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Happyending

Happyending

俺が部屋に入った途端にびっくり顔の牧野。
大河原滋も驚ていたが、俺の幼なじみ達はふーんというぐらいで驚くでもなく、むしろ俺を見て笑っていやがる。
牧野はこそっとスマホを見て、俺からの着信がなかったことを確認すると、どうしてここにいるのって顔をした。


清水会長との会食はビジネスというよりは長年の付き合いというもので、割と砕けた食事会だった。互いの秘書も同席しての食事会。当然俺の隣には西田がいた。
会長は悪い人間じゃないが、何せ古い人間だからか、話が長い。延々とオヤジやババァの話をされ嫌気がさしてきた頃に胸ポケットの携帯が震えた。

「失礼します。」
と断りを入れ、携帯を見れば、牧野も俺と同じメープルにいるじゃねーか。
しかもこれからラウンジに移動するという。
メープルのラウンジといえば、俺が幼馴染のあいつらと飲む時に使う店。
しかもあきらの奴、今日飲むとか言ってなかったか?
あいつらと飲んでる暇なんかねぇと思っていたが・・
何となくいやが予感がする・・。

西田に耳打ちし、SPをラウンジに待機させた。
その後も会長の話は留まるところを知らねぇ。なんでこうも老人の話は長げぇんだ。もう、同じことを3回は聞いている気がするが、うちオヤジの親友だというこの人間を無碍にすることはできねぇ。はぁ・・。

「それで、司君もそろそろ結婚も考えてはどうかな?やはり男は所帯をもってこそ・・」
「僕も考えていますよ、前向きに。」
「ほほーう。これはこれは。御父上も御存じのことかね?」
「そうですね。」

実際ババァに話は付けてあるが、オヤジまでは通ってねぇ。
ババァが話していれば別だが。何れにせよ、俺の誕生日パーティーには俺の両親がそろう。その場で牧野を紹介するつもりだ。

その後も、逸る気持ちを抑えつつ、会長の話に相づちを打っていたが、さすがに相手も会長職に就く男だ。俺の様子に何かがあったと察したのだろう、グダグダと話をしていた会長が、突然「そろそろお開きにしよう」と言い出した。
助かったぜ。このオヤジの話を切るのは至難の業だからな。
西田にはちと睨まれたが、仕方ねぇだろーが。

丁寧に会長の後ろ姿を見送った後、俺はすぐにラウンジに走った。
待機していたSPからの報告では、牧野と大河原は総二郎に誘われて一緒に個室に入ったという。
ったく、危機管理がなってねぇ!




「おいおい司~、緊急事態じゃなかったのか~。」
なんて笑いながら言う総二郎に、
「緊急事態だろ。」
と吐き捨てた。

「俺たちは何もしてねぇぞ。」
「勝手にこいつを誘うな。」
ギロッと奴らを睨んでやった。

「あ・・えっと・・まずは座ろ?ね?コートとマフラー、掛けるからこっちに頂戴。」

牧野が慌てて俺に近づいて来る。その様子が可愛くて、思わず和んだ。
牧野を信用してないって訳じゃねぇんだ。
ただ、俺以外の男と一緒と言われると気が気じゃねぇ。

「おっ・・おう、サンキュ。」

何となく恋人っぽい牧野の態度に、俺の怒りも半分収まる。
そして、ふつふつと優越感が沸き上がる。
いいだろ?羨ましいか?
彼女がコートを掛けてくれるんだぜ?
___やべ、笑いそうだ。


「やっぱ、そうかよ。」
「当たりだね。」
なんて口々に言うこいつら。

なんだ、俺と牧野の関係はすでにバレていたらしい。
まぁ、俺がこいつに惚れてることなんて、俺がこいつを家へ送ると言った時点で気付いていたんだろうが。

「本当にびっくりしたぁ。ねぇ、いつからそんなことになってたのよ、つくし!」
大河原は牧野から何も聞いてなかったらしい。

「いつって・・えっと・・・」
とコートを掛け終えて、俺を見上げながら考え込む牧野。
小首をかしげている姿は可愛らしいが、おいおい・・
そんなの即答だろ、考えるなよ。

「お前の誕生日だろ?」
「え・・あ・・うん。」

急に顔を赤くしている牧野を、何気ない振りをして、大河原の隣ではなく空いているソファに座らせて、俺もその隣に腰を下ろした。

「つくしってば、誕生日は忘年会だとか言ってたくせにぃ。あれって、嘘だったの?本当は道明寺さんとデートしてたとか?」
「ちっ、ちがうよ。その時は付き合ってなかったし、忘年会は幹事だったんだから。それなのに、専務が突然現れてびっくりしたんだよ!」
「びっくりじゃねーだろ。俺が助けてやったんだろ。感謝しろよ。」
「何をよ?」

牧野が頬を膨らませる。
何をって、忘れたとは言わせねぇぞ。
宮川に迫られるところを助けてやっただろーが。

「お前が他の男に告られそうになって、迷惑してんのを助けてやっただろ?」
「そんな迷惑だなんて・・」
「おまっ、まさか、あの男と付き合うつもりだったのかっ!?」
「そんな訳ないでしょ、こんなところでそんな話やめてよ。」

牧野が小さく俺を睨んだ。
苛立ちは収まったはずだったのに、またつまんねぇことでイライラしちまう。
こいつの態度一つで有頂天になったり、イライラしたり。
すっかりこいつに振り回されてる俺はさぞかし滑稽だろうな。

だけど、止まんねぇ。

「だいたい、お前は俺がいない隙になんでこんなところでこいつらと飲んでんだよっ。」
「だって、たまたま会ったのよ。仕方ないでしょ?ここにいるってメールもしたでしょ?」
「食事に行くなんて聞いてねぇぞ?」
「急に誘われたのよ。それに専務だって夜まで仕事だって言ってたじゃない。」
「だからって、メールで済ませんなっ!」
「仕事中なのが分かってるのに、どうして電話ができるの?」

