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Happyending

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こんな事だろうと思ったぜ。

ドイツ赴任中から、この社長から、娘を紹介したいと言われてた。
今回の会食の申し出があった時にも、家族の同伴があるかも知れないと西田に伝えていたらしい。
確かに夫人も同席しているが、更に娘も連れて来てやがる。
ホント、鬱陶しいったらないぜっ。

まぁ、俺にとっちゃ、こういうことは日常茶飯事。
相手がこの社長でなければ、この場から立ち去っている。
けど、社長にはドイツ時代に世話になっているし、この男自体は話せる奴だということは分かっていた。

だが・・・チラッと隣を見ると、牧野が目を丸くしている。
確かにこの状況。
とてもビジネスの席じゃねぇよな。

かといって、こいつを帰らせたりはしねぇよ。
俺は、店の支配人そっちのけで目の前の椅子を引き、戸惑う牧野を席に着かせた。



俺が着席するなり、
「あら、こちらの女性は?」
と夫人が社長に訊ねた。
隣で社長は苦笑いをしている。
社長にしても、夫人からセッティングを強引に依頼されたようだ。

「司君、こちらの女性はどなただったかな?」
と英語ではなく、ドイツ語で話しかけられた。

「秘書の牧野です。私のパートナーです。」
「パートナーとは友人かい?」
「いえ、違います。」

バカか。
友人の訳ねぇだろって。

って・・痛ってぇ!
牧野に、太腿をつねられたっ。

だけど、次に牧野が口にしたのは、流暢なドイツ語。
さすがは英徳の才女と言うべきか。これぐらいは楽勝の様だ。

「司専務のビジネス上のパートナーとして同席致しました。道明寺が扱う航空エンジンの開発にご協力頂いたとのこと、当社の社長からも感謝申し上げるようにと言付かって参りました。」

さらっとババァの名前を出し、自分の話題はかわしやがった。

そこからは、機嫌を直した社長家族が、あれやこれやとどうでもいい話題をふってくるのを適当に流しつつ、運ばれてくる料理を口に運ぶ。

まぁ、俺の視線は牧野に集中してるから、話なんてあんまり聞いてねぇけど?
その分、優秀な牧野がオヤジたちの話に合わせてしゃべっている。
よくよく考えれば終始ドイツ語だ。
かなりのレベルで話せるらしい。
ビジネス上のパートナーとしても、かなりデキル女だということはすぐに分かった。
ババァが可愛がるのも頷けるってもんだ。


コースの終盤ににぎりが運ばれてきて、その中の大トロを口にした牧野の目が大きく開いたのを、俺は見逃さなかった。

「美味いか?俺のも食う?」
当然、ドイツ語で話しかける。

牧野はびっくりして、俺の膝をパチンと叩いた。
どうやら恥ずかしかったらしい。
ま、わざとだけど。
いいじゃねーか、好きなもん食っとけよ。
その上、俺らの仲をアピールできれば一石二鳥だ。

その様子を見ていた、向かい側の金髪女が言った。
「司さんと牧野さんは仲がよろしいんですね。とても、私が入り込む隙は無さそうですわ。ね、ママ。」

それを聞いた社長夫人も「そうね」と笑い出す。
夫人の目論見は外れたらしいが、その場は和やかなムードに包まれた。
牧野だけが真っ赤な顔で俯いて、それでも、俺が渡した皿にのっていた大トロをパクリと口にした時には全員が爆笑だった。


「司君は、どんな女性にもなびかないと有名だったのに、意外だったな。」
社長がそんなことを言ったから、

「好きになった女性には、尽くすタイプです。」
と答えてやった。

「そうか、理想的だね。で、君が尽くす恋人はいるのかい?」

「いえ、それはまだなんです。」

俺のその答えに、社長は面白そうに牧野を見て笑った。


俺は、これを牧野に向かって告げたつもりだが・・
隣でニコニコと微笑みながら、俺たちの会話を聞いている牧野。

果たしてこいつは、俺の気持ちに気づいているのか?



***



すっごくびっくりしたぁ。
専務は、好きになった女性には尽くすタイプ。
なるほどなぁ。
偶然とはいえ、凄い収穫だ。

そうよ、やっぱり、ゲイじゃないんだ!
そして、本気の女性には一途に尽くすタイプ。
恋人はまだいない・・かぁ。
これこそ、楓社長の知りたいことじゃないのかな。

私の任務は半分果たせたような気がするよ。


ほっとしていたら、またさっきの専務の言葉がリフレイン。
___好きになった女性には尽くすタイプ。

それってさ。
女性にとっては、凄くい嬉しいことだよね。
私は、まぁ、どっちかって言うと尽くしたいタイプかも知れないけど。
昔から自分が何とかしないと生きていけない生活を送ってきたから、尽くされるっていうのはなれてないかな。
でも、ちょっと憧れるかも・・・。

そう言えば、専務ってどういう女性がタイプなんだろ?



