花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「おい、あきら、協力しろよ!」
月曜日の午後一番に、俺はあきらの執務室に乗り込んだ。
あきらが会社にいることはリサーチ済み。

「なんだよ、司。暇なのかよ。」
何を呑気なことを言ってやがる。
んな訳ねーだろ。
午前中の会議をかっ飛ばして、時間作ってきたんだっ。

「お前の女、毎度厄介だな。つくしを旅行になんか誘いやがって。」
「桜子が?」
「二人で沖縄行くんだと。聞いてねぇのかよ!」
「へぇ、まぁ、いいんじゃねーの。俺も忙しくて、長期の休みは取れねぇし。牧野が付き合ってくれたら助かるわ。」
「そーじゃねーだろっ!」


話を聞いた時には、俺は自分の耳を疑った。
つくしも忙しくしていて、旅行なんて行く時間がないと思っていた。
それが、あの女と旅行にいくとか。
俺とだって、旅行になんか行ったことがねぇんだぞっ。
旅行どころか、まともなデートだって・・

しかも、まさか、俺の恋人が、飛行機にも乗ったことが無いなんて。
それどころか、どこも行ったことが無いなんて言われて・・
この俺が、どこにも連れて行ってやってねぇってことだろーがっ。
それなのに、なんであんな女と旅行に行かせなきゃなんねぇんだよっ!

あームカつくっ!!

いや・・けど、それは百歩譲る。
譲るしかねぇ。
だが・・

『俺との将来を考えるために、自分を客観的に見つめなおしたい』・・だと?

つくしの真剣さに負けて、旅行の許可はしたものの、そんなことを言われて、俺が黙っていられる訳がねぇだろ?
あいつは俺と別れる気はないというが、ここ最近、特に夏の大きなプロジェクトが終わってから、つくしは何となく考え事が多くなっていて、俺と話していても、上の空ということが度々あった。

いや、思えばもっと前からかも知れねぇ。
俺は単純に、メープルの企画が上手くいくことが、つくしとの将来につながると考えていた。
けれど、つくしの考えは恐らく違う。
何か、別なことを考えている。

つくしが何を考え、何を迷っているのか。
全く、検討が付かないという訳じゃない。
けど、まさか、こんなに早くそんな時期が来るとは思っていなかった。

俺は、つくしの決断に真っ向から反対するつもりは・・ない。
複雑な心境であることは確かだが、話も聞かずに反対するようなことはしない。
だが、そのつくしの決断の場には、必ず俺が傍にいたいと思う。

あいつが俺には言えない悩みを抱えている。
つまりは、俺には関することなんだ。
それなのに、黙っていられるわけがねぇ。
俺とのことだからこそ、一緒に悩むべきじゃねぇのか。

あいつに関することは全て知りたい。
結論だけを聞きたい訳じゃない。
全て話してほしい。
あいつの悩みも含めて、全てを俺が包んでやりたい。

あのハンカチが無かったとしても、俺の運命の女はあいつなんだ。
だから、俺はどんなことがあったって、あいつを手放したりはしない。
そのことを、絶対に伝えないといけないんだ。

そのためには・・・


「あきら、お前も休みとれ。」
「バカ言うな。」
フン。俺に向かって、そんなことを言えるのも今のうちだ。

「お前んとこに、高木物産が手掛ける大型ビルの内装、全部任せるって言ったら?」

あきらがぱっと顔を上げた。
「マジかよ。」

決まりだな。

「急だったから、俺も明日はどーしても無理なんだわ。水曜の夜から行くぞ。」



*****



高速道路を降りてからも、しばらく一般道を走った。
リムジンが減速して、着いたのかなと思って外をみると、そこはどう見ても高級ホテル。
この景観・・・メープル沖縄だっ!!


