花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「マスター。ご無沙汰しています。急に時間が出来てしまって、今日、お手伝いしてもよろしいですか?」
「あぁ、助かるよ、牧野さん。」

牧野さんはすでに、スタッフの制服に着替えている。
これまでにも何度も手伝いに来てくれているから、僕が牧野さんを断ることはないと分かっているのだろう。

フロアに出ようとする牧野さんを呼び止めた。

「カウンター、入ってもらってもいいかな?こちらのお客様、お願いできる?カクテルのオーダーがいっぱいなんだ。」
「はい。」

何も知らない牧野さんが、僕たちの方へ近づいてきた。

「こちらは、実社長。ニューヨーク暮らしで、久しぶりに戻られたんだ。おつまみ、いくつか用意してもらえるかな?」

そう頼むと、テキパキと準備を始める牧野さん。

「実社長、初めまして。牧野です。よろしくお願いします。お好みのものはありますか?フルーツはいかがです?」
「じゃあ、そうしようかな。」
「はい。」

全く・・気づいていない。
ここに、司君の父親がいるということに。
気付かない方がいいのか、それとも、気づくべきなのか・・
その答えは分からない。
どちらにしても、僕には何もできない。

ニコニコと対応する牧野さんを、道明寺財閥総帥がじっと見つめていた。



***



さすがは牧野さんだとしか言いようがない。

相手の正体を知らないということが大きいのだとは思うが、15分もしないうちに、二人は打ち解けている。

「そうですか。ニューヨークから、お子さんの様子を伺いに?」
「まぁね。もう、大きな息子だから、私が管理するような歳じゃないんだけどね。」
「ふふふ。でも、離れていては心配ですものね。」

それが、司君だなんて知ったら、倒れそうだな。
僕も冷や汗ものだ。

「息子は図体ばかりデカくて、我儘で、困った奴なんだけどね。最近恋人ができたみたいでね。」
「そうなんですか。」
「彼女の方も大変なんじゃないかな。息子が、我儘で自分勝手だから。」
「ぷっ。見て来たような言い方ですね。」
「分かるよ。親子だからね。」

二人はクスクスと笑い合っている。

「牧野さんは?恋人はいるの?」
突然自分に振られた質問に、牧野さんは戸惑った様子だったが、
「いますよ。」
と答えた。

「どんな男?」
その質問に目を丸くしながらも、普段聞かれないことを聞かれて、実は嬉しいのかも知れない。
牧野さんが楽しそうに答えた。
相手が自分の全く知らない人物だと思えばこそ・・なんだろうが。
「ええーっと。そうですね。我儘で、自分勝手・・って、実社長の息子さんと同じですね。」

ぷっと笑い出す牧野さん。
そうなんだよ。
同じなんだよ。

「ということは、その男のことで困ってる?」
「いえ・・そんなことは・・。あの・・我儘ですけど、すごく優しい人なんです、彼。」
「へぇ。」
意外そうな、総帥の表情に、牧野さんは気付いていない。

「よく考えたら・・私の方が、我儘なのかも知れません。」
「どうして?」

牧野さんは、お皿をふきんで拭きながら、ゆっくりと話し出した。
「彼には自分だけを見ていて欲しいと思うのに。だけど、自分は・・」
「もしかして、他に好きな男でもいるの?」

「ちっ、違います!そうじゃなくて・・。仕事・・とか、まだまだ頑張らなくちゃいけないことがたくさんあって、彼の想いにきちんと応えられていないような気がします。それに、彼の住む世界は私の住む世界とは違い過ぎて、私が簡単に飛び込んで行けるような場所じゃ無いんです。」

「それで、どうするの?」
「私は、どう頑張っても彼に釣り合うものはもっていないんです。それでも、自分に自信を持ちたくて。以前から希望していた仕事に挑戦したいと思っていて・・。自分に自信が持てたら、彼と幸せになれるような気がするんです。実際には・・そんな簡単なことでは無いのかもしれないですけど。」

「牧野さんがやりたい仕事って何?」
「あ、私、ここ東京メープルで働いているんです。今はブライダル部門なんですけど。でも、元々は海外のホテルで働くことも視野に入れて就職したんです。ホテルウーマンになるのは私の夢でもありますから。もしかしたら、そのチャンスがあるかも知れないんです。」
「へぇ。その、我儘な彼は、許してくれた?」
「一応は・・。」
「一応?」

牧野さんがコクリと頷き、声を低くした。
「実社長、これ、内緒ですよ。誰にも言っちゃだめですよ。」
「うん。」

総帥は面白そうに、牧野さんに耳を寄せている。
牧野さん、すぐ後ろに僕ががいること、忘れてるよね・・。
このお客様が司くんと繋がっているだなんて、全く考えていないんだろうな、牧野さんは。


