Happyending

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ホテル・ブルジュ アル アラブ ジュメイラに向かうリムジンの中。

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いつまでも心配そうな牧野。

「大丈夫ですよ、先輩。こっちには知り合いなんていないでしょ?」
「そうだけど・・。こんなドレス、着たことないし。」
「似合ってるから大丈夫だよ~。」
「罰ゲームみたいなんだけど・・・。」

牧野は短いスカートが広がるのを抑えながら恥ずかしそうにしているが、マジ可愛いから心配しなくていいのにって思う。たぶん司もぶっ飛ぶぜ。
滋も桜子も相当な美人だ。けど、牧野は普段とのギャップが半端ねぇんだよな。
昔、総二郎がこいつは磨けば光るって言ってたっけ・・そんなことがふっと頭を過った。


「ねぇ、このパーティーね。ドバイ政府がプレゼント用意してるのよ!」
「プレゼント?」
「そうそう、外資で潤ってるからね。」
「そうなの?あたし、全然分かってないや。」
「会場でリストバンドが付けられて、そこに書いてある番号が当選番号になるの。」
「いいですわね。ドバイなら、別荘一軒ぐらいはプレゼントされそうですね。」
「ええーっ、それはないよ~!」
「あるよ、2年前に参加した時は、海辺の別荘一棟だったもん。」

ギャンブル禁止の国だが、こういった豪華なプレゼントや宝くじは法令違反には問われない。
金持ちの国なだけに、豪華なプレゼントは確かに予想出来るな・・・。




そんな会話をしながら到着したホテル・ブルジュ アル アラブ ジュメイラ。
仰々しい出迎えを受け、中へと進む。
牧野は周囲のアラビア風の内装を見てばかりで危なっかしい。
そんな牧野を俺ら全員で囲んで歩いていた。

パーティー会場の前で、俺は牧野に腕を差し出した。

「どうぞ、お嬢様。」
「うっ、やばいって・・無理っ、無理っ!」
「一人で中に入る方が緊張するぜ?」
「ううーっ。」

最後の最後まで渋っていた牧野の手が、俺の左手に掛かった。
スタンバイOKだ。

類の腕をとった桜子が、振り返ってウインクする。
総二郎と滋は、受付をしながら、噂のリストバンドを付けていた。
最後に俺たちもリストバンドを受け取ったが、どうやらペアで1つらしい。とりあえず、牧野の左手に付けておいた。

「ねぇ、何か当たるかな?」
「まぁ、当たんねぇだろ。」
「ちょっと楽しみだね!」
「・・・そうだな。」

ここまで来て腹をくくったのか、結構楽しそうにしている牧野。
俺は別にどうでもいいが、牧野はタダでもらえるというプレゼントに反応していて笑える。
招待客は300名規模か。
その中でいくつの商品があるのかは分からねぇが、確率的に当たる可能性なんて低いだろ。

滋&総二郎ペアは、恐らく大河原の関連なんだろうが、政府関係の役人たちと挨拶を交わしている。
ヨーロッパで勢力拡大している花沢物産のジュニアである類は、すでにどこかの重役に声を掛けられていた。面倒くさそうにしているが、隣で上手く桜子がフォローしているようだ。ぷぷっ。

牧野はというと・・・俺の隣で右を向いたり、左を向いたり。
どうした?と聞いてみると、

「ねぇ、あっちにお料理が出てる。」

俺はこのパーティーでビジネスの目的は無い。
だから、牧野のエスコートに徹することにする。

「行くか?」
「うん。」

こうして俺たち3組のペアは、別行動をとることになった。

一流のバンケットホールに一流の料理。
思いっきり食事を堪能して、軽くシャンパンを飲み、さっきからご機嫌な牧野。
あんなに嫌がっていたくせに、「来てよかった~」なんて言っている。
恐らく司のパートナーじゃこうはいかねぇよな。あいつはどこに行っても注目の的だから。今日の俺はある意味部外者だ。だからこそ、こんな風にパーティーを楽しめる。
それでも、牧野を他の男の視線から守るという任務は怠っていない。
さっきから、牧野は各国の男に話しかけられている。
ローズピンクのドレスはそれだけで目立つし、それがまた牧野に似合いすぎているから尚更だ。
「キュート!」なんて言葉が、牧野の周囲で囁かれているが、本人は自分のことだとは思っていない。ひたすら食っては笑ってる。

こんなところを司に見られたら、マジやべぇな。
そろそろ司が来るんじゃないかと周りを確認するが、奴の登場する気配はない。
まさか、違うパーティーってことはねぇよな・・?

