Happyending

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こんばんは。
月曜日から風邪を引いていて、インフルエンザは陰性だったんですが、咳と鼻水が半端なくて、なかなか体調がよくならないんです。なんなら、インフルだったら仕事休めたのか・・とか罰当たりなことを思ったり・・・(-_-;)
でも、早く完結したいので、短めになりますが、お話を続けていきますね。
***




コンコンコン・・・

「入れ。」
「失礼します。」

いつも通り、牧野がコーヒーを持って俺の執務室に入って来た。
コトンとカップを置いて、じっと俺を見る。
俺は視線を感じながらコーヒーに口をつけた。

「美味い。」
「本当?」
「ああ・・マジ。」
「・・・・・ありがと。」

俺が嘘をついていないと感じたのか、牧野がほっとしたようにニッコリ笑った。
実際、こいつはコーヒーを淹れるのが上手くなった。
専務秘書としても、想像以上にいい仕事をしてくれている。
牧野がスケジュールを細かく管理することで、他の秘書たちも動きやすくなったようだ。

そして、3日後に控えた俺の誕生日パーティー。
そこでは、牧野が責任者となり指揮をとる。
メープルからも応援がくるし、邸のメイドたちも総出で対応する筈だ。


けど・・・


コーヒーを置いて、すぐに出て行こうとする牧野を後ろから捕まえた。
ぎゅっと背後から抱き付いて、そっと耳元に口を寄せる。

「あっ・・・」

ぐっと牧野の体が固くなった。


あれから、牧野はうちの俺の隣の部屋に住んでいる。
「好きにしたらいい、そのままの牧野でいい」という言葉である程度吹っ切れたのか、ごちゃごちゃ悩む姿は見られなくなった。俺との将来は真剣に考えてくれているんだと思う。
あとは、俺の両親に認めさせる。それは俺の仕事だ。

で、牧野が邸に来てからというもの、俺たちはほぼ毎晩男女の関係になっている。
俺が帰宅すれば牧野が出迎えてくれて、そのまま隣の部屋に戻ろうとする彼女を捕まえてベッドに引きづり込むのも、もう日課だ。
牧野は耳が弱いってことも俺の頭にインプットされている。


「なぁ・・・やっぱりダメか?」
「・・う・・・うん。」
「どうしても?」
「ひゃっ、だっ、だってね。社長だって、あたしがいきなり専務のパートナーとして現れたら、びっくりしちゃうと思うの。」
「そんな事ねぇよ。」


牧野は俺の傍にいてくれて、邸で生活している。
その先にあるものは当然結婚だ。
そう思えばこそ、俺は、牧野にパーティーのパートナーを依頼した。
すでに俺の邸に住み込んでいる、俺の恋人で、俺の秘書。
こいつ以外、俺のパートナーなんてありえないだろ?
そりゃ、これまでの誕生日パーティーにはパートナーなんて同伴はしていなかった訳だけど、こうして恋人がいるってのに、どうして一人で参加しなきゃなんねぇんだ?しかも、その恋人も、スタッフとはいえ、パーティーに参加してるっていうのに。

「お袋も、お前を連れて来いって言ってる。」

本当の事だ。
年末のニューヨーク出張で、結婚したい女がいると伝えていた。
そしてババァは、特に可とも不可とも返事をせず、俺が選ぶ女性を見てみたいから、パーティーに連れて来いと言った。

「それって、パートナーとして連れて来いってことじゃないでしょ?」
「専務秘書がパートナーをして何が悪いんだ?」

ババァの意図はよく分かんねぇ。
確かにパートナーとして連れて来いという意味だったのかどうかも定かじゃねぇ。
だが、専務秘書がパートナーをしたからといって何も悪いことは無いはずだ。
ただ、俺のパートナーとなれば、世界経済が注目する。
だからこそ、俺は今まで女性パートナーを連れてパーティーに出席したことは無かった。
ビジネス上どんなに懇願されても断っていた。
女嫌いだと揶揄されたとしても、それが俺流で、徐々にそれが暗黙の了解とされつつあり、俺にパートナーを頼んでくる奴はだいぶ減っている。そうすることで俺の機嫌が悪くなることが分かっているからだ。
この状況で、牧野を連れ歩けば、彼女は注目の的になることは予想出来ていた。
けど、俺はこいつとどんなに噂になろうが一向に構わない。むしろ大歓迎だ。
俺はこいつと結婚するつもりだし、何も問題はねぇ。


