花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

翌日は水曜日。
朝から快晴。

目が覚めて、お腹が空いたな~と思ったら、朝からピンポーンとお部屋のチャイムが鳴った。
運ばれてきたのはベーグルサンドとフレッシュジュース。
当然のことながら、司さんがオーダーしていたもの。
ここまでくると、完全な保護者だわね。

司さんの過保護っぷりにも、慣れてしまうのが恐ろしい。
美味しく朝食を頂いて、午前中はプールに入った。
誰も見ていないプールだからと、ビキニに着替えて飛び込んだ。
「冷たーい!けど、気持ちいい!!」
凄い解放感。
こんなの、久しぶりかも知れない。

桜子は日焼けが嫌だと、室内のカウチで本を読んでいる。
「先輩は色白しか取柄がないんですから、焼きすぎちゃだめですよ。」
なんて、冷静な桜子。
あんたはもっと弾けた方がいいよ。

冷たいプールで泳ぎながらも考えるのは、司さんのこと。
たった一日会わなかっただけなのに、自分が望んでここへ来たのに、頭からは司さんが離れない。
今ですらこんなので、海外勤務なんてできるのかな・・。


プールから上がって、着替えをして、
「これからどうする?」
と桜子に聞いてみる。

「エステでも行きましょうか?」
「ええ~っ!せっかく沖縄に来たのに、それはないでしょっ。あんた、いつもやってるんでしょ。沖縄といえば、水族館だよ。ほら、これ見て。美ら海水族館。これ、行こうよ。」
そう言って、あたしがガイドブックを差し出せば、
「まったく、パンピーはこれだから。」
なんて、桜子が言う。

「じゃあいいよ。一人で行くから。」
「冗談ですよ。お付き合いします。」
「じゃ、どうやって行くか、考えなきゃ。」

出かける準備をして、フロントに向かってテクテクと歩き出す。
「桜子、運転できる?」
「できませんよ。」
「あたしも無理。」
「タクシーで行けるんじゃないですか?」
「ええ~っ。一体いくらかかるのよ、それ。」
「先輩、そんな心配しなくても・・」

と、突然、隣を歩く桜子に影ができた。
桜子の隣には、大柄な黒服の男性が立っている。
間違いなく・・SPさんだ・・。
「どちらか、お出かけですか?」
「あの・・水族館に行こうかと・・」
なんか・・怖っ!
その男性が、耳元に手をやり、小声でぼそぼそと話し出した。

「正面玄関のロータリーに車を待機させています。」
そう言われて、あっという間に、ロータリーから、リムジンに乗せられた。


「ほらね。心配いらなかったでしょう?」
「まったく、もう。」
そんな文句を言いながらも、いろんなところに司さんの影を感じることも嬉しくて仕方ない。司さんに守られていることが、いつの間にか当たり前になってしまったみたい。あたし、大丈夫かなぁ・・こんなことで・・。


しばらく、リムジンに揺られて、美ら海水族館に到着した。
9月の平日ということで、それほどの混雑はない。


「うっわー。これが、ジンベイザメだよっ!桜子っ!」
「すごく、大きいですね。あ、隣はマンタだそうですよ。」
「すごい、すごいっ!」
いい大人が、二人で大はしゃぎ。
大きな水槽の前で、きゃぁきゃぁ言い合う。

「先輩。あのジンベイザメとマンタって、道明寺さんと先輩みたいじゃないですか?」
「ええっ?」
「悠々と泳ぐ巨大なジンベイザメ。その周りをチョロチョロ自由に泳ぐマンタ。ね、似てるでしょう?」
「そうかなぁ。」

そんな会話をしていると、ジンベイザメの解説が目に留まった。
【ジンベイザメ】動きは緩慢で、性格はいたって温厚。人が接近しても危険性は低い。非常に臆病で、環境の変化に弱いため、飼育は難しいとされる。

「ぷっ。やっぱり、全く違うね。」
「でも、飼育は難しいとされるっていうところは合ってますよね。道明寺さんは先輩にしか懐かないでしょう?」
「ん?」
「道明寺さんと一緒に暮らすことができるのは、先輩だけだと思います。人を寄せ付けない道明寺さんが、同棲しているなんて、初めに聞いた時は凄く驚きました。だって、同棲って実はすごく忍耐が要りませんか?」
「忍耐?」
「相手に気を使ったりとか。」
「うん。どうだろ。あたしは割と自由にさせてもらってるかな・・。忍耐とか考えたことなかった。」
「道明寺さんにとっても、先輩といる時間は自由なのかも知れませんね。忍耐なんて必要としない、心安らぐ唯一の時間。」
「司さんの・・自由?」

