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Happyending

Happyending

店を飛び出した俺は、とりあえず走った。
ジムでトレーニングする時以外、走るような生活なんてしていない。
どこに走ればいいのかも分からないのに、何かに突き動かされるように、俺は走った。

左手には俺のマンション、右手には東京メープルが見える。

どこへ行く?
どうすればいい?

『牧野もメープルがいいっつったらしくて・・』

1か月前に総二郎との電話から聞こえた言葉。

あいつら、メープルで披露宴をするのか?
それなら、まずは、それを止めるしかねぇ。
いや、絶対に止めてやる。

俺がメープルへ方向転換すると、キキィッと車が急停車する音が聞こえた。
どうやらSP達が俺の予期せぬ行動に戸惑っているらしい。
リムジンは返しちまったし、仕方ねぇ。

「乗せろ。」

SPが運転するクラウンに乗り込んで、メープルに向かわせた。

メープルに着いたらどうするか?
披露宴と言えば、ブライダルサロンか?
例え美作が相手だとしても、俺の一声で披露宴を潰すことなど容易だ。
いや、その前に婚約パーティーだったか?
そもそも婚約なんて、許さねぇ。


10分の会話をもぎ取るつもりが、必死に抑えていた何かが外れちまった俺は、すでにこの婚約すらも潰す気だ。
そうだ・・・俺はこういう男だった。
ウジウジ悩んでるなんて性に合わねぇ。

それに、俺は肝心なことを忘れていた様だ。
俺は牧野なしじゃ生きられねぇし、相手が親友だからって、あいつを譲れる訳などないってことを。
牧野がグダグダ言おうが、久しぶりにあの強烈なパンチを食らおうが、得意の回し蹴りを入れられようが、絶対に諦めねぇ。
自分勝手だと言われようが、何だろうが・・
それが、道明寺司っつー男だろ?
何のための7年だったんだ。
血を吐くような7年を無駄になんかしてたまるかよっ。

忘れかけていた熱い情熱。
7年間沈黙していた自分が生き返った。
自分を抑えて生きて来た7年間。
そうだ、俺は間違ってた。
初めから、こうするべきだったんだ。
地獄の果てまでも追いかけてやる・・・そう誓ったじゃねーか!



メープルの正面玄関に、他の車を追い越して無理矢理停車させた。
驚いたドアマンが駆け寄ってきたが、車から降りた俺の姿に直立不動になった。
そんな奴らに関わってる場合じゃねぇ。

ブライダルサロンは4階だったか・・
左右を見渡し、とりあえずエスカレーターに走った。


辿り着いた、4階ブライダルフロア。
そこには人気は全くなかった。
この階の店舗は全てクローズされている。
当然だよな・・・時刻は22時半だ。

ふぅーっと一つ大きく呼気を吐き出して、何焦ってんだと自嘲する。
この1か月動くことも出来なかったくせに、今更だぜ。
けど、今夜なら、あの焼酎を飲んだ勢いで、あいつに会いにけると思ったんだ。

俺以外の男を選ぶな、
結婚なんかするな、
俺がお前を幸せにしてやるから、
俺の人生をお前にやるから、
だから、頼む、俺のところに来いっ!

そう言って縋りついたって構わねぇと思った。


ブライダルサロンのガラスドアを背もたれにして、しばし考えを巡らせた。
諦めるつもりなんて更々ない。
さぁて・・・今からどうするかな・・・


じっと考えていた俺の耳元に、

____パタパタパタ・・・

と、小さな足音が聞こえた。
毛足の長い絨毯フロアだったから、接近するまで人の気配に気づかなかったが。

その方向を見れば、髪の長い女がこちらへ向かって走って来るところだった。


・・・・。
・・・・・・・。

息が・・止まりそうだ。

何故なら、
俺の存在に驚いて、俺の目の前で立ち止まった女、
その女は、


「牧野・・・」

「どう・・みょうじ・・・?」


どんなに年月が経ったって、見間違えるはずがない。
俺が好きで、好きで、今でも忘れられない女、

牧野つくしだったのだから。




何分そうしていたんだろう。
もしかしたら、数秒だったのかも知れない。
二人じっと見つめ合っていた。

先に口を開いたのは、牧野だった。

「あ・・えっと、ここで何してるの?仕事?」
「いや、仕事じゃねぇ。」

久しぶりの一言もなく、まるでつい昨日も会っていたかのように普通に話しかけられた。
首を左に倒して、「ん?」と眉間に皺を寄せて考え込んでいるこいつ。
そんな微妙な表情にもドキドキして、
やっぱ、俺にはこいつしかいねぇって強く思う。

