花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

メープル東京 Private Resort オープニングセレモニー当日。
午前中の最終確認を終えたあたしは、短時間のお昼休みに、メープル東京本館のスイートルームに向かった。

この夏で、開は2歳半になった。
ますます司さんそっくりになってきた開は、家族のみんなから愛されている。
2歳過ぎから面白い日本語を話す開を、椿お姉さんはいたく気に入っているし、仕事に開を連れて行くあたしを見て、お義母様も日本へ来る度に開を会食へ同行させようとする。
そして、開はそういった愛情というものを、疑問に思うことなく受け入れて、すくすくと育っているように思う。
来年幼稚園に上がるようになれば、こんな時間も少なくなるのかと思うと、少しでも一緒にいたいという気持ちは私も同じだ。

ピッ。

今頃は御飯中かな?
スイートに入ると、中では、タマさんが開の食事の準備をしてくれていた。

「タマさん!すみません。私がやります。」
「あれまぁ、本当に来たのかい?今日は、忙しくなるんだろう?」
「はい。夜まで開に会えそうにないですから。お昼だけでも。」
「じゃあ、一緒に食事にしたらいいよ。さぁ、開坊ちゃん、食べましょう。」

「はるき!ごはんにしようっ。」

子供用の椅子に座った開は、ご機嫌みたい。
「あーい。ったきましゅっ。」
この子供らしい話し方があたしのツボで、いつ聞いても笑っちゃう。
だって、司さんの子供時代を見ているみたいなんだもん。

幼い開と一緒に通勤しながら、作り上げてきたPrivate Resort。
その支配人になるあたしは、まだまだこれから忙しくなる。
それでも、開との時間はできるだけ多く持ちたい。
そして、家族の時間を大切にしたい。
忙しい生活の中で、開は司さんとあたしの癒しだ。

ありのままの自分で、自分らしい時間を過ごすことのできるリゾート。
時に恋人と、時に家族と。
時には一人で。
今日は、そんな願いも込めたResort空間のオープンでもある。

今日の宿泊客は、VIP会員のうちの、ごく一部のみ。
客室数が限られるこのResortは、予約も半年先まで埋まっている。
あたしも、開を連れて一緒にここでゆっくりしたいと思っているけれど、その願いがかなえられるのは、もう少し先になりそうだ。
まずは、このホテルの経営を軌道に乗せなくては・・。

昼食を食べ終えて、開と歯磨きをして、一緒にベッドに横になる。
背中をトントンと叩きながら、遠い未来に思いを馳せた。
この子は、どんな子に育つだろう。
司さんの後を追って、道明寺財閥の後継者の道をいくのかな?
それとも、まったく違う人生を選択するのかな?

開がどんな人生を歩むとしても、必ず応援してあげられる自分でいたい。
あたしがママで良かったって思ってもらいたい。
仕事を頑張っているママを、誇りに思ってもらえるように、努力したい。

開が寝たのを見届けて、あたしはそっとベッドを降りた。
これから、オープニングセレモニーが始まる。
あたしが、この3年以上をかけて企画してきたホテルが、やっとスタートラインにつく。
プレッシャーもある。
だけど、あたしには、司さんと開が付いてるから・・。
二人があたしのエネルギー源。

「行ってきます。」
あたしは、そっと寝室のドアを閉めて、Private Resortに戻った。



*****



オープニングセレモニーは、世界各国からVIP会員を招待している。
そのうちPrivate Resortに入りきらない客様には、メープル本館を準備していた。
だから、今日のメープルは大忙し。
多くの海外からのお客様で賑わっている。

セレモニーが始まる。
いつも通り、あたしは司さんと腕を組んだ。
パーティーに参加することには、だいぶ慣れた。
だけど、それは、いつも司さんが隣にいてくれるから。
彼が一緒にいてくれなきゃ、絶対にダメだ。

実は、あたしは、一人でパーティーに参加したことがない。
それは、彼も許可しないから、丁度いいんだけどね・・。

思わず、ふっと笑いが漏れる。

その時、チュッとあたしの髪にキスが落ちた。
「頑張れ。」

すっと、あたしの肩の力が抜ける。
このキスを受けると、緊張が解ける。
あたしの、精神安定剤。


オープニングセレモニーに先立って、マスコミ向けのプレゼンテーションがある。
まずは、司さんが、道明寺HDが期待する将来のメープル像を語った。
それを具体化したホテルが、Private Resortだ。
そのホテルの説明は、このホテルの支配人となるあたしの役目。

司さんと目が合った。
大丈夫。

『道明寺HDが満を持して送り出す、このリゾートの支配人、道明寺つくしより、ホテル概要の説明をさせていただきます。』

カメラのフラッシュがたかれる。
だけど、緊張はない。
すぐそばに司さんがいる。
それに、このホテルはあたしが自信をもって世の中に送り出すものだ。
何を聞かれても平気。
大丈夫。

