花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

今日も、牧野が西門邸にやってきた。
東京メープルとの企画は、俺が最低でも月1回は稽古を受け持つことで、話はまとまった。
これからは、内容を詰めていくことになる。

牧野はというと、
とりあえず、和菓子を頂き、濃茶や薄茶を啜る作法は覚えて来たようだ。
家に稽古にくればいいと誘ったものの、一度も来てはいなかった。
じゃあ、どこで稽古をしてもらったんだ?
まさか、司が指導してるのか?
けど、あいつにそんな暇あるんかよ。


牧野が英語でプレゼンテーションをしながら、薄茶を口にしている。
俺はそれをじっと聞いた。

分かりやすい。
そして、面白い。
これなら、英語圏の人間は楽しむことが出来るだろう。

俺は次に干菓子を出した。
そこからは、なんと牧野はフランス語で説明を加え始めた。
マジかよ。フランス語までできんのか・・。

濃茶を出して、牧野が啜る。
苦そうな表情が笑えるが、こんな表情は俺にとっては結構新鮮だ。
俺の前ではいい格好をしようとする生徒が多いからな。
『苦い茶も、思い出になる。』
牧野が言った言葉が心に残っている。
一度目の茶の湯の体験が、必ずしもいいものである必要はない。
そこから、興味を抱き、続けてみようかと思えるような場を提供する。
牧野の英語とフランス語は完璧だ。
これなら、興味を持って接してくる外国人も出てきそうだ。
その後は海外のうちの教室を案内してもいいし、メープル滞在時に個人レッスンを行ってもいいだろう。
西門流は日本では敷居の高い流派と言われる。
外国人向けに、俺が茶を点てるということは、国内から批判が出るリスクはあるが、これからの新しい茶道界を構築していく上で、是非やってみたいと思えた。


「いいんじゃない?つくしちゃん。」
俺がそう言えば、牧野がほっとしたように笑った。
「この一週間、西門先生が書かれた本を読みながら、必死に考えてきました。支社長にも、何度も聞いてい頂いて、今日も先ほどまでずっと支社長と練習して、やっとOKを貰って来たんですよ。」
へぇ・・やっぱり。
あの司が、そんなことに時間を割いているとは驚きだ。
噂によると、この牧野は司が直接指導している異例の新入社員らしい。
司が目を付けるだけあって、見た目以上に仕事ができる様だ。

けどよ、今は土曜の朝だぜ。
今までって、朝っぱらから、こいつのプレゼンの練習に付き合ってんのかよ。
司の奴、相当こいつにイカれてんな。
しかし、惚れた女を二度も一人で俺のところに寄越すなんて、俺、舐められてんのか?
この女が俺に惚れちまったりしたら、どうすんだ?
俺は、西門総二郎だぞ。
俺の流し目に落ちない女なんていやしないんだぜ?



牧野のプレゼンに一定の満足を得て、俺は立ち上がった。
「つくしちゃん、まだ時間あるよね?」
「はい、大丈夫です。」
「じゃ、出掛けようか?」
「えっ?」
しれっと言い放った俺に、瞳を大きくする牧野。
「ゲストに和服を提供するんだよね?西門が懇意にしている呉服店がある。連絡はしてあるから、行ってみよう。」
「あっ、でも和装は、メープルでのレンタルを考えていて・・。」
「あぁ、なるほど。でも、懐紙や扇子なんかの小物はどうする?」
「そうなんです。必要最低限はセットで購入していただこうかと。記念にもなりますし。」
「それなら、今から行く店で相談しよう。」
すっと横目で牧野に視線を合わせ、少し目を細める。
俺の、流し目。
「えっと・・はい。」
キョトンとした表情で、返事をする牧野。
何だよ、あんま、反応ねぇな。
つまんねぇ・・。


俺は牧野を連れて、西門御用達の呉服店へ向かった。
うちのリムジンの中でも、ブツブツと何か考えているようだ。
真面目一徹ってな感じだな。
今日の牧野は、フレアスカートにブラウスと極々シンプル。
色気はやっぱ、ねぇな。
俺に気があるって感じも微塵もねぇ。
こうやって俺が時間を割いて、講演会関係の女でもねぇ素人をリムジンに乗せて連れ歩くなんて、まず、あり得ねぇことだ。
分かっってんのかよ。
司が惚れてる女と言うだけでも十分希少性が高い女だが、俺も何故か、この女から目が離せなくなっている。
茶道の小物なんて、わざわざ俺が出向くほどのことでもない。弟子に案内させてもよかった。
それでも、俺は、もう少しこの女を観察したくなっていた。
なんでなんだろうな。
なんだか、引っかかるんだ。
それが、何なのか・・?
今まで俺たちの周りにいなかったタイプであることは間違いない。
そんで、俺にも、司にもなびかない。

はっ・・と閃く。
もしかして・・・こいつ、男いんのか?




___呉服店『柊』
京都で染められた高級布地を丁寧に扱うことで有名だ。
その分、値段は張るが。

「つくしちゃんは、着物、着たことある?」
「成人式の時に、レンタルで振袖を着ましたけど・・」
恥ずかしそうな牧野。
店の高級感に圧倒されているようだ。
「その時、どうだった?」
「結構苦しかったです。」
「そうだよね。慣れていなければ苦しいだろ。」
「お客様が初めての和装では、苦しいでしょうか・・。」
「着付けの腕にもよるけどね。その恰好で正座ができるかな?」
「本当ですね。やっぱり和装は難しいかな・・。」
「つくしちゃん、一回着てみなよ。それで、試してみよう。」
「えっ。そんな・・」
「店主!案内を頼む。」



*****



お茶席では、派手な着物を着ることはなくて、訪問着とか、落ち着いた着物を着ることになる。
あたしは訪問着なんて初めて・・。
西門先生と店主さんと一緒に店内を歩く。
西門先生が、
「これ、どうかな?」
と選んだ着物は、お水に一滴だけ青色を垂らしたような、極薄い水色に、百合の花が描かれていた。
「帯も白か白銀で。」
次々と決めていく二人。
あたしは全く付いていけない。

選んでもらった着物を奥の部屋で着付けて頂いた。
その場で髪も結い上げて、髪留めもさして頂く。

「うわぁ。」
なんとなく、それっぽい。
お茶会にも出向けそう。

「あ、つくしちゃん、いいじゃん。」
振り向けば、西門先生がこちらを見てる。

とっさに動き出そうとしたら、自分の足に躓いた。
コケるっ!!!

前に付こうとして伸ばした手を引かれる形で、あたしは西門先生の胸に飛び込んでしまった。



 

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昨日から、ホワイトデー企画もスタートしています。
1話目はちょっと切ない感じですが、チラッと覗いてやってください。
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  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは~。

  1. 2017/03/13(月) 01:54:12 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
今日は遅くなってしまい、もう、あと3時間ちょっとで投稿時間だ!まずい!

悠●様
総つくはね~。無理ですっ!書ける訳ない。
でも、つかつくの次に総つくが書きやすいという気持ちは分かるような気がします。

スリ●様
総二郎にこっそり教えてあげて欲しい(笑)。でも、今日の22話で、すっきりすることでしょう。へへ。

さと●様
流し目スルー。まさかの総つくっ!って、無理でした(笑)。

ま●様
二人とも、つくしの前でムキになってて、お馬鹿さん・・。でも、そろそろ、総ちゃんにも気づいてもらいましょう!

と言う訳で、もうすぐ投稿時間です!

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  1. 2017/03/12(日) 22:31:59 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/03/12(日) 07:52:04 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/03/12(日) 07:30:16 |
  2. |
  3. [ edit ]
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