「彼が、婚約しようって。婚約したら、海外の仕事に行かせてやるって。」
「へぇ・・余程、君のことが好きなんだね、彼は。手放したくない訳か。」

総帥が、笑いを堪えている。
司くんは、牧野さんにプロポーズしていたのか。

「笑わないでください。真剣なんですから。でも、婚約なんて、そんなこと簡単にできるわけないのに・・。現実が見えているのかなぁ、我儘坊ちゃんは。」

ぷっ。総帥はの前で、それはないよ、牧野さん。

「ははは。それで、牧野さんは、現実を考えると難しいと思っている訳だ。」
「はい。彼の気持ちは嬉しいです。でも、それこそ、私が、仕事をもっと頑張ってからでないと、婚約だなんて・・。でも・・ふふふ・・実は、彼から、指輪を貰ったんです。それが、すごく嬉しくて。婚約なんて言ったら大げさだけど、その指輪を貰っただけで、私は頑張れると思っているんですけどね。彼は、婚約するの一点張りなんです。」

総帥の前で、小さく溜息をつく牧野さん。


「仕事も恋愛も、全部手に入れようなんて、やっぱり無理だと思うんです。だから、一つずつ頑張りたいのにな。」

「どうして、無理だと思うのかな。」
総帥が、テーブルに肘をつき、両手の指を組んだ。

「え?」
「両方を手に入れることが、どうして無理なの?」
「どうしてって・・」
「若いんだからさ。もっと、がむしゃらになってみたら?釣り合わない、だめかもしれない、じゃなくて、やってみよう、両方手に入れようってさ。もっと貪欲でいいと思うよ。これは、私の人生経験から。」

「人生経験・・ですか?」
「私の妻はね、両方をとったよ。結婚をしてから、大きな仕事を任されるようになって、初めは涙ながらに仕事をしていたけど、今ではその道で認められる女になった。そんな彼女を見ることが、私のパワーにも繋がったかな。」
「そうなんですか?」
「うん。」

牧野さんは、何やら考えているようだ。
仕事も恋愛も両方とれと言われても、道明寺司との恋愛は二人だけでは成立しないだろう。
その一族から認めてもらえるかどうか・・。
総帥は応援しているように見えるが、一体何を考えているのか、今一つ分からない。


「うちの我儘息子も、そろそろ彼女を紹介してくるんじゃないのかなぁ。」
「そうなんですか?」
「たぶん・・ね。」
「ドキドキしますか?どんな女性かって。」
「そうだなぁ。まぁ、私は、いい年の息子が決める事に何を言う気もないんだけどね。妻がね。」
「奥様が反対を?」
「どうかなぁ。ほら、私の妻は、自分が仕事を恋愛も成功させたものだから、女性を見る目は厳しいんだよね。」
「ちょっと‥怖いですね・・」
「ぷっ。だけど、恐らく、牧野さんみたいに、仕事も恋愛も頑張りたい人は歓迎じゃないかな。」
「あたしっ!?」
「あはは・・まぁ、頑張って。牧野さん。応援するよ。」
「脅しているみたいに聞こえます、実社長・・」

「あはははは・・」

総帥がこんなに笑っているのを初めて見た。
本当に驚くことばかりが起こる。
牧野さんの周りでは。

笑顔を見せる総帥は、ますます司君に似ていると思う。
いや、司君が総帥に似てるのか・・。
ちらっと牧野さんを見ると、牧野さんの手が止まっている。
その視線の先には、総帥。

もしかして・・気づいた?

僕の手も止まってしまった。
総帥もちょっと怪訝に思ったのか、牧野さんに声をかける。

「どうかした?」
「あっ・・いえ、その・・実社長は、もし・・もしも、奥様のお仕事が上手くいかなかったら、どうされたのかなって。結果として、奥様は仕事も恋愛も手に入れたけれど、もしかして、お仕事が上手くいかなかったら・・どうしたのかなって・・。ごめんなさい・・こんな失礼なこと・・。」

「どうもしないよ。失敗したっていいんだ。そんなことで妻を手放す訳ないだろう?けど、そうだな。もし、妻の事業が暗礁に乗り上げるようなことがあったら、私は影から、どんな手を使ってでも、妻を助けてしまうかな。ま、そのためには、自分自身の失敗は許されない訳だけど、そんなことはどうでもいいんだよ。私にとって大切なのは、妻であって、仕事じゃないからね。」

それを聞いて、少し驚いた表情で、じーっと総帥を見つめる牧野さん。
それから、ちょっと笑った。

「実社長の考え方って、ちょっとだけ私の彼と似ています。彼、言ってたんです。仕事なんて出来なくても、そのままの私でいいって。あの時は、素直にその言葉を受け取れなかったけど、でも、そうなのかなって・・ちょっと思えました。」