『このプライベートが守られたリゾート空間の中で、お客様にゆったりとくつろいで頂きたいと思います。』

このホテルのサブテーマは『Just be yourself.』
(ただ、あなたらしく、ありのままで)
疲れた体を癒し、心を癒し、ありのままの自分に戻れる時間。
周囲の目を気にせずに、大切な人とくつろぐ空間。
日常の中の、非日常。
それはもしかすると、先へ先へと流されていく自分自身が一瞬だけでも立ち止まり、自分にとって大切な何かを振り返る時間かも知れない。
だって、当たり前で、大切なものって、日常の中では見失ってしまうこともあるから。
それを取り戻す時間も、大切だと思う。



16時からはオープニングセレモニーとそれに引き続くパーティー。
メープルホテルグループの総支配人であるお義母様と一緒に檀上に上がった。
隣には、もちろん司さん。

お義母様の乾杯の発声で、パーティーが始まった。
会場内にあふれる拍手。
今、こうして、Private Resortが正式にオープンした。

フロアでは、たくさんの招待客へ挨拶周り。
ここまでの労いと、これからへの期待。
お客様から、たくさんの声が掛かった。

道明寺司の妻として、道明寺財閥の嫁として、あたしはあたしらしくあるだろうか。
いつか同期に語ったように、あたしらしく頑張れているのかな。
あたしは、彼にふさわしい女性に映っているんだろうか。

26歳という年齢で支配人となることへの不安はある。
けれど、背伸びはしない。
ううん、できない。
道明寺つくしという名前に振り回されずに、あたしはあたしらしくあるしかない。


2時間ほどで、一通りの挨拶周りが終了した。
ほっと息をつくと、司さんが心配そうに覗き込む。
「大丈夫か?」
「うん。ちょっと緊張したから・・」
「be yourself・・なんだろ?」
と司さんが、笑った。

そう言われて、あたしも可笑しくなった。
そうだ、自分らしくあることが、このホテルの目標なんだ。

けれど、あたしがあたしらしくあるということは・・・

司さんが笑いながら、あたしの背中を押した。
振り返った先には・・・

道明寺財閥総帥であるお義父様に抱かれて、
きゃっきゃっと笑いながらこちらに手を振っている開。
その隣には、お義母様も笑いながら歩いている。

お義父様が来るなんて、聞いていなかった。
開がパーティーに来るなんて、知らなかった。

だけど・・
そうだよ。あたしがあたしらしくあるために。
そのためには、あたしの家族が必要なんだ。

いつか一緒に・・じゃなくて、今。

「開にも、お前の姿、見せておいた方がいいだろ?今日は、すげぇ、綺麗だ。」

司さんに耳元でそう囁かれる。
一瞬にして、かぁっと顔が火照った。

多忙を極める道明寺財閥の総帥がここに現れるというハプニングに、あたしたちは注目の的。
しかも、総帥が、孫である開を連れてきた。
開にとっては、正式なお披露目になる。

会場内が見守る中、あたしの前にやってきた開。
あたしに手を伸ばして、あたしの腕の中に入ってきた。

「まま、しゅき。」
あたしの右頬にチュッとキスをくれた。

「なんだよ。俺の方が、愛してんだぞ。」
そう言った司さんを振り仰ぐと、今度は、左頬にキス。

ああ、そうだ。
これが、あたしの幸せ。
ありのままのあたしの幸せだ。
あたし自身が、こんな風に幸せを感じたくて、目指したリゾートなんだ。
だから、何も恥ずかしいことなんてない。

あたしは、司さんに開を預けた。
それからゆっくりと腕を上げて、司の首に回し、背伸びをして、
大好きな司さんの唇にキスをした。


この日は、ホテルのスタートとともに、
あたしの原点を確認した日になった。



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  1. その後の二人のエトセトラ
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

今晩は!

  1. 2017/06/17(土) 19:50:43 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
なかなか、お話を纏められなくて頭パンクしそうでしたが、なんとなくラストを迎えられそうになってきました。

スリ●様
いつも応援ありがとうございます。
さすが・・その通り。司君はちゃんと考えているでしょう・・えへへ。

ま●様
そうなんですよ。
もともと、一番初めは、つくしちゃんのサクセスストーリを各つもりだったんですよ。いろいろと脱線もしていますが(笑)。
イケメン親子から、両頬にキス!
いいですよね~。


さて、先ほど26話を投稿しました。
予想されていた方も多いと思いますが(笑)、The Classicのお話です。
そして、残すところあと1話になりました。
はぁ・・・この週末で、ラストかと思うと、すでに感無量です。

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  1. 2017/06/16(金) 23:44:04 |
  2. |
  3. [ edit ]
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