Happyending

Happyending

【Side Tsukushi】

びっ・・びっくりしたぁ・・・

トイレから出たら、目の前に道明寺。
絶対に予想なんてできないでしょ、この展開!
この夏は会えないって思ってたから、余計にびっくりだよ。


広い廊下に僅かに漂うあのコロンの香りに振り返った。
忘れる訳がない。
あたしが大好きな香り。

そして、この腕の中・・・
広くて、温かくて、あたしを包み込んで、安心を与えてくれる。


今、隣に立つ道明寺は、完璧なビジネスマン。
ブラックのドレススーツは細身でピタッとしたラインで、彼のスタイルの良さが強調される。
道明寺ってさ、肩幅はあるけど、実はウエストとか細いんだよね。無駄なお肉がないって言うか、筋肉で出来てるって言うか。
その腕が、がっちりとあたしの腰に回されている。
薄いシルク一枚越しに感じるこいつの温もり。
道明寺のパートナーなんて目立つから嫌だったのに、
不思議・・・
根拠なんて何もないのに、この腕に守られていれば大丈夫だって思えた。


英語で交わされる難しいビジネスの話。
真面目な顔で受け答えをする道明寺なんて、あたし、初めて見たかも。
ううん。雑誌やテレビでは見てたけど、こうして直に隣で。
新鮮で・・ドキドキする。
悔しいけど、カッコいい。
ドキドキし過ぎて、どんな会話をしてるのかなんて、さっぱり頭に入って来なくて、とりあえず微笑んでみるけど、自分がどんな顔をしているのかも分かんない。

あっ、でも、そう言えば・・・
こいつってば、あんなに日本語弱いのに、いつの間にこんなに賢そうな会話とかするようになったのかな?
そっか・・日本語より、英語が得意ってことか・・変なの。日本人なのに。
道明寺家の英才教育って、なんか不思議だよねぇ。

緊張しているのに、なんだか余計なことばかり頭の中に浮かんできて困っちゃう。

今夜の彼のネクタイはボルドー系のチェック柄。
結構可愛らしいなんて言ったら、怒るかな?
そう言えば道明寺が、以前に「チェック柄」のこと「チャック柄」とか言っちゃってて、大爆笑したっけ。
今、思い出しただけでも笑っちゃう。
チャックって・・ぷぷっ・・・
やばっ、本当に笑い出しそうっ!
だめだめっ、あたしは、今はこいつのパートナーなのよっ!!


「おいっ!」
「ひぃっ!」

突然道明寺に話しかけられて、変な息継ぎをしちゃった。
彼の隣で、お偉いさんがちょっと笑ってる。

あー、もうっ、大失態。
とりあえず笑顔を張り付けて、道明寺を見上げた。

「素敵なパートナーをお連れですね・・だってよ。」
「うっ・・へっ・・・あっ、ありがとうございます。」

英語で言ったんだけど、伝わってるかどうかは不明。
Thank youってだけだけど・・・。
だけど、あたしの英会話のレベルなんて、きっとこの場ではあまり重要じゃない。
重要なのは、道明寺があたしを見て優しく笑ってるっていうこと。
それだけ、あたしが彼に大切にされているってこと。
それがたぶん周囲に伝わっているから、お偉いさん方の視線も終始穏やか。
道明寺の機嫌がいいから、このおじ様方もホッとしているみたい。


道明寺に連れられて、数人の関係者の人と挨拶を交わした。
堅苦しいパーティーじゃなくて良かったな。
パーティーと言えば、あの道明寺の18歳のパーティーが忘れられない。
本当に、あれは酷かったよ。
お姉さんが中学生の時に作ったって言うドレスを着てさ。こっそりしていようと思ったのに、こいつったら、「この女は俺の大事な女です」とか、あの魔女に言っちゃうんだから・・・。
食事が並んだテーブルに突っ込んだ後のあんな場面で、何言ってくれちゃってんのよーっ!って感じだったけど、そういえば道明寺の気持ちは、あれから一度もブレてない。

ずっと、あたしの事、大切にしてくれている。
お互いの気持ちが確認できたと思ったら始まってしまった遠距離恋愛も、道明寺のあたしに対する気持ちが一度もブレ無いから、こうやって続いているんだって分かってる。
電話を切るときに『愛してる』って伝えてくれることとか・・・(あたしは言えないんだけど)。
ゼミの飲み会に行くなとか、他の男を見るなとか、そんな理不尽なことを言っているのも、あたしのことが心配だからで。
あたしはなんだかんだ言って、そういうあたしに煩い道明寺が好きで、安心できるんだ。
えへへ・・・


「おいって!だから、さっきから、何ニヤニヤしてんだよ。」
「ええ~?」

あたしってば、相当にやけてた?
本当は、雑誌やテレビで道明寺の隣に映っている女性に嫉妬してた。
あたしなんかじゃパートナーにふさわしくない、どうせ一緒にパーティーなんて無理だって諦めていた部分もある。
だけど、想像していたよりも大変なことじゃなかった。

