花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

「司さん、この資料、出来上がりました。」
「ああ、そこ置いといて。お前、奥で少し横になれよ。」
「え?いや、大丈夫だよ。すこし動いたりしてる方がいい。」
「調子に乗って無理すんなよ。」
「はーい。」


とことことこ・・ストン。
今、あたしが座ったのは、司さんとお揃いのマホガニーのデスクセット。
サイズはちょっと小さめだけど、重厚感はたっぷり。
そして、その席から、左斜め前には、こちら向きの司さんのデスク。

___そう、ここは道明寺HD日本支社・支社長室。




なんで、あたしがこんな場違いなところにいるのかって言うと・・

_____さかのぼること1週間前。


「あぁ!?ニューヨークで産むだぁ?」
「どうして、そんなに驚くの。仕方ないじゃない。」
「はぁ?お前こそ、おかしいんじゃねぇの?」
「ん?」
「なんで、わざわざニューヨークで産む必要があんだよっ。」
「だから、さっき言ったでしょ。まだ仕事が残っているし、もう少し、お義母様の元で学びたいし・・。」

「ダメだ。」
「大丈夫。無理はしない。」
「絶対に許可しない。」
「大丈夫だよ!十分気を付けるから。ねっ!」

司さんの腕を捕まえて、ユサユサと揺さぶってみる。
右側の眉毛だけを器用に動かしている司さん。

「悪阻が終わって、安定期に入ったら、ニューヨークに行って、仕事の片を付けて、また戻ってくるから。」

司さんの眉がまた動いた。

「あたしだって・・離れてるのは辛いんだよ?」
「じゃあ、日本に残ればいいだろ?」
「でもっ。」
「お前の体が心配だ。慣れないニューヨークでなんか出産させられない。」
「あたし、結構丈夫だし。今だって、悪阻はきついけど、案外働いたり、体を動かした方が、すっきりするぐらいだし・・。」

「仕事してた方がいいっていうのか?」
「うん。ほら、お邸でじーっとしていたら、余計に気分が滅入っちゃうっていうか・・ね。」

司さんの右眉が大きく動いた。

「司さん、いつも仕事で遅いでしょ?一緒にいる時はいいけれど、お邸で一人でいるのって、結構辛いんだよ。すごく寂しいし。司さんの心配は分かるけど。妊娠は病気じゃないから、じっとしてなきゃいけないってこともないと思うの。悪阻だって、いつか収まるはずだし・・。」

司さんがあたしをじっと見つめてる。
もうひと押しっ!

「もし安定期に入っても、具合が悪いようなら、もちろん行かないから。」

司さんがちょっと面白そうな顔をして、それから口を開いた。
「へぇ・・そんなに仕事がしてぇの?」
「うんっ。したい。」

「そうかよ。じゃあ、明日から、一緒に出社するか。それで、大丈夫だっていうなら、ニューヨークに行かせる。もちろん俺が同伴するが。そして、出産前には、日本へ帰国する。どうだ?」
「・・・。」
「何だよ?」
「・・・帰国って、いつ?」
「そうだな、8か月には戻ってきた方がいいよな。」
「ええーっ。そんなこと言ったら、3か月位しかニューヨークにいられないじゃん。」
「仕事の指示はババァがメールで送ってくるだろ。今、未来の東京メープルの案も考えてんだろ?こっちでその仕事やれよ。」
「うーっ。」
「嫌なら、いいぜ。ニューヨークには行かせないが。」
「分かった。」

すると司さんが、携帯を取り出した。
発信相手は、どうやら西田さん。

ん・・んん??

