花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

「なんだ、ここは。」

牧野に連れられて歩くこと3分。
どうやら、そこは、牧野のマンション近くの小さな店。

「なんだって、何よ。」
「ちょっと待て。」
さっさと店の中へ入ろうとする牧野の肩を掴もうとしたが、敢え無くするっとかわされた。

「待たなーい!おじさーん、こんばんはー!」

牧野は俺の制止なんて軽く無視して、暖簾をくぐる。
仕方ねぇ・・。
俺も後に続くしかなかった。

小さい店の中は、すげぇ狭い。
座席も少ししかねぇし、しかもすでに満席だ。

「道明寺、ここ、空いてる。」

そう言って牧野が、おいでおいでとするので近寄れば、店の端っこのカウンター席が2つ連続で空いていた。

マジか・・。

さっと座った牧野が、店のオヤジと馴れ馴れしく話し出す。
「おじさん、いつもの頂戴。」
「あいよ。今日は砂肝がお勧めだよ。」
「じゃあ、それも。」
「なんだい、つくしちゃん、今日はえらいイケメンと一緒じゃないか。」
「うん。友達なの。」
「・・・へぇー・・・・。」

俺の睨みにビビったオヤジが、コソコソと奥へ消えて行った。
しかし、牧野の奴、すげぇ慣れてんな。
いつもは誰と来てんだよ。

「道明寺は?何か飲む?」
「お前は?」
「うーん。いつもは飲まないの。焼き鳥と、お勧めのお惣菜食べて帰るの。すっごく美味しいのよねぇ。あ、道明寺が飲むなら、1杯ぐらいは付き合うよ。」
「じゃあ・・どうすっかな。シャンパンとか・・は・・ねぇよな・・。」
「バカねぇ。ある訳ないでしょ。これ見て。ビール、日本酒、焼酎、どれ?」
「じゃあ、日本酒。」
「おじさーん、冷酒、1本お願いしまーす。」

あれよ、あれよ、と牧野のペース。
店のシステムが分かんねぇ俺が、出る幕はねぇ。


俺は寝ずのロシア出張から帰り、直で牧野の事務所に向かった。
ずっと牧野に会いたくて、我慢するのに必死だった。
途中連絡を入れようかと何度も思ったが、牧野の声を聞いたら、仕事に集中できなくなると思って止めた。
ババァが振ってきた案件を完璧にこなして、今後は文句を言わせねぇ。
それだけのために、頑張った3日間だった。

空港から名刺に書かれていた事務所に向かうと、事務所の電気はまだ付いていて、こっそりのぞくと、丁度牧野が仕事を終えた様子で、片づけを始めたところだった。
久しぶりに見る彼女。
やっぱ、いい。
一目見ただけで、疲れが吹っ飛んだ。


「乾杯。」
小さなお猪口に、牧野が冷酒を注ぎ、小さく乾杯をする。

初めてのデートがここかよっ、と少しだけ落ちた気分が一気に上昇していく。

どうしてかって?


狭いカウンター席の隣同士。
固てぇ木の椅子に座った俺ら。
牧野の視線がすげぇ近い。
どんな一流レストランでも叶わない距離。
すぐ隣の、肩が触れ合う位の場所に牧野が座っている。
肘が当たるのは、当たり前の近さ。
牧野が動く度に、牧野のシャンプーの香りが漂ってくる。

すげぇ・・いい。

焼き鳥ってやつを、櫛から直接食ってる牧野。
モグモグ動いている口にそそられる。

こいつ、肌綺麗だよな。
化粧してんのか?

