花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

20分後・・・

バッターンッ!と大きな音がして、プライベートルームのドアが開いた。
入ってきたのは、額に汗を滴らせた、凄まじいオーラを放つ男。
生まれつきのモデル並みの体型に、仕立ての良いビジネススーツを寸分の隙もなく着こなした、俺の幼なじみだ。

その男がじっとこの部屋の、ある一点を見つめている。
俺は全くもって、奴の視界には入っていない。


「誰だ?」
腹の底から発される低い声に、司の凄まじい怒りを感じる。
「誰が飲ませた?」

司の視線の先には、桜子とイチャイチャしている牧野。
このプリン美味しいねぇとか、
おにぎりは注文できないのぉとか、
自分で呼び出したくせして、司を完全無視。
つーか、おにぎりなんて置いてねぇし。

「二人で勝手に飲んだんだぜ?」
と俺が言えば、
「嘘つくなっ!!」
と司が大声を上げた。

その声に、牧野が司を見上げて言う。
「シシャチョー、まぁ、座りなさいよ。」
やべぇ・・ベロンベロンだ。

「牧野、お前・・大丈夫か・・?」
酔っ払いの牧野に呼びかける司の声は、今までに一度も聞いたことがない程に甘い。
心配顔の司が牧野の隣に座ろうとすると、牧野が司の腹をグーで殴った。
うぉっ・・すげぇパンチ。
グエェとあの司が呻いた。


「シシャチョーはあっち。」
そういって、俺の隣に座らされる司。
一瞬だけ目が合ったが、危うく俺は凍り付くところだった。


しーん。
この沈黙が恐ぇよ。



「司さん、桜子に謝ってくださいねー。」
目が据わっている牧野が、桜子に腕を絡めながら話を切り出した。
つーか、『司さん』って、初めて聞いたぜ。
へぇ、普段は『司さん』って呼んでるんだな、ほ~。

「何でだよ。」
すかさず言い返す司。
ま、当然だよな。

「だってぇ、桜子が、司さんのせいで、ショックを受けて、整形までしたって・・」
「はぁ?」
司が牧野の隣に座る桜子を見て、首を捻っている。
そりゃそうだろう。
幼稚舎の頃の話なんて、覚えているはずもない。
俺らだって、忘れてたんだ。


「記憶にない。」
「っか~。ほらっ。お偉いさんは、すぐ記憶にないって言うっ!」
「つーか、本当に知らねぇんだって。」
酔っ払いの牧野に、真面目に答えている司が面白れぇ。
こんな司、見た事ねぇ。
いつもの司なら、この時点ですでに半殺しだ。


「どんな理由があるにせよ、乙女に向かってブスだなんて・・許されることではありませんっ!!」
牧野が眉間に皺を寄せている。
隣の桜子は、今にも吹き出しそうだ。


「全く~。何なのよ。西門先生は~女ったらしだし、美作専務は~マダムキラー?、司さんは~暴言男だし。F4って一体何なわけ??あれ、F4って・・一人足りない??」
指を1本ずつ折りながら、牧野が首を傾げた。
類は・・万年寝太郎だぜ?とはややこしくて言えねぇ。

「周りの奴らが勝手にイメージ作ってんだよっ。いい奴の集団なんかじゃねぇって言っただろーがっ。」
文句を言った司が、その次にはーっと溜息を洩らした。
「つーか、なんで、牧野がこんなになってんだよ。あきら、どうなってんだ?」

