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Happyending

Happyending

英国のマナーハウスを真似たイングリッシュガーデン。
この時期に咲くバラの花はピンク色でとても綺麗だった。
アンティークな内装が素敵なパーティールーム。
高い天井から釣り下がる、豪華なシャンデリア。
まるで夢のような世界。

パーティーと言えば、メープルのホールしか経験が無かった。
こんなに素敵な場所だなんて、ドキドキだよ。
私は一度大きく深呼吸をした。
周囲には、着飾った紳士・淑女たち。
こんなところに鈴木さんと来るなんて、初めからあり得なかったんじゃないの?と今更ながらに思う。
専務をリードするどころじゃなくて、専務に腰を支えられていないと倒れちゃいそう。
だけど、頑張って前を見る。


すれ違う人たちと挨拶を交わす。
頭に叩き込んできたはずだけど、やはり人物が一致しないこともあって戸惑っていると、専務がスペイン語だったり、フランス語だったり、いいタイミングで挨拶をして、さらっと名前を教えてくれたりする。私ってば、全然パートナーとしての役割が果たせていないわ・・。

専務が止まる所には自然と人が集まり、また行く先は道が開かれる。
道明寺司・・・やっぱり凄い人なんだなって、改めて思った。

今日のパーティーの主催者である、カリフォルニアのワイン畑を所有する会社の社長に挨拶をした。これも絶対に欠かせない仕事だから、まずはクリアしておかなきゃ。

「道明寺さん、ようこそいらっしゃいました。」
「お招きに預かり光栄です。」
さらりと専務が挨拶を返した。
私は隣でニコニコと微笑んでる・・つもり。

「失礼ですが、こちらの女性は?」
うっ・・やっぱりそう聞かれるよね?

「彼女は私の・・・」
「専務秘書の牧野つくしと申しますっ。」
専務が言おうとすることを遮ってしまったら、ギロッと専務に睨まれた。
だって、仕方ないじゃない?

そこから型通りの挨拶を繰り返し終了。
ほっとした途端に、専務に壁際に連れて行かれた。

「なんだよ、フィアンセだって言わせねぇつもりか?」
「まだ、そんなこと言える訳ないでしょ?ちゃんと考えて!」
「考えてるっつーの。」
「まだ、社長に認めてもらってないんだから。少なくとも、このパーティーできちんとパートナーができないときっと認めてもらえないよ。」
「しかし、ガキじゃねーんだから、親の了解とか必要ねぇと思うんだよな、俺は。」

今更、何言っちゃってんの?
だって、私だってそう思うけど、相手が専務だからそうなっちゃうんでしょ?
    
「俺のせいじゃねーよ。お前が考えすぎなんだ。」
「絶対違うと思う。」
「いや、考えすぎ。」

そんな言い合いをしているのも、目立ちそう。
だって、少しでも専務に近づきたい人たちが後を絶たず、こちらをチラチラと見ているもん。


そう思っていたところで、パーティースタートのアナウンスが流れた。

その場にいる全員に、ワイナリーお勧めの赤ワインと白ワインが運ばれてくる。
専務は赤ワインを受け取って、私に渡そうとしたけれど、

「・・・やっぱ止めといた方がいいな、お前は。」
「うん、今日は止めておく。」

自分でも、お酒に弱いことは十分わかってるし。

「ねぇ、けど、ワインを頂かないと失礼に当たらない?」
と専務に耳打ちしたら、
「とりあえず乾杯だけして、あとはテーブルに置くか。」
と言われ、うんと頷いた。

それから、専務が呆れたように、
「お前さぁ、そんなんで、よく鈴木と出席しようとか思ったよな。俺が一緒じゃなかったら絶対にヤバかっただろ?」

うーん。確かにそう思うんだけど・・・

「だって、社長が言ったんだよ。鈴木さんと一緒にって。」

「そもそも、それがおかしいんだよな。なんで、このパーティーに行くのがお前と鈴木なんだ?厳しくチェックされた奴らしか招かれないクローズドの会だぜ?いくらお袋が招待されていたにしても、代理がお前とか、ましてや鈴木だなんてよ。」

「うーん。私も、今考えたら可笑しいと思うんだよね。こんなに一流の方たちのみのパーティーだなんて思わなかったから。いくら、メープルに招待状が来たとしても、私がなんて・・ねぇ?」

本当にそう思うんだよね。
なんで社長は、私に挨拶してくるように言ったんだろう??


そんなことを疑問に思っているうちに、乾杯となり、あちこちでグラスがかち合う音が聞こえ始め、盛大な拍手が沸き起こった。

私たちの周りにも、多くのお客さんがグラスを持って現れる。
次々と挨拶を交わしていると、ホール入り口がざわめき始めた。


さっとそちらに目をやると、
褐色の肌の男性と活発なイメージの女性の美男美女カップルが入って来る。

あれは・・・アスハル氏だ。
資料によれば30歳。
パートナーは、大河原財閥のご令嬢の滋さん。


もしかして、二人もこちらに気付いたかな?
滋さんがこっちを見た気がする。
どのタイミングで挨拶に行けばいいんだろう?
と思っていると、専務が言った。

「後でいい。少し歩こうぜ?」

ええーっ!?なんで!?
アタフタしている私を、隣の温室へ連れ出そうとする。
ビジネスで来てるのに、出遅れてどうするの?・・と思うけど、すでにアスハル氏は何人もの人々に囲まれてしまっているから、もう少し時間を置いた方がいいのかも知れない。


社長の言葉を思い出す。
『パーティーでは、周囲の状況を冷静に判断できる優秀な女性が必要なの。』

専務が交渉しやすいように、周囲をチェックする。
必要に応じて邪魔だと思う人間をその場から移動させたり、必要だと思う人物を足止めしたりしなければならない。
そして、今回のパーティーのターゲットの一人、アスハル氏が到着した。

私がここでしっかりしなきゃ、
専務との未来はない・・・。
がっ・・頑張らなきゃっ!



