花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「あら、嫌だわ。また司が来ているのね。」


ニューヨークの道明寺邸。
仕事帰りのつくしを、玄関まで迎えに出た。
すると、つくしと一緒に帰ってきたババァの一言がこれだ。

うっせぇな、ババァ。
早くどっか行け。
つくしとの2週間ぶりの抱擁が出来ねぇだろうがっ。

「あっ、司さん、そっか、今日だったっけ。こっちに来るの。忘れてた。」

おいっ!
忘れてたってことはねぇだろうが。
愛しの婚約者様が、2週間ぶりに会いに来たんだぜ?


「つくしさん、今日はもういいわ。あとは司の相手をしてあげて。」
「はい。お疲れ様でした。明日は、朝8時に迎えが参ります。」
「そう。でも、明日は見送りは要らないわ。どうせ、私のイギリス出張に合わせて、司が来たのでしょう?あなたに、明日からのメープルの会議を任せるわ。連絡は逐一よろしく。」
「はい、畏まりました。」


玄関ロビーでババァと別れて、つくしを部屋へ引きづっていく。
「ちょっと、痛いって。」

部屋に入るとすぐに、問いただした。
「なんだ、あれ。忘れてたって。」
「冗談に決まっているでしょ。楓社長の前で、待ってたなんて言えないよ。」
「本当だな?」
「うん。」

そりゃ、実際、つくしが俺のことを忘れる訳ねぇ。
昨日だって、散々メールを入れて、今日の到着時刻だって知っていたはずだ。
LINEが既読になるまで送り続けるのが、この半年の俺の日課。

つくしがニューヨークに旅立ってから、半年が過ぎた。



あの事件の後、俺とつくしの婚約は、つくしの名前を伏せて書面でのみ発表した。
つくしはその後すぐに日本を発ったから、日本ではそれほどの騒ぎにはならなかった。
結婚の時期は未定としたが、俺はぶっちゃけ、すぐに入籍でもいいんじゃねぇかと思っていた。
だが、真面目一徹のつくしが、それは了承しなかったんだよな。

そのつくしは、今、このニューヨークの道明寺邸で、ババァとオヤジと仲良く暮らしている。
食事を三人でとることも多いようだ。
はっきり言って、信じらんねぇ。

セキュリティーは完璧なんだが、何かが欠けている・・

そうだ・・
俺だよっ、俺っ!


仕事がしたいというつくしを、婚約者として旅立たせることには賛成していた手前、もはや反対なんていう選択肢はなかったが、どうして、俺だけ仲間はずれなんだっ。
しかも、俺がいない間には、ロスから姉ちゃんもよく遊びに来て、つくしを買い物に付き合わせているらしい。
どういうことだよっ。
つくしっ、お前は、仕事をしに来てんだろうが、仕事にっ。
なんで、俺と生活していた時よりも、自由に楽しそうにやってんだよっ。


そんなことをぼやいた、年末。
スケジュールの都合がつかず、クリスマスは渡米できなかった俺が、せめてつくしの誕生日だけはと無理に無理を重ねて、サプライズでこっちに来てみれば、つくしは大量のプレゼントに囲まれて、楽しそうに、オヤジたちとケーキを食っていた。

ありえねぇ・・。
マジ、ありえねぇ・・。
クリスマスも一緒に過ごせなかったのに、誕生日まで・・。
俺の出番は一度もねぇっ!!


だから俺は決めた。
というよりも、よくよく考えれば、俺の仕事は、必ずしも日本の執務室でこなす必要はないものも多い。
何のために、大量の秘書を抱えてんだ。
飛行機の中だろうが、ニューヨークだろうが、仕事さえこなせばどこにいてもいいはずだ。
そう考えてからは、俺はもう、遠慮なんかしなくなった。


ということで、
今では、1か月のうち、半分を日本、半分をニューヨークで過ごしている。
出張もあるから、2週間丸々この邸に来ることは難しいが、最低でも1週間は滞在しなきゃ、俺の気が済まねぇ。
西田を連れて往復するのも、もう定番だ。

以前にニューヨークで暮らしていた時よりも、何故か両親に遭遇する確率が高い。
何故かじゃねぇな。
つくしが、オヤジたちと仲がいいからだ。
嫁というよりも、娘のような存在になっている。
ま、近い将来、嫁であり、娘になるんだから、それはいいんだけどよ。


つくしを鍛えるとか言っていたババァだが、今となっては、「早く結婚したら?」なんて言いやがる。俺が、頻繁に出入りするようになったのが、どうやら理由みたいだが。中途半端な関係でいるよりも、さっさと結婚したほうが体裁いいと考えているらしい。
まぁ、それだけ、この半年でのつくしの成長が著しいってことなんだろうけどな。