ジト目で司が俺を睨む。
「説明するにはややこしすぎるんだよな・・」
と司に同情しつつも、今更どう説明していいのか分からなくなった俺。

正面の牧野はじっと司の返事を待っている。

「ったくよー。」
ガツッ。
司が、俺の脛に一発ガンっと蹴りを食らわせた。
いってぇ。

「俺の記憶にはねぇが、お前が謝れっつーんなら、謝る。」

俺は、脛の痛みも忘れて、思わず、司をガン見。
桜子も驚いたように司を見ている。

だってそうだろ?
この道明寺司が、自分の非かどうかも確かめないままに、牧野が言うなら頭を下げてもいいと言ってるんだ。
信じらんねぇ・・。


「じゃあ、謝って。はい。どーぞ。」
牧野・・お前、この後どうなっても知らねぇぞ・・・
俺の背中に、ダリダリと冷や汗が滴った。

「おい、女、悪かったな。」

「「ブッ・・ブブッ・・!!」」
その言い方に、俺も桜子も爆笑だ。
必死に抑えるが、笑いが込み上げてきて止まらねぇ。
だが一人、牧野だけが笑っていない。

「心がこもってなーい。」


はぁ・・全く。
俺はもう、どうでもよくなった。
俺と桜子の問題はほぼ解決したしな。
後は、お前らでやっといてくれよ。

「牧野、お前が知らなかっただけだぜ。お前と出会う前の司は、ホントひでぇ男だったよ。女なんて、虫けら同然。カス扱いだったな。」
「ひどいっ!」
「黙れ、あきら。」

俺への怒りを露わにする司に、桜子が笑いをこらえながら言った。
「もういいですわ。牧野・・センパイ。だって、幼稚舎の頃の話ですもの。」


その言葉を聞いて、牧野が怪訝な顔つきで桜子を見る。
そして、首を傾げて、
「幼稚舎?」
と呟いた。

「ええ。」
「それって、なーに?」
「幼稚園ともいうな。英徳では幼稚舎。」
と俺が説明してやれば、
「よ・う・ち・え・ん~!??」
と牧野がびっくり顔になった。


「もしかしかしてぇ、さっきの話って、幼稚園の時の話なのぉ?」
「そうですよ、先輩。」
「幼稚園の時に、ブス呼ばわりされたってことぉ??」
「ええ。」

一瞬唖然とした牧野。
次に我に返ると、桜子からポンと離れた。
「あんたっ。そんなの覚えているわけなくない??どんだけ執念深いのよっ。」
「あら?別に、私、道明寺さんを恨んでるなんて、一言も言っていませんわ。先輩が勝手に、道明寺さんを呼び出したんでしょ?」

そう言われて、牧野はポカーンと口を開けている。
女が、そんな阿呆面してんじゃねぇよ。
虫入るぞ。


それから牧野は、自分の方が分が悪いと思い至ったのか、そろーっと司に視線を向けた。
その視線の先には、凶悪面をした司。
牧野の背筋が伸びたぞ?
司が、両膝に肘を置き、前傾姿勢で両手の指を組んだ。
やべっ。司のスイッチが入った。

「どーゆーことか説明してもらおうか?」
「いや・・その・・これは・・・・」
急にしどろもどろになる牧野。
お前、さっきの勢いはどこいった?

このままじゃ、危険だ。
俺たちは退散だな。

「じゃ、俺たちは帰るわ。桜子、行くぞ。」
俺は立ち上がってジャケットを羽織った。

「それでは、先輩、道明寺さん、失礼します。」
結構飲んでたわりに、シャキッと立ち上がる桜子。
こいつ、絶対ワザとだな。
ワザと牧野に司を呼び出させた。


「先輩、ありがとうございました。すっきりしましたわ。」
「すっきりって・・なんで・・・」
「だって、道明寺さんの恋人が、どうしてこんなフツーの人なのか、確かめたかったんですもの。」
「はぁ・・??」
「今までに女性との噂なんて一度もなかった道明寺さんの初スキャンダルですよ?相手の女性がどんな人物か知りたくもなるでしょう?」
「すきゃんだる・・・」
「でも、本当だったんですね。先輩が道明寺さんの恋人だっていう話。まさか、こんなにフツーの人だとは思いませんでしたけど。」
「あっ、あんたっ、フツー、フツーって。」
アワアワとして、軽くパニック入っている牧野。
お前、分かってんの?
フツーってことの前に、お前が司の女だってこと、俺たちずっと知ってたんだぜ?

司はと言えば、桜子をジロリと睨みつけている。
「おいこら、ブス、黙れっ。牧野は世界一可愛いんだよっ。」

「司さんっ!そんな言い方っ!」
「ブスにブスっつって何がワリィんだよ。あぁ?」
「だから、人を傷つける様な事は言っちゃだめっ。」
「俺は本当のことしか言わねぇし、お前は世界一可愛い。」

司が甘ったるい目で牧野を見つめている。
はぁ、もう、勝手にやってくれよ。
このバカップルめ。


「だけど、納得しました。道明寺さんが牧野先輩を選んだ理由。ふふ、これからも宜しくお願いしますねっ、セ・ン・パ・イ。」
桜子がフフンと笑って、俺の腕につかまり、俺たちはその場を後にする。


「いや、ちょっと・・待って・・待って、桜子っ!」

背後から聞こえる牧野の焦った声に、一度だけ振り返ると、
俺たちを追いかけようとしてふらついた牧野を、すかさず司が引きずりよせていた。


「ちょっとっ!待って!置いてかないでっ!」
往生際悪く、バタバタと騒いでいる牧野を放置して、桜子と二人店を出た。





結局のところ・・・
桜子は、牧野がどんな女か試したかったということか。
俺のことが好きだと言うことは信じている。
けど、司のことだってずっと好きだったんだろ?
その司が認めた女に興味を抱いたんだろう。
俺の親父も気に入った女ってこともあっただろうしな。

