花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「牧野さん・・いえ、奥様を、自分の部下に付けたのは、公私混同ではないのですか?」

山崎さんのその発言で、
その場は、またしても凄まじい緊張感に包まれた。

どうしよう。
どうしたらいい?


その時、隣の司さんから、ふぅーっと溜息。
「公私混同・・かもな。」

そう呟いた司さんを、みんなが驚いて凝視した。
あたしも、隣の司さんを見上げる。
司さんの表情は何も変わらない。
だけど、その目つきは、恐ろしく真剣だった。


「本当のことを言えば、彼女の初期プランを見た段階で、彼女を道明寺HDの企画部へ引き抜くつもりだった。それだけ魅力あるプランだったし、道明寺HDの冠を付けて大々的にバックアップした方がいいと考えた。企画は、俺が直接指揮を執ることが決まっていたから、その方が都合も良かったし、うちの上層部もその判断をしていた。だが、本人の第一希望がメープル勤務だった。彼女の希望を優先した俺は、彼女に二足草鞋を履かせる提案をした。ホテル業務と、企画業務、その両方を新入社員に課すことには、役員からの反対意見が強かったけどな。」

一言一言、ゆっくりと話す司さんが、そこで一度言葉を切り、みんなをぐるりと見渡した。

「正直、キツ過ぎるだろ。通常業務の倍は働くことになる。しかも、道明寺HDが支援する初めての企画を背負うんだ。そのプレッシャーに耐えるのは並みの精神力じゃ無理だ。新入社員を速攻でつぶしかねない。だが、俺は、普通の社員だったらまず無理だと思われる人事を無理矢理通した。メープルの仕事がしたいと言うこいつの希望を、社の方針で奪いたくなかったからだ。そういう意味では、公私混同だな。彼女には、過度な仕事とプレッシャーを掛けてしまったが。まあ、最終的には、当初よりもインパクトある企画を成功させた訳だから、上層部も納得し、結果に満足している。俺も、彼女をつぶさなくてほっとした。」

「だがな。例え、それで彼女がつぶれたとしても、俺が責任をとるつもりだった・・・と言ったら、やはり、公私混同なんだろうな。」
そう言った司さんは、甘くあたしに微笑んだ。


公私混同・・。
でもね。皆は分かっているのかな。
あたしがもし、この企画を失敗していたら、それは全て推薦した司さんの責任になる。
あたしの失敗は、全て司さんの失敗に繋がるんだよ。
そんな大きな仕事に、公私混同なんてするはずがない。


「だからといって、俺は、初めからつぶれることを前提で二足草鞋を履かせたりはしない。面接や論文の内容と人間性を鑑みて、こいつならやれると判断した。他の奴に、同じことをやれとは言わない。出来る訳がない。それ位の見る目はあるつもりだ。」

天性のビジネスセンスを持つと言われる司さん。
その彼の判断が間違っているなんて、きっとこの場の誰も思わない。
司さんの見る目を疑う人なんて、誰もいない。


ここまで一気に話した司さんが、山崎さんに視線を送った。

「お前、こいつ以上の仕事ができるのか?山崎恵。お前に課したブライダルの企画は、未だ俺のところにまで上がってきていないが?」

名指しされた山崎さんが、真っ青になって下を向く。
それを見て、司さんがまた口を開いた。

「俺は、仕事に関して、妥協は許さない。それが、自分の恋人だったとしてもだ。体を使って取り入る?俺を馬鹿にしてるのか?この世界は、そんなに甘いもんじゃない。99%が努力の世界だ。仕事を舐めるな。もしもそんな馬鹿な部下がいたら、俺は即刻切り捨てる。」

淡々と語っていた司さんの言葉に、怒りが籠る。
その場の全員が固まった。
やっぱり・・さっきの言葉を聞いていたんだ。
他のみんなも、きっとそう思ったに違いない。


それから、司さんは再び、みんなに向かって言った。

「昨年から、道明寺HDがメープルの経営に携わっていることは周知されているはずだ。君たちの仕事のうち、優秀なプランは俺の手元に届く。例えば、黒田。君のレストランのプランは、昨年のクリスマスから採用されている。そして、高木、君の企画は、今年の営業の目玉だ。」

