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Happyending

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「メープルのラウンジって久しぶりだよね。」
「そうだね~。つくしあんまり飲まないもんね。でも、今日はガンガン飲みなさい!いくらでも話聞いてあげるからね。明日休みでしょ?部屋もとっちゃおうか?」

あたしの話を聞く気満々の滋さん。
あたしはこういうことを相談できる友人って少ないから凄く嬉しい。
恋の相談なんてしたことが無いけど、そんな話ができるのは、きっと中学校からの親友の優紀か、滋さんぐらい。
大学では、滋さん以外に話ができる友達は出来なかった。それも、滋さんが積極的に声を掛けてくれたからだ。周りはお金持ちが多かったから、バイトなんてしている人もいなかったし、みんなの誘いに乗れないあたしはだんだんと蚊帳の外になっていった。外部生は他にもいたけど、特待生はいなかったから。それが寂しかった訳じゃないけど、あたしのペースを尊重して付き合ってくれる滋さんは、実はズバ抜けたお嬢様なのに付き合いやすかった。
本当に、いい人なんだよね。


あれから、ちょこちょことスマホを確認しているけど、まだ専務からの連絡はない。
忘年会の時だっていきなり来ちゃったし、急に迎えに来られても困ちゃうんだけどな。
その前に滋さんに専務のこと話しておかなきゃ。
それか、連絡が来たらどこかで待ち合わせでもいいと思うんだけど。

そんなことを考えながら滋さんがとってくれていたラウンジの窓際の席へ向かおうとした時、

「あれ?」
と、何となく見覚えがある人から声を掛けられた。

「君たち、あのパーティーの・・」

そうだ、あの松下会長のパーティーで会った人だ。
確か、そーじろーさん。

「西門さん、こんばんは~。」
と滋さんが軽快に挨拶をして、あたしも思い出した。
そうだ、西門総二郎さん。

「女二人なの?」
「ええ。」
「へぇ、良かったら一緒にどう?俺らもいつものメンバーで、男3人だし。」

え?
ええ~っ!ちょっと待ってよ。

「いつものって、この間のかしら?」
「そうそう。」
「いいわね。つくし、いい?私、この前、つくしが帰っちゃった後この人達と話したんだよ。すごく話しやすいから大丈夫だよ。」

それからこそっとあたしの耳元で、
「ねぇ、道明寺司のことならさ、この人たちに聞いた方がいいかも!」
なんて囁いて、小さくウインクする。

いやいやいや・・・ちょっと待って。
この人たちって、当然専務のお友達だよね。
あたしは、滋さんと二人で話がしたいんだよぉ。
滋さん、きっとあたしが道明寺専務と付き合ってるとは思ってないんだ。
ああ、もっと早く話しておけば良かったな。
それに、専務に男の人とご飯はダメって言われてるし。
あ、ご飯じゃないし、滋さんもいるからこれはセーフか。

「俺ら個室取ってるから、行こうぜ。」

あたしの意見何て関係ないみたいにさっさと歩き出す西門さん。
断られるなんて思ってもいないんだろうなぁ。

「つくし、どうする?」
滋さんはあたしにそう聞いてくれたけど、この状況で断れる訳ないし。
ちょっと迷ったけど、
「いいよ。」
って、そう答えるしかなかった。


もう一度スマホを見たら、既読のマークはついてる。
だけど、返信はないから、まだ仕事中なんだと察せられた。

連絡がきたらすぐに対応すればいいかな・・そう思って、
あたしは、ラウンジの個室へ向かったんだ。



***



「おっ?」

あたし達が個室に入ると、そこにはすでにあの日ビュッフェにいた男性が二人。

「お邪魔します、牧野つくしです。」
「大河原滋だよ。」

「滋のことはもう知ってる。」
「あはは、だよね。」
滋さんは誰とでもすぐに仲良くなれるから、もうみんなとお友達みたい。

「こっちの子は、司が送って行った子だよね。」
そう言ったのは確か、美作さんで、
「ローストビーフ・・・」
って呟いたのは花沢さんだ。


「入口で会ったんだよ。いいだろ?」
「ああ、構わない。」
「ん~。」

その返事を聞いて、あたしと滋さんもソファーへ座り、すぐに入って来たウェイターさんに飲み物を注文する。
あたしはいつものモスコミュールって思ったけど、もうすでに滋さんとワインを飲んでいたからウーロン茶に変えた。
コートを脱いで、携帯だけはしっかり左手に持って。