「ちょと食べ過ぎたかも・・。美作さん、ちょっとお手洗い行ってきていい?」
「ああ、一緒に行こうか?」
「ん?大丈夫!」

そうは言うけど、さっきまでのこいつを見ていると危なっかしくて仕方ねぇから、とりあえずトイレまでは見送った。

「あっちの扉の前で待ってるからな。」
「ありがと!」

小さなバッグを持った牧野がそそくさと消えていくのを見て、俺も会場入り口付近の壁際に凭れた。





***


【Side Tsukasa】


「はぁ~、めんどくせぇ・・。そのパーティー、出なきゃなんねぇのかよ。」
「政府主催のパーティーです。挨拶だけで構いませんので。」

相変わらずの鉄仮面秘書、西田。
俺が牧野を呼びつけていることも、こいつは知っている。
このパーティーは外せねぇ・・か。

「なぁ、牧野はどうしてる?」
「無事、メープルにチェックインされたようです。」
「そっか。」

もう少しで出会える。
それだけが俺の活力になっている。
あいつの誕生日も、俺の誕生日も会えなかった。
辛うじて、バレンタインの時に一瞬だけ立ち寄った日本で会えたのが最後。
その後は南米のプロジェクトで飛び回っていたから会う余裕なんて無かった。
そのプロジェクトは7月で片が付いたが、今後しばらくは中東からヨーロッパにかけて回らなきゃなんねぇ。
そのスケジュールの中で、比較的時間を空けやすいと踏んだのがこのドバイだ。この機を逃したら、クリスマスにも会えるか分からねぇんだ。だから、絶対に会いたかった。

____早く会いてぇ。


「明日はもう少し時間とれるんだろうな。」
「午前中に商談が二件あります。それが終わればフリーに。」
「よしっ。」

待ってろよ、牧野!


パーティー会場はホテル・ブルジュ アル アラブ ジュメイラ。
完璧なアラビアンスタイルの高級ホテルで、メープルとは立ち位置が異なる。
全室スイートルームというこのホテルの一室を着替えのためにキープしていた。
ここのプレジデンシャルスイートルームは圧巻だ。
エキゾチック。
メープルでは絶対にあり得ない装飾品はドバイならでは。
牧野を連れて来てやりてぇな・・・
あいつとここで一泊するのも悪くねぇ。
そんなことを考えながら、ドレススーツに着替え、タイを締めて、パーティー会場へ向かった。


「挨拶だけだぞ、西田。」
「はい。」

コツコツと革靴の音を鳴らしながら速足で歩いて行く。

「すでに1時間遅れておりますので。」

受付はすでにクローズされているが、担当者が俺に気付き、舞台正面近くの入口から入るように説明された。
その扉に向かって歩いていると・・・


パタパタパタ・・と、この場にそぐわない足音が聞こえた。
どうしてか、胸がざわつく。
なんだ・・・どうして?

妙な誘惑に駆られ、はっと振り返ると、ローズピンクのドレスの女がレストルームから出てきて走り去って行くのが見えた。
肩下で揺れる髪。
華奢な白い手足。
細い腰。

・・・・まさか・・・な?

突然足を止めた俺を見て、西田が眉を潜めた。
けど、それどころじゃねぇ。
じっとその女の行く先を見つめていると・・・女の足が止まった。

ゆっくりと女が振り返る。

俺の心臓が大きく鳴った。


「牧野っ!」
「道明寺っ!?」


互いに互いの名前を確認する。
いや、確認しなくたって、見れば分かる。

何故なら、そこにいたのは、俺が求めて止まない女。
そいつが、見たこともない姿で立っていた。


周囲なんて気にしてらんねぇ!
俺は牧野に向かって走り出す。
数メートル先までの猛ダッシュ。


「どぁっ!!」
「何やってんだ、お前はっ!!」

牧野に向かって走り込み、腕の中に隠した。
こんな姿、誰にも見せらんねぇ!


「道明寺?・・・本物?」
「おぅ。」

驚き固まる牧野の匂いをクンクンと嗅いで、ホッとする。
本物だ・・
本物の、牧野だ。

「なんで?ここにいるの?」
「お前こそ何でここにいるんだよ?」
「美作さんとドバイ行くって言ったじゃん。」
「ちげぇよ!何でこんなカッコでパーティーなんか来てんだよ!」
「だって、それは滋さんが・・・」
「滋っ!?あいつも一緒なのか!?」
「うん。桜子も、花沢類も、西門さんも一緒だよ。みんな中にいる。」

なにぃ!?どーいうことだっ!?
あきらだけじゃねぇのかよ!
あいつらが牧野にこんな恰好させてパーティーなんかに連れ出したのか?
あきらの奴!何やってんだよっ。ただじゃおかねぇぞ!!


「びっくりすんだろーがっ。」
「それはこっちのセリフ。びっくりするでしょ!ドバイにいるなら言ってよ!」
「誘っても素直に来ねぇだろ、お前は。」
「うっ・・・。ねぇ、じゃあ、もしかして、道明寺が美作さんにお願いした訳?ドバイに来いって?」
「あったりめぇだろ?じゃなきゃ、お前があきらと旅行に行くの許す訳ねぇだろーが。」

そう言った俺に、牧野がちょっとだけホッとした様に笑った。

「よかったぁ・・」
「あ?」

意味が分かんねぇけど、その笑顔を見て、俺も嬉しくなる。
こいつの笑顔が好きなんだ。
この笑顔が見られるのなら、何でもやれる。


「お前・・なんでさっき振り返った?」
「ん?」
「パタパタ走ってたのに、どうして止まった?」

さっき俺たちは、互いに引き寄せられるように振り向いた。
俺は、こいつの足音が気になったから。
なら、こいつは?
不思議に思ったことを聞いただけなのに、牧野の顔が赤くなった。

「だっ・・だってね。」
「ん?」
「なんか、道明寺の匂いがした・・って言ったら・・・んっ!?・・んんっ!!」

牧野のピンクの唇にかぶり付く。
久しぶりの牧野の唇。
柔らかくて、心地いい。

突然のキスに慌てまくる牧野。
けど、どうしようもなく好きなんだ。
そんな彼女が、俺の匂いに気付いて振り返っただなんて・・・最高だろっ!

