花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「いったい、何事ですか?」


周囲が凍り付くほどの威圧感。
当然だ。
道明寺HD社長、道明寺楓がここにいる。


あたしはもう、頭の中が真っ白になった。
こんなところを、この人に見られてしまうなんて。
紹介どころじゃない。
司さんの恋人があたしだと分かったら、きっと、呆れられてしまう。
少しでも、いい印象に見られたかったのに・・。
あたし、本当に、肝心な時にダメなんだから。
司さんだって、きっとがっかりする。

涙が出そう・・。


「社長、申し訳ありません。少し、トラブルがありまして。」
支配人が、楓社長に事の経緯を説明している。

「こちらは、町田産業のご長男様で、当ホテルのブライダルの契約も頂いております。」
支配人としては、何事もなく、丸く収めたいということなのだろう。
警察沙汰だなんて、メープルの汚点になる。


「そう。それで、あなた。」
黙って説明を聞いていた楓社長が、あたしに視線を向けた。
「あなたは、どうなの?」

ごくっ。
楓社長があたしを見ている。
今まで感じたことのない、圧倒的なオーラが周囲を支配する。
だけど、自分の思いはきちんと伝えなきゃ。
そうしなきゃ、絶対に後悔する。
後悔はしたくない。


「私は・・。私は、自分に非があるとは思っておりません。確かに、謝罪をしろと言われて、部屋を一人で訪ねたのは軽率でした。だからといって、今回のことが合意だったなんて、言われたくありません。」

「牧野さんっ。」
支配人からの声が飛ぶ。
だけど、泣き寝入りは嫌だ。
結局何事も無かったから、穏便に済ますなんて、あたしにはできない。
それは、あたしがそう言う女だって認めてしまうことになるもの。


「じゃあ、もういい。こちらでのブライダルは取りやめる。それでいいだろ?」
町田隆弘が、ソファーから立ち上がった。
「町田様。」
支配人が、焦りを見せた。
男だって、これ以上大事にはしたくないんだと思う。
警察沙汰になって困るのは双方同じだということ。
だけど、このままじゃ、これで話しは終わってしまう。


「牧野の処分は、検討しますので・・本日はこれで。」
支配人が、その場を収めようとした、
その時に、


バッターンッ!と、応接室の扉が開いた。



肩を上下に動かし、荒い息をした司さんが飛び込んで来た。
ギラギラとした目は、すぐにソファから立ち上がっていた男を捉えた。

あっと思った、次の瞬間には、

ドカッ!!!
ガシャーンッ!!!

大きな破壊音が響き、町田隆弘が、ローテーブルを飛び越えて、殴り飛ばされていた。

あたしは、はっと息を飲んだ。


「支社長っ!!」
「おいっ、こいつを立たせろっ!」
「誰かっ、支社長を、隣に御案内してっ。」

支配人が、息まく司さんを、別室に連れ出そうとする。
その支配人の手を振り払い、もう一度男に詰め寄ろうとした司さんを見て、あたしもやっと我に返った。

「司さん・・止めて・・」


司さんがここに来てくれた。
理由なんて分からないけど、駆けつけてくれた。
そして、無条件にあたしを信じてくれた。
もう、それだけでいい。

あたしの声に、司さんが振り返った。

「つくし・・お前・・顔・・・」


司さんがあたしに大股で走り寄って来て、あたしの正面に立ち、あたしの左頬を撫でた。
頬を撫でられた瞬間に、涙が一粒こぼれた。
だけど、泣けない。
ここでは、泣かない。

「大丈夫。何もなかった。」
「大丈夫な訳ねぇだろっ!」
司さんが、胸の中にあたしの頭を抱え込んだ。

あたしの頭の上で司さんの怒声が響く。
「何で、こいつをこんなところに立たせてんだっ。こいつは被害者だろうがっ。こいつがなんか悪りぃことしたのかよっ。あぁっ!!」

司さんの怒りは収まらない。
「司さん、落ち着いて。」
あたしは、彼の胸から顔を上げた。





「そもそもは、あなたの失態ではなくて?」

事態を観察していた楓社長が、腕を組んで、司さんを凝視していた。
彼はこの時になって、初めて楓社長の存在に気付いたみたいだ。

司さんは、一瞬、言葉に詰まってから、
「社長。ここは、私に任せてください。」
と低い声で言った。


「それは、困るわね。メープルの最高責任者は私です。私の指示に従ってもらうわ。」

思いがけない一言を放って、
楓社長が、一歩前に踏み出した。


「今回の件が公になれば、町田産業も困るでしょう。」

やっぱり、丸く収めるんだ・・。
あたしはがっくりとうなだれた。
仕方のないこと・・だけど・・


「事件の公表はしませんが、道明寺HDは、今後一切の町田との取引を中止します。町田系列全てです。末端まで、徹底して。司さん、これはあなたの仕事です。あぁ・・ブライダルは、当然契約を解除して。違約金は必要ないわ。それから、町田関係者の、今後一切のメープルへの出入りを禁止します。」

