花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

このお話は、『もしも、あたしがお嬢だったら・・』の司サイドになります。
***




名家の奥方が集まる婦人会ってやつに、ババァの命令で参加した牧野。
池に落ちてずぶ濡れになったと、滋から連絡があった時には驚いた。
慌てて会社から邸に戻ると、滋が応接間で待っていた。
高熱でベッドに寝ていた牧野にキスをして、俺は一旦応接間に戻った。

「司、黙っとくのも嫌だから言っておくけど。」

滋は、俺をちょっと睨みながら、ソファに座れと促した。

「なんだよ。」
「つくしが池に落ちた理由。」
「何があった?」
「予想付かない?」

ふぅ・・。
俺との婚約発表後でさえ、牧野への陰湿な虐めがあることは知っていた。
婦人会とやらも、その危険があると思ったから、滋と行かせたんだ。
俺と一緒の時はいい。
だが、俺も常に一緒にいてやれるわけじゃねぇ。

俺の妻となる、庶民出身の牧野。
滅茶苦茶幸せにしてやりてぇのに、こいつには苦労をさせちまう。

「おば様方とお庭の散歩をしていたのよ。ほら、つくし、司のお母さんに慈善事業任されてたでしょ。その時に知り合った方とね。」


牧野は、今、花嫁修業として、うちの邸で暮らしている。
3ヶ月前に仕事を辞めて、来月に俺との結婚式を控えている。
うちのババァから、道明寺の慈善事業を任されて、今日の婦人会もその繋がりだったはずだ。

「つくし、凄く頑張ってるよね。事業のこととか、色々聞かれてもさ、全部答えてて。きっと、御婦人達も驚いたと思う。」
「頑張りすぎなんだよ、あいつは。」
「司のためだよね。」

そうだ。俺のため。
俺に見合う女になろうと、牧野は努力している。
本来なら必要ない苦労をさせちまっている。
俺のために。


俺はかつて、自分と付き合う女に苦労なんかさせるはずはないと思っていた。
この俺の、道明寺財閥の後継者の女だ。
何でも、与えてやれる。
金で買えるものは全て。
彼女が欲しいというものは全て与えてやれると思っていた。

だが、俺が惚れて、惚れて、惚れまくり、
やっとの事で手に入れた女は、俺との付き合いで苦労を背負い込んじまった。


「あの女が来てたのよ。ほら、去年、つくしと婚約発表する直前に司と噂になった、久我家のお嬢様。」
「誰だ、それ。」
「あんたはそんなだけど、みんな噂してたのよ。旧華族の久我が道明寺財閥を掴み損なったってね。」
「掠りもしてねぇぞ。」
「・・はぁ。実際そうかもしれないけど、その女からしてみたら、つくしは邪魔者じゃない。逆恨みしてんのよ。だから、つくしに言ったの。“道明寺様は、庶民の女性が珍しかったんですね”ってね。」

「それで?」
「つくしはさ。曖昧に笑って、その場を流そうとしてた。」
「で?」
「つくしが相手にしないもんだからさ、その女がどんどんエスカレートしちゃって。それで、ごちゃごちゃつくしの悪口をまくし立ててるうちに、足を踏み外して、池に落ちそうになったのよ。皆んな、あっ、危ないって気づいたけど。」
「で、何で牧野が落ちたんだ?」
「つくしが、その女を庇って、自分が落ちたの。」


はぁ・・・
如何にも、牧野だな。
自分の悪口言われてんのに、その女を助けちまうだなんて。
そんで、お前が落ちてどうすんだ。



この邸に入り、マナー全般から、歩き方に至るまで、徹底的にレッスンを受けている牧野。
昨日だって、すげぇ気合入ってた。
ババァに言われて参加する集まりで、粗相しないようにってな。

最近の牧野は、俺に恥をかかせたくないとか、失敗したくないとか、かなりナーバスになっている。
披露宴が近いこともあるし、プレッシャーは半端ねぇんだろう。

「何もしなくていい」って言ったって、聞きやしねぇし。

あんなに張り切ってたのに、池に落ちるとはな・・。
さすがの牧野もショックだったよな。
熱まで出すなんて。

久我か・・・・抹殺だな。


「話はそれだけ。あ、うちは、久我との取引、止めるからね。」
「お前んとこは関係ねぇだろ。俺が留め刺しとく。」
「つくしには内緒よ。言わないでって言われてんだから。」
「おう。サンキュな、滋。」




