。



 

にほんブログ村
いつも応援ありがとうございます!
関連記事
スポンサーサイト

  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは!

  1. 2017/03/07(火) 23:04:30 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの応援ありがとうございます!
やばいです・・。明日の記事、なんだか納得いかなくて、明日、明後日の分、一気に書き直すことを決意したのが約1時間前。今、セコセコと書き直しています。
大丈夫か?私?

さてさて、
悠●様
ええ~!Rは悠●様の、総優にお任せします・・・。

スリ●様
そうなの。時には断る勇気もね、大切。
そして、ついに、プロジェクト話に入って行きます。けど、結局、書き直してますが・・。妄想があるのですが、うまく文字にならないんですよね。ホント、難しい。

四葉様
気持ちよい振られ方!そうですね。黒田君。ごめんチャイ。
四葉さんちの神様たち、もうすぐお別れですね。すごく、寂しいです(涙)。

ま●様
本当に・・仕方ねー奴らですよ。はい。バレるとこは一大イベントになりますね。きっと(笑)。一応、頭にはある。けど、先が長い・・です。

he●様
ご無沙汰しております!ほんとね。つくしってば、可愛いですね。そりゃ、司もメロメロです。

という訳で、今から、一気に書きます!
では明日も、AM5:00に!



  1. 2017/03/07(火) 19:07:23 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
キューン♪可愛いつくしちゃん!精一杯頑張る彼女を応援しようと、待つ覚悟を決めた司さんも男前です。同期の彼も、良い男。気持ちの良い振られ方でした♪

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/03/07(火) 07:05:06 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/03/07(火) 05:09:00 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

 管理者にだけ表示を許可する
 
 

プロフィール

Author:Happyending
ときどき浮かぶ妄想を書き留めたくて始めました。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 06  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -