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Happyending

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神様も憐れんでくれたのか、総二郎が作ったくじ引きの結果、行きのフライトで牧野の隣になったのは俺。
とは言っても、ファーストクラスのパーテーション越しだが、俺らにはこれぐらいの距離感が丁度いい。


離陸後、機内食を食いながら、

「お前、どこか行きたいとことかある?お袋たちはホテルのプールとか、買い物とかだと思うけど。」
「あっ、ガイドブックみたんだけどね。砂漠とか見てみたい。」
「ぷっ・・・」
「ダメ?ラクダとか乗れるみたいだよ?」
「いや・・・くくっ・・・」
「あ、子供っぽいとか思ってる?」

いや、違うって。あー、腹いてぇ。
あまりにも予想通りの反応で参る。
ぷぅっと顔を膨らませる表情は子供っぽくて、色気なんて微塵も無いんだが、司が何かと心配する気持ちが分からなくもない。こいつを他の男に見せたくないって気持ち。
クルクル変わる表情が人目を引く。いろんな反応を見てみたくて、ついつい意地悪したくなったりするんだよな。俺らの周りには、マジいないタイプ。

「道明寺だったら、絶対ラクダはダメだと思う。デケェとか、クセェとか言って。」
「あいつはそうだろうな。」

それでも、お前が乗りたいって言えば、あいつは努力すると思うけどな。くくっ!





そうして、ドバイに到着したのは早朝5時前。

「うわぁぁぁぁ、すっごーいぃ!!」

着陸時にはドバイの街並みが見えた。
アラブにありながら超高層ビルがそびえ立つ近代国家ドバイ。

dubai-2650364_640.jpg

機内で散々寝倒した牧野は超元気だ。
先ほど出された軽食もばっちり完食してたしな。
出発前の寂しそうな顔は完全に消えていた。

「着陸するぞ。ちゃんとベルト締めてるか?」
「あ、うん。大丈夫。ありがと。」

俺は神経質だから、枕が変わるとなかなか寝付けねぇ。
けど、今回は頑張って仮眠をとった。
なんせ今回の俺はツアコンだからな。
彼女の夏休みを有意義なものにすべく、俺の頑張りはこれからだ。


早朝のドバイはまだ店なんて開いていない。
とりあえず、司に指定されたドバイメープルに向かう。

「メープルに泊まるの?」
「嫌か?」
「ううん、そうじゃないけど、ドバイにもメープルあるんだねぇ。」
「彼氏のとこのホテルぐらい押さえとけよ。」

お前の彼氏はどんだけ金持ちか、本当に分かってんのかこいつは?
全国に支店をもつメープルチェーンが、ここ観光都市ドバイに無い訳がねぇだろ。
もちろん、他の超高級ホテルに負けず、5つ星評価だぜ。
そんなホテルを展開している彼氏の実家。そんなもんには興味がねぇんだろうな、こいつは。
司に一言声を掛ければどんな贅沢でもできるってのに、こいつはそういうことはしない。
そんな牧野のことが、司は心配で仕方ねぇらしい。
今回だって、うちの家族と移動することを司に伝えたら、自分とこのジェットを用意するとか大騒ぎだった。そんなことしたら、あいつが一枚かんでることが丸わかりになっちまうだろうが。本当に牧野のことになると、完全バカ丸出しだ。あいつが、今や道明寺グループのプロジェクトリーダーを務めてるだなんて、今でも想像し難いぜ。

「ねぇ、こんな早くからチェックインできる?」
「ああ、前日から部屋をキープしてるから大丈夫だ。」
「うはぁ・・すごい。普通前日の予約なんて入れないよ。1泊分もったいないじゃん。」
「・・・・まぁな。」

そんな事、司にとっては大したことじゃねーし。
お前の恋人はお前の為なら何でもやる男なんだって。




メープルに着いて、それぞれの部屋に移動した。
司が用意していたスイートルーム3部屋はぴったり埋まった。
双子たちは牧野と同じ部屋がいいと駄々をこねたが、こうなったら仕方ねぇ。
俺んちの家族。
俺、総二郎、類。
牧野、滋、桜子。
この3つに割り振った。
そう言えば、優紀ちゃんは短大卒業後就職していて、今回休みが取れなかったらしい。


少し休憩してから、再びラウンジに集合。
お袋と妹たちは疲れているからと部屋で休んでいる。

「牧野はドバイ初めてだし、とりあえず観光だよな。」

dubai-2057585_640.jpg

俺がそう言うと、総二郎がまたしてもクジを出してきた。

「こんなところで団体も恥ずかしいだろーよ。ペアで動こうぜ?」

訳が分からないままに、全員でそのクジを引く。
俺が引いた紙には、ダイヤのマーク。

「あきら君、私と一緒だっ!」
俺は、同じダイヤマークの滋とペア。
総二郎は桜子だ。
ってことは、牧野は・・・類か。
一瞬だけ、司の怒った顔が頭の中をよぎる。
すまん・・・司。


「花沢類、ドバイって分かるの?」
「ん?分かんない。」
「えーっ!?」

大丈夫かよ・・類。
司からの連絡もまだねぇし。つーか、あいつはいつ合流すんだ?
ガイドブック片手にアワアワしている牧野を、類が適当に連れ出していく。
まぁ、あいつもドバイは初めてじゃねぇだろうし。
ちょっとだけ寂しい思いもあったが、俺は牧野を見送って、滋と歩き出した。


「あきら君、夜って何か予定決まってる?」

今晩の予定。
司から連絡があれば合流のつもりだったが、あいつからの連絡もねぇし、初日で疲れてるから、飯食って早めに寝るかと考えていたが・・・

「なんかあるのか?」
「私さ、父親にパーティー出るように言われてるのよ。大河原はドバイに拠点持ってるからさ。そのつながりで。でさ!みんなで行かない?」
「パーティーにか?」
「ドバイ政府主催のパーティーで、ここに拠点を持ってる会社が呼ばれてるんだけどね。ドバイは貿易で成り立ってるから、海外企業に手厚いのよね。あきら君にもメリットあると思うよ。」
「うちはヨーロッパメインだが、コストを考えると最近はドバイを経由させてるな。」
「でしょ?」

世界最大級の貿易港と空港を持つドバイ。
ビジネス拠点として発展するドバイの政府主催のパーティーに、俺ら全員で参加しようという滋。
まぁ、俺にとってはそう悪い話じゃねぇけど、牧野は楽しめねぇだろ?

「しかも、会場は、ジュメイラだからね!」
「七つ星ホテルか。」
「そうそう。行くだけで楽しいよ~。全室スイートルーム!!前に泊まったけど、ホテルの内装も芸術的だし、お料理も最高よ!」

世界唯一の七つ星と言われる、『ホテル・ブルジュ アル アラブ ジュメイラ』。
その特徴的な建築はあまりにも有名だ。
確かに、一種の観光・思い出作りとして悪くはねぇな。
誰もが一度は足を踏み入れてみたい超高級ホテル。
俺らが付いてるし、行けば牧野も楽しめるに違いない。


結局、夜にはそのパーティーに出席することに決めた。
よくよく話を聞くと、総二郎と桜子は、牧野のドレスを調達しに行っているらしい。初めから連れて行くつもりで計画していたってこと。俺らは常にパーティー用のスーツは持参してるし。
もしろん、牧野には、ギリギリまでパーティー参加の件は秘密だ。
あいつのことだ、パーティーなんて聞いたら間違いなく逃げるからな。
今夜は忙しくなりそうだ。




昼には全員が合流し、メープル内の中華を食った。
それは、類が突然中華が食いたいと言い出したからで、深い意味はない。

「もうっ、花沢類ってば、ひどいんだよ!全然、地図見てくれないしっ!」
「・・・類は細かいことはしねぇよ。」
「暑いとかいって、すぐカフェ入っちゃうしっ!」
「まぁ・・・汗かくの苦手だからな、あいつは。」
「あたし、もっと観光したかったのに・・・。」
「だって、牧野、道間違い過ぎ。暑い中歩き疲れた。」
「ちょっとは地図見てよ!」

牧野・類チームはどうやら道に迷って休憩ばっかして、いわゆる観光は殆んどできなかったらしい。
類の奴は相変わらずのマイペースだ。一体何しに来たんだ、お前は。
俺はガイドブックで予習までしたってのによ。

「じゃあ、午後は俺とモスクでも行くか?見学できるところもあるから。」
「ほんと!?」

ぱぁっと明るくなった牧野だったが、次の滋の一言でいきなりブーたれた。

「あっ、つくし、ダメだよ~。午後は女3人でエステ三昧!!」
「え~、ヤダヤダヤダっ!!!せっかくドバイに来たのにーっ。」
「先輩、きちんと日焼け止め塗りましたか?顔が赤くなってます。日焼けしたらすぐにお手入れしないと、将来取返しつかないことになりますよ!」
「ええーっ!気にし過ぎだよっ!」
「ダメです。」

有無を言わせない桜子。
どうやら、エステを受けて、そのままパーティーに雪崩れ込もうという魂胆らしい。
いやだ、いやだという牧野を二人が引きずって行っちまった。
俺の出番はまたもやない・・・




午後の男たちは、部屋でそれぞれに寛いでいた。

・・・・。
牧野のドレスを選びに行ったという総二郎。
こいつらは初めからパーティーに参加するつもりだったってことか。
類まで・・?

