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Happyending

Happyending

道明寺さんがプレゼントしてくれたピンク色のリップ。
私が怪我を負わせてしまったお詫びをしたいのに、私がお礼をもらっているなんて変な話だよね。
だけど嬉しい。
何でこんなに嬉しいの?

私が泣いたから、道明寺さんを焦らせちゃったんだよね。
それにかなり勘違いしてる。
私が泣いたのは、お化粧してないって言われたからじゃないのに。
大きな体で、おろおろと焦ってる道明寺さんがなんだか可愛らしく思えた。
ごめんね、道明寺さん。

私なんかに気を使って、こうしてお礼だなんて言ってプレゼントをくれる。
海で助けてくれたこともそうだし、なんだか自分がとても大切にされているみたい。
ああ、そうか。だから嬉しいんだ。
私を大切にしてくれる人なんていない、誰も信じられないって思っていたけれど、道明寺さんが優しくしてくれるから、だから嬉しくなっちゃうんだ。

それに、この手!!
この手はいつまで繋いでいるの?

えっと、私たちって、どういいう関係なんだっけ?
昨日知り合ったばかりで、お互いの事なんて何にも知らない。
それなのに手を繋ぐっておかしくない?
たとえ友達だったとしても男女で手なんて繋がない・・よね?
だったら・・・なんで?


「腹減ったな。なんか、食うか?」

道明寺さんが、私の顔を覗き込んだ。

「へっ?えっ?・・・あっ・・ごはんっ!?」

ご飯っ!?
待って、その前にこの手は?手はどうするのっ!?

半分パニックになって返事も出来ずにいる私をスルーして、
「こっち、行ってみるか。」
と、道明寺さんが歩き出した。

私たちの手は繋がれたまま・・・なんだけど・・・
道明寺さんが何も言わないから、私も何も言わなかった。

たぶん、手を離したくなかった。
あんなに嫌な思いをしたのに。
男の人なんて、近づきたくもないと思っていたのに。
どうしてなんだろう。

でも、いいや、今は・・・。
いつもなら色々考えるくせに、今は、細かいことはどうでもよくなって、気が付いたら頬が緩んでる。
なんかおかしいなぁ、私。


「ね?何が食べたい?」
「あー、よく分かんねぇから、任せる。」
「えー?そういうのが一番困るっ!」
「ここにどんな店があるか分かんねえし。しかし暑いな。」

道明寺さんが右手で額の汗を拭った。
確かに暑い。
でも、暑いならこの手を離せばいいのに。
だけど離さないでほしい・・・なんて思う。

私・・・もしかしたら、
暑さでおかしくなってるのかも知れない。





***



「美味しかったね~。」
「・・・まぁな。」
「結構がっつり食べてたくせに~。」


食事が終わり、二人でお茶をすする。

結局、俺たちが入ったのは、近くにあった海鮮丼ぶりの店。
一日限定10食と書かれた海鮮丼が食いたいと牧野が言った。
その店の扉を開け、誰もいない店内に入って席に着く時に、俺たちの手は自然と離れた。
すげぇ名残惜しかった。
そう思ったのは俺だけか?

笑いながら俺を見上げる牧野。
メシは確かに美味かった。
とれたて魚介の新鮮な味わい。
東京の高級寿司店でもめったに口にできないであろう美味さがあった。
店舗はボロイし、器もいかにも安物だが、2000円でこれはすげぇと素直に感心した。

だが、それだけじゃなかった。

東京での俺は、一流の店に、一流の装いで出掛け、一流のもてなしを受ける。
そんな料理は不味い訳でもなく、美味い訳でもなく、ただ単にこの俺の立場に合ったものだ。
それが当たり前で、自分にとってそれ以上の食事が存在するなんて考えたこともなかった。

けど、今日知った。
一流と呼ばれる以上の食事があった。
目の前でニコニコと笑う女の楽しそうな顔。
その笑顔を見ながら食べる食事は格別だった。
俺に対する一流のもてなしには、こんな笑顔はついてこない。
一流と言われる店の料理を、一度だって心から美味いと感じたことは無い。
結局飯が美味いかどうかは、高級かどうか、一流かどうかじゃねぇんだ。

その料理を誰とどう食べるか・・・。




目の前に出されたでっけぇ丼ぶりにはみ出さんばかりに盛られた刺身。
芸術的センスはまるでねぇけど、
「すっごぉーい!!」
と喜ぶ牧野をみれば、これはすげぇことなんだと知れる。

マグロを一切れ口に入れれば、こいつが目を丸くする。
「おいしーいっ!!」
左手を頬に当てて、満面の笑みだ。
こんなに美味そうに食う人間、見たことねぇよ。

その後も、「赤貝だぁ。」「はまちだぁ。」と次々と口に放り込んで、
「道明寺さん、どう?美味しい?」
なんて聞かれたら、そりゃ、

「美味いな。」
って答えるしかねぇだろ。
もちろん味も文句ねぇ。
けど、目の前の牧野の表情を見ているだけで、本当に滅茶苦茶美味く感じられた。
そして俺の答えを聞いた牧野が、またすげぇ嬉しそうな顔をする。