「ちゃんと手順を踏もうよ。ね?うちの両親には専務が挨拶してくれたでしょ?あれ、凄く嬉しかった。だから、専務のパートナーとして出席するのは、やっぱり専務のご両親に認められてからじゃないとダメだと思う。」

何もパートナー=即結婚って訳じゃねぇのに。
いや、まぁ、俺はそのつもりだけど・・。
相変わらず牧野は変に固い。
そのくせ、俺を押し倒して、「責任とって」とか言ってその気にさせて、質が悪ぃ。
そんな彼女に翻弄されているのは分かっているが、振り回されている自分が案外幸せだったりして、なかなか強引にパートナーを迫れない。
かといって、彼女をパートナーとして出席することも諦めきれねぇんだ。


「それにさ。あたし、このパーティーの責任者を任されているし、それはしっかりやり遂げたいの。」

牧野がちらりと俺を振り返った。
出たよ・・・上目遣い。
結局俺は、こいつのお願いには逆らえない。

ちぇっ。
せっかく見せびらかしたい恋人がいるって言うのに、結局今年も一人かよ・・・。

「仕方ねぇな。けど、その代わり、パーティーの間は、俺の見えるところにいろよ?」
「ええっ。300人もゲストが来るのに!」
「何かあったらすぐに俺を呼べよ。」
「・・・うん。」

牧野の正面に回り込んで、唇に小さくキスをする。

「あっ!もうっ、仕事中!」
「これぐらいいいだろ?」

毎晩やることやってるってのに、相変わらずこういうことには初心だ。
ああ、もう、早く結婚しちまいてぇよ。

真っ赤になっている彼女を見て、俺は決意を新たにする。


パーティーが終わった後、こいつを両親に紹介する。
必ず俺らのこと認めさせる。
反対意見を聞くつもりは無い。
牧野が言うように、ステップを踏む・・それだけだ。







***



1月31日。
専務の誕生日パーティーの日がやって来た。

この日まで、裏方としての仕事を徹底してきたし、華道や茶道、ダンス、はたまたピアノまで練習したんだから、完璧な秘書として振舞えるはず。
正面ロビーのお花は、小原先生と一緒にあたしが生けたの。凄いでしょ?


最後に、メインホールにスタッフ全員が集まり、最後の決起集会!

「では皆さん、これからが本番です!専務とゲストに楽しんで頂けるように、頑張りましょう!!」

今日の責任者であるあたしがガッツポーズをとると、集まった皆も『はいっ!』とガッツポーズを返してくれた。


あたしは、このパーティーを成功させることが一つのターニングポイントだと思ってる。
専務は今回帰国するご両親、つまり道明寺保会長と楓社長にあたしを紹介すると言う。
あたしも、これからもずっと専務と一緒にいたいと思ってる。
それは、専務のご両親の許可が無ければ叶うことは無い。
だけど、地位も名誉も美しさも、何も持っていないあたしが、せめて評価されるとすれば、秘書としての頑張りしかないんじゃないかと思うんだ。
経理にいたから、裏方の細かいところまで目が届くのはあたしの良いところでもある。
専務秘書としてこのパーティーを成功に導けば、あたしもちょっとは評価してもらえるんじゃないか、そんな期待もあって、あたしは専務のパートナーを断って、裏方に専念することにした。


ホール、ロビー、受付、トイレからパウダールームと、一つ一つ最終確認をしていった。
抜かりなく準備が進んでいることに安心しつつ、あたしは最後に庭に出て、バラ園へ向かった。
冬に咲くバラは珍しい。
世界でも稀有な品種だ。
専務と専務のお姉さんの椿さんが生まれた年に楓社長が作ったというこのバラ園は、実は専務の寝室から見えるところにあった。
一年中海外で生活していたとしても、このバラが子供たちを見守っている・・そんな風に社長は思っていたんじゃないのかな?。

赤と白のバラを見ながら歩いていると、


あっ・・・

バラ園に人がいる。
背の高い女性。あれは・・・

その人が振り返った。


____道明寺楓


道明寺財閥の中枢を担う鉄の女で、専務のお母さん。
このバラ園を作った人。
今日帰国するとは聞いていたけれど、そうか、もうお邸にいたんだ。

真っ赤なロングドレスにコートを羽織っている。
凄く綺麗・・
気高い、まさに薔薇の様な人。


「今年も綺麗に咲いているわね。」

「はっ、はい。高木さんはいつも、それは丁寧にお世話をされていて・・・」

「そう。」

「今日のパーティーでは、このお庭を多くのゲストに見ていただけるように準備しています。」

「聞いているわ。」


表情が何も変わらない。
もしかして、怒ってるのかも・・・


「あの・・勝手なことを提案してしまって、気分を害されましたか?」

「この提案はあなたが?」


うわっ・・・墓穴だ!