そりゃ、俺だって、できる事なら、すぐに入籍してぇ。
婚約の意味なんて、今となってはもう無いも同然。
俺には結婚を待つ理由なんかない。

だが・・つくしには目標があるらしい。
その目標を達成してから結婚したいと言われれば、俺は仕方なく待つしかなかった。

そんな訳で、今や、俺も、オヤジもババァも、姉ちゃんも、俺とつくしの結婚を心待ちにしているんだが、頑固なつくしを見守っている状況だ。



***



あたしがニューヨークに来て、半年が過ぎた。
楓社長の秘書をしながら、ホテル経営について学んでいる。
お客様との接点は少なくなったけれど、もともと、経営企画を目指していたあたしにとっては、もってこいの仕事だった。
ニューヨークの一流ホテルの経営。
ただでさえ忙しい楓社長なのに、決して手を緩めない。
常に新しいサービスを提供し、国内外からの客様を魅了して止まないホテル作り。
その姿を、身近に学ぶことができる。

そして、あたしの今の目標は、未来のメープル東京の企画作りだ。
東京に、メープル系列のリゾートを作り出すという企画。
半年前には諦めた。
けれど、このプロジェクトは未だ止まったままだ。
この企画の中に、今あたしができる全てをつぎ込みたい。

ニューヨークでの秘書の仕事の傍ら、あたしは東京メープルの企画を練っていた。


「それで、東京メープルの企画は考えてんの?」
二人、ベッドでまどろみながら、司さんが言う。
司さんが、あたしの髪の毛をいじっているのがくすぐったい。

「うん。一応ね。ねぇ、司さんはさぁ。もし、あたしたちに子供ができたら、どんなホテルに連れて行ってあげたい?」
「子供っ!?」
「うん。」
「俺たちの子・・かよ。そうだな。俺は別にわざわざホテルステイさせたいって事はねぇかな。」
「言うと思ったぁ。」
「なんだよ。」
「全く、夢がないんだからっ。あたしはさぁ、子供ができたら、1年に一度は家族で旅行とか行きたいなぁ。」
「何度でも行けばいいじゃん。」

もうっ!たまに行くからいんでしょ?
なんて思うけど、確かに、出張やなんだかんだで、ホテル住まいの多い司さんからすれば、わざわざホテルに遊びに行くようなことはしないかな。
それに、何度でも行けばなんて言うけれど、実際に一番休みがとりにくいのは、自分なくせにね。
平気な顔をして、こうして日本とニューヨークの往復をしているけれど、多忙なスケジュールを、この生活のために必死にやりくりしてもらっているのも分かってる。
西田さんをはじめ、日本の秘書さんたちの苦労も半端ないんだと思う。
この暮らしのためのスケジュール調整はかなり大変だと聞いている。
本当に・・司さんには、感謝の気持ちしかない。
だって、海外勤務になるっていうことは、司さんと会えなくなることだと思っていたんだもん。
それなのに、今は、やりがいのある仕事をさせてもらっている上に、司さんが会いに来てくれる生活ができている。
凄い・・贅沢。
だからこそ、あたしは、未来のメープル東京で恩返しがしたいと思ってる。


「やっぱり、海外に来て、特に思うの。セキュリティーの問題。メープルに宿泊するお客様のうち、上層階を希望されるお客様は、特にセキュリティーには厳しいの。だから、東京メープルで、リゾート感を出そうと思っても、やっぱりそれは難しいのよね。」
「だな。」

「ここに来て、初めて分かったんだぁ。楓社長の仰る通り、あたしみたいな庶民の女はさ、上流階級の方々の非日常なんて、全く分かっていなかったんだよね。何か、普段と違うことをするってことが、非日常だと思ってたの。だけど、ちょっと違うのかなって。その人たちが求める非日常って、自由な時間を過ごすことなのかなって。自宅以外の場所で、セキュリティーが確保された自由な時間を提供することが、メープルの役割なのかなって。特に、常に注目をされるような人の場合には・・。」
「ん。」
「それでね・・」

メープルの企画について、もっと話そうとしたのに、急に唇がふさがれた。

「うっ・・うっん・・」
散々口内を舐めまわされた後に、やっと唇を離された。


「俺は、早く子供が欲しいけどな。順番なんて、俺にとってはどうでもいい。」
ニヤリと笑って、司さんがあたしに覆いかぶさって来る。
もうっ、今さっきまでシテたのにっ。