そして、試した結果、納得したってとこだな。
司に謝罪までさせた女。
なんせ、俺たち二人を前に進めてくれたのは、牧野つくしだからな。


あはは。
ワリィな牧野。
けど、めちゃ、感謝してる。
ここからは、俺がビシッと決めるから。
お前は、司のこと頼んだぜ。



 

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  1. 続・俺の女
  2. / comment:7
  3. [ edit ]

  1. 2017/03/25(土) 22:21:27 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
あ●様
いや~、「富永みーな」さんが浮かばなくて、つい検索かけちゃったら、磯野カツオの以前の声優さんですね。いや、その他も色々ありましたが。ちょっと笑っちゃった。笑っちゃだめだったかな?
私は、お話自体は原作の司のイメージがあるかな。西田さんはドラマのイメージ。司君の声は・・これといった声優さんや俳優さんをイメージしていないのですが、声はもちろん低めだけど、福山雅治さんほどの低さでもないような、もう少し明るめ。でも、本気の時とか、怒った時はぐっと低くなるイメージ・・っていっても分からないよなぁ。
因みに、私も二次を書くようになってバリトンボイスを調べたんです。でも、これは、高めのテノールのように綺麗で、低音のバスのような力強さがある、その中間で、色気のある男性の声に例えられるらしい。耳に聞こえる良い声の代名詞。まさに、司っ!と思っています。怒った時は、バス領域に入る感じ??

こんばんは~。

  1. 2017/03/24(金) 22:06:01 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの応援ありがとうございます。
やっと司君書けた。嬉しいです~。

さてさて、
じゅんこ様
コメントありがとうございます。「類さんよ…」本当にうけたんですよ~。爆笑。だって、私と同じリアクションがそのまま書いてあったんですもん。こちらはですね~。類君まで出してたら、話終わらないから(笑)、「類さんよ…」にはならない予定でーす。

悠●様
お仕置きっていうか、つくしのこと可愛くて仕方ないんだと思うんですよ、司さんは(笑)。ある意味、つくし、小悪魔です。

スリ●様
司君目線じゃなくても、司君書いただけでテンション上がる!あぁ、幸せ・・です。

四葉様
そう、このセンパイ呼び。ちょっと迷ったんですよねぇ。だって、別に大学の先輩じゃないし?でも、桜子には先輩呼びをさせたかったんでーす。つくしちゃんを認めて、一目置いた証拠でいいかなぁと・・適当(笑)

さと●様
つくしちゃん、グーで殴っちゃったけど、大丈夫かなぁ。司さん、ビビったかなぁ。ちょっとずつ、つくしちゃんらしく、元気いっぱいにしてあげたいんだよなぁ。あんまり、司さんに遠慮してほしくない!
あ~私も、「誰だ」とか言って、司に睨まれたい!

ま●様
昨日も遅い時間にコメントありがとうございます。そして、今日は早かったですよね??バカップルですよ、もう~。でもいいの。つかつくはこれで~。

さてさて、
貯金もなく、アワアワの私ですがとりあえず、なんとか、この桜子&あきらのところはクリアしたい!

明日もAM5:00にお待ちしていまーす。


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  1. 2017/03/24(金) 16:45:34 |
  2. |
  3. [ edit ]
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酔っ払い

  1. 2017/03/24(金) 08:33:26 |
  2. URL |
  3. 四葉
  4. [ edit ]
こんな可愛い酔っ払い、放っておいたら大変!司も、愛しさあまって、心配200%ってとこかな?桜子のスッキリしたって気持ち、なんか分かる。だからこそのセンパイ呼びなのかなぁ♪

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  1. 2017/03/24(金) 08:10:45 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/03/24(金) 07:16:38 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/03/24(金) 05:50:58 |
  2. URL |
  3. じゅんこ
  4. [ edit ]
おはようございます(^^)
桜子いー性格してますねぇ。司が謝るとか明日は雨かしら?アキラ君に関しては心配もしてませんけど、西門さんは落ちましたねぇ。
つくしは司に甘ーーーいお仕置きでもしてもらって下さいな(^_-)
はっ!類が残ってる(@_@)やばい!類が…寝太郎さんは落ちたらやばい!寄生したらどーしよぉ。
類さんよ…って怒ってしまうかも?!
何事もなく終わりますように…チーン
また明日も楽しみにしてますね(^-^)v

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