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Happyending

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「つくし~、やっと見つけた~!!」
「滋さん?」

青い芝生が広がるここは、英徳大学の中庭。
なのに、この春、永林大学を卒業したはずの滋さんがここで手を振っている。

「先輩、探しましたよ。」
「桜子まで?」

ん?とあたしが首を傾げると同時に、二人があたしの両腕をガバッと掴んだ。
なに、なに?
何かあったっけ?
何か・・・嫌な予感・・・?

「あたし・・これから、バイトなんだよね・・はは・・。」
「それって、百貨店のバイトだよね?」
「うん。」
「それ、もう、助っ人を送っておいた。」
「・・・へ?」

ますます訳が分からなくなって、変な声がでちゃった。
あたしが時々入れている百貨店のバイト。
お店の特招会とか、イベントとか、人数が必要な時に募集があるタイプ。
一度仕事をしたら気に入ってもらえて、お店が忙しい時には直接声を掛けてもらえるんだけど、これが結構時給がいいんだ。

なのに、

「なんで?」
「何でって・・・先輩、明日が何の日か分かってるんですか!?」
「何の日って・・・。」

二人が呆れたようにあたしをみてる。
そんな顔で見ないでよ、二人とも。
分かってる。分かってるよ。
けど、考えないようにしてるの。
だって、だって、色々考えたら、頭がパニックになりそうなんだもんっ。
自然と顔が熱くなる。
だって、明日は・・・

「つくしったら、照れてんの?明日、司が帰って来るんでしょっ!!」

うっわぁ。
そんな大きな声で言わないでっ。
分かってるよ。あいつから散々電話があったんだもん。
半分脅しみたいな電話でさ。
「絶対に迎えに来いよ」とか、「バイトとか言ったらぶっ殺す」とか、「夜は帰さねぇからな」・・・とか。
うっきゃーっ!!
だから、忘れてなんかいるはずないっ。

「しっ、知ってるよ。もちろん。だけど、だからって・・・」

どうしろっていうの?
今更、逃げたい訳じゃないし、どうしようもない。
ただ、ドキドキしながら、あいつの帰国を待つだけだよ。


「先輩、準備しましょ?」
「準備?」
「そう、4年越しの初めての夜だもんねーっ。」
「なっ・・何言って・・・・」
「先輩、まだなんですよね、道明寺さんと?」
「さっ、桜子、あんた、何てこと聞くのっ!」

本当に、何てこと聞くのよーっ!!
あたしだって、一番心配してることなんだからっ。


明日、あいつが帰って来る。
4年間離れ離れだった、あたしの・・・恋人が、
「4年後、必ず迎えに行きます」という、あたしとの約束を果たすために。

ということは、あいつはもうどこにも行かない訳で。
つまり、恋人同士のあたしたちは・・・その・・・そういう関係になっても全くもって不思議じゃない。
むしろあいつは絶対にその気な訳で・・・。

きゃーっ!!

もう、半分パニックになってしまったあたしを、二人が車に押し込んだ。






「ねぇ・・・これ、何?暑っ・・・」
「岩盤浴ですよ。汗を一杯かいて、デトックスするんです。」
「そうよー、デトックス!滋ちゃんも、倒れるまでジャンジャン汗かくよーっ!」
「倒れるまでって・・・やりすぎでしょ?」
「しっかり老廃物を出してから、あとでマッサージをしますから。」
「マッサージ?」
「ツルツルのお肌にして、道明寺さんをびっくりさせましょう!」
「やっ・・でも、そんなこと・・・あいつも、疲れてるだろうし、長旅で・・・ね?」

そうよ、長時間のフライトで疲れて、そんな気分じゃないかも知れないし。
そんな張り切らなくったって・・・
だって、余計に恥ずかしいじゃない。
まるで、あたしが・・すっごく期待してるみたいで・・・。

「甘いよ、つくし。相手は、司だよ、司。」

ドキッ。

「だいたい、この4年間もあの道明寺さん待たせてるっていう先輩がどうかしてるんですよ。」
「いや・・待たされてたのは、あたしだと思うんだけど・・・」
「何度かアメリカ行ってますよね?」
「うん。」
「日本でも会ってますよね?」
「あー、うん。」
「なのに、どうして、まだなんですかっ!?」

どうしてって言われても・・・
本当の事を言えば、あたしは、いつでも良かった。
道明寺が求めてくれるなら、いつだって良かったの。
だけど、あいつが言ったんだ。

『死ぬほど抱きてぇけど、俺はまだ、お前を完全に守ってやれねぇから。それに、今抱いちまったら、お前を手放せねぇ。だから、今は我慢する。けど、帰国したら我慢なんてしねぇからな、覚悟しとけよ。』

