Happyending

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「マキちゃーん!久しぶりぃ。」
「涼ちゃん!!」
「やだーっ。ぜんっぜん、変わってないじゃん!」
「えへへ。」
「牧野っ、久しぶり。」
「牧野さん、久しぶり~。」

18時ジャストにお店に入ると、貸し切りの個室にはすでにみんなが揃っていて、あたしのことを待ってくれていた。

「遅れちゃったかな?」
「いや、みんな緊張して早く来ちゃっててさ。」
「とにかく座りなよ。」

掘り炬燵式のお洒落な居酒屋さん。
あたしは促されて、中央近くに空いていたスペースに座った。
隣には涼ちゃんがいる。

「牧野何飲む?」
「えっと、オレンジジュースでお願いします。」

お茶よりも、すこしさっぱりしたものが飲みたいな。

飲み物を待つ間にも、みんなからいろんな声がかかった。
「まさか、牧野が道明寺支社長と結婚とはなぁ。」
「驚いたよねぇ。」
「誰か、知ってた?」
「っていうか、牧野って呼んでいいのか?」

「みんな、牧野がビビってるぜ?」
そう言ってくれたのは、目の前に座る黒田君。
「俺は、牧野に彼氏がいること知ってたけど、相手は知らなかったな~。」
そう言って、目くばせをしてくる。
一気に真っ赤になるあたし。

「あたしだって、知らなかったんだから。」
隣の涼ちゃんも恨めしそうにあたしを見た。

「いろいろあって、急にニューヨークに行くことになっちゃったから。きちんと説明できなくて、ごめんね。」


それから、あたしのオレンジジュースが運ばれてきて、
黒田君の音頭で乾杯になった。

「じゃ、牧野の結婚を祝して。かんぱーい!」
「「「「かんぱーい!!!!」」」」



懐かしい居酒屋料理も運ばれてきて、
懐かしい笑顔に囲まれて、
久しぶりの時間が過ぎていく。

皆の近況を聞いて、
あたしもニューヨークでの仕事を話して、
結婚式の話をして・・・


そしてみんなが、2、3杯目のグラスに進んだ時、
「ねえ、マキちゃんは、道明寺支社長のこと、なんて呼んでるの?」
なーんて、涼ちゃんに聞かれた。

周りのみんなも興味津々な様子で、あたしも照れちゃう。
「えっと・・司さん・・かな。」

その涼ちゃんの質問を皮切りに、司さんとの生活とか、どうやって出会ったのとか、そんな質問が飛び交った。

「じゃあ、あのBarに素敵な人がいるって、その人が支社長だったってこと!?」
涼ちゃんがすっごくびっくりしていた。

「それで、入社した時には、もう付き合ってたってことなんだ。」
「う・・ん。そう。」

何となく、みんなを騙していたようで気まずい。
だけど、隠すことはしたくない。
だって、あたしはもう、司さんの妻なんだし、道明寺家の嫁として、いつも堂々としていなきゃダメなんだから・・。

そんな風に思いながら、みんなの質問に答えていると、
右斜め前に座る山崎さんと目が合った。


「いいなぁ、牧野さん。道明寺支社長の奥様なんて、羨ましい。」
「本当ね~。」
「それに、意外。恋愛よりも仕事って言ってた人が、入社前からそんなセレブと付き合っていたなんて。」

「えっ・・。」
予想もしていなかった言葉に、あたしは返事が出来なかった。

「だって、そうじゃない?道明寺支社長を射止めちゃうって、かなり努力したんでしょ?そういう努力には興味ありませんって顔してたのにさ、牧野さんって。とんだ、ダークホースだよね。」

「おい、止めろよ、山崎っ!」

酔っている山崎さんの言葉は、きっと本音。
それを黒田君が止めてくれた。
だけど、山崎さんの言葉は止まらなくて。

「だって、私見たんだ、さっき。牧野さん、東京駅近くのショップに寄ってたよね?本当は、白のシックなセットアップ着ててさ。いかにもハイソな奥様ってカッコだったのに。さっきのショップで着替えて来たんでしょ?あたし達のレベルに合わせてくれたんだ。そうだよね~。それ位計算できる女じゃないと、支社長レベルは射止められないよね~。それで?御自宅に帰る前には、また着替えるの?その恰好じゃ、支社長に嫌われちゃったりして・・。」

「山崎っ、言い過ぎだっ。」

しーん。
静まり返る個室の中。
あたしは、唇を噛んだ。


確かに、あのセットアップじゃ、この場にそぐわないと思った。
この恰好の方が、あたしらしいんじゃないかって。
でも、そっか。そんな風に見られてたんだ。
あたしが、その場に合わせて、取り繕っているんだろうって。
司さんにも色目を使って、猫をかぶってるんだろうって。
なんか、ショックだ・・。