「昨日の続きですが・・・。道明寺さんも、あきらさんも、そうですね、西門さんも、花沢さんも、人が羨むほどの家柄をもって生まれてきたけれど、自由じゃありません。私も・・そうです。だからこそ、自由に生き生きとしている先輩に惹かれるのかもしれない。先輩のことを見守っている時間が、道明寺さんの自由な時間なんでしょう。ほら、あのジンベイザメも、マンタが自由に動き回っているのを幸せそうに見ているような気がします。」


____ジンベイザメに見守られている自由。

「それって、あたしは司さんに守られていた方がいいっていうこと?」
「それは考え方次第だと思いますが。先輩がどう感じるか・・」
「司さんに守られているだけじゃ、あたしはダメなんじゃないかな。」
「守られるのは嫌ですか?」

「嫌っていうか。司さんの手の内で頑張っているだけじゃ、だめだと思うの。もっと一人で何でもできるようになって、自分に自信をつけなくちゃダメだって。そうじゃなきゃ、司さんと一緒にはいられないんだって。」
「どうしてです?たとえ、守られた環境にいても、成果を出せることの方が重要じゃないですか?どんなに恵まれた環境にいても、成果が出せない人間もいるんです。逆に聞きたいんですが、道明寺さんが傍にいたら、仕事がきちんとこなせない人間なんですか、先輩は。」
「え?」

「道明寺さんは、自由な選択なんかできない立場の人です。その中で、当然のように仕事にも、それ以外の事にも、全てにパーフェクトを求められる。そんなプレッシャーの中で、成果を出してきた人です。」
「プレッシャー・・」

「道明寺司の恋人だから何なんです?それをプレッシャーに感じながらも、成果を出すことはできるはずです。先輩のおっしゃることは、プレッシャーを感じずに、成果だけが欲しいという我儘な気がします。」


桜子の言葉が胸に刺さる。
あたしは、何を思いあがっていたんだろう。
自信を付けなきゃ、彼の傍にいられないんじゃない。
あたしに勇気がないだけのこと。
「道明寺司の恋人」という看板を背負って、そのプレッシャーの中で働く勇気。
正当な評価が得られないなんてことはない。
あたしが、そのプレッシャーを跳ねのけて、その分だけ結果を残せばいいだけなんだ。
それでも、あたしが躓く時には、素直に司さんに甘えればいい。

海外研修の夢。
どうして、司さんと別れる必要があるの?
あたしが、道明寺司の恋人として、堂々と行けばいいんじゃないの?
彼なら、きっとあたしを見守ってくれる。
だって、そういう中で努力してきた人なんだもの。

どうして、そう思えなかったんだろう。
一人で考えて、一人で悩んで・・・
まず初めに、彼に相談すべきだったのに。
あたしは、本当に、身勝手だった。

「桜子・・」
「ごめんなさい、先輩。生意気なことを言って。」
「ううん。あたし、目が覚めた気がする。ありがと、桜子。」

桜子がニコリと綺麗に笑う。
これは自分に自信がある人の笑顔だ。

あたしも、いつか、こういう笑顔ができる女性になれるかな・・。



*****



何だか吹っ切れたあたしは、急にお腹が空いてきた。
昼食は、水族館の帰りに、ガイドブックに載っていた沖縄そばのお店に寄り道した。
SPさんたちは焦っていたけど、旅とはトラブルが付きものなのよ。許してね。

沖縄そばの見た目のシンプルさに、桜子がうっと唸ったけれど、口にしてみれば、どうやってとったのか分からないぐらいに美味しい出汁に、目が飛び出しそうになっていた。
あたしは、当然、ソーキそば。やっぱり、お肉は頂かないとねっ。

遅めの昼食をとったから、もうお腹はいっぱいで、夕食のレストランはキャンセルした。
夕方からは、プールサイドでジャズパーティがあると聞いて、出かけることにしたあたし達。

クローゼットを覗き込みながら、うーんと悩んでいると、桜子がさっとドレスを決めてくれた。
花柄のキャミワンピ。
それに、ウェッジソールのサンダルを合わせて、リゾート風に。

桜子もロングワンピを着て、リゾート感満載だ。
「桜子、気合入ってるね。」
「こういったところで、どなたにも声を掛けられないのは、問題ですから。」
「ふーん。」


プールサイドはオレンジ色にライトアップされていた。
各テーブルにはLEDのランタンが置かれていて、お洒落な雰囲気。
席についているのは、カップルや夫婦が多いみたいだけれど、女性同士や男性同士の姿も見られた。
良かった・・あたし達、特に浮いているわけじゃないみたい。

