花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

彼女がシャワールームに消えた後、俺はすぐに西田に連絡を取った。

腕時計は11時40分を示している。
俺も、あいつも、見合いの席には当然遅刻だ。

『俺だ。』
『副社長、先ほどから何度も連絡を入れているのですが。ラウンジにお見えになっていないと、先方から・・。』

この時点で、俺の犯行は確定。
やっぱり、この女は、俺の見合い相手ではなかった。
分かってはいたが、もしかして・・という淡い期待もどこかにあった。
しかし、もう、俺は動き出している。
それは、恐らく、本能で・・・。

『あぁ、ワリィな。本気で気に入った女を見つけた。だから、今日の見合い、断っといてくれ。』
『副社長っ!』
『オヤジたちには、俺から説明する。』
『本気とは、どういう意味でしょう?』
『そのままだ。本気で、結婚を考えたい相手。』
『・・・。』

西田の沈黙。
これが出た時の西田は、すげぇ冴える。
きっとこの状況を切り抜けるだろう、この男なら。

『つまり、今、副社長は、結婚を考えているお相手と一緒にいらっしゃるということですね。』
『そう言ってんだろ?』
『分かりました。こちらのことは全てお任せを。その代わり・・』
『なんだよ。』
『もしも、上手くいかなければ、相応のペナルティを。』

つまり、あれか?
ブラジル出張3か月とか?
極寒ロシアに1か月とかか?

一瞬ぶるっと震えたが、そんなの専務時代にこなしただろうがよ。

『上手くいかなければ、ご両親の勧められるお嬢様とご結婚を。』

は?
何言ってんだこいつ。

『ニューヨークには私から説明します。ですから、副社長、背水の陣で臨んで下さい。』

そうか、そう言うことかよ。
親父とお袋を黙らせるには、それしかねぇってことか。

『分かった。任せろ。それと、ラウンジに塚狭(つかさ)っつー男が見合いに来てるはずだ。相手の女は行かねぇから、適当に帰しとけ。』

俺がそう言っただけで、状況を理解した有能な秘書から冷静な返事が返ってきた。
『畏まりました。すぐに手配致します。ご健闘を祈ります。』


ふぅ・・。
とりあえず、西田を味方につけた。
運は俺に向いている。



***



塚狭さんが選んでくれた服に着替え、部屋を出て、リビングスペースに戻った。
奥のダイニングには、ランチが届けられている。

「わぁ!」

前菜の盛り合わせが手前に。これって・・キャビアがのっかってる?
ホカホカの湯気が出ている、白身魚。
スープは冷製かな?
パンがバスケット一杯に入ってる。何これ、食べ放題?
グラスには、ミネラルウォーターと食前酒がすでに注がれていた。

カチャッとドアが開く音がして、振り返ると、彼がこちらに向かってくる。
彼も着替えたみたい。
よく見れば、凄い美形だ。
見たこともないぐらい。
どうしてさっきまで、気が付かなかったんだろう。

あ・・お礼。
「あの、とても助かりました。着替えも用意して頂いて、ありがとうございます。」
「たいしたことじゃねぇから、気にすんな。」

たいしたことじゃない?
十分たいしたことだと思うわよ?

「腹減ったか?」
「もうペコペコです。」
だけど、お腹は正直だ。

「よし。じゃぁ、食おうぜ。」


ここで、もう一度、私の頭に疑問が浮かぶ。
この人は、本当に私のお見合い相手なんだろうか?
『つかさ』という名前の別人なんじゃないのかな?
今私が着ているオフホワイトのワンピースも、D’&G’のものだし。
大体、この部屋を平気で使っているっていうだけで、普通の人じゃない。
クライアントのおばあさんは確かに資産家ではあるけれど、こんな甥がいる訳ないじゃないの。