「あぁ、俺。例の机、明日で間に合いそうか?あぁ、明日から、つくしも連れて行くから。あぁ、よろしく頼む。」

ピッ。

「ん?」
「何だ?」
「今の何?」
「明日から、一緒に出社するんだろ?」
「どこに?」
「道明寺ホールディングス。」
「はぁ?」
「お前、さっき言ったの聞いてなかったのか?明日から出社して、大丈夫ならニューヨークに戻すって。」
「ええ~っ!?何で??全然意味わかんないっ!」
「仕事してた方が、気分晴れるんだろ?それに、俺がいない邸も辛いんだろ?心配すんな。俺の部屋のプライベートルームで休んでればいいから。」
「うそでしょ?」
「いや、本気。」

やっ、やっ、やられたー!!

「さっ、さっきの電話。もしかして、初めから会社に連れていくつもりだったんじゃないの??」
「まぁな。お前も、何かしてた方が、悪阻忘れられるって言ってただろ。俺も、心配で気が気じゃねぇんだよ。西田もタマに何度も連絡入れるのが、面倒くせぇみてぇでな。あいつが言い出したんだよ。そんなに心配なら、奥様をこちらに呼ばれてはどうですかってよ。」

なっ、なっ、なんですとっ!

「公私混同っ!!」
「はぁ。馬鹿じゃねえの?公私混同して何がわりぃんだよ。」
「やっ、あたし、やだっ。あそこ、秘書さんとかいるし。そんなとこで昼寝したりなんて・・ありえないしっ。」
「だから、プライベートルームがあるから、心配すんなって。あぁ、良かったわ。毎日心配で、仕方無かったんだわ。メシは無理して食わなくても、好きなもの届けさせっから。」
「届けさせるって・・執務室で食べるの?」
「俺も一緒に食うから。楽しみだな。」

ありえないっ!
ありえないっ!!
信じられないっ!!


だけど・・・
ニューヨークでもう少し、メープルの仕事を学びたい気持ちも捨てられない。
安定期の3か月間だけでも、お義母様の元で学びたい。
悪阻が無くなれば、普通に働けるってことを司さんが分かってくれるのなら、会社に行ってもいいかも。
それに、実際、道明寺家でじっとしているのも、1週間ぐらいで飽きてきた。
本来なら、花嫁修業とかするべきなんだけど、あたしが体調不良だからって、周りの皆も何にもさせてくれないし。
毎日、だらだらお昼寝して、散歩している位。
だったら、職場に来れば、もう少し、シャキッとできるかも・・。




そういうことで、1週間前から、あたしは道明寺HDの臨時職員になった。
役職は・・支社長秘書。
あって、無い様な役職なんだけどさ。

それで、司さんの執務室の一角に豪華な机を与えられ、お義母様から言われている仕事を、ちょこちょことこなしている。
今のメインは、東京メープルの新規事業の立案がメインで、そのための資料を集めて纏めたりとか、そんな事。それは、道明寺HDとの共同事業だから、司さんが近くにいてくれるのは有難かった。


眠くなったら、プライベートルームを借りて、ちょっとだけお昼寝をしてスッキリする。

相変わらず朝はダメだから、あたしが出勤するのは、お昼前。
本当は自分でお弁当を作りたいところなんだけど、どうしても、匂いがダメ。
特に、ご飯やお弁当のこもった匂いがダメで、昼食はどうしても食べられない。
だから、お昼といっても、お蕎麦や、そうめんが届けられたり・・。
プライベートルームの大きな冷蔵庫には、あたし用のフルーツやゼリーが入っている。
15時には必ず、ティータイムがあって、またしても、お邸からおやつが届けられる。
これはあたしが凄く楽しみにしているんだけど・・。
って、あたしは皆に迷惑ばっかりかけて、一体何をしているんだろう・・。

こんなことなら、ニューヨーク行きを諦めた方が良かったのかも・・。


だけど・・・
この生活には、思いがけない収穫もあったの。



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  1. その後の二人のエトセトラ
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  1. 2017/05/31(水) 20:42:36 |
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  1. 2017/05/31(水) 18:59:05 |
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  1. 2017/05/31(水) 13:21:50 |
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