会社へ戻るリムジンの中、
私はチラチラと専務のことを見ていたらしい。

「なんだよ。」
と、専務が私を見た。

「えっと・・あの、ですね。」
「なんだっつーの。」

「専務は女性嫌いじゃなかったんですね。」
「あ?誰がそんなこと言った?」
「いえ、噂だったみたいです。」
「はぁ?」

こういうやり取りはぶっきらぼうなんだけど、専務は尽くすタイプって言うのは分かる気がする。
スーツの時も、ランチの時も。
どっちかっていうとグイグイ引っ張るタイプだよね。
そして、細かいところにまで手を回すタイプ。
私みたいに優柔不断な人間にとっては凄く羨ましい人だ。

今・・・
聞いてみようか?
そんな専務はどんな女性がタイプですかって。

そう考えたときに、

「お前はどういうタイプ?」
「え?」
「好きな男にはどうしてもらいたい?」
「ええっ?えっ・・えっと。」

まさか、こんなことを聞かれるとは思わなかった。
好きな人に、どうしてもらいたいか?
つまり、どんな人が好きかってこと?
そんなの良く分からないけどなぁ。

だけど、専務は答えを聞くのをすごく楽しみにしているみたい。

私は、好きな人にどうして欲しいんだろう?


「考えたことがなかったけど・・・。」
「けど?」
「うーん。そのままでいいかな。何にもしなくていい。傍にいてくれるだけでいいかなぁ。」

好きな人が傍にいるだけで幸せだよね。
何かをしてもらおうとか、そういうことは思わないな。

そんな私に、専務が意外そうな顔をする。
そう?そんなに意外?

「私、結構専務と似てるかも・・。」
「は?俺とお前が?」
「うん。だって、私、これでも、案外尽くすタイプだと思う。」

そうよ、そう。
高校の時からバイトに励んで家族を養ってきたし、
大学時代だって、そんな感じ。
楓社長には、どこまでもついて行きたいし。

そう言ったら、専務が口角を上げた。

「じゃあ、俺らはお似合いってやつだな。」
「なんで?」
「互いに尽くし合ったら、丁度いいんじゃねーの?」

へぇ。そんな事、考えたこともなかった。
お互いに尽くすかぁ。
そんな毎日だったら、大変な気もするけど・・
お互いがお互いを大切にするっていうことは理想的だと思う。
尽くすっていうのは、大切で、大好きだからだもんね。


「そうかも知れない。」
私は、自然とそう答えていた。

そうしたら、

「だろ?」
専務が私を見つめて、満足気に笑った。


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Posted by

Comments 4

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smaro  
消えました!

広告消えました!ありがとうございました!毎朝楽しみです。司くんが押せ押せな感じ大好きです。これからも頑張ってください。

2017/10/05 (Thu) 01:16 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは(*^_^*)

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
じれじれですね〜。すみません^^;
でも、これ、私が長々書いてるだけで、まだ秘書になって1日目のお話なんです(笑)。つくしちゃんを許してやって下さい。

スリ●様
うおぅ。どうにか・・どうにかしますよ(笑)。もうちょっとお待ちを。司君は頑張ってますね〜。本来の獰猛さを抑えて、鈍感つくしに付き合ってる。それも可愛いと思っちゃってるんだろうなぁと・・ダメ??(笑)

さと●様
優秀な秘書が、大トロパクリやるか〜(笑)。でもついつい書いてしまったんですよ。鈍感つくしが可愛くて。鈍感街道、早めに脱線させないと、読者さんから槍振って来そうです(笑)。でも、今ゆっくりモードだから、あんまり書く勢いがないんですよね〜。ダラダラダラダラ・・。すみません・・^^;

ふぁいてぃ〜んママ様
今朝は、寒かったですね。ジレジレ・・すみません。まだ1日目なので、こんなもんで許してやって下さい(笑)。パーティーは再来週と書いたから、それまでには!?えへへ。お楽しみに〜。

vi●様
おー。もどかしさ、大好物とっ!長編好きの方には、忍耐強い方が多いのかなぁ?


リレーのお話はほぼ書き終えました。
見直しなどまだやり残していますが、流れはきまったので、ほっとしています。異種CPリレーなので、合わないお話、合うお話いろいろあるかと思いますが、是非一緒に楽しんでいただけたらと思います。

2017/10/04 (Wed) 21:41 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/04 (Wed) 12:08 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/04 (Wed) 08:11 | EDIT | REPLY |   

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