***



パーティーが始まり、主要な挨拶を済ませた後、俺たちは広間から続く温室に来ていた。
バラをはじめ季節を感じさせない花々とグリーンで溢れる温室。
会場よりも温かいから、薄着の牧野にも丁度いい。
こいつはワインも飲めねぇし、どうせならこっちの方がいいだろ?
主要なメンツには挨拶を済ませた。
あとは今日の目的の奴らのみ。
追いかけるだけが能じゃない。
向こうから来させるぐらいじゃねぇと・・・特にアスハルは。

「ねぇ、あっちに戻った方がいいんじゃないの?」
「いいんだよ。必要な奴は、向こうからくる。」
「・・・え?」

牧野は完全秘書モードに入り、アスハルの登場とともに緊張もピークの様だ。
心なしか顔をもひきつってる気がする。
けど、アスハルとの取引は今日決着できるようなもんじゃねーし、こちらが目の色変えて追いかけるのも印象が悪い。
ビジネスとは、一種の駆け引きだ。
今日はリラックスしとくのが一番いい。


「一口だけ飲んどけ。」
そう言って手に持っていたワイングラスと牧野に渡す。

「え?」
「いいから、一口だけだぞ?」
「う・・・うん。」

コクンと一口だけ、舐めるように飲んだ牧野をみて、またグラスを取り返した。
それから、一気にグラスを空け、近くのテーブルに置く。

「緊張するな。」
「そんなこと言ったって・・・。」
「デートだと思えよ。二人きりなんだぜ?」
「二人きりって言ったって・・お客さんはたくさんいるでしょ?」
「俺は早く帰りてぇよ。ロスのメープル、結構いい部屋だぜ?バスも広いし、楽しみだな。」

そう言ってやれば、牧野は一気に耳まで赤くなって、ボカッと俺の胸を叩いた。

「もう~!!そんなこと言ってたら、西田さんに怒られちゃうんだからねっ!」
「お前が言わなきゃ、伝わらねぇよ。」

チュッと、牧野の頬にキスをした。
綺麗に口紅の引かれた唇はやっぱまずいだろ?
もう、もう~っ、とか言って、牧野がポカポカ叩いてくる。
少しは緊張が取れたみてぇだ。


その時・・・

「司、久しぶり~!!」


____来たな。

声の方に視線を向ける。

アスハルと滋が腕を組んでこちらへ向かってきた。


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いつもたくさんの応援をありがとうございます!
早く、終わりにしたいです!!
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Posted by

Comments 6

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Happyending  

拍手コメント返信です。
すみません、いつもと違う時間に珍しく返信していたら、書いた気になってました(・・;)

ふぁいてぃ〜んママ様
あはは。司に任せとけ〜〜(笑)でも、つくしですから(笑)。ご期待どおり、何かをやらかさないと…えへ。
長くなっても大丈夫ですか?ありがとうございます!
もう少しおつきあいをお願いします。

H●さま
良かった。楽しんで貰えて…ほっ。
もう、いいんじゃね?ていう方もいらっしゃるかなぁと思うのですが、自分で撒いた伏線は回収しないと終われません…。

ではでは、また!

2017/10/24 (Tue) 21:21 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは!

いつもたくさんの拍手をありがとうございます!
さてさて、役者はほぼ出そろいましたかね(笑)。
早く終わらなくてよいという方もいらして・・ありがとうございます。でも、もう、ねぇ?(笑)。両想いになっちゃったら、あとはどうする?って感じですよね・・・(;^_^A

スリ●様
滋さん、来ましたよ。一体何をやらかすやら・・。
彼女の行動は予想できません!(笑)。
コラボリレーも残すところあとわずかになって参りました。いつもコメントありがとうございます!!

ka●様
皆さん、滋を警戒していますね・・ニヤニヤ//
どうしようかなぁって、展開は決めたのでもう変更なしですが(笑)。
昨日は眠れましたか?
分かりますよ、うんうん。私も泣きました。
あちらはですねぇ・・メンバー全員が悩みながら書いた芥川賞モノの秀逸な作品ですが、もう、別な物語として割り切りましょう!
もっとあまーいお話をアップすればよかったなぁ・・・
繋ぎみたいなお話でごめんなさい(>_<)

さと●様
そうそう、尽くす男ですからね・・ププ。
カッチョ良いでしょ?(笑)。
この甘い司、OKですか?
いつも甘いから、凄い俺様書きたいです!ひそかに悩んでいる・・グルグル・・。


明日の朝までに1話と思っています。
なんとか完結に向けて頑張りまーす!

2017/10/24 (Tue) 18:12 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/24 (Tue) 14:26 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/24 (Tue) 11:47 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/24 (Tue) 01:11 | EDIT | REPLY |   
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2017/10/23 (Mon) 23:13 | EDIT | REPLY |   

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