「山崎さん、酔ってるから。マキちゃん、気にしなくていいよ。」

涼ちゃんがそう言ってくれるけど、気にしないって訳にもいかない。
違うって、言わなきゃいけないよね。
だけど、山崎さんの追及が続く。

「何でよ。おかしいじゃない。たいして美人でもない牧野さんが、支社長の奥さんだなんて。支社長の前ではかなーり努力してるんだよね?じゃあ、そんな、あたし達レベルに合わせた恰好とかしてないで、早く着替えた方がいいんじゃない?」

「そんなことっ・・」

「だいたい、牧野さんがいくら優秀だからって、いきなり支社長から直接指導を受けるとかさ。みんなだっておかしいと思ってたでしょ?」


その場は山崎さんの独壇場。
次々とあたしに対する非難が浴びせられる。
みんなも固まってしまって、何も言えない状況。


「支社長に体を使って取り入った・・とか?呆れちゃう。」


・・・!!
ひどいっ。

だけど、言い返せない。
そんなことは絶対にないけど。
あたしが司さんから直接指導を受けたのは、あたしが司さんの恋人だからっていう理由は少なからずある。
でも、あたしが考えた企画をちゃんと評価してるからだって言われてた。
俺はそんなに甘い経営者じゃないって言ってた。
だけど、それを今ここでどうやって説明する?
どうしたって、言い訳にしか聞こえないよ。


涙が出そう。
でも・・泣くもんか。
だって、あたしは道明寺司の妻で、道明寺家の嫁なんだから。
いつも、毅然と、堂々としていなくちゃダメなんだから。
こんなことぐらいで、動揺してちゃだめ。


今頃になって、気付いた。
あたしはやっぱり、あのセットアップを着て来るべきだった。
だって、あたしは、『道明寺司の妻』なんだもん。
中途半端なことをするから、みんなからも不自然に思われちゃうんだ。
あたしって、なんて馬鹿なのかな。


何か、言わなきゃ。
皆も固まっちゃってる。

何か・・・。



その時・・
ガラッと個室の扉が開いた。

「なんだ・・狭いところで飲んでんだな。」


オーダーメイドのビジネススーツに身を包んだ、あたしの夫。

司さんが、飄々と入ってきた。



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あわわ・・・。
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Happyending  
こんばんは(*^^*)

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
そして、今日はたくさんのコメントもありがとうございます。
もやもやされた方も多かったでしょうか?

今日は時間がなくて、纏めてのお返事で失礼します。

何人かの方が書かれていましたが、こういった嫌味?は、結構ありうるんじゃないかな?と思うんです。
番外編にトラブルはどうかなぁと思ったのですが、赤札を貼られていじめられた経験のないつくし設定ですので、この程度は食らっておいた方が、今後のため?とかいう、変な親心・・かな??

そうそう、洋服。つくしは、そこまで深く考えていなかったんだろうな~。山崎さんにショップに入るところを見られなければ、問題が無かったかも知れないし、セレブな恰好で来ても、内心嫌味に思われていたかも知れない。結局は、その人の内面の問題?じゃないのかな~、なんて書きながら思っていました。

でも、ここまで言われちゃうと、さすがにつくし一人で対処は難しいので、司さんを投入。
このトラブル処理はあす1日で終わらないので、2日かかる予定です(汗)。
皆様の胃がキリキリしません様に・・と願いますが、案外書いている私は、それほどキリキリしていないと言う・・・えへ。すみません・・。


ではでは、明日・明後日で、納得のいく対処ができればいいのですが・・。
とにかく、まずは、明日、AM5:00に~!

2017/05/24 (Wed) 22:21 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 21:01 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 10:53 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 10:22 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 09:23 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 08:37 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 07:52 | EDIT | REPLY |   
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2017/05/24 (Wed) 06:27 | EDIT | REPLY |   
じゅんこ  
おはようございます(^^)

ありゃー山崎さん?やっちゃいましたね。ここで性格が出るってもんですよねぇ。
つくし偉かった!我慢して偉かったぞ!
後は司に慰めてもらおう!
妬みっていやーねぇ。
これで周りからの見方が分かって、ご令嬢からの嫌味でもスルーできる!はず。次が楽しみどなぁ(*^^*)旦那さん助けてあげて!
更新ありがとうございました(^3^)/

2017/05/24 (Wed) 05:22 | EDIT | REPLY |   

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