花より男子の二次小説。CPはつかつくonlyです。

With a Happy Ending

このお邸で、あたしは本当にすることがない。
道明寺司には初日に会ったっきり、その後3日経つけれど、全く顔を合わさない。
まぁ、その方が都合はいいんだけれど、とにかく暇!
あんまり、おおっぴらに道明寺家から外出するのも憚られるし。
持って来ている勉強道具とか、本とかで時間をつぶしてはいるものの、本当にもう、限界かも。
あたしは元々貧乏学生だから、バイトをしたり、家事をしたりと体を動かしていないとダメみたい。

コンコンっとノックの音。
「お部屋の掃除に参りました。」

・・・
この時間になるといつも部屋にお掃除が入る。
ベッドメイキングもしてもらえるし、洗濯もしてくれる。
でも、やっぱり・・・

「あのっ、お掃除、自分でしてはだめですか?掃除機貸していただけます?」
メイドさんが驚くのを横目に、あたしはどんどん掃除を進めていった。
あわてたメイドさんが、タマさんを連れて戻ってきた。

「お嬢様、こんなことをされては。」
「だって、花嫁修業にきたのでしょう?だったら・・」
「道明寺家では、女主人となる方が掃除をなさるようなことはありません。」
「それなら、何をしに来たのかわからないじゃないですか。」
「しかしねぇ。」
「せめて身の回りのことだけでも、自分でやらせてください。」
「・・・。面白いお嬢様だねぇ。けれど、奥様からも好きにしてもらうようにと言われているから、どうぞお好きなように。」
「はいっ!」

それからのあたしは、掃除に洗濯、さらには厨房に入り浸ってお料理を教えてもらったりと、花嫁修業を満喫することになった。


*****


「坊ちゃん。今日は出かけられないのですか?」
「あ?タマ、なんかあんのか?」
「滋お嬢様のことですよ。」
「あぁ、あいつ。なんかあったのか?」
「ぷっ。あの方は、案外坊ちゃんとお似合いかもしれませんけどねぇ。」
「・・・?」
「先日から、花嫁修業だといって、掃除や洗濯、料理まではじめていますよ。
それは楽しそうに。タマは、気に入りましたよ、滋お嬢さんのこと。」
「何言ってんだよ。ババァが送り込んできた女だろうが。」
「本人は、この見合いを受ける気はないそうじゃないですか。」
「・・・。」


確かに、あいつは初めから見合いを受ける気はないと言っていた。
好きな奴と結婚したいとか・・。
俺たちの世界では通用しないようなことを言っていたな。
俺だって、昔は思っていた。
道明寺を継ぐとしても、結婚は好きな女としたいとか、そんな夢物語。
けれど、それは現実にはあり得ないことだと、徐々に理解するようになった。
あいつだって、大河原の娘なんだから、分かっているはずだ。

でもあの時、そんな夢物語をいうあいつが、なんだかとても儚く見えて、守ってやりたくなった。
だから、眠っているあいつを抱き上げて、部屋まで運んだんだ。

あいつらは俺のことを冷やかしていたが、別に恋愛感情ってわけじゃない。
けれど、なんだか、あいつの純粋な言葉が胸に響いて、
大事なことを思い出させてくれたような気がして、
あいつを大切に扱いたくなったんだ。
ただ、それだけだ。




タマに言われて、あいつの様子を見に行くことにした。
ほんの気まぐれだ。
あいつは調理場にいるらしいと聞いたが、そんな場所行ったことがない。
タマに案内されて向かうと、メイドたちがおどろいた顔をしてお辞儀をしてきた。

中から、女の声が響いてくる。
「わぁ、すっごい!パンケーキも、こうなると芸術品ですね。」
はははっ。と笑い声が聞こえる。

「トッピングは滋様がなさいますか?」
「はい。良いのですか?」
「なさりたいのでしょう?」
「へへへ。ばれました?」
「どうぞ!」

楽しそうな声とともに、甘ったるい匂いが充満してくる。
俺は甘いものは嫌いだから、とてもこの場にはいられねぇ。
出なおすか・・・と思いながらも、中を覗いてみる。

三角巾をつけた、エプロン姿の女が、楽しそうになにやら作業をしている。
その姿があまりに幸せそうで、思わず俺も微笑みそうになった。
って、何だよ俺。

「つっ、司様!」
俺に気が付いたパティシエの声が聞こえた。
あわてて、顔を引き締める。

「お前、ここで何してんだよ。」
「なにって、お菓子作りを教えてもらっているのよ。」
「なんでだよ。」
「・・・花嫁修業?っていうか、あたし、料理好きだから。」

「滋様は、とってもセンスがよいですよ。」
とパティシエが合いの手を入れてきた。

皿をみれば、生クリームやフルーツでデコレーションされた、パンケーキ。
驚くことに、結構うまそうに見える。
しかし、俺の口から出た言葉は、
「これぐらい、誰でも出来んだろ?」

むっとした女が言い返してきた。
「じゃあ、あんたもやってみなさいよ。」

うっ。
「ほら、出来ないんじゃない。」
「ちょっと、貸せよ。」
売り言葉に買い言葉、俺は、生クリームの絞り器をもぎ取った。

パティシエがパンケーキを持って来て、俺の前に置く。
はぁ。仕方ねぇ。
これを絞って、デコればいいのか。
はは~ん。なるほど。
結構面白れぇな。
俺は昔から、結構器用なんだよ。
なんて思いながら、自分が思うようにデコレーションを施す。
差し出されたフルーツも盛り付ける。

気が付くと夢中になっていたようで、
「あんた、なかなかやるわね。」
という滋の声で、我に返った。

「すっごく、おいしそう!」
そういって、笑う滋。
その笑顔を見て、俺は、思わず、イチゴを落とした。
そのイチゴは、パンケーキの中央へ・・。

それを見た滋が、笑いながら、
「それで完成?私のもできたから、一緒に食べよっか?」
と言ってきた。



あれよ、あれよ、と準備されたティータイム。
滋は、俺がデコッたパンケーキを、
俺は、あいつがデコッたパンケーキを、
一緒に食べた。

いつもなら、甘いものは一口だって食わねぇ。
けど、この日は、なんだか、あいつが嬉しそうにしているのをずっと見ていたくて、
パンケーキを完食していた。





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  1. 初恋
  2. / comment:2
  3. [ edit ]

コメントありがとうございます(^ ^)

  1. 2016/09/24(土) 05:00:34 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
つくし、馴染んじゃいましたね(笑)。
でも、中身はつくしであっても、司には滋と言う女性を好きになって欲しくない、
と言う、わがまま作者な私。
このお話を始めた時にはそこまで考えておらず、ちょっと後悔...。
いや、でも、最後まで、ちゃんと完結させます。はい!

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  1. 2016/09/23(金) 22:14:19 |
  2. |
  3. [ edit ]
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