とりあえず席についたものの、このメンバーで話すことなんてないよねぇ。
もうお腹もいっぱいだしなぁ。
うーん・・と思っていたら、

「なぁ、俺ら気になってたんだけど。」
「・・?」
「牧野さんと司ってどういう関係なの?司が自分から女を送っていくなんて珍しいなんてもんじゃない。」
「ねぇ、つくし、あの後どうなったの?」

滋さんまで参戦して、皆の視線が一斉にあたしに集中する。
そりゃ、そうだよね。
あの日、皆いたんだもん。
だけど、どう言えばいいの?
あたしたちが付き合い出したのはつい先日の事だし、この人たちが知ってる様子はないし。
だいたい専務が言ってもいないのに、あたしから付き合ってるだなんて、この場で言える訳ないよ。
あたしだって、あの日以来専務に会ってないし、まだ信じられない気もするのに。
どうしよう・・?

「えっと・・。あたし、実は道明寺HDの社員なんです。それで、ちょっと専務のことを知っていて、それで送って下さったんだと思います。」

これでどう?
おかしくないよね?

「じゃあ、何であの時、大河原で働いてるなんて言ったの?」
というのは花沢さん。

すっ・・するどい!

「いえ、あたしはもちろん専務のことを存じ上げていましたが・・えっと、専務はあたしのことなんて知らないと思ったので・・。」

「知らないと思ったら、司は君のことを知ってた訳だ?」
なんて、ニヤニヤしながら楽しそうなのは西門さん。

そうよ、そう。嘘じゃないわよ。

「でも、おかしいよなぁ。司が女に声を掛けるところなんて、初めて見たぜ。」
「その前に、女の顔を覚えるような男じゃないだろ、あいつ。」
「長年付き合ってる俺らですら、レアな司を見たんだぜ?絶対何かあるな。」

ううっ・・そうなの?

「関係なんて・・。送って頂いただけです。」

ごめんなさい、専務!
だけど、言えないよ!

「怪しいね。」
「司、どこにいるんだよ、呼び出せよ。」
「あぁ、さっき会ったけど、なんか緊急事態みたいで忙しそうだった。」
「マジか~!つまんねぇな。」

緊急事態?うそ?
それなら、今晩はあたしに会うどころじゃないかも。
残念。楽しみにしてたのにな。
でも仕事じゃ仕方ないけど・・なんて思っていたら・・


「ねぇ、つくし、さっき言ってた相談したいことって・・・もしかして、道明寺司に付きまとわれて困ってるの・・・?」

ええっ!?
なんでそうなるの~っ!?
そうか、専務はあたしのことなんて知らないと思ってたのに、実は知られてたなんて言ったから?

「ちっ、ちがう、ちがう!ごめんね、心配しちゃった?」
「ねぇ、ここに道明寺司の友人がいるから話しにくいの? あっ!もしかして、道明寺司に嫌がらせでもされてるの?!」

「へ・・?」

「分かった!道明寺司に言い寄られてるんでしょ!全く、仕方ない男!遊びでつくしに手を出そうなんて。ちょっと見かけがいいからってどうしようもないわっ!つくしの理想はねぇ、夜一緒に手を繋いで寝てくれるような、紳士な男なのよ!ねっ、つくしっ!!」

うっ・・・。
違う・・けど、違わない・・あれ?