「はい。」

「あなた、名前は?」


ゴクッ・・・


「牧野つくしと申します。」


楓社長があたしの姿をじっと見た。
凄い威圧感。
頭のてっぺんから、つま先までじっくりと観察されている。
今日のあたしは、専務秘書として恥ずかしくない服を選んだつもりだ。
ホワイトベージュのセットアップ。
専務がクローゼットに用意してくれたもの。
始めは黒のスーツを選んでいたんだけど、ぱっと目につかなきゃ責任者の意味がないとか言われて、これになった。(専務が見つけやすいようにしてるだけかもとも思ったけど。)
髪はアップにして、靴も5㎝のパンプス。
変な恰好じゃないと思う・・・けどな・・・・



「ねぇ、牧野さん。あなた、シンデレラをどう思う?」

楓社長が赤いバラの匂いを嗅いでから、あたしにそう尋ねた。


「シンデレラ・・ですか?」

シンデレラをどう思うか?
継母に虐められ、パーティーに参加できないことを一人嘆いていたシンデレラは、魔法使いのおばあさんの魔法によって素敵なドレスに着替え、お城のパーティーへ向かう。
王子様に見初められるんだけど、0時の鐘が鳴って、魔法が解けてしまうから慌ててお城を後にする。
その時に落としたガラスの靴を手掛かりに、後日王子様がシンデレラを見つけ出して、めでたしめでたし。
・・・という童話だよね。

シンデレラのお話は知っているけれど、何と答えていいのか分からない。
黙っているあたしに向かって、楓社長がまた口を開いた。


「私は、シンデレラが嫌いなの。」

シンデレラが嫌い?


「何故ですか?」

とっさに聞いてしまった。


「何故だと思う?」

逆に聞き返されてしまった。
その言葉だけを残して、
無表情のまま、楓社長がバラ園から去って行く。


あたしは、その場から動けなかった。


楓社長は、シンデレラが嫌い。
そもそも、社長はあたしが専務の恋人であることを知っているんだろうか?
その上で、そう言うのなら、
『灰かぶり姫』には用はない・・・・


あたしのことは認めない
そういうことなのかな・・・


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Comments 6

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Happyending  
こんばんは!

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
たった今、29話を投稿してきました。とりあえず、ここまでは書いておかないとと・・(笑)。
鼻水が止まってだいぶ楽です(*^^*)

スリ●様
えへへ。パートナーにさせますよ~。すっきりして頂けるかな?

花●様
ありがとうございます。だいぶ楽になりました。喉が痛いけど・・。でも、もう寝ます・・(笑)。

さと●様
スカンクにもコメントありがとうございました(笑)。そこ突っ込んでくれたのは、さと●様だけです(笑)。なんと、マイタケですか!うちはいつもナメコの味噌汁で・・・(^^;)マイタケにしてみよう!

ちぇ●様
たぶん、大丈夫・・じゃないかな??あはは。ご心配おかけしました!!

あ●様
そうそう、あのガラスの靴は何故消えなかったのか・・私も幼い頃から疑問でした。しかし、童話ですからねぇ。あれがロマンスって奴ですよね(笑)。こちらの楓さんは心が狭いようです・・(^^;)

he●様
大分よくなりました。ありがとうございます!


連休がバタバタと忙しいので、とりあえずは29話まで書きたかったんです。
書けて良かった~。もう、エンドも近いはずだ!

さて、投稿したので、もう寝まーす。お休みなさーい。
(すっかり、不定期投稿になっています。すみません・・)

2018/02/08 (Thu) 23:52 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/08 (Thu) 22:07 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/08 (Thu) 00:02 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/07 (Wed) 23:16 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/07 (Wed) 22:14 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/07 (Wed) 21:42 | EDIT | REPLY |   

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