「まだ、企画を提出していない奴らもいるだろう。過度なプレッシャーを与えはしないが、君たち自身が、常に評価の対象になっていることを忘れるな。そして俺に、君たちの仕事ぶりを見せて欲しい。もし、俺に直訴するのであれば、まずは与えられたものに対する結果を出せ。話はそれからだ。」

周囲を見回した司さんに、みんなが頷いた。

「「「はいっ!!!」」」



司さんのオーラにみんなが圧倒されたかと思えば、すぐにやる気を引き出された。
凄いよ、司さんは。
本当に凄い。

ちゃんと見てるんだ。
なんて、当たり前か。
この人は、道明寺HDの後継者なんだから。


涙も引っ込んだあたしの顔を満足そうに覗き込んで、

「つくし、そろそろ、帰るか?」
と司さんが耳元で囁く。

コクっと頷いたあたしを見て、司さんがあたしの手を引いけど、
あたしは、その手をぎゅっと握って、もう一度引き戻した。

ん?という司さんの顔を見て、ちょっとだけ笑ってから、あたしはみんなの方に向き直った。



きっと司さんは、あたしがどんなあたしであったとしても、見放したりしない。
今日みたいに情けないあたしを見ても、嫌いになったりしない。
例えあたしが上手く仕事をこなせなかったとしても、軽蔑したりはしない。
あたしのことを、誰よりも理解して、見守ってくれるはずだ。

今日、ここで、あたしを守ってくれたように・・。

だけど・・あたしだって負けられない。
少しでも、司さんの期待に応えたいよ。


あたしは大きく息を吸い込んだ。

「今日ね、ここに、この恰好をしてきたのは、この方が自分らしいと思ったからなの。今日は、結婚の挨拶回りがあって、知らないうちに、プレッシャーを感じてたみたい。用意してもらったセットアップは自分には不相応なんじゃないかと思ったりして・・・本当に馬鹿だよね。何を着ていようが、あたしはあたしなのにね。だから、みんなに合わせたとかそんなことじゃないの。でも、そのせいで、みんなに不快な思いをさせてしまったのなら、ごめんなさい。」

「でもね。同期のみんなには知っておいて欲しいの。あたしは、どんなに頑張ってもあたしでしかない。道明寺司の妻だとか、道明寺家の嫁だとか、自分がそれらに相応しいかどうかなんて、分からない。あたしはただ司さんが好きだから結婚したの。みんながどう思おうと、それが真実。これからも、それはずっと変わらないよ。あたしは、ずっとあたしらしくありたいと思ってる。それに、結婚しても、仕事は辞めないし、絶対に手は抜かない。あたしは、メープルが好きで就職したんだから。だから、これからも、もっともっと努力して、また今度みんなに会う時には、今よりももっと素敵な企画を成功させられる人間になっているつもり。それが、あたしらしくあることだと思うから。そうすれば、いつか、司さんの隣に立つことが自然な女性になれるんじゃないかなって思うの。」

「あたし、頑張るから・・。だから、これからもよろしくね。」


そう言ったあたしを、司さんがこつんと小突いた。
司さんを見て、えへへと笑う。
大きく出すぎちゃったかな。
でも、いいの。
本当にそう思ってるんだから。

あたしは、常に、あたしらしく・・・。
そうすることが、自然体の『道明寺司の妻』に繋がっていくと思うから。



司さんと恋人つなぎをして、お店を後にした。
視界の端っこで、SPの川西さんがちょっとだけ笑ってたような気がする。
心配かけちゃってたのかな・・。


最後にみんなから掛けられた言葉。
『また、絶対に会おうね。』

たったそれだけの言葉が嬉しい。
まだまだ中途半端なあたしだけど、また会おうって言ってもらえるのが嬉しかった。
次に会う時には、もっと成長したあたしでありたい。
そんな風に前向きにここを去ることができるのは、司さんのおかげだ。


お店を出た途端に、チュッと司さんの唇が落ちてきた。
あたしは、ぎゅーっと彼の腕にしがみつく。


あたしの自慢の旦那様。
この人と一緒にいれば、どんなことでも乗り越えていける。

あたしは、この人と結婚して、本当に幸せだ。



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これにて、トラブル編は終了!です。
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  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:6
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/05/26(金) 22:44:41 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
良かったぁ。トラブル編、無事に終了です。
語りが長くて、読みにくかったですかねぇ。この司さんの対応で納得いったでしょうか・・?
山崎さんはどうして、こんな質問しちゃったんだろ?恐らく、彼女は普通に仕事をこなせる人だけれど、努力が足りない分、出来る人にまでは至らないのかな・・?なーんて、考えていました。もっと出来る人だったら、恐らくこんな発言はしないだろうなぁ。企画を仕上げる苦労とか、自分が経験しないと分からないはずですから。でも、まだ若いから、これから挽回していくことでしょう・・・。なーんて、歳食った私は思いました。