「桜子・・」
「こんなことだろうと思ってましたよ。」
「ご・・ごめんね。」
「いいえ。道明寺さんが、自分のテリトリーから先輩を出すとは思えませんでしたからね。想定の範囲内です。ま、当然、宿泊代も、飲食代も道明寺さんもちでしょっ。派手にやりましょうよ、先輩!」
そう言って、桜子がウインク。

「はぁ。ま、そうだね。楽しもう・・か。」


そんなあたし達が案内されたのは、メープル沖縄のプライベートコテージ。
解放された掃き出し窓からすぐにプールが繫がっている。

「すっごーい!プールと海が繫がってるよ~!!」
「凄いですね。流石はメープル。」
「海外リゾートに来たみたいだねっ。」
「本当に。」
「うわーっ。プール入ろうっ!」
「私は、日焼けはダメなんで。」
「ええ~!あんた、何しに来たのよ~っ!」
「ゆっくりしに来ただけですよ。」
「はぁ~??」
「観光とか、あくせく動くのはパンピーだけですよ。」
「パンピーで悪かったわねっ。」
「まぁ、お付き合いしますけど、プールは無理です。」
「もうっ。」


パタパタと二人、部屋の中を見て回る。
「総大理石の床ですね。」
「滑ったら、頭打って、死んじゃう?」
「バスルーム、すっごく広い!」
「溺れないでくださいよ。」
「「キャハハ。」」

二人でワイワイ盛り上がる。
なんだかんだ言って、桜子だって楽しそうだ。
寝室はツインルームになっていて、クローゼットは左右に用意されていた。


何気なくクローゼットを覗いてみると・・
「わぁー!」
「どうしたんですか?」
「これっ!」

クローゼットの中には、カラフルなドレスたち。
サンダルやバッグも置いてある。
引き出しを開けると水着やランジェリーまで。

こういうことかぁ。
司さんが余計な荷物は持っていくなとか言って、あたしの荷物までチェックしていた理由が今分かった。
全く、無駄遣いなんだから。
数日間の服なんて、持ってくればいいのに。
だけど、思えばあたしはこんなリゾートでくつろぐ服なんて持ってない。
持ってきたのはショートパンツとTシャツと羽織物ぐらい。
そんなあたしにリゾートを満喫させようとしてくれる司さんの気持ちが嬉しい。


あっ・・ということは・・もしかして・・

反対側のクローゼットを空けると、そちらにはややシックな洋服が。
ランジェリーも大人っぽいもの。
「こっちは、どう考えても桜子用だね・・。」
「はい。」
桜子も苦笑いだ。
「美作専務も一枚かんでるね、絶対。」


そこへ、Rurururururu・・・と着信。
司さんからだ。

「はい。」
「着いたか?」
「うん。すっごく素敵なお部屋だよ。それから、司さん、いろいろありがとね。」
「おう。嵌め外しすぎんなよ。」
「うん。また、夜に電話するから。」

そう言って電話を切ったあたしを見て、桜子がニヤリと笑った。
「へぇ。先輩も、結構可愛いこと言うんですね。ちょっと安心しました。」
ボっと赤くなるあたし。

すると今度は桜子の携帯が鳴り響く。
画面をみて、ささっと隣の部屋に移動する桜子。
自分こそ、結構可愛いんだからっ。


さーてと、女二人の旅行は、まだ始まったばかり。
これから3泊4日。
ゆっくりと自分と向き合いたい。

あたしが、あたしらしくあるために、
どうすべきなのか・・結論を出したい。



お部屋できゃあきゃあ騒いでいたら、いつの間にか夕方。
すっかりお腹も空いてきて、晩御飯の算段に移った。

「ねぇ。ご飯どうする?今からじゃ、レストランの予約なんて無理だよねぇ。コンビニでも行く?」
「何ですか、コンビニって。」
「コンビニ知らないのっ?」
「知ってますけど、晩御飯は買えないでしょう?」
「なぁんだ。知らないんだ。結構おいしいモノ売ってるよ。行ってみる?」
「ご遠慮します。」
「じゃあ、どうすんのよっ。」
「心配しなくても・・」


