花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「ちょっと!やだっ。引っ張らないで!やだって!」

司さんがあたしの腕を引いて、無理やりリムジンへ乗せようとする。
絶対おかしいっ!
何か隠してるっ!

桜子には、
「行ってらっしゃい~、先輩。」
と手を振って見送られた。

なんでよっ。
なんで、こんな恰好で、連れ出されてるのよ。
そもそも、桜子を認めてないんじゃなかったの?
騙されたっ!
絶対に、司さんと桜子が結託していたに違いない。


「やだっ。こんな恰好、恥ずかしいし。どこにも行けないっ!」
「何が恥ずかしいんだよ。メチャ可愛い。心配すんな。」
「ありがと・・って、そうじゃなくってっ。どうしてこんな恰好で、司さんと出かけるのよっ!」
「とにかく乗れって。」

そのまま強引に司さんのリムジンへ連れ込まれる。


「これ、どこに行くの?まさか、パーティーじゃないよね?あたし、嫌だからね。そういうの行ったことないし。」
司さんを睨みながら、あたしが言うと、

「クローズドの会なんだよ。マスコミも来ねぇし。主催者のかなり内輪の関係者しか来ねぇから、心配いらねぇよ。」
「だからっ!どうして、あたしがそこに行くのよっ!」
「向こうも、お前が行けば喜ぶからな。」
「嘘でしょ?どうして、あたしが行ったら喜ぶっていうの?」

あたしが睨みつけたら、司さんがニヤリと笑った。
「後藤会長の誕生日パーティーなんだよ。知ってるよな、後藤会長。」
「後藤会長?」
「そう。」
「嘘でしょ?」
「マジ。」

知ってる。知ってるけど。
だけど、どうしてあたしが行くの?
あたしはメープルの職員だよ。
行く理由なんてない。

「後藤会長のことは知ってるけど。だからって、あたし、参加する理由がないよ?」
「俺のパートナー。」
「パートナー?」
「ま、パートナーなしでもいいんだろうけど、お前、後藤会長に気に入られてるし、丁度いいだろ?」
「丁度いいって・・」

そりゃ、招待客がパートナーに誰を選ぼうが、構わないのかもしれないけど。
だけど、部下ってどうなの?

「あたし、司さんの部下だよ。それなら、スーツの方がいいんじゃない?」
「逆にスーツで行く方がよっぽど可笑しいぜ?クローズドな会なだけに、皆、ある程度砕けてるからな。」
「本当に?」


後藤会長は、The Classicで初めてお会いした時から、あたしを可愛がって下さってる。
奥様も、メープルに来られる度に、あたしに声をかけて下さる。
そんな人の誕生日パーティーだから、お祝いしたい気持ちはある。
だけど、クローズドな会とはいっても、あたしにとっては初めてのパーティー。

司さんは飄々としているけど。
あたしはドキドキだよっ!


司さんは、今、道明寺HDが手掛けている、高齢者向け住宅のプロジェクトで、後藤会長とは縁があるらしく、今日のパーティーに招待されたんだそう。
司さんが招待されるのは当然として、そのパートナーがあたしって、どうなの?
あたし、司さんに恥をかかせちゃうかもしれないよ?


事情が分かってからは無言状態のあたし。
今更、車を降りて、帰るって訳にもいかない。

ドキドキ・・ドキドキ・・
だって、本当に初めてなんだよ?
大学の謝恩会だって、ケータリングの立食パーティーだったし、
お金持ちのパーティーになんて行ったことがない。
パンプスも歩きにくそうだし、桜子に持たされたバックには一体何が入っているのかも謎。
メープルのホールでは、毎日何かしらのパーティーは開かれているけれど、自分が参加する側に回るなんて考えてもみなかった。
本当に・・どうしていいか分からないよ。


人という文字を何回も手のひらに書いて飲み込む。
そんなあたしを見て、
「お前・・何してんの?」
と不思議がる司さん。

「こうするとね。緊張しないんだよ?」
「は?そんなことする必要ねぇだろうが。隣に俺がいるんだから、緊張すんな。普段通りで構わねぇ。なんかあったら、俺がフォローするから。」

あたしは思わず、司さんをまじまじと見つめた。
司さんを拝んじゃう勢いだ。

司さんが、凄く頼もしい!
この人と一緒なら大丈夫だって、そう思える。
緊張がふっと軽くなった。

「司さんが、今までで一番カッコよくみえる。」
「はぁ?何気にすげぇ失礼だな。」
「無人島に二人きりになった気分。ほら、頼る人は一人だけ・・みたいな。」

ほっとして、あはは、と笑ったあたしの頬に、司さんがキス。

「ちょっとっ!」
真っ赤になって、抗議をすれば、

「唇は今は止めとく。リップ取れたら困るだろ?その代わり、夜な?」
そう言って、ニヤリと笑う司さん。

もーっ。
確かに緊張は解けたけど、油断も隙もないんだからっ。


そうこうしているうちに、あたし達は、目的地に到着した。
司さんが、あたしの手を引いて、リムジンから降ろす。

いつもとは違う空気が流れたけど・・

「行こうぜ!」

自信がみなぎる司さんの一言で、
あたしはなんとか前を向いて歩き出した。



***



到着した場所は、後藤会長の持つ別荘。
都内から1時間弱で、静かな自然の多い土地に着いた。

白壁の邸宅も素敵だけれど、お庭も素敵。
手入れをされた木々の緑、色とりどりの花。
美作邸とはまた違う、すっきりとした印象のお邸。

司さんに腰を抱かれて、会場内に入って行く。
お庭がパーテイー仕様になっていて、アットホームな印象だ。
集まったお客様も、皆さんお洒落だけれど、完全フォーマルという訳じゃない。
確かに、スーツじゃ浮いていたかも。


あたしを連れた司さんが会場に入ると、周囲が騒めいた。
あたしは、ぎゅっと司さんのジャケットを掴んだ。

見られてる・・。
ジロジロ・・見られてる。
入社式の時とは全く違う。
驚いた表情のお客様達。
考えなくても分かる。
司さんが、あたしを連れているから・・だ。

思わず足が止まってしまったあたしを、司さんが心配そうに覗き込んだ。
「緊張すんなって言っただろ?」
「緊張するよ・・こんなとこ・・」
来たくなかったよ・・なんて、口をついてしまいそう。


「そんな顔すんなって。大丈夫だ。」
「勝手にどっか行かないでよ?」
「分かった。」
「絶対、手、離さないで。」
「リョーカイ。」

その約束を取り付けて、あたしはなんとか、再び正気を取り戻したんだけど・・・
そのやり取りを、会場中のお客様が固唾を飲んで見ていたなんて、
テンパっていたあたしは全く気が付かなかった。



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  1. 続・俺の女
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/04/15(土) 23:37:46 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの応援をありがとうございます。
タブレットPCになってから、脱字とか、ちょっとした操作で、すぐに文字が消えたり、変なところに挿入されたりとかして、イライラしてしまうっ。やっぱりPC買おうかなぁ。仕事用はさすがに使えないしなぁ。うーん。

さてさて。
スリ●様
そうそう、司さん。策士だったのでした。さて、司さんの思惑通りに進むのかどうか・・は、明日に!

ま●様
こんばんは~。本当だ、大人な司さんは久しぶりかも。。。最近つくしに振り回されちゃっているから~(笑)。


もう明日で、40話です。
あとどれぐらいか・・まだ先まで書いていないのでわからないのですが、早送りをしなければ、もう少しかかるなぁ、きっと。
飽きてきた方もおられるかもですが、最後まで付き合い下さるとうれしいです。

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  1. 2017/04/15(土) 14:15:40 |
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  3. [ edit ]
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