花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

金曜日まで、二人きりでリゾートを楽しんだ。
誰の目を気にすることなく、自然体で過ごせる時間。

隣を歩くつくしの指には、贈ったばかりの婚約指輪。
俺が拘って選んだ、ハート型のダイヤモンド。
つくしは、何度も自分の左手を見ては、「可愛い」と言ってくれる。
けれど、彼女が喜んでいるのは、そのダイヤの価値なんかじゃない。
きっと、そのダイヤの価値なんて知りやしない。
ただ、このダイヤに込めた俺の想いは、十分に伝わったはずだ。


つくしが職場に土産を買うとか言ったから、リゾート内のショップを見て回った。
散々迷った末に、つくしが選んだのは、結局食い物。
「やっぱりさ、食べ物が外れがないのよね。」
けどよ。
沖縄行ったはずのお前が、アメリカ製のチョコレート菓子とか買って帰ったら、おかしいんじゃねぇの?と思ったが、それは敢えて言わずにおいた。
これに決めるまでも、かなりな時間がかかっていたからな。

再び歩き出した時に、ふっと目に留まった、木製の器。
俺の趣味という訳じゃなかったが、つくしが好みそうな器がディスプレイされている。
俺の視線につくしも気付いた。
「あ、これ、サラダボウルかな?」
「買うか?」
「いいの?」
「お前、ホントに、俺を誰だと思ってんだよ。」
「そういう意味じゃなくて、たくさん野菜を食べさせますよっていう意味。」
「はぁ?プロポーズの記念だぞ?」
「ふふっ。いいかもね。結婚したら、野菜をちゃんと食べさせますよっていう記念。」
「今だって、お前が出したものは食ってる。」
「ピーマン苦手なの知ってるんだからね?」
つくしが、楽しそうに、俺の顔を覗き込んだ。

以前に、つくしが言った言葉を思い出す。
何かの記念に少しずつ、愛着のある食器を集めること。
そんな風に、少しずつ、二人の思い出を増やしていきたいと思った。



帰りのジェットの中で、俺はつくしに言った。
「帰ったら、両親にお前を紹介する。」
「・・・。」
「何だよ。」
「それって、やっぱり必要?」
「は?」
「そりゃあね。プロポーズは嬉しかったし、もちろんお受けしたんだけど・・やっぱり、ご両親にも会わなくちゃダメかな?」
「会わなきゃ、婚約になんねぇだろ?」
「二人の間で約束しているっていうだけじゃダメ?」
「はあ??」
「あたし、この指輪を貰って、教会で誓っただけで十分なんだけど・・。」
つくしが、得意の上目遣いで俺を見る。

・・・。
・・・。
「却下。」
ここは、絶対に譲れねぇ。


「だって・・まだ、海外研修に行けるかどうかも決まってないのに・・早すぎるよ。」

確かに、つくしが、海外研修の希望を出したからといって、それが通るとは限らない。
だが、恐らく、通るだろうとは予想できる。
それ位に、こいつはメープルの有望株だ。
こんな社員を育てずして、誰を育てる?
メープル幹部も馬鹿じゃないだろう。
なまじ俺の部下として付かせていることも、逆にこいつを海外へ送る後押しをするに違いない。
俺が手を回せば、その話を無しにすることだってできる。
けれど、もちろん、俺はそんなことはしない。

こいつが望むことを、叶えてやりたい。
それを見守ってやらなきゃいけない。
俺の女だからこそ、
俺が与えてやれるものは全て与えてやりたい。

つくしは言ったんだ。
『道明寺司の恋人として、海外で働きたい』と。

俺の女の切なる願い。
それを叶えてやらなくてどうするんだ。

だけど、行かせてやるためには、条件が必要だった。
つくしをきちんと俺の婚約者として公表する・・そうでなければ行かせられない。

こいつが言う、「俺の恋人」という立場じゃ弱い。
それだけじゃ、こいつを守り切れない。
むしろ、こいつを危険にさらす可能性だってある。


できることなら、入籍だけでもしちまいたい位なんだ。
こいつは鼻で笑いそうだが、俺は本気だ。
つくしは、指輪を貰っただけで頑張れるなんて言ってやがるが、俺はそんなもんじゃ満足できねえ。

俺がつくしの海外研修を許可する条件。
俺にとっての最低ライン。
それが、「婚約」だ。



リゾートから戻り、俺はニューヨークに電話を入れた。

『お母さん、紹介したい女性がいます。時間をとって頂けませんか?』



*****



「臼井、久しぶりだね。」

水曜日の21時前。
突然現れた道明寺財閥総帥、道明寺実氏に、僕は我が目を疑った。

さっと周りを見れば、当然の様にSPたちが、少し離れた周囲の席を囲む。
それを見て、とりあえずはほっと一息だ。

「あれから随分経つのに、SP気質は抜けないか?」

ふっと笑みを溢した総帥の表情が、司君と重なった。
やっぱり、親子なんだな。


「何年ぶりになる?」
「以前にこちらに来られたのは8年前だったかと。」
「司の誕生日だったか?」
「そうでした。」

カウンター座る総帥に、周囲は誰も気付かない。
こんなところに堂々と、道明寺財閥総帥が現れるなんて思いもしないだろう。
しかし、8年ぶりに総帥が、日本の、しかもこのBarに来た理由。
それは、きっと・・僕が考えていることで間違いはないだろう。


