花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

3月末、俺は日本へ帰国した。
NYでの社内改革が認められ、今後は日本支社の改革に踏み込むと同時に、アジアでの事業を展開する予定だ。
でも、俺にとって、この帰国はビジネスの為なんかじゃない。
ビジネスは手段に過ぎない。
俺が、あいつともう一度共に歩き出すための手段に過ぎないんだ。


俺はニューヨークにいる間、牧野の情報は一切入れなかった。
報告してくる奴らもいなかった。
ババァにしても然り。
約束の2年を過ぎても、俺にあいつのことを問いただすことも無かった。
俺がそのままニューヨークで学業とジビネスに染まっていくのを見て、あいつとは終わっていると思ったのかもしれねぇな。

でも俺は、あの歌を詠んだあいつの覚悟を信じていたから、余計な詮索に時間を割くことなく、早く迎えに行くことだけを考えていられたんだ。


今回の帰国に際し、俺は牧野の近況を調査しようと思えば、簡単に出来た。
だが、敢えてそれはしなかった。
どうしてか?
俺は、何事も無かったかのように、ふらりとあいつのアパートを訪れたかった。
この5年の空白なんて飛び越えて、あの日の延長として、何てことは無かったかのように会いたかった。


だけどなんて言ったらいい?
『ただいま』っつーのもなんだかな。
あいつ、どんな顔をするだろう。
あいつが俺のことを忘れてるなんて思わない。
絶対に俺を待っているという確信があった。

ただ、会いたい・・
会って、彼女を抱きしめたい。



極秘で帰国した俺は、一目散に牧野のアパートを目指した。
未だにそこに住んでいる確証などなかったが、そこへ向かうしかなかった。
アパートの階段を上がり、アパートにまだ『牧野』の表札が出ていることを確認した。
はやる鼓動を抑えつつ、部屋のチャイムを押したが、俺の願いも空しく、牧野は不在だった。

少しだけ気落ちしながら、アパートのボロ階段を降り始めた時、俺の目の前に飛び込んできたのは、満開の桜。
最後の日の朝、牧野と一緒に蕾を見た、ソメイヨシノだった。


ゆっくりと公園に近づいた。
牧野と一緒に見たかった・・
だけど、別に今日一緒に見れなかったからといって、焦る必要なんてない。
俺はこれから日本にいるんだから、絶対にあいつを捕まえてやる。

そう決意して、一歩一歩、桜の大木に歩み寄った。
一部オレンジ色に染まった桜は幻想的で、現実感が全くない。
一瞬、別な世界に入り込んだかのような錯覚に陥った。

そして、辺りを見回すと、通りの向こうから、この桜を見上げつつ近づいてくる人影が見える。


まさか、この桜が見せる幻か?

いや、そんなわけねぇ!
忘れもしない女、忘れることなどできない女。
____牧野だ。


まだ肌寒いというのに、ニット一枚で歩いている。
すっきりとした顎のライン。
少し・・痩せたか?
俺は足を動かすことが出来なかった。


桜を見上げたままの牧野がどんどん俺に近づいてくる。
避けることも、近づくこともできずに、そのまま、彼女が俺の胸に飛び込んでくるのを見つめていた。


ドンッ!
「きゃっ、すみませんっ!ごめんなさいっ!」

相変わらずのドジっぷり。
相変わらずのシャンプーの香り。
相変わらず・・小せぇ。


早くその顔が見たいのに、
喜んでくれる顔が見たいのに、
彼女はなかなか顔を上げようとしない。


「相変わらずだな。こんなにいい男が立ってんのに、無視してんじゃねーよ。」

ゆっくりと俺を見上げた彼女と、5年ぶりに視線を合わせた。

彼女は、驚きに目を見開いて・・
「道明寺・・・」
そう呟いた。


彼女の目に自分が映る。
ついさっきまでは、何事も無かったかのように再会したいと望んでいたくせに、俺はもう、別の感情に囚われていた。

この日をどれだけ待っていたか。
この日のために、自分がどれほど努力したか。
そんなこと、こいつに言ったって仕方ないことだと分かっていても、
こいつには、俺のことを認めて欲しくて、
『頑張ったね』って言って欲しくてたまらない。

自分がこんなにも女々しい、ガキだなんて笑えるが、こいつに認めてもらうことだけが俺の望みなんだ。


牧野はじーっと俺を見上げて、それから言った。
『道明寺、お帰り。ずっと、待ってた。』


その言葉を聞いて、
掻き抱くように、こいつにしがみつく。
小さなこいつの体は俺の中にすっぽり入り込む。

夢じゃない。
幻じゃない。
本物の牧野が腕の中にいる。


_____やっと、こいつを捕まえた。







「ねぇ。」
「黙ってろ。」
「ねぇ、苦しいって。」
だからって、どうしたって離せない。

5年間夢にまで見た牧野が腕の中にいるんだ。
こんな感動、味わったことねーよ。

「ねぇ。道明寺。顔見せてよ。」
その言葉に、仕方なく、こいつの胸の中から解放した。

じーっと俺を見上げる牧野。
黒目がちな大きな瞳はあの頃のまま。

「道明寺・・変わってないね。あ、ちょっと大人になった?」

顔つきだって変わっただろ?
駆け引きだってできるようになった。
ビジネスをモノにするためには、真っ向勝負だけでは挑めない。
それでも、こいつは、俺は変わってないって言うんだな。

