花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

あたしは大学1年生の冬からダブルスクールを開始して、
大学3年生で、公認会計士の短答試験と論文試験に合格した。
これは、快挙というみたい。
あたしとしては、これ以上ダブルスクールにお金を掛けられないっていうのもあって、背水の陣だったんけどね。
少しずつ、自分の夢が現実になっていく実感。
嬉しかった。


あたしが公認会計士を目指す理由。
それはやっぱり、将来、道明寺の役に立ちたいから。

公認会計士は、会計のスペシャリスト。
企業の監査や経理・財務、コンサルティングなんかを担当して、上場企業には必ず必要な人材。

あの日、一度は道が分かれたあたし達だけど、必ず流れは再び交わると信じてる。
だけど、何もせずに待ってるだけじゃ、やっぱり流れはつかめないと思う。
川が堰き止められたり、洪水で道が無くなったり、いろんなアクシデントがあり得る。
だから、あたしは必至に努力をした。
アクシデントに負けない力を付けるしかない。
その一心で。



高校時代のあたし達は幼過ぎて、きっと、どんなに騒いだとしても、ずっと共にある人生を勝ち取ることはできなかったんじゃないかな。
だから、次に道明寺との人生が交差するときには、彼の傍にずっと一緒にいられる自分になりたかった。


今は理解できるんだ。
道明寺はどうして、あの時、きちんと言葉にしてくれなかったのか。
「必ず迎えに来る」ってどうして言葉にしてくれなかったのか。

口にすることは簡単で、実現することは難しい。
きっと、道明寺はあたしたちの未来を真剣に考えているからこそ、簡単には言えなかったんだと思う。
真摯であればこそ、言葉に出来ない想いもある。
だけど、十分伝わってるよ。

『だけど、必ず・・』

道明寺が飲み込んだ、その先の言葉、ずっと信じて待ってるから。



あたしは大学4年の春を迎えた。
試験に合格したあたしは、監査法人への就職希望だ。
試験合格後、2年間は、現場での業務補助経験を積む必要があるから。
それが終われば、あたしは晴れて公認会計士と名乗れるようになる。


道明寺は、少しずつ経済誌に登場するようになった。
先日はアメリカで、大きなプロジェクトを成功させたらしい。
そして、今は、道明寺ホールディングス全体の改革に取り組んでいることもニュースになっていた。
この改革の行方が、株価に大きな影響を与えている。
きっと、すごいプレッシャーの中にいるんだと思う。

あたしは、公認会計士になったら、企業の海外進出やM&A(企業の買収や合併)を専門とするコンサルティング業務を担当したいんだ。
彼が現在手掛けている内部改革も、それ以前にカナダのIT関連企業の買収が成立しなければ、成功は難しいと言われている。


あいつも頑張っている。
だから、あたしも頑張らなきゃ。
リクルートスーツに身を包んだあたしは、今日から就職活動を開始した。


企業説明会を終えて、トボトボ歩くアパートへの帰り道。
あの公園の桜は、今年も満開だ。
公園に入り、桜を見上げたとたん、ざぁっと強い風が吹き、桜吹雪が舞い上がった。
風が止んだ後、ひらひらと舞い降りる花びらを見つめながら、あたしは崇徳院の歌を口ずさむ。


『瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の____』


あはは。
可笑しいよね。
だって、あの道明寺だよ。
日本語弱いあいつなのに、この和歌を知ってたなんて。

あたしは、道明寺の負担になんてなりたくなかった。
だけど、あいつをずっと待っているつもりだった。
いつか二人の人生が、必ず交差すると信じて。
だから、あの歌を口にした。

でも良かった。
本当に良かった。
あの日のあたしの気持ち、
あたしがずっと待ってるっていう気持ち、
あいつにちゃんと伝わったと思う。


どこからか、道明寺の声が聞えたような気がした。

『____われても末に 逢はむとぞ思ふ』


あたし達の覚悟の歌が、今日もあたしを導いてくれる。


だけどね。桜を見ると、どうしても尋ねたくなるんだ。
     ____ねぇ、道明寺、今、どうしてる?




***




スキップして3年で大学を卒業してから、1年後。
MBAを取得した俺に、大きなプロジェクトが持ち込まれた。
今まで外注していた社内のネットワークを道明寺資本で再構築する。
そのために目を付けたのはカナダのIT関連企業だ。
M&Aを持ち掛けて、その会社のノウハウを手中に収めたい。
対抗馬に比べれば、うちの提示する条件は良いはずだ。
しかし、今回のM&Aの弱点は、道明寺が日系企業だということだった。
カナダは親日家の多い国として有名だ。
それなのにどうして?

