花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

司さんは、私をご両親に紹介するとは言うけれど、あたしはあんまり乗り気じゃなかった。
海外研修を反対しない条件が、正式な婚約だなんて・・。

だけど、あたしはもう、彼の恋人であることを隠そうとは思っていない。
プレッシャーがあっても、何があっても頑張ろうと思ってる。

教会でのプロポーズ。
彼からもらったダイヤの指輪。
全部本気だって、分かってる。

付き合いを隠さないと言う時点で、遅かれ早かれ、彼の両親には会わないといけないのかも知れないけれど・・だけど、いきなり、彼のご両親に会うなんて。

きっと驚かれるに決まってる。
そして、反対されたら、もう、どうしていいのか分からない。
あたし達、それで終わりになっちゃったり、しないのかな?

あたしはそう思うのに、司さんは「大丈夫だ」の一点張り。
どうしてそんなに自信があるのか、知りたいよ。


あたしの胸には、あの日もらったダイヤの指輪が隠されている。
この指輪に、これからの未来も、ずっと司さんと一緒にいることを誓った。
だから、どんなに反対されたって、別れるつもりはないんだけど・・。

まだ、紹介されるには早すぎるって思うんだ。
彼のご両親は、道明寺財閥の総帥夫妻。
せめて、あたしが仕事を頑張っている姿をお見せしたい。
それ位しか、あたしには、司さんの隣にいる資格はないんだもん。

司さんは正式な婚約を望んでいるんだけど、あたしはこの指輪に二人で誓っただけで十分だと思っていて・・・だけど、避けては通れない現実に直面した。

彼のご両親に会う前に、もう一度気合を入れ直したくて、あたしは、司さんが出張だという日に、久しぶりにThe Classicに顔を出した。


司さんと初めて出会ったThe Classic。
ここへ来ると、初めて司さんにマッカランを運んだ日を思い出す。
そして、考える。
あたしがもし、司さんのことを、初めから『道明寺財閥の御曹司』だと分かっていたら、どうしただろうって。知っていたら、彼にマフィンを渡そうと思ったかな。
それに、お試しで付き合うなんていう提案をしたかな。

でも、何度考えても、やっぱり答えは同じ。
もしも、彼の素性を知っていたとしても、やっぱり、彼のことを好きになっていた。
もしかしたら、すぐには素直になれなくて遠回りをしたかも知れないけれど、きっとあのまっすぐな司さんの態度に嘘は付けなくなって、好きになっていたはずだ。

この日も、あたしは、その想いを確認したくて、The Cassicに出かけたんだ。


そして、思いがけない出会いがあった。
カウンターで対応した、実社長の言葉が、心に残っている。

「若いんだからさ。もっと、がむしゃらになってみたら?」

がむしゃらになって・・ってどういうことだろう。
彼のご両親に向かって、
「頑張りますから、見ていてください!」とか訴えてみる?
「あたしが、必ず司さんを幸せにします!」とか言っちゃう?

仕事も、恋愛も、がむしゃらに頑張ることが、本当に司さんのパワーに繋がるんだろうか?
それが本当なら、あたしは頑張りたい。
反対されても、頑張らなきゃいけない。
これは、二人で乗り越えていくことなんだから・・・
彼やマスターからしたら、あの時点であたしが知らなかったっていうこともあり得ないんだと思うけれど・・。


実社長の話を聞いて、あたしは少し前向きになれたように思う。
彼のご両親に会うということに。



***



旅行から帰ってからは、ブライダル部門での仕事に集中できている。
仕事もだいぶ覚えた。
海外研修については、「希望する」という返事を提出した。
もちろん、あたしが海外研修要員に決まるかどうかはわからない。
この結果がでるのは、おそらく年明け。
そして、実際に海外に赴任するのは来年の春になるはず。
だから、あたし達には、まだ一緒にいる時間が半年くらい残されていることになる。



今日は、新規のお客様とのお約束があった。
初めてあたしが単独で対応する第一号のお客様。
メープルウエディングにかかる費用は一般の10倍と言われているから、当然、ここで式や披露宴を行うカップルは、お金持ち。