「あ・・道明寺。全然食べてないでしょ。」

牧野と目が合う。
近すぎて、声も出せねぇ。

焼き鳥なんか、食ってられっかよ。
俺はお前を見てるだけで精一杯だ。

「道明寺、レバー食べなよ。」
「いらねぇ。」
「どうして?体にいいんだから。そんなにおっきい体なんだから、ちゃんと食べなきゃダメ。」

そう言う牧野の箸には、レバーの煮物。
俺は牧野の手首を掴み、牧野の箸からレバーを口に入れた。

「うげっ。」
「ぎゃっ。」

同時に声をだして、見つめ合い、同時に笑う。

「ちょっと!ちゃんと、お箸あるでしょう?自分で食べなさい。」
「嫌だ。」
「我儘。」
「我儘で結構。」

ちょっと怒った風な牧野だが、やっぱり笑ってる。


あのよ。
これが、恋人同士じゃなくて、一体何なんだ?
周りのオヤジたちも、俺らのこと羨ましそうに見てるじゃねぇか。
友達だなんて思ってんのは、はっきり言って、お前だけだ。牧野。


「美味しくなかった?」
「いや。」

ちょっと頬が赤くなった牧野が、上目遣いで俺を見る。
めっちゃ、近い。
めっちゃ、可愛い。

この肉が上手いかどうかなんて、はっきり言って分かんねぇし、どうでもいい。
隣に触れ合う位の距離で、牧野と一緒に食事をしてるってってだけで十分。

こんな女いるんだな。
店なんてどこでもいい。
食い物も、酒も、何だっていい。
隣にこいつがいてくれれば・・・。

やべぇ・・俺は、ますます彼女にはまってく・・。



終始牧野のペースで食事を終えた。
ゆっくりと歩きながら、すぐ近くにある牧野のマンションまで送っていく。
本当はもっと一緒にいてぇけど、今はまだ、その理由がない。
それは、俺らが単なる友達関係だから・・。


牧野のマンションの前。
牧野が小さな声で言った。

「今日、来てくれてありがとう。楽しかった。」
「俺も。」

「また連絡する。次は、俺が店決めるからな?」
「あは。あんまり高級なところはやめてね。緊張しちゃう。」
「俺だって、今日、付き合っただろ。文句言うな。」

そう言うと、牧野がじーっと俺を見つめた。

「あのね。帰っちゃうかと思った。」
「あ?」
「道明寺、帰っちゃうかと思った。お店見たとき。」
「帰る訳ねぇだろ。」
「ん・・ありがとう。」

それは、何のありがとうなんだ。
お前が好きな店に付き合った。
それだけの事だ。大したことじゃない。
好きな女の世界に飛び込んでいくこと。
それって、全然苦痛じゃねぇよ。


牧野が、じゃあね、と言って手を振る。

キスしてぇ・・
そう思うが、まだできねぇ。

何故なら、当然、俺らは友達だから。


はぁ・・。


早くこの関係を進めねぇと、俺は死んじまうかも知れねぇ。

何とか理性をかき集め、牧野に手を振りながら、そう思った。



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いつも応援ありがとうございます。
明日はお休みして、次回は月曜日AM5:00に更新予定です。
どのぐらいの話数になるのか、全く見当が付きません。
気長にお付き合いいただけたらと思います。
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  1. Switch(完)
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

こんばんは~!

  1. 2017/07/01(土) 22:00:06 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます!

はぁ~。ダメだ。書く気になれない。
続く話が思い浮かばない・・。月曜日に間に合うかな・・。


スリ●様
押せ押せで行きたいですよね。うん。私もそう思うんですが、つくしが・・。だいたい、いい大人が、友達からってところが難しかったかな・・(汗)。明日、ぱーっと浮かんでくれることを祈ります。

he●様
ご期待に添えてますか?それは良かった。自分んでは、何が書きたいのかよく分からなくなっていて・・このお話。困った、困ったです。

H●様
司死んじゃったら大変ですねっ!レスキューしなきゃ。しかし、どうする?どうする??

今週末はバタバタしているし、お話も思い浮かばないし・・ですが、
一応、月曜日更新を目指します。
ではでは、皆様もよい週末を~!

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/07/01(土) 10:33:18 |
  2. |
  3. [ edit ]
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