なかなか、席に着かない私に向かって彼が言った。
「座れよ。」

「あのぉ。あなたは、本当に、私のお見合い相手なんでしょうか?」
「何で?」
「いや、その・・。メープルホテルのこんなお部屋を使う人とのお見合いだなんて、聞いていませんでした。」
「今日、メープル東京プライベートラウンジ、11時半のツカサだろ?俺のことだ。俺も同じ時間、同じ場所で見合いだと言われてた。名前も合ってる。」
「そうですか・・・。」

私は諦めて、彼の向かい側に腰かけた。
とたんに、美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる。

『ぐぅ・・』

やっ、やだっ・・・わたしってばっ!
ちらっと彼を見ると、凄く楽しそうな顔をしている。

「ぷっ。まぁ、とりあえず食おうぜ。見合いなんだ。食いながら話そう。」


見合い・・・。

確かにそうなんだけど、なんだかお見合いっぽくないこの雰囲気は何?
お見合いっていうのは、普通、初めましてとかそういう挨拶から始まって、『あとは若いお二人で』とか言われて、庭園を散歩したりとかするんじゃないの?って、私ってばテレビの見過ぎ?

だって、この状況って、なんだかデートみたいじゃないの。

それに・・

「私の想像していたお見合いと違いました。」
「は?」
「塚狭さん、ため口だし。」
「ダメか?」
「ダメじゃないです。でも、お見合いって感じじゃなかったから。」
「いずれ結婚するなら、遠慮してても仕方ねぇだろ?」

けっ・・・けっこん!!?
結婚・・・。

ゴクリ。
このお見合い、断るつもり出来たんだよ?私。
なのに、結婚って。
そりゃ、お見合いなんだから、当然だけど。
でも、じゃあ、目の前のこの人は、私との結婚を真剣に考えているっていうの?

そんな私の戸惑いなんて、全く無視した彼が、グラスを差し出してきた。

「乾杯。」

私はとっさに、食前酒の入ったグラスを差し出して・・
そこから、私たちのお見合いが始まった。





「名前は?」
「牧野つくしです。」
ひゃっ・・キャビアって、こんな味なの?
美味しいのかどうか・・分かんないわ。

「年齢は?」
「27歳です。」
これって、何?ホタテ?違うな。

「職業は?」
「弁護士です。」
モグモグゴックン。

次の質問が無いなと思って、彼を見ると、彼が少し驚いた表情で私を見ている。
あれ?知らなかったのかな?弁護士だってこと。

「ご存知なかったんですか?」
「いや・・聞いてたかな。」

あぁ、そうか、私も何か質問をしなくちゃね。
ええと・・。

「それじゃ、塚狭さん、私から質問してもいいですか?」
「なんでも聞け。」
ぷっ。この人って、どうしてこんなに俺様口調なんだろ。

「自営業ってお聞きしていたんですが、どんなお仕事を?」
「自営っつーか。会社経営だな。多角的にやってる。」
「そうなんですか。」

多角的にって・・?
まぁいっか。
食事が美味しすぎて、会話がやや適当になっている。
だって、本当に、こんなにおいしいランチ、生まれて初めてかも知れない。
モグモグ・・ゴックン。
美味しい・・幸せ。


「随分、美味そうに食うな。」

はっとして頭を上げると、彼が私を見て笑ってる。
彼は食事なんて殆んど進んでなくて、食卓に片肘を突いて顔を乗せ、私をじっと見ていた。

え・・?


「俺は、この見合い、受けようと思ってる。」

超美形の彼から、爆弾発言が飛び出した。



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皆様、この二人の関係、理解できましたか?(笑)
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  1. Switch(完)
  2. / comment:8
  3. [ edit ]

こんばんは(^^)

  1. 2017/06/26(月) 21:51:50 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
皆様、特に質問は無い様でしたので、二人の状況、立場、理解OKでしょうか?本来、つくしのお見合い相手は、塚狭さん。司の見合い相手は、白鳥物産令嬢だったわけです。それが、司の策略?により、見合い相手が入れ替わった訳です。(残された二人は・・どうなったのか分かりません・・。)

さて~。
澪●様
狙った獲物は逃さない・・これぞ、司!ですよね。どこまで、突き進めるでしょうかね?(笑)。

スリ●様
つくしは食べ物には勝てないようです(笑)。そう、西田さんの活躍まで書いていると・・長くなるので、省略かなぁと・・(汗)。本物の塚狭さんはどんな人だったんだろう・・?

