花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「それでね、西門先生が、企画に全面的に協力してくれることになったの。」
「そーかよ。良かったな。」
「でもさぁ、茶の湯っていうのは、なかなか凄い世界だよねぇ。」
「そうか?」
「そう思わない?司さんって、お茶とかお作法知ってる?」

お前は俺が誰だと思ってるんだ。
道明寺財閥の御曹司だぞ。
全てにおいて、エイセイ教育を受けている。
そんなの朝飯前だっつーんだよ。
俺は今の今まで、「道明寺司」という名前を自慢したいだなんて、一度も考えたことが無かったが、今日ばかりは別だ。

「それにね。お庭が凄いの。すっごく広くって。四季折々のお花が咲くんだって。今はね、牡丹と椿が咲いていてね。ちょっと散策させてもらったんだけど、すっごく綺麗で。凄いよね。あんなおうちに住んでるなんて。素敵だったなぁ。」

イラッ。

「お昼ご飯もどうぞって言われて、頂いちゃったんだけど、茶道といえば、質素なお料理かと思ったら、違うの。なんだか、色々出てくる懐石料理でね。それを一つ一つ西門先生が解説して下さって。」

イライラッ。

「また、いつでもお稽古に来て下さいって。西門先生って、本当にいい人だね。早速、仕事帰りにでも行ってみようと思ってるんだ。」

ピキッ!

「お土産に、お茶と和菓子頂いちゃったの。今から、お茶淹れるから、一緒に食べよ。きっと美味しいよ。あ、お茶って言っても、急須のやつね。西門先生がね、急須でも・・」

バンッ!!
俺は大袈裟にテーブルを叩いた。
びっくり顔の牧野。

「要らねぇ。」
「え?」
「行くぞ!」
「どこに??」
「俺んち。」

俺は、驚く牧野の手を引いて、助手席に押し込んだ。



*****



「ここ・・どこ?」
終始無言の司さんが運転する車が停車して、あたしは助手席から降ろされた。
「俺んち。」
「うっそだぁ。だって、これ、お城でしょ?」

目の前には、ベルサイユ宮殿?
いや、ホンモノも見たことないけど。
辺りは、森だか、林だか、遠くまで見えない程の広大な敷地。
だいたい、なんで、自宅にロータリーがあるの?

あんぐりと口を開けたまま、司さんに肩を抱かれて、巨大な玄関扉の中へ入った。
そこには左右に整列するメイドさん。
その一番奥には・・

「タマさんっ!ご無沙汰しています!」
「やれやれ、やっと来たのかい。いつ来るのかと思って、首を長くして待ってたんだよ。」
「ってことは、ここ、本当に司さんの家なんですか!?」
「そうじゃなかったら、どこなんだい。」
「そうですね・・。」

気まずくなって、チラッと司さんを見上げると、何となく得意気な表情。

「お茶室の用意はできていますよ。」
「ええ~っ?!」

お茶室まであるの?
この洋館に?
司さんに手を引かれて、テクテクと歩いていく間に、いくつもの広間を通り過ぎる。
一体いくつ部屋があるのかしら?
廊下に壺とか、絵画とかあるし。
小便小僧もいれば、ダビデ像ばりの裸体まで。
まるで、美術館ね。
人間が住む家とは思えないわ。


通されたお部屋は、確かに茶室だった。
「総二郎のところとは違うけど、練習ぐらいは出来んだろ?」
そう言って、ジャケットを脱ぎ、亭主の位置に座る司さん。

もしかして、お茶を点てることもできるのっ!?

そのまさかで、あたしの前には、司さんの点てたお茶が出された。
今日、西門先生の教えられた作法を確認しながら、口を付ける。

あれ?あんまり、苦くない・・かも。
なんだか、まろやかな舌触り。美味しい・・。

四口で飲み切って、茶碗を拝見した。
菊の模様が素敵なお茶碗。
「素敵な茶碗だね。」
「あぁ、それは、天皇家からの頂きもんだからな。」

・・・はぁっ!?
天皇・・家・・。

震える手で茶碗を落とさないように、ゆっくりと降ろした。
司さんって・・何者?
天皇家とか。。。ありえないって!
そりゃ、道明寺財閥っていったら、世界有数の資産を持つとは聞いたことがある。
けど、その凄さを具体的に理解するのは難しい。だって、あたしの世界とは違いすぎる。
皇室とまでつながりがあるなんて。
今更、あたし、何て言ったらいいのかしら・・?

「あっ、あのさ。凄いお邸だね。それに、司さん、凄いね。お茶、点てられるんだ。」
「あったりめぇだろ。ガキん時から、エイセイ教育受けてんだよ。」
「エイセイ?」
「あぁ。」

それはどんな教育か分からないけど、きっと凄い教育プログラムなんだよね。

「あの・・なんか、ごめんね。あたしも、もっと気を付けるね。」
「は?」
「もっと、お作法とか、お料理とか身に付けろってことでしょ?」
「え?」

いきなりこんなところに連れてくるなんて、あたしのド庶民っぷりに呆れているに違いない。
あたしが毎晩作る料理だって、今考えたら、こんなところに住んでいる人が口にするようなものじゃない。
あぁ・・落ち込む・・。

下を向いたあたしに、慌ててにじり寄ってきた司さん。
いきなりあたしを抱きしめた。
「ちげぇよ。ゴメン。お前に問題がある訳じぇねぇよ。お前が、あんまり総二郎を褒めるから、頭きて・・。ちょっとわからせてやろうと思っただけだ。わりぃ。」