「あの頃よりも、数段いい男になっただろ?」
「ぷっ、自意識過剰。」
と笑い出した牧野。

クスクス笑う牧野はメチャクチャ可愛くて、17歳の牧野のままだ。
だけど、あの頃より・・

「お前は、変わったな。」
そう言ってやれば、怪訝そうな顔をする。
「すげぇ、綺麗になった。」

そんな俺の言葉に、牧野は真っ赤になって俯いた。
オレンジ色の光の中でも分かるぐらいの赤面だ。
それから、小さな声が聞こえた。

「ありがと・・」


はにかむ牧野は強烈に可愛くて、もう我慢なんて出来なくなった。
両手で思いっきりこいつの顔を上向かせ、食らいつくようにキスをする。
何度も何度も吸い付いて、頭がおかしくなりそうだ。
柔らかい唇の感触は、昔と変わっていない。

俺のジャケットを掴むこいつ重みを感じれば、俺の幸せが増していく。


5年間の空白がある俺たち。
この関係は何て言ったらいいのか。
俺の彼女。
俺の恋人。
俺にとって、運命の女。
それが、牧野つくしなんだ。


ゆっくりと唇を外すと、コトンと牧野が俺の胸に落ちて来た。
そのまま、じっくりと抱きしめる。
温かい、愛する彼女の温もりに酔いしれた。


「牧野・・俺、頑張ったんだぜ?」
「うん。知ってるよ。凄いね。道明寺。頑張ったんだね。」

誰に褒められたって嬉しいなんて思ったことが無いのに、こいつに褒められた・・それだけで、自分がすげぇ価値のある人間になれたような気がする。
けど、当たり前か。
俺の世界は、常にこいつを中心に回っているんだから・・。


再び顔を上げた牧野が言った。
「道明寺・・うち、帰ろっか・・。」



『うちに帰る・・・』
それはどんな意味で言ったのか。
こいつのことだから、深い意味なんてきっとない。
だけど、なんだか、すげぇくすぐったくて、心が温かくなって、俺はもう、こいつ無しでは生きていけないと思った。



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  1. Sakura
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/04/07(金) 21:39:21 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
今日も拍手が多い。きっと、司が幸せだからだと思う(笑)。

さてさて、
スリ●様
朝からコメントありがとうございました!もちろん、司へのご褒美は用意しています。やっぱり、つかつくサイトですからね~。

は●様
ご無沙汰してまーす。コメントありがとうございます。
良かったよね~、二人。5年って、こうやって書いたらすぐだけど、本当に長いですもんねぇ。青春時代、花の大学時代を棒に振った訳ですから、これから幸せになってもらいます!

道明寺&牧野大好き様
31巻!このお話書くときに、チェック入れてました(笑)。あの時、沼にハマった直後で、道明寺の髪、ストレートでしたよね。汚くても、そこは愛の力なのね~と妙に冷静に見てしまった・・。やっぱり、年食ったんだなぁ・・私。
その未来予想図は・・恐らく、ご期待に添えるのではないかと・・へへ。

四葉様
「うちに帰る」って言われたら、なんとだか嬉しいだろうなって。そう思って書きました。それが、つくしのボロアパートだからまたいいんですよね。


今日は、やっとこさ、俺の女に手を付け始めました。
え?今頃?という気もしますが・・・。
俺の女、皆さん覚えていらっしゃるのか・・正直若干不安であります・・。

では、明日もAM 5:00です!

更新ありがとうございます

  1. 2017/04/07(金) 14:53:46 |
  2. URL |
  3. 道明寺&牧野大好き
  4. [ edit ]
つくしや幼馴染とも離れ、NYで1人頑張った道明寺。そりゃあつくしにほめて貰いたいよね。

そして情熱的な…食らいつくようなキスシーン!こちらは31巻のあの場面…を脳内変換して楽しみました(^-^)

未来予想図として…。道明寺邸の東の角部屋近くに植えた桜なら、司とつくし、そして今後増えるであろう(期待)子供達と一緒に、いつまでもいつまでも幸せにお花見をして欲しいなぁ…。

もちろん、えのき茸のベーコン巻きやタコさんウインナーにおにぎりのお弁当を持って(^-^)
いつも素敵なお話しありがとうございます。

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  1. 2017/04/07(金) 09:09:36 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/04/07(金) 06:51:44 |
  2. |
  3. [ edit ]
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