席を決めて、ワンドリンクをオーダーする。
「ねぇ。ジャズはいつ始まるのかな。」
「さぁ。」
「さぁって・・」
「しっ、先輩、黙って。」

桜子が口元に人差し指を立てた。
そこへ、
「ねぇ、君たち二人だけ?俺達も一緒にいい?」

顔を上げると、20代後半と思われる男性が二人。

「え?それはちょっと、困ります。ね、桜子。」
「ええ、困ります。」

「ええ~。いいじゃん。二人なんでしょ?」
「どうします、先輩?」
「どうしますじゃないでしょ、桜子っ!」

「なになに?君たち、大学の先輩後輩なの?」
「いえ、そうではなくて・・」
と言っているうちに、男たちが隣の椅子に滑り込んで来る。

「ちょっと、本当に困りますっ!」
と少し声を荒げてしまったら、
「なんだよ。調子に乗んなよっ。」
と男に睨まれた。

恐いっ。
もうっ、どうしてこうなるのよっ。
桜子を睨んでみたけれど、桜子は平然としてどこか遠くを見ている。


すると、突然、隣の男の姿が消えた。

ドッボーン!!

プールから上がる、大きな水しぶき。

はっと振り仰ぐと・・・
そこには、司さんが立っていた。



にほんブログ村
いつもたくさんの応援をありがとうございます!
桜子・・いい女です。
関連記事
スポンサーサイト

  1. 続・俺の女
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

やばいっ!

  1. 2017/04/24(月) 20:34:51 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
週末、消えてしまった記事を書きなおすのに専念していたら、続きのお話をあまり書けていなかった・・のに、なんだか、眠い・・・。
子供達と一緒に寝ちゃいそうだ・・。

明日アップできてなかったらごめんなさい。

じゅんこ様
そうなんですよね。同じことを司さんさんから言われても、つくしさんは素直に聞けなかったかも。だから、桜子と旅行に行って良かったと思います。

スリ⚫︎様
桜子と知り合って良かったです、つくしちゃん。こんなことを言ってくれる友人って、なかなかいないですよねぇ。というか、桜子自身も苦労をしたからこその言葉なのかな。

道明寺&牧野大好き様
スピンオフのつくち・・カミカミで可愛かったですよね〜。つくしにベタ惚れの司が好きなんですよねぇ、私。

ふぁいてぃ〜んママ様
沖縄そば、食べさせましたよ〜。明日はねぇ。首里城には行かないです(笑)。美ら海水族館だけでも、結構調べました・・(^_^;)明日は、司さんらしい選択。その前に、お話書き切れるかの問題が・・・。


下書きはあるので、ここから直して、どうかなぁ。書き切れるかな。
子供達と寝ちゃわなければ、明日のAM5:00に!

更新ありがとうございます

  1. 2017/04/24(月) 08:48:42 |
  2. URL |
  3. 道明寺&牧野大好き
  4. [ edit ]
つくしのキャミワンピ姿なんて見てしまったら、
司さん(^-^)青筋たてそう!
「おまえは可愛すぎるんたから、他の奴に見せんじゃねー!」

そしてこれが放送中の人気ドラマだとしたら、
「おもえもこれくらい素直だったらなー」
「聞いてんのか、つ・つくち!(かんだ)」とかぼやいてそう(笑)道明寺(^-^)/

素敵なお話しありがとうございました

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/24(月) 08:07:54 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/24(月) 07:07:47 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/24(月) 05:25:10 |
  2. URL |
  3. じゅんこ
  4. [ edit ]
おはようございます(^^)
つくしオンリー正義の味方参上~!現れ方がかっこよすぎ!!もしや狙ってます?(笑)

そーだねぇ。つくしが司に甘えるだけが嫌なのは分かるけど少し矛盾してたねぇ。
桜子がいてて良かった良かった。気づく事ができたしね。一人で考えるだけじゃモンモンしそうだし司と一緒にいてたら流されるかもだし結果オーライですよ!
後は司を不安にさせたのだからお仕置きとゆー甘➰い罰を受けて下さいな(笑)
キャー💕ドキドキだねぇ。とおばちゃん一人だけ妄想でニヤニヤしてみます。

更新ありがとうございました☆次が楽しみだなぁ(笑)

 管理者にだけ表示を許可する
 
 

プロフィール

Author:Happyending
ときどき浮かぶ妄想を書き留めたくて始めました。

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

« 2017 08  »
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -