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Happyending

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「よう、司。」
「なんだよ、来てたのか?」
「当たり前だろ、年始のこの会合外すかよ。」
「まぁな。」

元旦から、経●連の会合に参加している俺。
トイレから出たところで、俺に気付いたあきらが声を掛けて来た。

「お前、最近ことごとく俺らからの連絡スルーしてるだろ?そーだ、この後時間あるか?」

この後は以前から親しくしている清水会長との会食があって時間がない。
今日は牧野が帰って来るっていうのに。
いや、もう東京に戻ってるか?

さっとポケットからスマホを取り出した。
牧野と連絡を取るために仕方なくダウンロードしたLINE。
今一つ使い方を分かってねぇけど、とにかくあいつが便利だというから入れてみれば、常に着信がないか気になって仕方ねぇ。
あいつからは、新幹線の中の写真とか、日の出の写真とか、おやすみのメッセージとか、そんなのが送られてくるだけで、寂しいとか会いたいとかそんな言葉は入って来ねぇんだけど。
でも、少し連絡があるだけで嬉しくなる。こんなこと初めてだ。
俺とは言えば、仕事以外に何をするでもない。特に送る写真もなく、執務室のコーヒーカップを写してみたら、西田に怪訝な顔をされた。勇気を出して送信してみれば「割っちゃだめだよ」なんて返事が来るし。
けど、そんなこれまでの俺だったら絶対にしないような、会社の利益にもならなくてどうでもいいと思えたことが、今の俺にとってはとても大切だ。
牧野と繋がっていること、それが嬉しくて仕方ねぇんだ。
恋ってもんは、厄介だけど、不思議な幸せを貰らしてくれる。


「珍しいな、お前がこういうところでスマホ見るなんて。何か緊急か?」
「ああ、まぁな。」
「へぇ。」

今の俺にとって最優先事項は牧野つくし。
しかし、さっきから何度も確認しているが、そいつからの着信はない。
だが、もう一度確認してみれば・・・

思わず目を見開いた。
なんか来てるぜ、おい!


___さっき東京に着きました。
___専務はお仕事頑張ってますか?
___あたしは、今から友達と夕食に行きます。
___夜には会えるよね?また連絡するね。

そして、行ってきまーす!と言いながら走っていくクマ。


・・・。
おい。
そりゃ、夜まで時間が空かねぇとは言ったが、これは何だ?

思わず眉根を寄せた俺に、

「そんなに難しい案件なのかよ。」
「・・・。」
「俺ら、この後メープルで飲むけど、お前は無理そうだな。」
「・・・。」

あきらがなんか言ってるが、そんなことどうでもいい。

あいつ!
夜は俺と会うんで決まりだろーが。
それまで、じっとしてらんねぇのかよ。
友達って、まさか男じゃねぇだろうな。


もう一度LINEを開いて、返事を打つ。
が、これがちまちまして面倒くせぇ!
かーっ!もう、俺には到底無理だっ!

そのまま、携帯から牧野の番号を呼び出した。

「おいっ、司、どうしたんだよ。」
「うるせぇ、黙れ!」

Truru・・ruru・・ruru・・・・

『おかけになった電話は、電波の届かない場所にあるか、電源が入っていない為、かかりません』

って、何で通じねぇんだよっ!


「まぁ、お前は忙しそうだから、俺らだけで飲んどくわ。」

そう言ってあきらが立ち去って行く。
俺は、ちまちまとLINEを打つしかない。


___誰と行くんだ?
___迎えに行くから、場所教えろ。


人を好きになると、そいつの全てが知りたくなるらしい。
どこで何をしているか、危ない目に合ってないか、
ちゃんと俺のことを考えているか・・・。

そんなことを思うのも、恐らく当たり前のことで、普通なはず。

牧野が言っていた『普通の男』。
俺もどうやら普通の男ってことらしい。
それは喜ぶべきことなのかどうかは知らねぇけど、俺は嬉しかった。

誰かを好きになるだなんて思ってもみなかった。
自分にも普通の人間らしい熱い感情があったと知る。



けど、まぁ当然だが、すぐに返信があるはずもなく、
俺は清水会長との会食へ向かうことになった。




***




「ねぇ、ねぇ、つくし~。」
「ん~?」
「で、あの後、どうなったの?」
「あの後?」
「何ボケてんの?道明寺司よっ!」

ブホッ!ゴホッ!