RRRRR・・・
と内線電話の音。

桜子が電話をとると、満足げな表情。



沈む夕日が見えるレストラン。
ベストな時間の、ベストな席。
当然、予約していたのは、司さん。

本当に過保護だ。
あたしの洋服から、食事の心配まで。
あたし達のこと、子供扱いだよね、これ。

「そんなに怒らなくたっていいじゃないですか。このワイン、凄く美味しいです。さすが、道明寺さん。」
ワインまでセレクトされていた。
テーブルにはグリル料理。
それをぱくつきながら、桜子に言う。
「なんであんなに過保護なんだろ?」

するとプッと桜子が吹き出した。
「先輩のこと、愛して止まないのでしょう?」
クスクスと笑い続けている。


「それで、先輩、道明寺さんとの付き合い、いつまで隠しておくんですか?」
「いつまでって・・」

それはまさに、今あたしが真剣に悩んでいること。

「ねぇ。桜子、前に言ったよね。あたしのこと、フツーの人だって。」
「言いましたね。」
「あれって、どういう意味?」
「どうって、言葉の通りですよ。先輩、フツーの人でしょ。地位も、名誉も、美しさも、何も持っていない、フツーの人。」

ズバリと言われれば、さすがにショックを受ける。
分かってるけど・・
だから、司さんにふさわしくないと思ってる?

「だけど、道明寺さんにとっては、先輩以上の人はいないでしょうね。」
「え?」
「だって、そうでしょう?先輩に出会う前の道明寺さんだってすごく魅力的だったのに、先輩に出会ってから、道明寺さんは本当にいい男になったと思います。」

・・・?

「意味がわかりませんか?」
「うん。」
「私ね。ずっと、道明寺さんに憧れていた時期がありますから、分かるんですよ。道明寺さん、帰国してからすごく変わりました。以前より、素敵になったなと思います。それって、先輩のおかげでしょ?」
「?」
「道明寺さんは、先輩のためにいい男になってるんですよ。ま、過保護だとは思いますけどね。」
「あたしのため?」
「だってそうでしょう?先輩は、道明寺司のステータスには興味がない。だったら、自分が魅力ある男になって、先輩を惹き付けるしかないでしょう?」

「司さんは、そんな努力しなくても、十分魅力的だよ。」
「その他大勢の女なんてどうでもいいんですよ。先輩から見て、道明寺さんが魅力的かどうかの問題です。地位も、名誉も、美しさも、何もかもを持っている道明寺さんが、唯一自分で手に入れたいと思う女性が先輩なんですよ。先輩のために、道明寺さんはいい男になったんです。」
「そんなこと・・。司さんは、あたしには、もったいない位に魅力的な人だよ。あたしには、釣り合わない人だよ。」

桜子が、ちょっと意外そうな顔をする。


「先輩、もしかして、道明寺さんと別れるつもりですか?」
「どうして?」
「そんな言い方をするから。」
「別れるつもりなんてないよ。でも、このままじゃだめだと思ってる。」
「どうしてですか?」

あたしはその質問には答えない。
まだ、答えられない。
まだ、迷ってる。

「ねぇ、司さんてさ、こんなフツーのあたしのどこが好きなんだと思う?」
「そうですねぇ。その、お人好しなところですかね。何にでも一生懸命で、欲がないところでしょうか。でも・・きっと一番は、道明寺司を特別扱いしないところじゃないでしょうかね。」
「特別扱い?」
「そう、道明寺司だからといって、チヤホヤしないところ。先輩は、道明寺さんのステータスを好きになったんじゃないでしょう?ありのままの道明寺さんを受け入れてくれる女性。だから、惹かれたんじゃないですか?」

確かに、あたしは司さんのステータスを好きになったんじゃない。
Barで初めて会った頃は、冷たそうな人だと思った。
そんな司さんがちょっとでも笑ってくれると嬉しくて、その笑顔をに惹かれていった。
俺様な態度なのに、実は繊細で、不器用な優しさを持つ彼を、いつの間にか好きになっていた。