その言葉を聞いた時に気が付いた。
あたしの方が、あいつを求めていたんだってことに。
我慢なんてしないで、抱いてほしかったんだってことに。

日本でも発売されるような有名な雑誌で、あいつの姿を何度も見た。
時には、女の人と一緒に映っていることもあった。
そんな時はズキンと胸が痛んだ。

あいつはあたしの恋人だけど、それを証明するものは何もなくて。
ただ、お互いの気持ちを信じるしかなくて。
あの頃のあたしは疲れていたのかもしれないな。
体が繫がれば、不安が取り除けるんじゃないかって、あの時はそう思ってたんだっけ。
だけど、あいつの言葉を聞いて、考えは変わった。
道明寺は、あたしのこと本当に大切に想ってくれている。
大切だからこそ、すぐには抱かないんだって。
中途半端に体の繋がりが出来てしまえば、もっと欲しくなって、離れられなくなるかもしれない。
そうしたら、もっと不安になっちゃうかもしれない。

だから、あたしたちはこの4年、そういう関係にはなっていなかった。


だけど、あいつ、確かに言ってたのよ。
帰国したら、我慢はしないって。覚悟しとけって。
今回だって、夜は帰さねぇって、そういう意味だよね?

覚悟はだいぶ前からできてる。
だけど・・・やっぱり緊張しちゃうのは、仕方ないでしょ?



のぼせるぐらいに汗を出して、その後は桜子お勧めのエステを受けた。
あたしのお肌はツルツル・ピカピカ。
昔、あいつの家でエステを受けたときもびっくりしたっけ・・なんて懐かしいことを思い出した。
あの時も、自分が別人みたいだって思ったなぁ。

それから、桜子があたしに綺麗にラッピングされた箱を渡してくれた。
中身は・・・ピンクの総レースの下着・・・
なんだか、生地が少ないんですけど・・?

「これ・・・着けるの?」
「先輩には、黒はハードル高いでしょ?」
「うん、無理だけど、これも・・・」
「だったら、可愛らしく攻めてください。」
「攻める・・・・」

攻めると言われても、どうしたらいいのかは分からないんだけどね。
でも聞けない・・・。

「先輩は、道明寺さんに全てをお任せしたらいいんですよ。」
「そうそう、野獣だけど、つくしのことは大切にしてるもんね。」

・・・うん。

「でも、司ってさぁ、やっぱり、いい男だよねぇ。」
「まぁ、先輩限定ですけどね。」
「いいなぁ、つくし。羨ましい。」

滋さんの言葉ではっとする。
この二人も、かつては道明寺のことが好きだったんだ。

「あのね・・・ありがと、滋さん、桜子。」
「どういたしまして。でも、どっちかっていうと、私達、道明寺さんへの帰国祝いって感じなんですけどね。だって、4年も待たされて、期待外れだったら可哀そうでしょ?」
「桜子~っ、あんたねぇ!」

だから、あたしが待たせた訳じゃないんだって!
だけど、ありがとう。
あたし、明日が楽しみになったよ。
本当に、ありがとね、二人とも・・・大好き。






二人と別れて、アパートへの帰り道。
あ、あたしってば、もうレースの下着着けてきちゃったし・・
あはは、やる気満々みたい。

あいつが明日、帰って来る。
約束通り、あたしを迎えに来てくれる。
あたしはどんな顔をしたらいい?
何度シュミレーションしようとしても、どうしてもその場面が浮かんでこない。
でも、笑っていたいな。
笑って、あいつを迎えたい。
だって、一人アメリカで頑張って来たんだもんね。
それから、抱きしめたい。
あのコロンの香りを、胸いっぱいに吸い込みたい。

明日になったら・・・それが叶うはず。
そうだ、今晩、笑う練習しとかなきゃ。



アパートの前まで歩いてくると、うちのオンボロアパートの前に人影がある。

ドクッ!と大きく心臓が脈打った。

___不意打ちだ。


見覚えのあるシルエット・・・
あんなに大きくて、クルクル頭のシルエットなんて、
あいつしか知らない。


あれ・・・急に目の前が霞んで見えなくなった。
何で?どうして?