調査させた結果、どうやら、この会社の社長が問題だ言うことが分かった。
社長自身が日系を毛嫌いしていると言う。
自分が退く時期になって、そんなことを・・
そうは思うが、そんな感情的な問題というものは、どの世界にも存在する。
金や力だけでは動かせないものがあるということは、俺自身も高校時代に十分学んでいたから、力でどうにかしようとは思わなかった。

___まずは、話を聞くことだ。
俺が、バンクーバーに本社があるこの会社に出向いたのは、4月も半ばを過ぎた頃だった。


『Mr.道明寺、うちのIT技術は御社のプログラムを含めたネットワーク改善に役立つはずだよ。』
そう言いながらも、挑戦的なMr.カーター。
そんなことは分かってるんだ。
そして、この社長が道明寺ホールディングスに会社を売ろうとしない本当の理由は、俺たちが日系企業だからなんだろう。
きっと、どんなに良い条件を提示してもダメなのかもしれない。

『どうして、私共の会社ではダメなのでしょうか?』
俺は正直に疑問を投げかけた。

『日本人には少しやられてしまってね。それから、どうも信用できないんだよ。気に障ったのなら申し訳ないが、道明寺さんがそうだと言ってる訳ではないんだ。』
『しかし、ここカナダは、親日家が多く、日本人も働きやすい土地柄だと聞いています。日系企業である道明寺ホールディングスがこちらに受け入れていただくことは、難しくはないと考えているのですが。』
『そうだね。』

物腰は柔らかいが、何を言っても無駄だという受け答え。
Mr.カーターは俺の話を聞いているものの、会社を譲渡する気はないらしい。
どうすればいい?

その時、社長の背後にある窓から、クイーンエリザベスパークに咲き誇る桜が見えた。
俺は小さく深呼吸をした。

『桜が見えますね、Mr.カーター。あの桜は日本から来たそうですよ。このバンクーバーの地で元気にやっているみたいですね。』

すると、Mr.カーターが驚いた表情を呈した。
『道明寺ホールディングスの若きエースは冷たい男だと聞いていたが、聞き間違いだったかな。あの桜は見事だろう?今ではバンクーバーの誇りとも言える。』
そう言って、少しだけ、自然に表情を崩す。

『この会社も、我々に譲渡して頂ければ、必ず、この土地の誇りにして見せます。如何でしょう?』
『私に君を信頼しろと?』
『それしか申し上げられません。』


『この会社はね。私が一代で築き上げた会社なんだ。でも、後継者争いが激しくてね。結局売り渡すという選択肢に迫られた。後継者争いで問題を起こした一人は、日本人の信頼していた男でね。その男は、この会社をドイツに売り、この土地から、会社自体を無くすつもりだったんだ。だけど・・今考えると、その男とは桜の話をしたことなど無かったな。あいつはこの地に誇りをもって働いていたんだろうか・・。』

『なぁ、Mr. 道明寺。君に会社を任せたら、私は満足できると思うかい?』
『絶対に後悔はさせないとお約束します。』
『どうして、それを信じられる?』
『この契約がまとまり、会社のシステムの再構築が終了すれば、私は、ずっと待たせている女性を迎えに行けるんです。彼女とは、まだ桜の季節を一緒に過ごしたことが無い。ですから、このプロジェクトは絶対に失敗しません。そして、この会社の社員を必ず守ると、お約束します。』

俺は、Mr.カーターの瞳をじっと見つめ続けた。


翌5月に、俺はMr.カーターから会社を譲渡された。
『Mr.道明寺。私はあなたを信じようと思う。』


俺はこの異国の地で、誰かに信頼される人間になれたらしい。
でもそれは、決して会社の為ではなく、俺が唯一幸せにしてやりたいと願う、あいつを迎えに行く為だった。



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  1. Sakura
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは(;^_^A

  1. 2017/04/05(水) 23:02:51 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
二人がんばっているんですよね~。確固とした目標を定められたわけでもなく、いつしか二人が一緒になるために努力をするって、なかなかできることじゃありません!!といい年になった私も思います。

さて、
スリ●様
お忙しそうですね~。そう、私も思いました。BGM、そちらになりそう(笑)。

道明寺&牧野大好き様
昨日のコメ返にも書きましたが、ホント、司よく切り返したな~。ってこれ、知らなかったら、お話にならないから無理やりです・・・(汗)。いいのいいの、たまには・・ね。道明寺も本気の時には、日本語強いんです!(笑)
こちらのお話は、7話完結なので、あまり心配しなくて大丈夫ですよ~。

ka●様
いつ再び会えるか分からないのに、努力を重ねていく。いい大人である私が出来ないことを、この二人ならできると信じて・・。そうなると、最後は、絶対に幸せにしないとダメですね!

M●様
過分なコメントありがとうございます!その涙を無駄にしないように、きっと二人を幸せにして見せますよ!


今回のお話、司が日本語強かったり、いろいろと『ありえない』お話かも知れませんが、lemmmonさんのお話を読んで、こんなの書きたいな~と素直に思ったお話なんです。好き嫌いはあるかと思いますが、細かなことはさらりと流して頂いて(笑)、楽しんで頂けたら・・と思います。

では、明日もAM5:00に!

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  1. 2017/04/05(水) 21:41:12 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

更新ありがとうございます

  1. 2017/04/05(水) 20:38:58 |
  2. URL |
  3. 道明寺&牧野大好き
  4. [ edit ]
NYの道明寺、一歩ずつ前進してますね…、つくしに向かって(^-^)
二人が離ればなれのせつない展開…のはずなのに、あの道明寺が和歌を口ずさんでいる!!というエピに、なぜかほっこりする自分。

原作の二人には、その他の登場人物や環境の違いからくる不安や悲しみで、ラブコメなのに…。神尾先生!ってヒヤヒヤさせられていましたが。

こちらの今後の展開もまだまだ安心できない…。

原作も創作も、道明寺つくしになる事だけをずっとずっと願っている 道明寺にイカれた私は、早く二人が抱き合う姿が見たいです(^-^)

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/05(水) 07:39:14 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/04/05(水) 05:34:49 |
  2. |
  3. [ edit ]
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