その言葉を聞いて、立ち上がっていた町田隆弘が叫んだ。
「困りますっ!」

「何故?それだけの、罪があるのではないですか?」
「確かに、かっとなって、この女を懲らしめてやろうとしたことは事実です。ですが、ここまでの報復を受けるようなことでは・・」

男の唇が真っ青になって、震えている。
さっきまでは優位に立っていた、その立場が、楓社長の一言で逆転した。
道明寺楓に向かって、言い返す言葉が出るだけでもすごいのかも・・なんて、あたしはぼーっと事の成り行きを見つめていた。


「彼女と同意だったと言えば、犯罪ではなくなります。この女もその気だったのならば、罪になりますか?道明寺HDにそこまでのご迷惑をお掛けした訳では・・」

その言葉を聞いた楓社長は、冷ややかな笑いを溢した。
「本当に、馬鹿なのね。同意した女性が、防犯ブザーを鳴らす訳がないでしょう?それとも、警察沙汰にした方がよいと?」
はっと、男が息を飲む。


「確かに彼女は迂闊だったわね。危機管理がなっていないわ。その責任は、ここの最高責任者である私にあります。彼女の指導については、今後私が責任をもって徹底します。」

楓社長が淡々と発する言葉に、驚きながらも、じっと耳を傾けた。


「それから、ご存じなかったのかしら?彼女は、道明寺家長男の婚約者なのよ。これが、迷惑や犯罪でなくて、何なのです?この程度の報復は当然です。まだ足りないわ。あぁ、そう、司さん。婚約者への教育も警護も甘すぎるわ。徹底して頂戴。道明寺の嫁として、今後このようなことは許しません。」


最後に、楓社長があたしと司さんを一瞥して、応接室を去っていく。

あたしは唯々呆然として、その後姿を見つめるしかなかった。



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  1. 続・俺の女
  2. / comment:10
  3. [ edit ]

あっ・・追記です。

  1. 2017/05/04(木) 21:28:17 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
ここで登場した、総支配人。
よくよく考えてみると、総支配人は、楓さんで、この人は支配人ですよね。

そんな訳で、先ほど、総支配人→支配人に書き換えました。

各メープルに支配人がいて、その長が、総支配人の楓さん。
楓さんは、道明寺HDの社長まで兼ねているスーパーウーマンで、つくしの憧れの人!であります。

うっひゃーっ!!

  1. 2017/05/04(木) 21:23:34 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
皆様、いつもたくさんの応援をありがとうございます。
いつもコメントくださる方も、初めましての方も、お久しぶり~の方も、本当に感謝!です。
そして、今日は、今までで一番、拍手もコメントも多かったんじゃないでしょうか・・。嬉しいですっ(^_^)v

しかし・・
ぎゃーっ!司さんの影が薄れた~!!
楓社長が素敵すぎたっ!
いや、分かってましたよ、自分で書いているんだからっ!

でも・・やっぱり、司さんでしょっ。ここはつかつくサイトなんだからぁ!

明日が、司さんメインのお話なんです。
でも、その前に、楓社長が注目をかっさらってしまった・・。
まずい・・まずい・・
司さんに申し訳ないよぉ。
私のサイトは司さんのためにあるので(自己満足・・テヘ・・)、明日の記事、頑張らなくてはなりません!!


そんな訳で、たくさんのコメントに対するお返事が一つずつできません。どうか、お許しを・・。その分、明日の司さんに力を入れます!!


でも、ですね・・
皆様の心配事・関心事・・ある程度、想定の範囲内なので、だいたい下書きでいけそうなんです。基本甘いですが・・^^;

多くのコメントを要約(笑)
・楓さん・・素敵すぎる!なんで、つくしちゃんを認めたの?
・町田・・やられてすっきりした。司さんに、もっとやられてしまえ。結婚もオジャンだな。
・司・・やっと来てよかった~。爽快!カッコよかった~。もっと町田を懲らしめろ。
・支配人・・この人も、やばいよね?
・つくし・・コメントほぼなし。

このあたり、明日以降で書いていく予定です。

GWも後半ですね~。
私は、今日は、スポーツ三昧でした。焼けた・・。
明日は、少しゆっくりできるので、一気に最後まで書けたらいいなと目論んでいます。(あくまで目論見です・・)

実は、ずっと考えていたendingと少し変える方向で考えています。でも、私は書きながら考えるタイプなので、書いてみないとしっくりくるか分からないので、まだ何とも言えない・・。

そんなこんなで、終盤に入った『続・俺の女』、明日もAM5:00にお待ちしています!

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  1. 2017/05/04(木) 17:04:15 |
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  1. 2017/05/04(木) 15:17:50 |
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  1. 2017/05/04(木) 15:01:01 |
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  1. 2017/05/04(木) 12:08:34 |
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  1. 2017/05/04(木) 09:17:11 |
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  1. 2017/05/04(木) 09:09:04 |
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  1. 2017/05/04(木) 05:35:16 |
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  1. 2017/05/04(木) 05:24:10 |
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