そんなあたし達の様子を見ていた3人がブホッとお酒を噴き出しそうになった。
さすがに噴き出したりはしなかったけど。


「もしかして、本当に男と手を繋ぐだけで済むと思ってる、つくしちゃん?」
西門さんがそんなことを言う。
「・・だめかな?」
「つくし・・?」

真剣に聞き返したあたしに気付いて、滋さんがちょっとだけ心配そうにあたしを見た。
大丈夫だよ。だけど、これはちゃんと聞いておきたいの。

「だめっつーか、拷問だな。」
「ああ、拷問。」
「罰ゲームかも・・・ぷっ。」
西門さんと美作さんが同時にそう切り返してきて、少し離れたところに座っている花沢さんは面白そうに笑ってる。

なんで、拷問なの?

「好きな女の子に一晩中なにもしないでいられるかぁ?」
「無理だろ。熟年夫婦じゃねぇんだから。」
「健全な男なら、眠れないね、きっと。」

・・・そうなの?・・そうなんだ・・。
専務、あの時寝てなかったのかな。
あたし、腕に抱き付いちゃったけど・・
あたしって、バカ?
だけど、専務が言ったんだよ?手を繋いで寝るだけでいいって。
でもやっぱり、あたしの配慮が足りなかったのかな?
本当は、もっと何か期待されてた?
あー、もう、あたしったら・・・


しゅんとしたあたしに、花沢さんが笑いを止めて言ってくれた。

「でもさ。その子のことがすごく好きで、初めてだったりしたら、絶対に無理強いはしないよ、俺は。」
「まぁな。刹那的な付き合いに処女はゴメンだけど。」
「俺は、相手が処女って可能性がゼロ。」

・・・なんて会話をしてるのよ、あたし達。
もうすでに、あたしは処女で、相手の男性に添い寝を強いている面倒くさい女って言われてるようなもんじゃない。
間違っては・・ないけど・・さ。
専務もあたしの事、面倒くさいって思ってるのかな。
あぁ、でも、これからどうしたらいいんだろう。
もうっ、会社の事だって考えなくちゃいけないし、問題は山積みっ!

あたしの頭の中はプチパニックで、どうしたらいいか分からなくて黙っていたら、



「・・・それで、司はどうだったの?」
なんて言う花沢さんの声。
ちょっとおどけてる?

「あいつはああ見えてかなり純情だから、案外一晩中手とか繋ぎそうだよな。」
「だな、初めての彼女だしな。」
「一晩中悶々としてたかもね、ぷぷっ。」


「へっ?!」


いきなり専務の話?
初めての彼女・・・?
どういうこと?
あたしが、専務の彼女だって・・・知ってる?


驚いて声も出せないあたしを見て、専務の友達が笑ってる。

「そりゃ、分かるでしょ。あの司が、自分から料理とったり、話しかけたりしてたんだから。」

だけどそんなの、上流階級の人達のレディーファーストってものじゃないの?

「司は、どんなイイ女に言い寄られても相手するような男じゃないし、自分から言い寄ったことなんて一回もないんだぜ?あいつが笑ったところを見た女なんていねぇんじゃねぇかな。」

嘘だよ。あたしは何回も見た・・よ。
優しくて、綺麗な笑い方をするんだよ。

「俺ら、だてに長いこと司の友人してねぇし?あいつが君に惚れてることは一目瞭然。」

顔が熱くなる。
専務本人からだって好きだって言われたけど、専務の友人から聞く言葉はもっと信憑性があるって言うか・・。
嬉しくない筈がない。


「「「ということで、君は、司の彼女だ!決定っ!!」」」

三人が声を揃えた。

それは、確かにその通りで、

「そっ・・そうなのーっ?!つくし~!!」

って焦ってるのは滋さんだけ。
ごめん、滋さんっ!


「しかし、司が必死になってるの初めて見たな。」
「他人に顔色は窺わせない男がだぜ?」
「俺、司振られたと思ってた・・だって、司よりローストビーフだったじゃん。」
「ついにあいつも女と寝る日がきたか~。お兄さんは嬉しいよ。」
「お前、それ、司が聞いたら殺されるぞ。」
「あ?あいつ、緊急事態なんだっけ?」
「ああ、なんか珍しく携帯見てそわそわしてたぜ。」
「もしかして、彼女からの連絡待ってるだけなんじゃねーのか?」

うひゃひゃひゃ・・とか言ってる、もうこの人たちを止められない。


「なぁ、間違ってないだろ?俺ら。」

三人と滋さんがまじまじとあたしを見てる。

今更違いますじゃないし、
これはもう、はいそうですって言うしかないよね。
だって、本当のことだもん。
良いよね?


