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Happyending

Happyending

「坊ちゃん、まさか、寝ている女性に手を出そうなんて考えていませんね?」
「んな訳ねぇだろ。」
「はいはい、タマは坊ちゃんを信じておりますけどねぇ。これまで女っ気が無かっただけに心配で・・。」
「うっせ。とにかく、牧野の明日の服、用意してやってくれ。」
「はいはい。」
「靴のサイズは、これと一緒にしてくれ。」


俺は牧野を自分のベッドに運んだ。
タマは客室を準備するなんて言ったが、俺の足は自然とこっちに向いていた。
もちろん、何かしようなんて思ってない。
ただ、せっかくのクリスマスイブ、一緒にいたいと思ったんだ。


ベッドに寝かせる時に脱がせた牧野の靴は23センチ。

足・・ちっせぇな。

思わず、牧野の脛を撫でちまった俺に、タマからの張り手が飛んだ。
痛ってぇ。

「寝ている女性に手を出したらいけませんよっ。」
「だから、そんなんじゃねーっつーの。ただ・・・」
「ただ?どうしたんですか、坊ちゃん。」
「なんか、守ってやりてぇんだよな。いや、頼まれてもねぇんだけど。危なっかしくて目が離せねぇ。」
「そうですか。」

タマが顔面を皺くちゃにして笑った。
妖怪がさらに進化したような顔になっている。

「なんだよ。気持ち悪ぃな。」
「恋してるんですねぇ、坊ちゃん。」
「ばっ!何言ってんだ、モウロクババァっ!」
「タマは嬉しいですよ。坊ちゃんに大切だと思える女性が出来て。こんなこと、一生無いと思っていましたからねぇ。」

・・・。
俺だってそうだ。
まさか、俺がこの寝室に女を運ぶだなんてな。

「ただし、牧野さんにはあんまり相手にされていないようで、若干不憫でしたけど。」
「うっせ。これからなんだよ。」
「あんまり飛ばし過ぎて嫌われないようにしてくださいましよ。」
「あったりめぇだろ。こいつが嫌がるようなことなんて、絶対にしねぇよ。」

少なくとも今、俺は嫌われてなんかいない。
ただ、まだ牧野が俺を好きとか、そう言うレベルじゃないのは分かってる。
だけど、俺はこいつに好かれたいから、こいつに無理強いなんてできねぇよ。

好きなんだ・・・マジで。

「それだけ大切な女性なら、無体なことはしませんね。じゃあ、失礼しますよ。」
「ああ、サンキュ。」


タマが出て行ったのを確認して、牧野の顔を覗き込んだ。
無防備すぎるな・・・くぅくぅ寝てやがる。

牧野の寝顔は普段よりも余計に幼く見えて、こいつは俺が守ってやらなきゃなんねぇと切に思わせる。

ふわりと掛布団を掛けてやると、牧野が「ん~・・」と気持ちよさそうに微笑んだ。

食い物の夢でも見てんのか?
この笑顔がいいんだよな。
この顔で毎日俺を見て欲しい。

そのためには・・・どうすればいい?



何が普通かなんて、結局分からねぇけど、
とにかく今の俺にとっては牧野が全て。
彼女の行動すべてが愛おしい。
彼女が嫌がることはしたくないし、彼女が楽しいと思うことならなんでもしてやりたい。

彼女を幸せにすること。
俺以外の誰も見えないぐらいに俺に惚れさせること。
それが俺のレンアイ目標!


そっと彼女の頭を撫でて、
「俺を見ろ」
と念を送った。




***




朝起きたら、なんだか頭が痛い。
あれ、ここどこ?

「お目覚めかね?」
「え・・?タマさん・・?」
「そろそろ準備した方がいいんじゃないかね。」

・・・は?・・・え?

ガバッと飛び起きて、状況を確認する。
ここって、専務のお宅だ。
あのまま寝ちゃったんだ、私っ!

「すみませんっ!!」
「謝ることは無いよ。坊ちゃんがもう少し寝かせてあげろって言ってたんだ。まだ7時だよ。会社には間に合うだろ?」
「はい。本当にすみません。あの・・専務は?」
「朝から衛星会議があるとかで、もう出掛けたよ。」

・・・がーん。
あたしったら。
会社の専務よりのんびりしているなんて・・・。
大河原に勤めていようが、道明寺に勤めていようが、この状況であり得ないよっ。


「隣の部屋に朝食を用意しているから。後、車を出すように言われているから、乗っておくれよ。」


あたしは急いで着替えをした。
用意されていたグレーのスーツ。仕立てが良くて、肌触りも最高。だけどシンプルで、たぶん気を使ってくれたんだなって思う。あたしの足にぴったりのパンプスまで揃えてある。コートもバッグも、きっと一流品なんだろうけど、シンプルで使いやすそうな物が準備されていた。

しかし・・・ねぇ。。
ここに来た時には、お付き合いもしていない男性のお家にお邪魔するなんてとんでもない、なんて思っていたのに、お酒に酔った挙句にお泊りだなんて。
専務はどう思っただろう。
軽い女だって思ったかな。

はぁ~・・・ショック。

しかも、この部屋・・凄いな。
キングサイズのベッド。ふかふかのお布団。柔らかいシーツ。
さすが道明家だわね。ゲストルームにもこんなに広いお部屋が用意されているなんて。まるでスイートルームだよ。あ、ホテルのスイートルームにだって入ったこともないんだけど。