なんか、楽しい。
この国の、このパーティーの雰囲気がそうさせるんだとは分かってるけど。
パーティーなんて全く興味ないし、出たくなんかないんだけど、今夜、道明寺の隣に居られて嬉しい。
あたしにも、人並みの独占欲っていうのがあるみたいだ。

「髪飾り、落ちそうだ。」

道明寺があたしの髪に挿されたバラの髪飾りを直してくれる。
道明寺司が女性の世話を焼いている・・の図。
道明寺は女性に触れられるのが嫌いだっていうのは有名な話だから、そんな彼の姿に、周囲からどよめきが起こった。

「は、恥ずかしいからっ。」
「何だよ、今更照れんな。」
「やっ、ねぇ、このパーティー、マスコミとかいないよね?」
「いたっていいだろ。」
「良くないってば!」

本当はね。こいつの隣を独占したい。
・・・・だけど、まだ、その時期じゃない。

「くくっ。冗談だよ。安心しろ、完全クローズドだ。」

そう言われてホッとした。
今はまだ、本物のパートナーにはなれないけど、今日はこうして道明寺の隣に立ててよかった。
ちょっとだけ自信が付いたよ。
あたしもいつか、あんたの本当のパートナーになれるかなって・・・



***



【Side Akira】

「なんだ、あれ?」

牧野がトイレから戻って来ないのを心配して辺りを探したが見当たらねぇ。
もう会場に入ったのかと慌てて会場内に戻ってみれば・・・これだ。

舞台前方に人だかり。
ひときわ目立つ、クルクル天パの男が見えた。
その隣にチラチラと見える、ローズピンクのドレス。

なんだ、そーいうことかよ。

俺が目を離した隙に二人は再会しちまったらしい。
俺たちはその瞬間を見逃しちまったって訳か。

司が牧野の腰に手を回してる。
そして、優しく微笑んでる。
司があんなデレデレの顔をするのは牧野の前だけだ。

そして牧野も。
すげぇ、良い表情をしてる。
時々ニヤニヤしながら、司と向き合っている牧野は心から楽しそうだ。

ああ、良かった。
牧野をここに連れてきて良かった。
俺のすべき任務は完了だ。


「なぁんだ。もう司に獲られちゃったの?」
「類。」
「やっぱ牧野可愛いな。俺が選んだドレス、正解だろ?」
「西門さん、メイクとセットは私ですよ!」

「あっ、来たよ!二人!」

司が周囲に挨拶をしながら、強引に牧野を誘導してこっちにやって来る。
アワアワしている牧野が面白れぇ。

「なんか、牧野ドナドナみたい・・・」
「強制連行だな。」
「あいつ、早くフケたいんじゃねぇの?」

確かにな。
せっかく出会えた恋人同士。
許された時間は短いはずだ。


二人が俺たちがいる場所に到着した。

「よう、司、久しぶり。」
「あきら、サンキュ。」

司が俺に礼を言うのは当然だよな。
牧野は隣で恥ずかしそうに肩を竦めた。
パーティーのことは司にとってもサプライズだったはずだけど、牧野は司がドバイにいることすら知らなかったんだ。


「俺らには礼はねぇのか?」
何て言うのは総二郎だ。

「あ?何でだよ、誰だよ、牧野にこんな服着せやがって、ただじゃおかねーぞっ!」
「何だよ、すげぇいいだろ?」
「良くねぇよ。男の視線がこいつに向くだろっ。」
「かーっ、バカ男っ!」
「道明寺!恥ずかしいから、本当にそういうこと言うのやめてっ。」

司は牧野のことになると、相変わらずだ。
独占欲の塊。

「で?誰がこいつをエスコートした?」
「・・・・・・・。」

やべっ。司がマジで怒ってる。
自分以外の男がパーティーで牧野をエスコートするのは許せねぇってか。
けど、別にいいじゃねぇかよ。牧野をここまで連れて来てやったんだからよ。

俺らは全員知らん顔だ。
反応すれば、いちいちややこしいからな、この男は・・。


そんな時、

『只今より、本日御用意しましたプレゼントの当選者を発表致します。』

というアナウンス。
会場正面のモニターに、当選者の番号が映されていく。

ホテルの食事券や宿泊券
某ヨーロッパメーカーの高級スポーツカー
小型クルーザー
なんて次々と発表されたけど、俺たちは誰一人当たっていなかった。

残されたのは、一等の湾岸開発地区の別荘一棟

牧野が付けたリストバンドの数字は228番。

結果は・・・


「きゃーっ!!228番っ!!あたし、あたしっ!!」

という牧野の大声。

「つくし、すごーいっ!ほら、前に行かなきゃ、あきら君も!!」

興奮した滋が、俺と牧野を舞台へ上げようとする。
何故なら、このプレゼントは1組に1つだからだ。

「やだっ、でもどうしよう、別荘とか要らないし。お食事券が欲しい~。」

とか、如何にも牧野らしいことを言っている姿に笑いながら、牧野を連れて舞台へ上がろうとすると・・


「あきら、てめぇか・・・」
「・・・は?」


うわぁ、どうしよー、とか騒いでいる牧野の隣では、額に何本も青筋を立てた司が、強烈な怒りのオーラを放っている。

「牧野のエスコートしたのはお前かって聞いてんだ。」
「仕方ねぇだろ?ペアで参加するとプレゼントが当たるって話なんだよ。」
「・・・認めねぇ。」
「いいじゃねぇかよ、牧野も喜んでるんだし、懐狭いな。」