「どうでもいいってことないでしょっ!」
「俺たちに子供ができたら、どんなホテルに連れていきたいか、だろ?それなら、先に子供作ろうぜ?」


司さんが、あたしのことを真上から覗き込んで、真顔で言う。

司さんが、ずっと結婚したがっているのは分かってる。
子供が欲しいというのも、嘘じゃないと思う。
だけど、東京メープルの仕事が終わるまでは、だめだよ。
あの企画が軌道にのるまでは・・

そう思っているんだけど・・
そのメープルの企画にはまだまだ年単位がかかる。
今はまだ企画段階だから、順調に進んだとしても、あと2年はかかりそう・・。
恐らく、実際にはそれ以上かかるはず。
そんなに司さんを待たせることってできるかな。
あたしも、待てるんだろうか・・。

あたしだって、いつか赤ちゃんが欲しいと思ってる。
そりゃ、すぐに出来るとは限らないけど、いつかは・・。
それで、赤ちゃんができても、あたしはきっと何かしらの形で働くだろうな。
だって、学生の頃から、ずっと働いているんだもん。
そして、あたしと司さんと子供たちと、たまには旅行に行って、非日常ってやつを味わう。
そんな幸せがあったらいいなって願ってる。


そうだよなぁ。
赤ちゃんは、授かりもの。
いつ授かるかなんて、誰にもわからない。
メープル東京のリゾート完成を待つ必要って、本当にあるのかなぁ。
今では、楓社長にまで、結婚したら?なんて言われてる。
それに、結婚した方が、司さんの体裁だっていいらしい。
それだったら・・


この時のあたしは、どうかしていたのかも知れない。
見上げる司さんが、あまりに真剣だったし、いつも我儘なあたしに合わせてくれているのだって分かっていたし、だから、あたしも司さんの願いを叶えてあげたいなって。
司さんと、あたし達の子供と、いつか一緒に、あたしが作り上げたホテルに遊びに行くっていう未来が、すぅーっと頭に浮かんできていた。
しかも、とても鮮明に・・。

その子のために、ホテル作りをするっていうのもいいかも知れない・・なんて思えてきて・・。


「司さんがそんなことを言うから、あたしも赤ちゃんが欲しくなっちゃった。」


思わず、そんな言葉が口から洩れて、司さんに向かって微笑んだら、
彼が、すっごく驚いた顔をした。



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残り2話になります。
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  1. 続・俺の女
  2. / comment:4
  3. [ edit ]

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  1. 2017/05/08(月) 10:37:16 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/05/07(日) 20:23:03 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
あ〜、GW終わっちゃいましたね〜。私は今日もスポーツ。そして、午後から昼寝をして終わってしまった・・。
明日からは通常業務が待っています。やる気が・・。

さてさて、
スリ⚫︎様
あはは〜。完結を急ぐあまりに、かなりふっとばしたエンディングになったかなぁ(汗)。どうかしら??明日になっても・・分からないかも(笑)。えへへ。

he⚫︎様
確かに、この二人にとっての非日常ってなんなんでしょうね。うーん。やっぱり、仕事も家族も全て置いといて、二人だけの時間が過ごせることなのかなぁ。二人とも、すっごく忙しそうだから・・。お互いが、お互いにとってのエネルギー源であることは羨ましいですけどね!

ふぁいてぃ〜んママ様
私の中では、西田のさんは独身設定(笑)。すべてを道明寺財閥に捧げてそう。だいたい、この人こそ多忙だと思う!
デキ婚かぁ。うーん。どうかな??

あ⚫︎様
昨日の拍手コメントありがとうございました。
確かに、道明寺家は大統領主催パーティーとか行ってるから、なんとか融通してもらえるのかなぁ。それから、こちらのつくしちゃんは、とりあえず、英語はできる。あとは第二外国語はフランス語選択で少しでもできる、ぐらいかな?私、自分が理系卒で、確かに第二外国語とってたんですけど、全く覚えてないんですよね。文系卒の人達って、第二外国語、ものにできてるんでしょうか??

ま⚫︎様
先日は拍手コメントありがとうございます。
こちらのを見られているかわかりませんが、こちらへ書いちゃいます。本当にお久しぶりです!そうかぁ。お仕事、お忙しいんですね。いつもお仕事の合間ですものね。無理せず、ぼちぼちと遊びに来てください・・って言っても、残り2話なんですけどね。お互いに、無理せずに!


さてさて、残り2話。
火曜日には終わる!もう少しだ〜!
と言うわけで、明日も、AM5:00に(^ ^)

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  1. 2017/05/07(日) 16:19:39 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/05/07(日) 09:37:23 |
  2. |
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