メープルのステーキハウスで、滋さんと食事中。
元旦からあたしを呼び出したかと思ったら、その話。
別に隠している訳じゃないし、隠せとも言われてないから、今日滋さんに打ち明けようと思ってた。
それに、あたしは滋さんに相談したいこともあったんだ。

「道明寺司、あれって絶対つくしに気があるよね。あの男って、女に興味が無いって聞いてたけどそんなことないのね~。私が会食で同席した時なんてさぁ、態度悪くってなんだこいつって思ったけどさ。」

「女に興味がない・・?」
「そう、ニューヨークではゲイじゃないかって噂があったぐらいよ。」
「ゲイ?」

ううん、そんな筈ないよ。
だって、キスも上手・・だと思うし、むしろ結構そういう経験が多いんじゃないかなと思ったけど?
本当はそれは嫌だし、他の女性と比べられるのも嫌。
だけど、仕方ないなって思ってもいたんだけど。

「それで、どうだったの?道明寺司に迫られたとか?」
「迫るっ!?」
「送り狼ってやつ?滋ちゃんも、道明寺司に迫られたら拒否はしないなぁ。見た目イイ男じゃん。」
「そっ、それって、誘われたらって、そういうこと??」
「うん、まーね。ちょっと頂いてみたいじゃない?」
「頂く・・・」

そうなの~??
でも、あたしも、この前の夜は本当にドキドキしたよ。
このままどうにかなってもいいって思う位。
でも、それはやっぱり相手が好きな人だからで・・・

「もしかして、道明寺さんが好き・・とか?」
「やっだ~!何言ってるのよ。そーいうことじゃなくて、ああいういい男なら、好きとか嫌いとかいうレベルじゃなくて、一夜だけでもお相手願いたいものよ。普通!」

普通・・・。

「あ、あたしは手を繋いで寝るぐらいでも・・いいと思うけど?」

とか、ちょっと聞いてみた。
そしたら、滋さんがすごく驚いた顔をして、

「もう~!つくしったら可愛いっ。でもね、男なんて現実そんな奴いないから。手を繋いで寝るだけの男なんていたらお目にかかりたいぐらいよっ!」

うっ・・。

「・・・そう思う?」
「もしくは、不能か・・。でも、つくしは経験ないからなぁ、そりゃ夢見ちゃうよね~。うーん。ああ、神様、つくしにはどうか優しい男を授けてあげてください。」

・・・がーん。
でも、専務はあたしがいいと思うまで待つって言ってくれたんだよ。
それって、普通じゃないの?

「でもあれね~。よっぽど愛してる女だったら、彼女が嫌だっていったら止められるだろうね。遊びだったらさ、嫌って言う時点で終わりでしょ?女としてはさ、手を繋いで寝てくれるぐらい我慢強い男に惹かれるよね。分かるわぁ、つくしの理想。はぁ、私もそういう男に出会いたいわ。自分を本気で大切にしてくれる男がいいよねぇ。」

「そっ、そうだよね。あたしも、そう思うんだ!」

でも、手を繋いで寝るって、我慢強いことなの?
専務も無理してたの?
でも、違うよ。あの時は、専務が手を繋ぐだけでいいからって言ったんだもん。
むしろ、あたしの方がドキドキしちゃって・・・