「えっと、私はね・・・」
「牧野。」

何か言おうとする牧野を止めた。
こいつが何故、今ここにいるのか?
それは聞きたくねぇ。
ここはブライダルフロアだ。
まさか・・あきらと一緒なのか・・?



次の瞬間には、バッと牧野の右手を掴んで走り出していた。
久しぶりに触れる体温に胸が躍る。
生身の、本物の牧野に会えた。

「へっ?ちょっ、ちょっと、道明寺っ!」

我に返ったこいつが俺に向かって叫んでる。
戸惑った声なのに、俺はその懐かしい呼び声を聞いただけで舞い上がってる。

俺は、やっぱお前が好きだ。
好きで、好きで、どうしようもねぇよ。
あきらになんか、渡せるはずねぇだろっ。

一番奥にある、スイートフロア専用のエレベーターのボタンを押した。


「ちょっと、どこ行くのよっ。」
「俺の部屋。」
「へっ・・部屋っ!?なんでよっ。どーして、あたしがっ!?」
「うっせ、黙れ。俺はお前を探してたんだよ。」

キョトンとしていったんフリーズした牧野を到着したエレベーターに引きずり込み、最上階を目指した。

エレベーターは二人を乗せて上昇する。
俺は牧野の右手を掴んだまま、二人きりだ。

俺の目の前に24歳になった牧野。
ヒールを履いてるのか、記憶の中の彼女より少し視線が高い。
黒髪ストレートは変わらない。
髪、伸びたんだな。
出会った頃と同じぐらいか?
俺は結構長い髪が好きなんだぜ?
知ってたかよ。

無言のまま、ターゲットを観察する俺。
牧野も無言を貫いているが、俺が掴んでいる右手をこっそり外そうと苦戦中だ。
バカだな・・俺が外す訳ねぇだろ。
やっと捕まえたんだ。


あーけど、強引過ぎたか?
だけど、仕方ねぇだろ?
こいつ、可愛すぎだ。
ピンクのグロスとか塗るんじゃねーよ、キスしたくなるだろうが。
そんな襟の開いた服を着るな、俺以外の男に覗かれたらどうすんだ。
そんな困った顔すんな、もっと困らせたくなるじゃねーか。

って、俺は何を考えてんだ?
俺はまだ、こいつの恋人じゃない。
それなのに、再会したとたんに、俺の独占欲は半端ない。
そうだ、そうなんだ。
俺は気が狂う位に牧野に惚れてんだ。
今も・・・昔も・・・
この想いを抑えようとしていたなんて、どうかしてる。

そう思ったら・・・つい笑っちまった。

「ちょっと・・何笑ってんのよ。いい加減、手離しなさいよっ!」
「やーだね。」

やなこった。
俺はこの手を、もう絶対に離さない。
誰にも渡さない。



静かに到着したスイートフロア。
キープしている自分の部屋に、抵抗する牧野を引っ張って行く。

「本当に待って。何する気なの?困るよ・・。」
「話がしたいだけだ。10分だけ・・・いいだろ?」
「10分・・?」
「ああ。」
「それなら、外のお店じゃダメなの?今なら、まだ、どこか開いてるでしょ?」
「お前はいいのか?俺と一緒のところを見られて。俺は全くもって構わねぇけど。」

そう言ってやったら、はっとするこいつ。
お前はやっぱ困るんだな。
俺と二人でいるところをあきらに見られたら困るのか?