それから、隣のリビングスペースに用意された朝食を食べようとしたら、そこには、小さなメモ書きがあった。

『おはよう。飲ませ過ぎた。ごめん。』

それは、専務からのメッセージ。

ごめんじゃないよ。あたしが勝手に寝ちゃったんだから。
こちらこそごめんなさい。
けれど、文面には怒っている様子はなくてほっとしてる、あたし。

『俺の携帯番号。ちゃんと会社についたら連絡しろ。 司』

ひぇっ。大変、会社って・・・。
道明寺HDに送ってもらっていいのかな?
でも、大河原に送ってもらっても遅刻しちゃうし、困っちゃうな・・。

なんだか、だんだんややこしいことになってきた。
大丈夫かな、あたし。

食事を済ませ、お言葉に甘えて車で道明寺HDの少し手前まで送ってもらった。


だけど、結局、あたしはどうして専務のお宅まで行ったんだろう。
経理の話って言ったって、大した情報なんて無かったと思う。
あたしは・・・結構楽しかったんだけどね・・・。
道明寺HDの専務と、普通のOLのあたしが食事をするなんて、しかもご自宅に招かれるなんて、今後絶対にない話。それなら、もっとじっくり味わえばよかった。
後半は何をしゃべったのかも記憶にないけど、もっと専務のお話も聞きたかったな。そりゃ、聞いたって、専務の仕事のことなんて分かんないけど。ほら、好きな食べ物とか、趣味とか・・さ。
寝ちゃったなんて、損しちゃったかも。

今考えたら、夢のような時間。
電話番号なんてもらったけど、もう会うこともないんだろうな・・・。






8時30分。
いつもなら、もう仕事場にいるはずの遅刻ギリギリの時間。
ようやくたどり着いた会社の玄関ロビーで、思わず悲鳴を上げそうになった。

それは、昨日一緒にた男性が、正面から颯爽と歩いて来たから。
もう会うこともない・・と思っていた人。

せっ・・専務だっ!
今から、どこかに行くんだ、きっと。
どうしよっ、どうしようっ。
なんであたしがこんなところにいるのかって、ここに勤めてるってバレたらどうしようっ。

あたしはとっさに大きな丸い柱の陰に走り込んだ。

大丈夫だよね。
見られてないよね。

大河原に勤めているなんて、
今後会うことが無いんだから大丈夫だなんて、
あたしの考えは甘かった。

だって、今までだって、気にしてなかっただけで、玄関ホールに専務がいたことだってあったと思う。
知り合いになってしまった今、視線が合う可能性だってあるじゃないの!


胸を抑えながら、ドキドキ・・ドキドキ・・・
専務が車に乗り込むのを見届けた。


ふぅ~。
危機一髪・・・


はっと我に返って、慌ててロッカールームを目指す。
大変!遅刻だよ!!

でも、あ、そうだ。
会社についたら連絡しろって・・・。

どうしよ。専務は今、車に乗ってるはずだよね。
今、電話してもいいのかな?

時刻は8時40分。

あたしは、携帯電話を取り出して、メモの番号をコールした。



Tru・・

『俺だ。』

ワンコールで相手が出る。
俺だって言われても・・・どうしよう。

「あの・・あたし・・・」
『牧野か?』

「あ、はい。道明寺専務ですか?」
『ああ、俺。体、大丈夫か?』

「平気です。昨日は、すみません。つい、飲みすぎちゃったみたいで。スーツもありがとうございます。」
『あんま気にすんな、俺が誘ったんだから。こっちこそ飲ませ過ぎてごめんな。』

「いえ、そんな・・・」

『今から、国際フォーラムでスピーチなんだよな。マジ、だりぃ。』
「だりぃって・・大丈夫?がっ、がんばって!」


思わずそう言っちゃったら、電話の向こうで、専務がふっと笑う声がした。



『ああ、了解。・・なぁ、牧野。』

「はい。」


『俺と付き合わないか?』


・・・ん?
・・・どこに?


「・・・・・・。」


「言っとくけど、外回りとかじゃねぇぞ?
 俺をお前の恋人にしてくれってこと。」


・・・っ//
!!!!!


うっ・・そぉ・・・


もう、個人的に会うことなんて無いだろうと思ってたのに・・・


___青天の霹靂!


道明寺専務から、告白された。


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いつもたくさんの応援をありがとうございます。
今日はつくしちゃんのBDですね。今晩に一話、短編をアップする予定です。
まだ執筆中なので時間は未定ですが、また夜に覗いて頂けると嬉しいです。
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Comments 4

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2017/12/28 (Thu) 20:55 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは~。

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
告白した坊ちゃん。さて、結果はいかに??

花●様
司の念は伝わるでしょうか・・。どうするか、今考え中です(笑)。

スリ●様
そうそう、司はどこで寝たのか?これは、次の記事に書くつもりでいます。バタバタで、いろいろ伏線こぼしちゃいそうだ(笑)。そして、書きましたよ、つくしちゃんBDのお話!頑張りました!


さて、つくしちゃんのBDを記念するお話。
短編1話。(そして纏められず、相変わらず長文・・・。)
今から見直ししたり、チェックして、21時投稿予定です!
(っていっつも思うんですが、あと1時間でここに気付く人いるのかな・・笑)

ではまた21時に!

2017/12/28 (Thu) 19:57 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/28 (Thu) 08:23 | EDIT | REPLY |   
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2017/12/28 (Thu) 05:56 | EDIT | REPLY |   

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