滋が帰ってから、俺はまた寝室に戻った。
少し熱が下がってきたのか、牧野は幾分気分が良さそうだ。

「牧野、大丈夫か?」
「ん・・・道明寺?」

俺の言葉に反応した。


「道明寺・・・もしも、あたしが、お嬢だったらさ・・・」


もしもお前がお嬢だったら・・
だったらどうした?
そうだとしたら、何が変わる?

俺がお前の事を好きで好きで仕方なくて、
プロポーズしまくって、やっと受け入れてもらえて、
来月、結婚しようっていうこの状況が変わるとでも?


「お前がお嬢であろうがなかろうが、お前は道明寺つくしになる運命だ。心配すんな。」

それ以外の未来なんてあり得ない。

そう言ってやったら、牧野は安心したように目を閉じた。
ったく、余計な心配なんかすんなよな。
俺は、目の前にお前がいる限り、
追いかける運命なんだからよ。




だけど・・・
もしも牧野がお嬢だったら・・・・?

牧野の髪を撫でながら、俺もふと別世界に思いを馳せた。




***



英徳の卒業プロムなんて、出るつもりはなかった。
だが、総二郎にまで最後だから出ようぜと言い寄られ、仕方なくて出かけたそのパーティ。

相変わらず、俺の周りに群がる女狐たちにウンザリだ。

帰ろうかと思ったところで、
会場内に現れた女に目が止まる。


ピンクのドット柄のソワレから伸びる、すんなりと細い手足。
豊かな黒髪にはウェーブがかかっていて頰の横で揺れている。
意思の強そうな瞳。
吸い込まれそうだ。


___超可愛い。

ほらな。やっぱ、一目惚れだ。


だが、どうやら俺らに興味がなさそうなその女は、料理に目を走らせている。

そんな女をダンスに誘おうとした男がいた。
俺が、ギロリと睨むとどっかへ消えた。

もっと近付きたくて、その女の方へ足を向けた。
すると、女も、女友達に腕を引かれ、丁度こちらへ向かってきた。


ドスンと体当たりしてきた女から、仄かに香るフローラル系の香り。
香水じゃねぇ、心地よい香りがした。


もしも、お前がお嬢だったとしても、
やっぱ俺らは出会う運命だ。

そんで、俺がお前の虜になるのは、もう宿命。



俺を見上げる牧野。
俺はお前に釘付けだ。

やっぱ、お前なんだよ。
俺の目に映るのは、お前しかいねぇ。



で?
なんだよお前。
お嬢になっても、俺に媚び売ったりしねぇんだな。
お前もお嬢なんだから、自分のステータスとか気にしろよ。
隣に並ぶのに、俺以上の男なんているはずねぇだろ?

何だよ、やっぱり、飯にしか目がねぇのかよ。
綺麗な食い方してんのに、食い物を見る目が輝き過ぎだ。
俺たちF4よりも食い物がいいとか、勘弁しろよ。
結局、俺がお前を追いかけるしかねぇだろうがっ!