小●様
一度、もっともっと獰猛で、俺様な司を書いてみたいんですけどねぇ・・。なかなか妄想が沸かなくて・・(笑)。穏やか坊ちゃん、楽しんで頂けて良かったです!

じゅんこ様
あは。いきなり、ビビッと来てましたって言ったら・・?つくし、逃げそう(笑)。そこを、用意周到に詰めていく、頭脳派坊ちゃん。だけど、そんなにうまくいくでしょうかねぇ?

のだめまま様
坊ちゃん、飛ばしてます。このつくしは、坊ちゃんのこと好きになるのでしょうか?なってくれなきゃ困るけど・・。いい大人だけど、可愛いつくしちゃんになっちゃいそうです。←私の好みで(笑)。

ol●様
初めまして!こんばんは。うわぁ!初めて類君派の方から、コメントを頂きました。いや、緊張です。ありがとうございます。二次の類君って、作者様によって、性格がだいぶ違うように思います。でも、司は基本、似たタイプが多いような(笑)。その中でも、私の書く司はどうしても、優しい系なんですよね。道明寺司の魅力?も感じて頂けて、こちらこそ、嬉しいです。

み●様
塚狭さんにお気の毒と言って下さったのは、み●さんだけですよ(笑)。白鳥のお嬢さんも、司に会いたかったでしょうね~。でもね、やっぱり、司にはつくしちゃんなので、残りの二人でまとまってもらいましょうか(笑)。

ふぁいてぃ~んママ様
月曜日に仕事モードに入るのは辛いですよね。分かります。私は月曜がいつも激務でして・・。ママさん、いつも、西田さんに優しいですねぇ。西田さんが如何に迅速に対応したか・・。この辺は飛ばしちゃうつもりでいましたが・・(笑)。番外編?(笑)。←毎回、番外編書いてる気がします。

ま●様
こんばんは~。司、グイグイ行ってますよ!どうなるか?是非、楽しんでください。とか言って、私も展開考えてないので、書きながら・・になりますが・・(笑)。

長編にはならない予定ですが、まだ終わりが見えていません。
とにかく、明日も更新したいので、今から頑張ります!
では、明日もAM5:00目標で!(寝ちゃったら、ごめんなさい。)

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/06/26(月) 17:45:59 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

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  1. 2017/06/26(月) 17:00:34 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/06/26(月) 15:39:43 |
  2. URL |
  3. のだめまま
  4. [ edit ]
Happyendingさん、こんにちは ☁️
司、初っ端から飛ばしますね〜(笑)
食事を一緒にすることで、司の気持ちが、一目惚れから又一歩、近付いているんですね!
当のつくしは、どんな風に司に惹かれていくのでしょう?
大人のつかつく、楽しみです♡♡

こんにちは。

  1. 2017/06/26(月) 13:06:56 |
  2. URL |
  3. じゅんこ
  4. [ edit ]
新シリーズありがとうございます☆
最初から普通に見てたのですが状況判断してる間に3話まで来てしまいました( *´艸`)

全くの知らない所から野生の勘ってやつですね。
黙ってるよりつくしにビビっと来ましたって言えばいーのにね(笑)
司がつくしに惹かれるのは必然的なんでしょーねぇ。
こんな出会い素敵です❤️
続き楽しみにしてますね(*^^*)

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  1. 2017/06/26(月) 09:51:57 |
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  1. 2017/06/26(月) 07:56:16 |
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  1. 2017/06/26(月) 07:43:26 |
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