「なに、なに、珍しいね。つくしがこういう話に乗ってくるなんて。もしかして、本当に道明寺司と何かあったとか?」

あたしは滋さんに話したいことがたくさんあった。
道明寺司という人とお付き合いを始めたこと。
いきなり婚約とか言われたけどそれってどういうことかなってこと。
専務はあたしにとって初めての恋人で、だから初めての時っていうのは・・その、どういうタイミングでするものなのか・・とか、そういう知識? ・・って、こんなこと、さすがに聞けるかなぁ。

そうそう、それから、困ってることもあるの。
忘年会の時に、専務が迎えに来てくれたんだけど、会社の人に見られちゃったこと。
専務は気にしていないみたいだけど、会社の皆は驚いたはずで、これからどう対応したらいいのか悩んでること。
絶対みんなびっくりしてるよね。今のところ、あたしが専務と消えたことに対して、同僚からメールが来ていないのが不思議なぐらい。

専務はさ、役員フロアで、執務室を持っているような人だから構わないのかも知れないけど、あんな場面を見られたあたしは、みんなに何て言ったらいいんだろう。
まさか、付き合ってますなんて言えないよ。
滋さんを通じて知り合ったお友達・・・とか、説明するならそれぐらいかなってずっと考えてた。

とにかく色々聞きたいことがあるんだけど、ここはステーキハウスのオープンスペースだし、誰が何を聞いているか分からない。


「あのね、ちょっと相談したいことがあるんだ。けど、ここじゃちょっと。場所変えない?」

「うわ~!ついにつくしから恋バナ聞く日が来たんだ。行こう、行こう、上の会員制のラウンジ、席キープしてもらう!今夜はとことん付き合うからね!」

いやいや、そこまでは・・ね。
夜には専務に会う予定だし・・。
だけど、こういう滋さんを見てるのって好きなんだよね。
行動力があって生き生きしてる、素敵だなって思う。

なーんて思いつつ苦笑いしながら、
そっと携帯電話を見てみたら、専務からのLINEが入ってた。


___誰と行くんだ?
___迎えに行くから、場所教えろ。


うわっ。だいぶ前に入ってたみたい。


「滋さん、ちょっとゴメン、LINEしていい?」
「うんうん。あ、チェックしておくから~。」
「ちゃんと割り勘にしてね!」


滋さんがウェイターを呼んでいる隙に返事を返す。


___お疲れ様です。
___今、大河原滋さんとメープルにいます。
___これから、上のラウンジに移動するの。


時刻は8時半。
専務はもっと遅くなるはずだから、まだ大丈夫だよね。


___仕事終わったら連絡してね。


しばらく携帯を見ていたけど、もちろん返事はなくて、
あたしはそのまま、滋さんとラウンジへ向かった。


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いつもたくさんの応援をありがとうございます!
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Posted by

Comments 3

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Happyending  
こんばんは~(^^♪

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
司も頑張ってLINEとかしちゃって可愛いですね~。このお話は、あまり深く考えずに書いてしまいましたが、一応コンセプトは『普通の恋人』で、普通の恋をする司とつくし・・というものを考えて書き始めた話なんですよね。なんだかすっかり脱線してるような気もしますが・・・。なので、まだ付き合い始めたところなので、続く・・いや、続けるしかない(笑)!

さてさて、
花●様
展開迷ってるんですよね~。なんかこう、ドラマチックこと起こせないかな~とか?なにかいい妄想こないかな~(笑)。

スリ●様
お忙しそうですね。私もPTA当たってから学校の後援会とかぼちぼち聞いています・・が、あんまりおおっ!という話がないのは何故?田舎だからでしょうか・・?そうそう、そうなんです。どこまで続けるか?このまま終わる訳にもいかないので、一山超えさせたいんですが、その一山が・・妄想が来ないんですよね・・。

マイペースでやろうと決めると、終わらせようという気力が少なくなる(笑)。
いや、終わらせますが!
週末中に一話アップできたらと思います。
皆様も寒さ対策をしっかりと、楽しい週末を~!

2018/01/12 (Fri) 22:05 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/12 (Fri) 17:13 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/12 (Fri) 13:32 | EDIT | REPLY |   

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