さてさて
じゅんこ様
そうなんです、何気にデレ。これをですね。最後まで消すか、残すか、迷いました。実は。でも、入れちゃった(笑)。だってねぇ。それ言っちゃ、公私混同だろって思ったんですが、でも何があっても、失敗しても、きっと司さんが責任とるつもりだったんですよ。本当に。それに、きっと、仕事中は、つくしにプレッシャーを感じさせないようにしていただろうなぁ。うーん。大人な司さんです!

ka●様
そうなんです。司は、メンバーをきっちりチェックしていたんです。ですが、本当にトラブルになるとは思っていなかったはずです。メープルの総合職はエリート集団なはずなので、こんな発言をする女がいるとは思わなかったんじゃないかな。ある意味、司も低レベルな発言に驚いたに違いありません!

スリ●様
司、カッコ良かったですか?こちらも良かった〜。久しぶりになんだか昨日の夜は緊張して、何度も細かいところ直しました(笑)。それでも公私混同だという人もいるでしょうし、そう思われても仕方ないかなと覚悟をしたり。今日は、否定的なコメントは頂いていないので、すごくホッとしています。あー良かった。こういう場面を書くのは、本当に難しいです。

委●様
意外です!どっしり構えて、どんなにお話でもサクッと読んでいるようなイメージを、勝手ながらもっておりましたよ。
因みに、私自身がトラブルシーンが長引くと、精神的に追い込まれるので、こういったドキドキシーンは長引かせられないんです。「初恋」は、私的にはいろんな意味でドキドキしながら書いていて、良く書き終わったなぁと自分を褒めてあげたいぐらいでした(笑)。そうそう、58話。ありがとうございます。私的にも、気持ちを込めたシーンでして、そう言っていただけると嬉しいです!

の●様
いつもコメントありがとうございます!本当に・・こんな旦那様だったなら・・。なんーて。でも、こうやってパソコンポチポチしていても、特に文句も言わないうちの主人も、案外私を理解してくれている人なんですよね、きっと(笑)。そう思おう。
いえいえ、こちらこそ、いつもお付き合いありがとうございます。番外編も、すでに10話だったりします。あとは、二人の幸せを書いていく予定です。また、とうぞお付き合いください!

ま●様
おお!拍手コメント連投ありがとうございます。
ここに書いちゃいますが、あの短編の中に、キュン死寸前って書いたんですけどね。これは、ま●様のいつものコメントからのパクリです。。。えへへ。気がつきました??いつも、この言葉いいなぁと思っていて、書いている途中で、ここだっ!って思ったんです。勝手に使ってしまってすみませんでした〜。でも、私は『キュン死』使えて、満足・満足です(笑)。また使いたい(笑)!


ええと。この先の展開は頭にある程度浮かんでいるのですが、まだ書いていなくて、この土日は不定期時間の更新になります。(恐らく、今から書いたら間に合わないと思うので。)

ですので、明日は、どこかで1話投稿します。
また時々、覗いてやってください。
あー、今日は、ゆっくり眠れそうです。

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  1. 2017/05/26(金) 21:15:12 |
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  1. 2017/05/26(金) 11:43:13 |
  2. |
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  1. 2017/05/26(金) 06:26:52 |
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  1. 2017/05/26(金) 05:50:08 |
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  1. 2017/05/26(金) 05:13:23 |
  2. URL |
  3. じゅんこ
  4. [ edit ]
おはようございます(^^)
ブラボーです!切れるのは簡単だけど、ちゃんと納得する説明もして褒めるとこ褒めて、そして静かに怒りを滲ませる!!!皆のやる気も引き出すし!
司かっこいー❤️何気にデレも入ってつくしちゃんの心も再ゲット(^ー^)流石トップだけあるわ!

これをまとめるのに苦労されたかもですが、とっても良かったです!←上から目線💦
つくしちゃん!司にご褒美あげてね💕イヒヒ
更新ありがとうございました(^3^)/

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