「本当に?」
「本当だ。」
司さんの瞳を見つめると、嘘では無さそう。
「ねぇ。我慢できないことがあったら、ちゃんと言ってよね。言われないと、あたし、分からないから。」
「不満なんてねぇけど。けど、せっかくだから、しばらくはここで暮らすか。茶室もあるし、総二郎のとこ行かなくてもいいだろ?タマにでも教えてもらえ。」
「ええ~っ!?」
「なんだよ、何でも言えって言っただろうが。」
「そうだけど・・。」
「じゃあ、決まり。メープルに迎えの車用意させるから。」
「いやいや、それは勘弁して。」



そんなこんなで・・・
あたしは、結局しばらくの間、メープルから司さんの指定した車に乗って、この道明寺邸に帰宅するようになった。半ば、強制的ではあったけど・・・。
車は小さいものにしてもらい、ホテルから少し離れた路地から乗るようにした。
それでも、コソコソ・ドキドキもので、何度もバスで行くって言ってるのに、それは司さんが、許可しなかった。本当に、過保護なんだから!呆れちゃう・・。

帰宅後は茶道の手ほどき。
タマさんの趣味はお茶なんだって。
「あんた、本当に何にもできないんだね。」なんて呆れながらも、あたしに茶道の基本を教えてくれるタマさん。
懐紙の使い方、お菓子の食べ方、お茶の頂き方、そして、一期一会を大切にする茶の湯の考えをタマさんを通して学んだ。

それから、西門先生に提案する、外国人向けのプレゼンテーションを練った。
一応、英語とフランス語で準備をして、毎晩司さんにチェックしてもらう。
二人でソファに並んで、あたしの作った原稿を司さんが細かくチェックする。
司さんが、あたしが作った書類を指で捲る仕草にドキドキした。
そして、司さんの口から出る英語は溜息モノ。
あたしも日常会話は問題ない程度にできるけど、司さんの話す英語は、品があるんだ。
たぶん、声がいいんだと思う。
あたしの心に響く声。
この声には、なかなか逆らうことなんて出来ないんだよねぇ・・なんて思って、一人、照れ笑い。

やだやだ・・変な妄想・・
一人首をブンブン回すあたしを、怪訝そうに見つめる司さん。
ニヤリと笑われた。
「牧野、抱いていい?」
ほらきた、この声。
低くて艶のある、この声。
「ここではダメ。」
あたしはプイっと横を向いた。
そう言ってるのに、無視して、ベッドに連れて行かれる。

「ダメだって言ってるのに。」
「ソファじゃなければいいんだろ?」
そうじゃないって。
いくらここは司さんの家とはいっても、あたしは茶道の勉強に来てるんだから、こんなことしてちゃダメ。
あたしも部屋を貰ってるんだから、夜は別だよって何度も言ってるのに、毎晩全く聞く耳を持たない。

だけど、あたしも困ったもので、やっぱり一人じゃ眠れない。
そうして、今夜も司さんに抱かれて眠りに落ちるんだ。



とっても豪華な道明寺邸。
お部屋も食事も一流で、全てがあたしにとっての〈非日常〉。
だけど、あたしにとって、司さんの存在は、すでに日常になりつつある。
無くてはならないもの。
欠けたらだめなもの。
あたしのエネルギー源。
彼が何者であるかなんて関係ない。


司さん点ててくれたあのお茶は、あたしの心に響いた。
あたしにとっては、間違いなく、一番美味しい一服だった。

茶の湯の教えは、『和敬清寂』の心。
互いに敬いあって、尊重し合い、曇りのない目で物事を見つめることの大切さ。
あたしと司さんは、そんな曇りのない関係になれているのかな?



 

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  1. 続・俺の女
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは(^^♪

  1. 2017/03/11(土) 21:40:25 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
並行して、ホワイトデー企画を始めちゃいましたよ。また??今回は、内容はそんなに難しくないので、さらっと書きたいと思います。ただし、ここは超苦手なRが入って来るので、今晩は頑張ってそちらを執筆(笑)。

やぁ●様
初めまして!コメントありがとうございます。全部?凄い!嬉しいです!
そして、小さなお子様がおられるとのこと。何かと忙しいですよね。でも、ママも息抜きが大切ですから。こっそり息抜きしてください。私にとっては、このブログが息抜きとなっています。時に辛い時もあるのですが、なんというか、仕事でも子育てでもなく、自分の時間が持てている感じでしょうか・・。
何はともあれ、楽しく、花男二次を楽しみましょうね!

悠●様
京都ですか!?ということは、やっぱり次は総優でしょうか?曇りのない目・・現実にはむずかしいですよねぇ。。。

四葉様
ギャップ・・・。というか、私はこのつくしが騙されているようで、不憫でなりません。そろそろ、つくしの本領を発揮したいところ・・・。

スリ●様
笑っていただけました?良かったです~。
そして、「西門先生」ね。そうなんですよねぇ。「司さん」「美作専務」と同様に、慣れない響きです。想像どおり、話の都合上、花男っぽく戻すのが難しそうで。。。(苦)この先の流れで、戻そうと思えば戻せるかも。でもちょっとめんどくさい(爆)・・どうしよう?もう少し、流れを考えまーす。←とりあえず、逃げっ(笑)。

さてさて、
続きは、AM5:00 総二郎先生に戻ります(笑)。

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  1. 2017/03/11(土) 10:12:23 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

ギャップ

  1. 2017/03/11(土) 09:17:35 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
つくしちゃんの口から別の男の名前が出る事にイライラしちゃう司さん。
普段の男らしさとのギャップにキューン♡
つくしちゃん、愛されてる♪
そして、司さんも、すごーくつくしちゃんに愛されてるね♪

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/03/11(土) 07:56:04 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/03/11(土) 06:05:24 |
  2. |
  3. [ edit ]
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