花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

結婚式は6月の2週目。
プライベートアイランド、『マリアージュ』のチャペルにて。

二人の両親。
姉ちゃん家族と、つくしの弟。
俺の悪友たち。
三条とつくしの幼なじみだという友人。
招待客はそれだけだ。

その全員が微笑んでいる。
それを見ている俺も、相当緩んだ顔をしているんだろう。
ビジネスの場では決して見せることのない表情。

結婚式はビジネスだなんて考えていた自分が、恥ずかしく思えた。
人前で、こんなに感情を露わにしたことがあっただろうか。
こんなに、人に感謝したことがあっただろうか。

つくしに出会ってから、幸せの上に幸せが積み重ねられていく。
一体こいつは、どれだけの幸せを俺にくれるのだろう。



ウエディングドレスを纏ったつくしが、親父さんと一緒にバージンロードを歩いてくる。
世界一美しい、俺の花嫁。
ボリュームのあるチュールドレスには、繊細な刺繍が施され、可愛らしくも品があり、朗らかなつくしにぴったりのデザインだ。

このウエディングドレスは、なんと姉ちゃんがすでに準備していたもの。
「勝手なことすんなよ、姉ちゃん。つくしにだって、希望っつーもんがあんだろ?」
「あら、嫌だ。あんたと一緒にしないでよ。私は、つくしちゃんの希望を聞いて、デザイン画だって10枚描いてもらって、その中から一緒に決めたのよ?」
「本当か?つくし。」
「あ・・うん。あの・・自分のドレスだとは思っていなかったんだけど。どんなドレスが好きかって聞かれて、お姉さんと一緒に考えたの。だから・・」
「満足してんのか?」
「うん。」
つくしが恥ずかしそうに言った。

つくしが満足してるなら、それでいい。
それに、実際出来上がったドレスは、文句のつけようがないぐらいに素晴らしくて、華奢なつくしに似合っていて、そのドレスを纏ったつくしに、俺は一瞬で目を奪われた。



この島に咲く花がバージンロードを飾る。
教会の中は、笑顔が溢れている。
つくしが、穏やかな表情で、俺の手を取った。

「道明寺さん、つくしをどうか宜しくお願いします。」
「お任せください。お義父さん。」

そんな俺たちにのやりとりを聞いたつくしが、少し寂しそうに親父さんを見つめた。
そして、ポロリと一粒の涙。
俺は、その綺麗な涙を親指で拭った。

「大丈夫か?」
「うん。」
「俺がいるから。」
「うん。」

涙をこらえて微笑んだつくしと腕組み、祭壇へ向かって歩き出した。


プロポーズの時には存在しなかった司祭の前で、永久不滅の愛を誓う。
これからずっと、「良き時も、悪しき時も」「富める時も、貧しき時も」「病める時も、健やかなる時も」、どんな時でも、つくしが俺のそばにいてくれる。
自分の愛する女性から、その誓いを聞くことができる男は本当に幸せだと思う。
自分がつくしに選ばれた男なんだということが、最高に誇らしかった。


俺がデザインしたマリッジリング。
ホテルウーマンはマリッジリングしか許可されないと聞いた時から、すぐに準備を始めていた。
今日、ようやく、渡すことができる。

つくしの左手に指輪を滑らせた。

「綺麗・・」
と小さく呟く、そのつくしの声に、俺の口角が少しだけ上がる。
こいつは、俺が渡すモノにケチをつけるような女じゃない。
例えおもちゃのリングを渡したとしても、後生大事にする様な女だ。
もちろんこのリングは特注で、値段なんてつくしには言わないし、言えない。
けど、こいつが素直に喜んでくれるだけで、それだけで、俺の心は満たされる。
値段以上の価値があるんだ、つくしの笑顔には。


誓いのキスは、堂々と。
つくしの唇に食らいついた。
俺の両親や、つくしの両親が見てるからって遠慮はしねぇ。
つくしへの愛を隠したりしない。
それが、道明寺司のやり方だ。
片手はつくしの腰を引き寄せて、もう片手は彼女の後頭部を支える。
そうして、俺を仰がせ、引き寄た。