覚悟を決めたその時に、
個室のドアがバタンと開いて・・・



「お前ら、勝手に人の女連れ込んでんじゃねーよっ!!」


ダークグレーのスーツに濃紺のネクタイ、
黒いカシミアのロングコートを羽織った専務が、
その答えを言いながら入って来た。


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Comments 6

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Happyending  

ハ●様
コメントありがとうございます(*^_^*)
インフルエンザ、流行ってますね。隔離中に読書・・頭痛くなってないですか?でも、少しでも楽しんでいただけたら本望です〜。
コメント頂いて私も癒されてます(笑)。
私も、時々、今は更新されていないサイト様とかにお邪魔してどっぷり浸るんですよ。こういう言い方って失礼かもなんですが、古き良き時代の花男二次小説っていうのかしら、そんなお話にぐーっと引き寄せられるんです。いいなぁ、こういうの書きたいんだよな〜って思うんですけど、自分の力量と狭い世界観では書けないんです。でも、こんなコメントいただけるとちょっと嬉しい。辞めよう辞めようと思いつつ、辞めずに続けているのはこうしてコメントや拍手をいただけるからなんですよね。
お身体お大事にして下さいね。
ゆっくり更新で申し訳ありませんが、また遊びにきて下さいね〜(^^)v

2018/01/15 (Mon) 20:00 | EDIT | REPLY |   
ハル  
やっぱり1番好きです

こんにちは!
寒い日が続いておりますが、お変わらないですか?
一読者で花男の漫画もドラマも2次小説も大好きな私、実はインフルエンザに週末から罹患しまして、、隔離されております。
心の癒しが欲しくて訪ね、カテゴリの最初あなたに会いたくてから最新の普通のレンアイまで読みました。今までも何回も読んだけど、やっぱり1番好きです。
そろそろ元気になりつつあります、また来るね。。

2018/01/15 (Mon) 11:34 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは~!

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
いつにも増してマンネリな気がする今日この頃(笑)。しかもゆっくりなペースで更新しようなんていう無謀な私ですが、お付き合いいただきありがとうございます!そんなこと言っているうちにあっというまに司のBD何だろうなぁなんて思ってみたり・・。でも、無理はしないと誓う!(笑)。

さてさて、
スリ●様
つくしちゃん、十分自分が鈍感だと分かっているでしょう(笑)。けど、今回の場合司も鈍感ですよねぇ。だって、一緒に寝たら我慢できないことぐらい分かってるだろー!と私は思う!うん。どうやってやって来たのか!うしし。こりゃ、いつものあれですよ!あれ(笑)。明日、更新できるかなぁ‥って感じです。あ、ブログ村のポチ・・まだ時間なくてあのままです・・。何かいい画像ないかなぁ(;^_^A

花●様
F3はねぇ、やっぱり分かってますよ!今回は全員つくしちゃんに初対面なので、類君を含めみんなが愉快なキャラ(笑)。司のコートってやっぱりオーダーですよね?いっつも思うんですよ、スーツだけでなく、あれもきっとオーダーだよなぁ。上質なカシミア100%。高校時代のダッフルも良かったけど、やっぱり社会人はカシミアか・・案外ネイビーか黒のトレンチとかもいいかも知れない・・・。うふ。

he●様
東京ですか?雪ですか。車は危ないです!!気を付けてくださいね。私アイスバーンはもう怖くてダメで・・。こちら関西は瀬戸内だからでしょうか・・積もるほどの雪は最近見かけないです。でも、寒いっ!

風邪をひかないように、皆さんまた1週間頑張りましょう!

2018/01/14 (Sun) 21:36 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/14 (Sun) 06:19 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/14 (Sun) 01:04 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/14 (Sun) 00:58 | EDIT | REPLY |   

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