思わず出ちまった本音が、司の怒りに輪をかけた。


「うっせぇ!牧野のペアは俺に決まってんだろっ!!行くぞっ!!」
「行くぞって・・何?やだ、ちょっとやめてよ。」

いきなり牧野の腕を掴んだ司は、そのまま牧野を会場から連れ出していく。

「道明寺っ!せっかく当選したのにぃ!!」
「そんなもん俺がいくらでも買ってやるっ。」
「そんなのダメっ。タダで当たるからいいんだよ!」
「そんなこと、知るかっ!!」

ズルズルズルズル・・・・
牧野は引きずられていく。
その姿が高校時代のあいつらと重なった。

いつまでたっても、強引な司。
それに振り回されている牧野。
そんな二人を見ているのが、俺は好きだ。


「やだ~、美作さーん、助けてーっ。」
「あきらの名前とか呼ぶなっ!呼ぶなら、俺を呼べ!!」


ワンマンな彼氏を持った彼女。
恐らく、彼女に最高の夏休みをプレゼントできるのは、このワンマン男だけだ。
その男は俺の親友で、彼女を手に入れるために日々努力してる。
彼女ために良い男へと変わって行く親友が羨ましくもあり、こんな風に昔から変わらない二人の姿をみると嬉しくもあって、こいつらを心から応援したくなる。

そして、彼女を送り届けるという大役を果たした俺は、何だか自分が誇らしかった。


「おーい、牧野。がんばれよ~。」


俺が彼女にプレゼントした、彼氏との夏休み。
それは、海辺の別荘なんかより、きっとずっと嬉しいはずだ。


彼らが近い将来に一緒になれることを祈りつつ・・・

「お疲れさん、乾杯!!」

仲間たちとグラスを合わせた。


Fin.


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あきら君、ご苦労様でした(*^^*)
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Comments 6

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2018/03/08 (Thu) 15:06 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
ありがとうございました(#^^#)

最後まで読んで頂きありがとうございました。
総二郎といい、あきらといい、何でBD話を書いてしまうんだろう・・書かなければいいのに・・といつも思う(笑)。
そして、次は類君か・・(;'∀') 無理・・?

さてさて、
スリ●様
うまいですね~。司君の独占欲は、愛情のバロメーター!!そうなんですよ~。あれがあるからこそ、遠恋を乗り切れたんだと思うんです!あきら君、今回もいい仕事をしてくれました。ありがとうです、あきら君!きっと、こんな風にたくさんの友情に見守られた遠恋時代だったんじゃないかなぁと思います。最後までコメントありがとうございました!

さと●様
タダより高いモノはない!タダで別荘貰っても、結局維持費かかってしかたないですよね(笑)。だって、ドバイなんてそうそう行かないし・・(^^;) つくしちゃんには、超ハイスペックな恋人がいるからそんなものいらないはずなんですが・・・つくしはタダに反応しそう!本当は、ラクダとか当たるお話にするつもりだったのですが、最後にあきらがラクダを引き取るのも誕生日なのにかわいそうな気がして・・(^^;)無難な別荘になりました(笑)。私だったら・・・高級リゾートホテルの会員権とか欲しいなぁ・・なんて・・夢です!夢!

小●様
ほっこりしていただけましたか?良かったです(*^^*)
自分では、途中から何書いてるのか分からなくなってました(^^; 
ほっこりコメントありがとうございました!

あ●様
ね?二人はどこへ消えたのでしょう?(笑)。とりあえずは、そのままアラビア風のお部屋に連れ込まれ、だけどプラトニックだから、広いお部屋でかくれんぼ(笑)。夜は手を繋いで寝て、朝はつくしを秘書に仕立てて連行。午後からは砂漠へ出かけてラクダ乗り・・・というのが私の描いたプランです(笑)。どうでしょ??そして、最後には、やっぱり美作さんが連れて帰るという・・。そこまで書くのもどうかと思って止めました(^^;
坊ちゃんの香り、嗅いでみたいですね~。クンクンっ!!妄想だけでも癒されるわぁ・・(←疲れ気味です・・)


さてさて、最後まで応援ありがとうございました~!

2018/03/07 (Wed) 22:41 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/07 (Wed) 20:14 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/07 (Wed) 18:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/07 (Wed) 15:06 | EDIT | REPLY |   
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2018/03/07 (Wed) 15:05 | EDIT | REPLY |   

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