「ここは、どうだ?案外、お前に合っているのか?」
「勧められるがままにここへきて、もう、15年近くなります。居心地がよくなければ続きません。」
「昨日、佐伯のところに行ってきたよ。」
「そうでしたか。私も、行きました。命日に。」
「そうか。」

佐伯先輩は、総帥を狙撃から守って殉死された。
だが、総帥が、今でも佐伯先輩の墓を訪れていたとは、驚きだった。


「あれから、15年か。それでは、私も年を取るはずだ。」
「まだまだ、現役でお願いします。」
「はは。私も、仕事を止めたら、ここで働こうかと思っていたのに。」
「ご冗談を。」

たわいもない冗談を口にする。
だけど、この男は・・道明寺財閥総帥は、そんな緩い男じゃない。
そろそろ・・本題が来る。


「君に少し聞きたいことがあってね。」

ほら・・。
背中にぞくっと、緊張が走った。

「牧野つくしさんという女性のことを教えてもらいたい。」

僕はポーカーフェイスを装ったが、きっと緊張は伝わってしまっただろう。
総帥が尋ねられたことに、答えない訳にはいかない。
どのみち、牧野さんがここでバイトしていたこと、そして、司君と付き合っていることはご存じなのだろう。

牧野さんは今でも月に一度程度はここに顔を出す。
そのこともご存じなのだろうか?

僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
こんな緊張は久しぶりだ。


「どのようなことをお知りになりたいのでしょう?」
「そうだな。彼女の恋人を知っているか?」

ふーっ。

「知っていますよ。総帥もご存じのはずです。」
「お前は、相変わらずだな。」

微妙な駆け引きが続く。
総帥は何が知りたいというのか?
調べようと思えば、彼女の情報などいくらでも知りうる立場だ。

それに、彼女に秘密などない。
ただ、『道明寺司の恋人』だということ以外には。


しばしの沈黙。
その時、バックヤードが騒めいた。
周囲を警戒しているSPに緊張が走る。

背後から聞こえる声。

『あれっ、つくしちゃん。久しぶり。今日、入ってくれるの?』
『はいっ。急に時間ができちゃって。フロアでいいですか?』
『助かる~。あ、マスターに挨拶してね。』
『は~い。』


手からグラスが滑りそうになった。
本当に驚かされる。
このタイミングで現れるなんて。
ある意味、彼女が『道明寺』に振り回されるのは、宿命のような気がする。

ちらりと総帥を見る。
当然理解しただろう。
つくしという名前は珍しい。


「臼井。私は、実さんね。ニューヨーク在住で、馬鹿な息子を持つ、日系企業の社長だ。」
そんなことを言う、総帥の表情は穏やかだ。
僕はそんな総帥を信じるしかない。

「承知しました。」



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  1. 続・俺の女
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/04/28(金) 20:07:04 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
GWに入りますね~。皆様、どんなご予定でしょう??
私は前半は来客と仕事でアップアップかなぁ。後半は少しゆっくりできそうな感じです。

さてさて・・
翔●様
ご無沙汰しておりまーす!コメントありがとうございます。
覚えていらっしゃるかな?『ある日の~』で、コメント頂いた場面を使わせていただきました(^_^)v
臼井さん、毎回いい味出してるよなぁ。元SPってところが、私のツボであります。私にとってのGWはあんまり、楽しくはないかなぁ。付き合いやら、こどもの習い事やらで、振り回されて終わりそう・・。メープルのリゾートあたりに行きたいけど、それは二次で我慢しておきます(:_;)

スリ●様
なんと、もう一度読んで頂けましたか??恥ずかしいですっ。でも、あの時は結構ノリノリで、臼井さんに語らせたりとかしていたんですよね。総帥は、臼井さんの語りの中で登場。
そうそう、つくしちゃん、まだじたばたしてるんですけど、ま、今更逃げられる訳ないし、安心してくださーい。

さち●様
体調、如何ですか?つくしちゃん、ラオウにご対面。実さんなんて、呼べるわけないよね~と思いながら書きました。どうなるかな~って言っても、私の書くストーリーは凄いシリアスにはなりませんから(笑)。気楽に読んでください。

ふぁいてぃ~んママ様
いつも、お名前の一部、打ち間違っているのを後から気が付きます。失礼ですみません・・。
来ましたよ~。司パパ。司は、来るかな?どうかな?

明日は、いつもの時間に更新します。
その後のGW中は不定期の更新になると思います。
できるだけ、更新したい(そして、はやく完結したい!)と思っていますが、確実な予定が立たないので、更新できる日はAm5:00に更新するつもりです。
どうぞよろしくお願いいたします。

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  1. 2017/04/28(金) 11:00:05 |
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  1. 2017/04/28(金) 07:56:45 |
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  1. 2017/04/28(金) 07:43:04 |
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  1. 2017/04/28(金) 06:53:21 |
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