「牧野」

懐かしくて、低くて、優しい声。
電話で聞く声とは違う、直に聞こえてくる、あいつの声。

「ただいま」

大きく腕を広げたシルエット。
それを見た瞬間、あたしは走り出した。

足がふらついて上手く走れない。
だけど、必死に走った。

だって・・・


_______ドンッ!!


あいつの胸に飛び込んだ。

「おかえり、道明寺っ」

抱き付いた瞬間に広がる香り。
あいつだけが身に着ける、あたしが大好きな香り。


目の前にはあたしの大好きな人。


あたしの恋人が、
あたしを迎えに来てくれた。


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続きは、司目線で( ´艸`)
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Comments 8

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Happyending  
こんばんは ③

ka●様
連日のコメントありがとうございます!
ね?たぶん、滋さんも桜子も、司のこともつくしのことも大好きなんですよね。だから、二人に幸せになって欲しいと思える。そんな二人は、きっといつか素敵な人に出会うことでしょう・・。って言っても、そのお話は書けないんですが・・(笑)。 シリアスなお話はですね~、話が長くなりそうで書きにくい!!どうしようか、検討中です(笑)。

he●様
このお話は、割とするすると書いたんですよ(笑)。もっとドラマティックな再会もあるとは思うんですが、やっぱり司が迎えに行かなきゃですよね!さすが、司です!!(笑)。

ま●様
二人が幸せだと、私も幸せです。ベタベタに甘いつかつくを書いてみたいです(笑)。

L●様
そうだったんですか!おおっ!ファンにとっては辛いですよね・・。でも、再会の嬉しさも倍増でしょうかね??私は、韓国版花男のイ・ミンホ君が好きでした(笑)。あんまり関係ないですが・・・(笑)。


さてさて、明日の5時も更新します。
その後は連投難しいかなぁ。
明日は予定があって・・
マイペースで書いていきますね。
応援ありがとうございます。

2018/02/24 (Sat) 21:41 | EDIT | REPLY |   
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こんばんは ②

つか●様
初めまして!コメントありがとうございます。
そして、ご指摘の件・・スッゴクよく分かります。私もタブレット使っているので。タブレットでスマホ表示して、拡大して見たいということですよね?
どうして私のブログには『スマホ表示への切り替え』という案内バーが出ないんだろうと・・色々試行錯したことがあります。(他のFCユーザーさんでは殆んど表示されていますよね。)FC2の中に、案内バーを表示する設定というのがあって、それはオンにしてはいるんです。でも、ブログを始めてから一度も表示されないんですよ。ご指摘の様に、タブレットだと特に困ります。フォントが小さいのも問題かと思って、一度試しでフォントを大きくしたら、トップ画面の文字も大きくなっておかしくなってしまって・・。テンプレートをイジルのはよくないなと諦めました。これ、以前使っていたテンプレートでも同様で、たぶんテンプレートのせいでは無さそうです。
で、今回ご指摘を頂いたのをきっかけに、FC2へ問い合わせをしてみます。改善すれば、『スマートフォン表示する』という画面が出る筈なんですが・・。
テンプレートを変えて改善する問題でもなさそうで、現時点では自分ではどうすることも出来ませんので、少しお待ちいただけますか?対応できるといいのですが・・・。

2018/02/24 (Sat) 21:30 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは ①

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
再会シーン、書くつもりなかったのに・・・(笑)。でも、ここを書かないと続かない気がしてですねぇ・・。
一応今続きを書いたのですが、あと1話で終われなかったから、どうしようかな・・タイトルとか・・困ったなぁ。何とかせねば・・・(;^_^A

さてさて、
スリ●様
私も朝寝坊でした(笑)。ね、4年間我慢した司君に、頭が下がります。愛ですよ~、愛!! 次、1話のつもりが、なんだかおかしな展開で、長くなってしまった・・(笑)。出来るだけ原作っぽいつかつくにしたいのですが・・どうかな?(笑)。基本はコミックの流れで書いていますが、ドラマの『代表』っていういい方もちょっと気になるんですよね(笑)。

き●様
罠みたいなドキドキも時に書きたくなるのですが、こういう安定のつかつくっていうのもね?4年経って、つくしの天邪鬼さも改善しています(笑)。原作ってコメディなんですよねぇ。でも、私はコメディ苦手なので、こういうのは結構難しいんですよ~。でも、可愛らしい二人を書いてみたいなと思います!どうぞまた覗いてくださいね~。

あ●様
そうなんですよ、初々しい二人!きゃーっ、です。私もなんだか、初心にかえった感じです(笑)。やっぱり原点はコメディだよなぁとか。これでもかってぐらいに幸せにしてあげたいとか。梅ですね~。あと1か月もすれば桜になりますね。数年に一度、花粉症がキツイ年があるのですが、今のところ、今年は大丈夫そうですね、私は。油断はできませんが・・。このままであって欲しいです!!

2018/02/24 (Sat) 21:18 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/24 (Sat) 20:49 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/24 (Sat) 18:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/24 (Sat) 12:24 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/24 (Sat) 12:00 | EDIT | REPLY |   
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2018/02/24 (Sat) 11:38 | EDIT | REPLY |   

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