チュパッと大きな音を立てて、唇を離した。

「とりあえず、お前はもうこっちで確保。戻るな。」
「えっ、ダメ。だって、向こうで美作さんが待ってるもん。」
「はぁ?」
「道明寺だって、今から挨拶とかあるんでしょ?あたしは向こうで大人しくしてるから。」
「却下。」

牧野の肩を抱いて、無理やり方向転換させる。

「今からお前は、俺のパートナーな。」
「えっ、うそっ、やだやだっ!やだーっ!!」
「あいつらと一緒に来たって、誰がお前をエスコートした?」
「うっ・・それはっ・・・」

牧野の目が泳いでる。
くそっ!類か・・・?

「俺とは嫌だとか言わねぇよな?」
「だって、あんた目立つんだもん。やだっ!」

「・・・(ムシ)」
「あっ・・・無視してるでしょっ。こらっ!」

牧野のグーパンチを片手で止めた。

「そんなひらひらしたカッコして、あいつらに任せておける訳ねーだろーがっ!!」

胸は見えそうだし、ノースリーブで肩は丸出し。
背中は髪で隠れてるけど、広く開いている。
スカートは短すぎだ。パンツ見えちまうだろ!

牧野を連れてズンズンと歩き出す。

「あ・・これはね。あたしも無理だって言ったのよ。だけど、もうどうしようもなくて・・・」
「・・・・・。」
「あの・・・やっぱり、似合ってない?」

極め付けは牧野の上目遣い。


___ブチッ!!


「可愛すぎるから放っておけねぇんだろっ!!」

そう言ってやったら、牧野は目を点にして固まった。

「やっ、あんた、何言ってんのよっ!」
「うるせぇ、黙って付いて来いっ!!」

ジタバタする牧野の腰を抱いて、
舞台に近い入口から会場内に連れ込んだ。


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司不足に我慢できず、ついつい司目線・・あは。
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Comments 7

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Happyending  

さと●様
そうなんです、確保!(笑)。司に確保されたつくしちゃんはもう逃げられません!
でも、この二人は遠恋中はプラトニックのはずだから・・(笑)。なにしてんだろ??
ドバイにもメープルがあるんです。きっと・・・(笑)。でも、たまには他のホテルがいいかなぁとか思ったりして・・パーティーは違うホテルに行ってみました~。
しかし、これ、あきらの誕生日と全く関係ないですよね(^^;)
コメントありがとうございました!!

2018/03/07 (Wed) 01:25 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/06 (Tue) 15:02 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは(*^^*)

いつもたくさんの拍手をありがとうございます。
ついつい、坊ちゃんを出してしまった・・・フライング?(笑)。

さてさて、
スリ●様
やっぱり司不足ですよね~。うんうん。ゴメンあきら君なんだけど・・もうBD過ぎたから・・(^^;)でも、ここからどうやって終わらせるんだーっと悩みは尽きません(笑)。でも、司書いて癒されました~。良かった良かった(*^^*)

凹●様
初めまして、こんばんは。サイト拝見致しました。お恥ずかしい限りですが、ありがとうございます。でも、うちなんかよりもっともっと面白いつかつくサイトさんたくさんありますから、是非是非もっと他のマスターさんを紹介してくださいませ!今回は独断と偏見ということで・・えへへ。ありがとうございました(#^^#)錚々たる面々に並べていただき恐縮です(^^;また、覗いてくださいね~。

つか●様
またまたコメントありがとうございます(*^^*) そうなんですよ~。寂しすぎて・・先走っちゃいました。もう、いっかぁってことで(笑)。あきら君、最後どうしようかな・・・(^^;)

あ●様
やっぱりね!坊ちゃんですよね!!おおっ!確かに、次はつくし目線でいきましょうかね。もう、どう脱線してもいいような気がする!(笑)。あ、今回の西田さんはどこまで分かっていたんでしょうね・・(笑)。策士西田・・ニシシ・・ニヤリ。

もう、毎日やること多くて参ります。
明日はアップできるか、まだ分からんです(>_<)
気長にお付き合いいただけると嬉しいです。

2018/03/05 (Mon) 23:53 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/05 (Mon) 20:21 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/05 (Mon) 17:42 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/05 (Mon) 16:49 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/05 (Mon) 07:07 | EDIT | REPLY |   

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