じっとこいつの答えを待つ。

「困るのは・・・あんたでしょ?」
「俺は困らねぇ。」

即答だ。
俺はお前と二人きりのところを誰かに見られたって構わない。

それから少し考えていた牧野だったが、

「分かった・・久しぶり・・だもんね。10分だけね。」

なんて言って、不意打ちの上目遣いだ。

うっ・・・
俺が一番弱い顔すんなっ。
可愛すぎんだろっ。

こいつと部屋に二人きり。
やっべぇ。俺は自分の衝動を抑えられるのか・・

かと言って、今更このチャンスを逃す訳はなく、
あっさりと抵抗を止めた牧野をスイートルームの扉の中に入れた。





ドアが閉じて、カードキーで部屋の明かりを点ける。
牧野が俺を見上げて、俺は牧野を見下した。

この密室に、二人きり。
何が起こっても・・・すべては二人の責任。

そう考えただけで、俺は冷静さを失っていく。
そもそも、俺はこいつの前で冷静だったことなんて殆んどねぇんだ。

今の今まで、色々言い募るつもりだったのに、
牧野と二人きりとなれば頭が真っ白だ。

____言葉が、でねぇ。


何度も瞬きをして、俺の言葉を待っている牧野。

言わなきゃならない。
言わなきゃ、何も始まらないのだから。

ゴクッ・・・


「牧野、俺がお前を幸せにしてやるから・・・俺以外の男と結婚なんかするな。」



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2017/12/13 (Wed) 23:22 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは(^^♪

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
昨日眠い中書いた甲斐があり、坊ちゃん動き出しましたよ~!

そして、今日のコメントは、殆んど皆様当たってる・・(笑)。
詳しくはそのうち明かされますので、どうぞご期待下さい!

澪●様
直球の道明寺が帰ってきました!やっぱりこうでなくっちゃですよね。7年は長い・・つくしちゃんはどう動くでしょうか?毎日更新するつもりじゃなかったんですが、やっぱり早く幸せにしてあげたくなるんですよね~。困った二人です・・。

スリ●様
つくしちゃんに関しては恐るべし強運(笑)。10分じゃ、済まないでしょうね・・(笑)。こういうお話では、司もそうですが、つくしちゃんに幸せになって欲しいです。なので、うふふ・・です。えへ。

み●様
再会した二人はどうなるでしょうかね?・・ふふ。
ステータスも読んで頂きありがとうございます。これ、結構大変でした(汗)。私も総ちゃんのBDでこれしちゃったら、あきらや類君の時どうしよう・・とちょっとビビってます・・。でも、もう絶対に1話か長くて2話!と心に決めてます(笑)!

あ●様
いえいえ~。本当に、全然気にしてないですよ??お気になさらないでください!!私、展開の予想みたいなの、たまにしか頂きませんが、結構ぴったりってことも少ないかな、いつもは。今回は、昨日のあ●さんから始まり、今日はほぼ全員のコメントが的中(笑)。っていうか、そうしなきゃ、収まらねぇ!です(笑)。なので、思ったことを書いてくださいね~。私もこのコメント欄は好きに書いてますから。

ふぁいてぃ~んママ様
うひゃひゃ・・・。ほぼ正解!でも、ちょっとだけ違う(笑)。そうそう、今回、皆様、7年も放っておいた司にちょっとぐらいお仕置きしていいみたいですが・・・あんまりお仕置きできてないかも・・(笑)。

サ●様
最後はどう締めるか、考え中です。ラストが閃かないなぁ・・。思い切って二人を福岡行かせちゃおうかなとか(笑)。でもなぁ、私も博多ぐらいしか行ったことないしなぁ・・。つくしって飲んだことあります?福岡の飲み屋さんにはよくあるのかな?

ではでは、連投でいけるように頑張ります!
っていうか、来週はもうクリスマスなんですよね。
これを終わらせて・・・クリスマスにちょどよくお話なんて書けるかなぁ・・・。

2017/12/13 (Wed) 22:10 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/13 (Wed) 19:02 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/13 (Wed) 09:21 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/13 (Wed) 08:23 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/13 (Wed) 08:03 | EDIT | REPLY |   

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