唇から伝わるリアル。
この柔らかさと温かさこそが、俺が手に入れた宝物。
夢じゃない。
これからは、ずっと・・俺のものだ・・。


しばらくそのまま、手に入れた現実を味わっていると、
突然、
「ピューイッ!!」
という口笛。
総二郎が飛ばしたそのヤジに、やっとつくしを離す。

真っ赤になったつくしが、俺を恨めしそうに見上げる。
だけど、文句なんか言わない。
困ったような瞳の中に、溢れる幸せが見える。
その表情がまた、俺を最高に幸せにしてくれる。
俺がつくしの頬を撫でると、彼女は、俺の唇についたルージュを、そっと拭ってくれた。

彼女が、俺の全てを受け入れてくれる・・
ずっと・・永遠に・・



元々、俺は、結婚なんて考えていなかった。
つまり、一生独身で構わねぇと思っていた。
政略結婚なんて論外だ。
結婚なんて人生の墓場に足を突っ込む奴は、馬鹿な奴だと思ったこともある。

だけど、この教会から見える景色は、その馬鹿モンにならねぇと見ることができない景色だ。
俺は、良かった。
つくしに出会って。
つくしに、呆れるほど惚れて。
彼女は、俺に、嘘、偽りのない幸福を与えてくれる。
その幸福の中で、どんな馬鹿者になったって、俺は一向に構わない。



フラワーシャワーの中を、つくしと教会の外へ踏み出した。
晴れ渡った空までもが、俺たちを祝福しているように感じるなんて、俺も大概イカレてるな。

つくしが、三条達とじゃれ合っている。
俺の周りには、悪友たち。

「しっかし、司が一番乗りとはなぁ。」
「出会って、まだ、1年半だろ?」
「つっても、俺らだって、見合いが決まれば即結婚だけどな。」
「俺、司が羨ましい・・」
「言えるな。」
「お前、桜子とはどうなってんの?」

悪友たちが、ごちゃごちゃ言ってやがるが、そんな時も、俺の目にはつくししか映らない。

「司は、完全に、牧野に狂ってんな。」
「牧野じゃねぇーよ。あいつは、1ヶ月前から、道明寺つくしだっ。」
けど、最低限の訂正は忘れねぇ。

「ぷっ、お前、どんだけ独占欲強いんだよ。」
「司が、惚れる女とか見て見たいと思ってたけど、庶民の女だとは、思いもよらなかったな。」
「だよな。歩くブランドの男がよ。選んだ女は、ノーブランドだもんな。」

ホザケ。
つくしの価値は見た目じゃねぇんだよ。
あいつの心はすげぇ綺麗だ。
あいつには、金では得られない価値がある。
だけど、それは、俺だけが知っていればいい。
俺が見つけた、秘蔵の宝石・・

つくしの価値を、多くの人間に知らせる必要なんてない。
そう思っても、こいつは人の心を無意識に掴む奴だからな。
俺も、安心はしてられない。

ノーブランドの女に惚れる男は案外多いからな・・

いつの間にか、俺の悪友たちに囲まれているつくしを見て、俺は焦って、彼女を追いかけていく。
こうして、ずっと彼女を追いかけていきたい。
見守って、見守られて、そういう人生を歩みたい。

つくしを後ろから抱きしめると、
「うわっ、司さん、重たいよっ。」
と騒ぐつくしを、みんなが笑った。



「司ってば、つくしちゃんにメロメロなんだから。」
そう言って、姉ちゃんが近づいてきた。

「司、つくしちゃん、結婚おめでとう。」
「ありがとうございます。」
つくしと姉ちゃんは、すげぇ仲がいい。

「そのドレス、すっごく似合ってるわ。」
「えへへ。お姉さんのおかげです。」
「そのネックレスは、母からね?」
「はい。あの・・道明寺家に伝わるパールだそうです。」
「ええ。知っているわ。それから、つくしちゃん。ありがとうね。」
「え・・?」
「この教会で、結婚式を挙げたいって言ってくれたの、つくしちゃんなんでしょう?」

「なんで姉ちゃんが礼なんか言うんだよ。」
「だって、お母様のためでしょう?ここでの結婚式を決めたのは。」
「は・・?」

俺は、何も知らない。
つくしが、この教会で式を挙げたいと言った理由。
単純に、ここで俺がプロポーズしたからだと思い込んでいた。
それが、ババァのため?