ああ、そうだな。
もしも、お前がお嬢だったら・・・
俺は、お前に追いかけられてぇな。

「道明寺さん、一緒に踊って下さい。」とかよ。
「道明寺さん、この後お暇ですか?」なんてよ。


・・・って、ねぇわな。

それでも俺のレーダーは牧野にしか向かわない。


追いかけて、追いかけて、追いかけるしかねぇ。


なのに・・

「あんたの恋人とか苦労しそうだから嫌。」

痛ってぇ。

俺からのプレゼントは喜ばねぇし。
俺と付き合えば苦労するだと。

俺には、どんな力でもあるはずなのに。
本気で惚れた女は幸せにできねぇなんて。
そんなのありかよ。


なぁ、なんでも話してくれよ。
俺が出来ることならなんでもしてやる。
俺が絶対にお前を守るから、俺のそばにずっといろよ。


どんなに逃げたって、
地獄にだって追いかけてやる。
俺はお前を手放せないんだ。
それぐらい、お前にイカレてる。




***



「早く結婚してぇな。」

大好きな牧野の黒髪に、そっと手を滑らせる。
こいつは、案外これが好きだと知っている。

俺の大切な牧野。

苦労させると分かっていても手放せない。

俺からのプレゼントに迷惑そうな顔をする。
はっきり言って、俺という男はこいつにとってはお荷物らしい。

結局、今の俺がこいつにしてやれることは、
こいつを陥れようとする馬鹿な輩を排除することぐらいか・・。

それでも、来月、正式にこいつを妻とすれば、もう少しは守ってやれる。
疎んじていた「道明寺」の名前も、少しはこいつの盾になる。



でも、待ってろよ。
俺はこれから、もっともっと力を付けるぜ。
もっともっとデカイ男になる。

将来言うセリフは決まってるんだ。

『今の俺がいるのは、全て妻のおかげです。』


そう言って、お前を感動させてやるから。

だから、それまで
どんなことがあったって、俺のそばから離れるな。




牧野の額にキスを落とすと、彼女がうっすらと瞳を開いた。

「道明寺・・・ずっと、ここにいて。」

寝ぼけた彼女が俺のシャツを掴む。


なぁ、もしも・・
もしも、お前がどこかのお嬢だったとしても、

きっとお前は素直じゃねぇし、
お前の望むものは、金で買えるものじゃないのかも知れないな。
それでも俺はお前を好きになって、絶対に手放さねぇから、
絶対にお前に苦労をかけると思う。

だけど、お前は俺の妻になる運命で、
それはどうしたって変わらない。


なぁ、牧野。
この世の中で、俺が欲しいものはただ一つ。

お前が側にいてくれたら、他には何もいらねぇんだよ。


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なんとなく、司サイドも書きたくなりました(笑)。
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  1. 短編
  2. / comment:3
  3. [ edit ]

こんばんは(*^^*)

  1. 2017/08/04(金) 22:01:22 |
  2. URL |
  3. Happyending
  4. [ edit ]
いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
司サイド、題名がなんかおかしいけど(笑)。
直前まで、「もしも、こいつがお嬢だったら・・」だったんですが、なぜか急に変えたんですよね。あの衝動はいったい・・(笑)。

さてさて
スリ●様
いえいえ、全然考えてなかったんですよ。ふっと、こんなお話もいいなぁと思ったのを書いてみたんです。司サイドは、つくしちゃんサイドを書くときに、司なら・・と思いつつ、池に落ちた理由とかも一応は考えつつ書いていたので、思い切ってかこうかな・・と。時間もかけてないです(^^;;えへへ。

童●様
ええっ?そこですか?つくし、司ときて、まさかのお嬢様への復讐編(笑)。考えてなかったなぁ(笑)。そうか、では、またいつか、つくしが見てないところで、がっつり復讐する司でも書きましょうか・・。いや、かなり難しいかも!

ふぁいてぃ〜んママ様
楽しんでいただけて良かったです(笑)。いや、時間があったら書きたいなぐらいのつもりだったのですが、書けたのでアップした感じで・・。でも、そうですよね。言いたい輩は常にいる。つくしのことは、きっと司が守ってくれるでしょう!ママさんの応援も伝わってると思いまーす。あ、私に・・なーんて(笑)。

H●様
司に癒されましたか・・。H●様・・きっとすごく疲れているんですよ。でも、私も結構疲れてる(^^;;二次書くのが癒しでもあるのですが、腰は痛いし、子供は夏休みだし・・。なかなか時間が取れないです。定期的にアップ 出来ていませんが、また覗いてくださいね〜。


明日の夜に、一風変わったお話をアップしたいと思っているんです。今晩は、間に合わないと思うから。
結構、怖いお話かも・・・。
こっそり覗いていただけたら・・と思います。
怖すぎて、アップやめちゃったらごめんなさい・・ですが。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2017/08/04(金) 18:55:24 |
  2. |
  3. [ edit ]
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  1. 2017/08/03(木) 23:47:56 |
  2. |
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