今日のお客様は・・
町田産業の長男の町田隆弘さんと、都市銀行支店長の長女さんである、石川真里さんの組み合わせ。

今日は初日だから、まずは、全体像の把握をする。
お式の希望と、披露宴の大体の規模を確認する。
それから、当日までに決めていかなければならない事項を説明する。
あー緊張するなぁ。

ドキドキしていると、
カラン・・とドアが開いて、
どうやら、あたしが担当するカップルが来店したみたいだ。




「こんにちは。初めまして。牧野つくしと申します。御二方の担当をさせていただきます。当日まで、どうぞよろしくお願いします。」

入ってきた女性は、可愛らしい印象のお嬢様。
色白で、肩までウェーブがかかった髪。
真っ白なドレスが映えそう。

男性は、まぁ・・普通?
短めにカットされた髪。
少しずつつり上がった目付き。
あれ?・・この人・・見たことある・・

あっ・・!あの人だ!
沖縄で、司さんがプールに突き落とした人・・。


「よろしくお願いします。牧野さん。」
新郎新婦となる二人と、ドキドキしながら握手を交わした。

ふぅ・・。
どうやら、あちらは覚えていないみたい。
あぁ、良かった・・。


そうして、二人のウェディングの希望をたくさん聞いた。
主に、新婦側からの要望が多いのは、極当たり前。
この新婦からの要望に、できるだけ応えることのできるプランを作っていくことがあたし達の仕事。
一生に一度のことだから、絶対に満足いくものにしたいよね。


最後に、これからのスケジュールを確認し、次回の打ち合わせの日付を決めた。

「ご連絡いただく場合には、こちらの電話番号に19時までは繋がりますので、よろしくお願いします。」
と打ち合わせを終了しようとしたその時に、町田隆弘さんが口を開いた。


「次回から、担当を変えて貰えますか?」

あたしももちろんだったけど、隣の真里さんも驚いた。
でも、あたしには思い当たる節があったから、これは仕方のないことなのかも知れない。
やっぱり、あの時の事、覚えていたんだ。


真里さんは慌てていたけれど、あたしがどんなに謝ったとしても、許されはしない。
それに、新婦のいるこの場で、あの時の状況説明なんてできる訳がない。
何よりも、不快な感情を抱かせたまま、結婚式を迎えていただく訳にはいかない。
かと言って、今すぐに担当変更を承知する訳にもいかなくて、

「分かりました。担当の変更につきましては、次回までに、こちらで対応させて頂きます。不快な思いを抱かせてしまい、本当に申し訳ありませんでした。」

町田さんは、ちょっと呆気にとられつつも、フンッとそっぽを向いて出て行った。
あたしがもっと食いつくものと思ったのかな。
そんなことしないし、できるはずもない。

はぁ・・チーフになんて言おう・・。
テーブルを片付けながら、あたしは大きく溜息をついた。



チーフに担当変更について話をすると、自分の何がいけなかったのか、きちんと理由を聞いて来なさいと言われた。そりゃそうだよね。そうじゃなきゃ、今後に繋がらない。
この時点で沖縄での出来事を話すべきだったのかも知れないけれど、結局、あたしはチーフにそのことを言えなかった。

あーあ。どうしよう・・・。



その時に、あたしの携帯が鳴った。
相手は・・・司さんだ。

時間は18時。
まだ、勤務時間内に電話なんて珍しかった。

こっそりと、トイレに移動して、携帯に出た。


「つくし?今、いいか?」
「うん。大丈夫。どうしたの?」
「今夜、親父とお袋がお前に会うと言ってる。時間、必ず空けてくれ。」
「今夜っ!?」
「ああ、急で悪りぃけど、オヤジたちも、明日には日本を発つから。」
「うっ、うん。分かった。」
「19時過ぎに、メープルに迎えに行く。」
「うん。あっ、近くになったら電話して。」

たぶん、あたしの声は震えていた。


「心配すんな。大丈夫だ。」

司さんの声が優しく響いた。



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  1. 続・俺の女
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  1. 2017/05/01(月) 06:43:13 |
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