「この島には、お母様の夢が詰まっているんだもの。家族の時間を十分にとることができなかったお母様が、私や司のために、家族で安心して来ることができるリゾートを作ったのよ。」

ババァの夢?
そんな事は知らねぇよ。
俺はつくしの願いを叶えたつもりで・・。

「お姉さん、それは違います。ここは、司さんが初めて連れてきてくれた旅行先なんです。世界各地に別荘を持っている司さんが、あたしに見せたいと思ってくれた場所。このアイランドが本当に素晴らしくて。感動して・・。だから、お願いされた訳じゃありません。自然と、ここで挙式したいと思えたんです。」

自然と・・ここで・・。

俺がつくしをここに連れて来たのは、このリゾートが完全にプライベートの確保ができることと、やはりこの教会が素晴らしかったからだ。
プロポーズはこの教会でと決めていた。
そこに、ババァの思惑なんか、感じなかったが。
それでも、自然とここに足が向いていた。

「それでも・・やっぱり、ありがとう。母がとっても嬉しそうにしているの。久しぶりに見たのよ。」

ふと見れば、少し離れた木陰で、俺の両親とつくしの両親が笑っているのが見える。
信じられない光景。
ニューヨークメープルで挙式していたら、きっとこんな場面は見られなかったに違いない。



また一つ、つくしから幸せを貰った。
この幸せを、彼女にも返したい。

「つくし、愛してる。」

そう彼女の耳元で囁いて、もう一度後ろから抱きしめる。
つくしの耳が一気に朱に染まった。

「うん・・あたしも・・愛してます・・・。」


俯いたつくしを、くるっと回して抱き上げると、
慌てたつくしが、俺の首にしがみ付く。

「司さんっ!」
「証拠、見せて。」

彼女のまっすぐな瞳を覗き込んで、絶対に逸らさない。
この青空の下、神の前でだけでなく、ここにいる全員に見せつけてやりたかった。

俺がつくしを愛するように、
つくしも俺を愛してるってことを。


つくしが俺の頬を包み込んで、
「愛してる・・」
羽のようなキスを落とした。



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だらだらと書いていたら、なんと、結婚式だけで一話使ってしまいました・・(汗)
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  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

こんばんは~(^^)

  1. 2017/05/17(水) 23:35:50 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
だらだらとした番外編にお付き合いありがとうございます!
執筆優先のため、まとめてのお礼で申し訳ありません。
結婚式だけなのに、お優しいコメントありがとうございます。

だめだ、先が見えない・・。
その時の気分で書いているから・・。
終わらなかったらどうしよう・・。

とにかく明日の記事をと思って、現在がんばっていますが、もうすぐ0時だ。
またしても、グダグダ書きすぎた感じ・・。大丈夫かな・・。

そうそう、ka●様。そのご主人のエピソード!いつか、お話の中で使いたい!何度も結婚式に参列していますが、そんな新郎は実は見たことないかも!
因みに、私の父も、バージンロードのステップ全然できなくて、ハラハラドキドキでした。

ではでは、皆様、一応、明日もAM5:00の予定です!
どうぞよろしくお願いいたします!

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  1. 2017/05/17(水) 20:17:39 |
  2. |
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  1. 2017/05/17(水) 08:37:46 |
  2. |
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  1. 2017/05/17(水) 07:53:06 |
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  1. 2017/05/17(水) 07:51:12 |
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