パーティーって・・待てよ。
法人税免除のドバイに早くから輸送の拠点を移している道明寺グループ。
政府が主催するパーティーに司が招待されていない筈ねぇよな。

「はぁ・・・そーいうことかよ。」

俺が溜息混じりに呟けば、

「そーいうこと!」と総二郎が笑う。
類は「だって、なんか面白そうじゃん」なんて言いやがる。

こいつら、俺が二人を会わせるために牧野をドバイに誘ったってことを知ってたのか。
その再会を盛り上げようと、パーティーに牧野を誘い出す。
そこでびっくりご対面だ。

「あきら、司に振り回され過ぎだろ。俺らもたまには、司を振り回してやろうぜ?」
「俺、牧野のエスコートしたい。」

牧野のエスコートか。
これまでの流れなら、当然類がやりそうだが・・・
面白そうだよな。
たまには司を驚かせてぇよな。
牧野をエスコートするとなったら、司から一発位飛んでくるかも知れねぇけど。
そん時は、こいつらがかばってくれるだろ。
でも、俺らだって、司のためにドバイまで来てるんだ。
少しぐらい楽しんだっていいよな?

「それはくじ引きな。」
「えーっ。やだ。」

総二郎がまた、くじ引きを作り始めた。
類が、小細工をしないかとチェックしてる。
俺ら三人とも、牧野のエスコートをしたいって気持ちは同じだ。
司が帰ってくれば、そんな機会はもうないだろう。
大学最後の思い出に。
俺らの学生生活に彩りを与えてくれた彼女をエスコートってのも悪くない。



久しぶりのドキドキ感。
ワクワクしながら、夕方からパーティーのために着替えをして、女性陣を待つ。

バタバタバタと足音がして、俺らの部屋がノックされた。
総二郎がドアを開くと、そこには着飾った3人の女たち。
滋はミントグリーンのタイトなロングドレスで、サイドには絶妙なスリット入り。
桜子は黒のミニ丈カクテルドレス。強調されたバストに、むき出しの肩がセクシーだ。

牧野は・・・?
モジモジして出て来ねぇ。
桜子が自分の後ろに隠れている牧野の腕を組んで、前に押し出した。

思わず、息を飲む。

ローズピンクのAラインドレス。ノースリーブの襟元はV字に大きく開いていて、ミニ丈のシースルーのスカートはバレリーナのように広がって可憐だ。細い手足が余計に協調されて、白い肌が透き通るようで・・・

「こんなの無理~っ!!」

「「「牧野、可愛いじゃんっ。」」」

俺たち全員一致の最高評価。
間違いなく可愛い!!
自信もっていいぞ。
手足が細くて、華奢な牧野だからこそ、異様に似合うこのドレス。
例えて言うなら、妖精のような可愛らしさ。
さすがは総二郎と桜子で吟味しただけはある。

黒髪は真っすぐに下ろして内側にワンカール。前髪は斜めに流し、サイドにはピンクのバラの髪かざり。
男心を刺激するメイクは桜子渾身の技を投入してる。

こりゃ、司が見たら、怒り狂うな・・・
あいつは、牧野を誰にも見せたくねぇんだから。
ビジネス界のサラブレットで、若きカリスマと言われる稀有な男が、唯一大切にする女。


「よーし!誰が、牧野をエスコートする?」

総二郎が、楽し気に言い出した。

「ちょっと待って!あたしやっぱり・・」

今聞いたばかりなんだろう。パーティー嫌いの牧野が文句を言おうとするが、有無を言わせず、用意されたくじ引きを、俺と総二郎、類で引くいた。


俺が引いたクジを開くと・・・『牧野つくし』!!


当たりくじだ!!


司に牧野を渡すまでの短時間のエスコート。
それはきっと、一生の思い出になる。


チラッとスマホを確認すると、
おおっ!司からメールが来ていた。

『今、ドバイに入った。これからパーティーだけど、適当に抜けて合流する。』



俺らF3が絶賛するほどに変身した牧野。

そんな牧野をエスコートした俺に驚く司が見ものだな。

「よしっ、行こうぜ!」
「行きましょう!」


それぞれが、二人の感動の再会を楽しみにしつつ、
嫌がる牧野をまたもや引きずりながら、メープルを出発した。


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2018/03/06 (Tue) 14:42 | EDIT | REPLY |   
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こんばんは(^^♪

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
さて、これからどうしましょ(笑)。

スリ●様
ドバイまでやって来ましたが、どうしようかな。どうやって再会させようかな。今、地域行事のことで頭がいっぱいでなかなか妄想に入れません!!困った(>_<)!

he●様
いや~、私もドバイ全く行ったことが無くて・・。トランジットでも使ったことが無い(笑)。深く考えずにドバイにしてしまったけど、辞めればよかった・・あちゃ・・です。

では、ゆっくり進めていますが、また覗いてくださいませ~。

2018/03/04 (Sun) 23:14 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/03 (Sat) 23:08 | EDIT | REPLY |   

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