だけど、あたしが司さんを好きになったというだけのことなのに、実際には、それだけでは済まされない現実があった。

「ねぇ。もし、あたしがさ、司さんの恋人として公表されたら、きっと周りからの見る目は変わるよね。」
「そうですね。道明寺司の恋人・・ですから。」
「あたしね。それが怖い。自分が、自分でいられなくなる、そんな気がする。」
「どうして?道明寺さんを信じていればいいじゃないですか。どんなことを言われても、道明寺さんがが守ってくれます。」
「桜子は、たぶん、生まれながらのお嬢様だから、そう思うんだよ。お嬢様ってだけじゃない、自分で起業もしてる。羨ましいよ。だけど、あたしには、何もない。自分が自分らしくあるための何も持っていないの・・まだ。」

「つまり、それを手に入れるまでは、公表できないということ?」
「いま、それを悩んでいるところ・・」


ふぅと桜子が溜息をついた。
「先輩は考えすぎです。案外、解決の糸口はシンプルなところにあるものなんです。全て道明寺さんに相談されては如何ですか?案外さっと解決のするかもしれません。」

「そうだね。そうしなきゃいけないと思ってる・・・」


だけど、桜子。
あたしは、欲がないんじゃないの。
実は、すごく我儘なの。

付き合いを公表されたくない。
だけど、あたしだけを見ていて欲しい。
仕事はきちんとできるようになりたい。
だけど、別れたくない。

あたしの考えていることは、すごく自分勝手なことばかりで。
その突破口は、簡単には見つけられないよ。



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今日、明日分の下書きが消えてしまって、昨晩一から書き直した今日のお話。
こんなに長かったはずはないと思うのに、どうしてこうなったのか・・
長いモヤモヤ話ですみません・・。
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  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/04/23(日) 21:16:19 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
明日の記事、消えちゃった分、半分は書き直せています。
今晩もう少し頑張ったら、明日に間に合うかな。
でも、私的には結構大切な場面なので、頭の中を確認しながら書くつもりでいます。

道明寺&牧野大好き様
お気持ちは分かります。司ファンはそうですよね。私も思いますよ。つくし〜って(笑)。今回のつくしもね。相変わらず。そこが良いところでもあり、悪いところでもあり。つくしらしいところでもある。私の書くつくしちゃんは、原作ほどではないかな〜と思いますが。どうでしょう?

スリ⚫︎様
そうですね〜。早く、私が好きな、強くて優しいつくしちゃんにしたいですね〜。明日で、少し開けるはずなんですが、何せ、下書きなくなっちゃったから(笑)。頑張ります!

he⚫︎様
本当に。荷物なしのバカンス、行きたいです。司が全部準備とか。今回のエピソード書くときに、司さんは忙しいのに、どうやって準備したのかな〜とか考えてました。ある程度は西田さんにも任せるでしょうが、服とか選んでそうで。仕事しろよ〜って思いました。

さて、明日もAM5:00を目指して頑張りまーす。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/23(日) 10:42:39 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

間違いました

  1. 2017/04/23(日) 08:33:49 |
  2. URL |
  3. 道明寺&牧野大好き
  4. [ edit ]
卑屈じゃなくて屈折です!
ごめんなさい!

おはようございます(^-^)

  1. 2017/04/23(日) 08:23:02 |
  2. URL |
  3. 道明寺&牧野大好き
  4. [ edit ]
「地位も名誉も美しさも俺が持ってるから、
おまえはそのまんまでいいんじゃねーの?」

道明寺かっこいいー
素直、正直

私、なんでつくしは難しく考えるんか
未だにわからないんですよねー(原作も)
たまに卑屈なのはつくしの方じゃないのー?
って思う事も…。(楓の侮辱とか考えれば
どんなに貧しくてもプライドだけは捨てない
っていうつくしの意地は理解してますよ)

話しそれちゃいましたが、花男ファンの
私の最大のやきもきがつくしの性格でしてー!
大変な中、更新ありがとうございました(^-^)

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