俺と牧野のデットヒートをみても、周りの奴らはただただニヤニヤしてる。
いわゆる痴話喧嘩といえばそうなんだろう。
けど、こんなことも俺にとっては初めての経験で。
女のことで必死になって、カッコ悪ぃ嫉妬して・・
けど、やっぱ、いろんな面で危機感がないこいつが心配で仕方ねぇし、俺はこいつの行動を全部把握していないと気が済まないらしい。
嫉妬?独占欲?
そんな感情に振りまわされる。
自分がこんなことに熱くなれる男だなんて知らなかった。


そんな自分の感情を抑制できない俺に対して、牧野は急に寂しそうな顔をした。
その表情に俺は心臓が縮み上がりそうになる。
大切な女に悲しい顔をさせちまった、ガキくせぇ自分を自覚する。

「勝手だよ・・専務。」
「・・?」
牧野をじっと見つめるが、その意味がよく分かんねぇ。
俺が勝手・・?

「あの日だって、専務が来てくれて嬉しかったよ。でもさ、あんな風に突然現れたら、会社のみんなはきっと驚いてる。あたし達の関係だってどんな風に思われてるか・・。あたしはただ、そういうことを滋さんに相談したかったから。だから、滋さんと食事したかったの。今だって、別にコソコソしてた訳じゃないのに・・。あたしそんなに怒られるようなことしてないっ!」

ぷいっと俺と反対の方向を見る牧野。

「つっ・・つくし、大丈夫?」
大河原は焦ってるし、あきら達もちょっとヤバいと思っている様子だ。


けど、逆に俺の腹の中はスーッと冷えていく。

「何で大河原なんだよ。」
なんていう冷たい声が出た。

隣の牧野がビクッとしたのも感じたが、どうしてか俺は自分の感情が抑えられなかった。

だってそうだろ?
会社の奴らに見られたから?
だから、どうだって?
何でその相談をするのが俺じゃない?
何で俺に直接言わねぇんだよ!

こいつの全てを知りてぇのに、こいつは俺に全てをさらしてはくれない。
そんなことにイラついちまう自分が大人げねぇって分かってるのに、どうにも感情のコントロールができない。


「何でって・・・だって、こんなこと専務に言ったって分かってくれないでしょ?それに、もう今更どうしようもないし。だから、自分で何とかしようと思って・・。」

俺の気迫に押されてか、牧野のさっきまでの勢いがなくなっている。
おどおどした感じで、俺をチラチラみて、落ち着かない。

怖がらせるつもりなんてない。
けど、俺が分かってくれねぇってなんだよ。
俺はお前の話は何でも聞きてぇし、なんでも分かってやりてぇんだよ。
お前、俺が話を聞いてくれるのが嬉しいって言ってたじゃねぇか。
あれは嘘か?


雲行きが怪しいと感じたのか、あきらが話に割って入って来た。

「つまりあれか?会社の忘年会中に、司が乱入しちまったと。だから、牧野は年明けからどうしたらいいか困ってるって、そういうことか?」

牧野がこくんと頷いた。

「バカだよなぁ、司。お前、そういうとこ、全く考えてねぇんだろ?」
「そりゃ、社員は驚くよな。突然会社のトップが現れて、一社員の牧野を連れ出したりしたら。」


「・・・分かってたよ。」

こいつらに諭されて、少しずつ冷静さを取り戻した。
俺だってそんなことは分かってた。
だからこそ、初めは店の前で待ってたんだ。なのに、あの男が牧野に告るなんて言うから、考える間もなく飛び込んじまった。

それに・・

「もう手は打ってある。」
だから、牧野は心配しなくてもいいはずだ。

「え?」
ぱっと振り向いた牧野が、びっくりした様子で俺を仰ぎ見る。

「まぁ、正確に言うとその手を打ったのは俺じゃない。秘書の西田だ。」
「西田秘書室長?」


本当は、こんなところで言うつもりじゃなかった。
今晩にでも二人きりでじっくり話すつもりだった。
けど仕方ねぇ。


「牧野つくしは、年明けから秘書課に異動する。以前からの仕事ぶりを鑑みて、専務である俺が決めた人事だ。」


牧野の瞳が、これ以上ない程に見開かれた。


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いつもたくさんの応援をありがとうございます。
やっぱりこうなっちゃいました・・・(笑)。
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Comments 3

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こんばんは~(*^^*)

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
この提案、つくしちゃんは受けるでしょうかね?うはは。

本当は、珍しくこの先まで書いていたんですよ。
でもいざ投稿しようとしたら、すっごく長くて・・(;^_^A
焦って、半分に分けました。だから、明日はこの続きを。
半分にしたから、いつもよりはちょっと短いですが。

スリ●様
打ってますよ、打ってますよ(笑)。司というよりも、西田さんが・・ププ。
そして、司も策を弄している筈です。どうぞ明日をお楽しみに~。
油断してたらって・・ぷぷぷ。
今日って、ブログ村メンテナンス中だったんですね。毎日新着記事をチェックする私は寂しいなぁと思っていたところです。

さと●様
そうなんですよ。専務という波に乗せてあげたい(≧∇≦)ですね~!!ププッ。まだこのお話では元旦なんですけど・・縁起いいし、決めちゃう??(笑)。

さて、明日は朝5時に!
お待ちしていまーす。

2018/01/16 (Tue) 18:26 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/16 (Tue) 12:44 | EDIT | REPLY |   
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2018/01/16 (Tue) 08:08 | EDIT | REPLY |   

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