そんな牧野さんの言葉を聞いて、総帥はむきになって答えている。
「私はその彼とはちょっと違うよ。あくまで陰からサポートするからね。仕事が出来なくていいなんて妻に直接言ったら怒られてしまうからね。」

それは、総帥の本音らしい。
牧野さんが、声を出して笑った。

なんだ、全然気が付いていないのか・・。
安心したような・・少し、残念なような・・。


「しかし、女性は確かに怖いよね。」
「はい?」
「だってさ。今まで、息子のことなんて何にも興味がなさそうにしていたのに、いざ、息子に紹介したい恋人がいると言われたら、私に様子を見て来いなんて言うんだよ、私の妻は。」
「へぇ。どうして、ご自分では行かれないのでしょうか?」
「さぁ。どうしてかな。恥ずかしいのかなぁ。」

そんな訳はないだろう。
楓社長が現れたら、さすがの牧野さんでもすぐに気づくさ。

「私、彼のお母様のこと、尊敬しているんです。憧れているっていうか・・。だから、まだお会いしたくないっていうのもあるかな・・。」
「ほう。」
「その・・彼の恋人としての評価も気になりますけど、んー、まだ仕事もきちんとできていないのに、紹介されるっていうのが・・ちょっと・・。」
「ふーん。そうなんだ。」
「先日、彼のお母様が手掛けた仕事を見たんですけど、本当に素晴らしくて。私もいつか、ああいう仕事ができるようになりたいなって思うんです。まぁ、何年も先の話ですけれど。」
「へぇ・・。」

総帥は何やら考え込み、少し首を捻った。

「それじゃあさ。彼の父親のことは気にならないの?」
「え?」
「普通は、父親の反応を気にするんじゃないの?」
「あ・・そうですよね。そっか。ちょっと、忘れてた・・かも・・」


「「「ブッ」」」

いや、笑ったのは僕だけじゃない。
ほら、近くにいたSPも、顔をそむけただろ?
総帥が、僕を睨んだ。
仕方ないじゃないか。


恐らく、総帥は、牧野さんと司君の恋愛に反対はしていない。
楓社長はどうなんだろう。
総帥の言うことが本当であるならば、今日の会話はきっと楓社長に筒抜けになる。
それがどう評価されるのか。


だけど、どう見ても、牧野さんと司君には強い絆がある。
その絆は、きっと、総帥にも見えただろうと思う。



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いつもたくさんの応援をありがとうございます!
GWに入りましたね~。
私は、前半が来客や仕事で忙しくて、後半に余裕がある感じです。
そんな訳で、明日は更新ができません。
その後も、不定期で飛び飛びになってしまうかなと思います。
更新する時間は5:00のままにしたいと思いますので、また、時々覗いてやってください。
では、皆様も、楽しいGWを!
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  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

こんばんは~(^^)

  1. 2017/04/30(日) 22:10:55 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
週末は来客でドタバタでした。そして、外に出ていましたが、すっごく暑かった!!焼けない様にガードするので大変でした~。

お返事遅くなりました・・・
委●様
9連休!いいなぁ。羨ましい。かといって、この時期は旅行に行くにも、高いんですよねぇ。でも、暑すぎず、寒すぎず、お出かけするにはいい時期ですね。連休、楽しんでくださーい。

まぁみ様
コメントありがとうございます!うはっ。ありがとうございます。ぼちぼちと更新していきますので、ちょこちょこ覗いてください~。

スリ●様
携帯大丈夫ですか?
私も、明日から2日はお仕事です。明日は、本当につらいなぁ。はぁ。行きたくない・・・
私もPTAの集まりに行ってきましたよ!土曜日!
ひたすらカメラマンになりそうです(笑)

ふぁいてぃ~んママ様
あはは。ドアバーンですね。それは・・ですねぇ。どうでしょうか。ないと言えばない、あると言えばある。辛抱強く、お待ちいただければ・・えへへ。お口チャック・・。

he●様
そうなんですよね。私的にも、司パパはイメージがない。ラオウ?でも、ラオウとして登場されたら、お話終わらなそう。なので、こういうイメージになりました。まぁ、甘いですよねぇ、私のお話は(苦)あはは。


明日は更新の予定で、ただいま準備中。
でも、このあたり、GWということもありますが、ちょっと短めでつなぐかもです。

では、明日AM5:00に!

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/29(土) 08:58:15 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

さみしい〜

  1. 2017/04/29(土) 08:44:34 |
  2. URL |
  3. まぁみ
  4. [ edit ]
GW何て無かったら良いのに〜お話が読めなあなんて寂しい〜でもたまには休まないと持ちませんよね、だからガマンします、ゆっくり休んで又、良いお話読ませて下さい寝、楽しみにしてます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/04/29(土) 07:53:46 |
  2. |
  3. [ edit ]
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