やっぱ見間違いなんかじゃねぇ。
見てるだけで腹いっぱいになるような、その笑顔が可愛い。
ただ、飯を食ってるだけなのに、その幸せが俺にまで伝染してくるみたいでくすぐってぇ。
今まで見て来たどんな女にも感じたことが無かった感情だ。


「コメ、付いてる。」
牧野の唇のすぐ右側に小さな米粒を発見して手を伸ばした。

「えっ!?」
と驚くこいつを尻目に、とった米粒をそのまま俺の口に入れる。

「きゃっ!」
と、とっさに口を塞いだ牧野に笑っちまう。

「どっ・・どどど・・道明寺さんっ!」
「何だよ。」
「こっ・・こういうことは・・・。」
「されたくなかったら、ちゃんと食えよ。」

「・・・・・はい。」

でっかい目をキョロキョロ左右に動かして、平静を装っているこいつが動揺してるのはバレバレだ。

面白れぇ。
一々反応が面白れぇ。
それに何やってんだ、俺。
女の口についた米粒を自分の口に入れた。
こんなことあり得ねぇだろ?

だけど、もっともっと知りたい。
もっとこいつのことを知って、いろんな表情が見たい。
もっと楽しませて、笑わせたい。
驚いた顔も、困った顔も、もっと見たい。
もっと、もっと、こいつに触れてみたい。

なんで俺はこんなことを思うんだ・・・?


そーだ。
もしも牧野を東京メープルのフレンチにでも連れて行ったらどうなるだろうな・・・ふっとそんな空想に意識が飛んだ。
まずは、俺が好きなブランドのブティックに寄って着替えさせるだろ?
腹が苦しくならないようなドレスじゃねーとだめだな。
それから、低めのパンプスにバッグ。財布は持たせねぇ。
あんなTシャツを選ぶようなこいつのセンスに任せたら大変なことになりそうだから、俺が決めてやらねぇとだめだな。
それから、こいつの腰を抱いてエスコートする。
きっと目をまん丸にして驚くだろう。
テーブルマナーとか分かんねぇだろうから、個室がいいな。俺が一から教えてやる。
緊張してカチコチになるだろうな。
けど、料理が出てきた途端にでかい目が落ちそうになって、『美味い、美味い』と騒いで完食するに違いない。
それから、『ご馳走様、道明寺さん』って上目遣いで言われて、それから・・・



ツン・・とTシャツを引かれる感覚で我に返った。

「ねぇ、美味しかったんなら、ご馳走様ぐらい言いなよね!」
「は・・・?」
「お店の人にっ!」
「・・・・あ?」
「ほら、早くっ!」

いつの間にやら、店のオヤジがニコニコしながら俺を見てる。
そう言えば、チェックだって言うから、牧野よりも早く1万円札を出したんだった。
そして、目の前には釣りの六千円と店のオヤジ。
この俺に、オヤジに向かって『ご馳走様』と言えだと?
今までそんな事言ったことねぇし。

「ほらっ!」
って、期待を込めた目で見られたら、

「・・・ご馳走様でした。」
って、言うしかねぇ。

「良くできました。」
って言いながら、満足気な牧野に、

「またお出でよ~っ!」
笑って俺らを送り出すオヤジ。



・・・・・・。
今、金払ったのは俺だよな。
なんで俺が・・・?

やっぱ、マジ、あり得ねぇんだ、この世界は。



若干眩暈を覚えながら店を後にする。

「道明寺さん、ちょっとだけ待ってて!」

店を出た牧野が、もう一度店の中に入っていく。
何だ、今度はトイレかよ・・・と呆れるというか、なんというか・・・


それから、

「お待たせっ!」

と店から出て来た牧野。

「じゃあ、次行こうか?」

「次って・・・」

何気なく隣に並んだ牧野を見て、息が止まりそうになった。


「えへ・・・分かる?」

彼女が上目遣いで俺を見る。

「あ・・・あぁ・・・・。」

何ドキドキしてんだよっ!!
落ち着けっ!!俺っ!!


「道明寺さん、ありがとう。ご馳走様でした。」

今度は真っすぐに俺を見つめるでっかい瞳。
その唇には、あのピンクの口紅が塗られていて、

テカテカ光っていて、美味そうっていうか・・・・
食いたいっていうか・・・・
舐めたいっていうか・・・・


ゴクッ・・・



やっぱ、俺にとって未知なるこの世界。

やべぇ・・・嵌りそうだ。


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ご心配をおかけしました。
ゆっくりと更新していきますね~。
応援どうぞよろしくお願い致します。
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Comments 5

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2018/04/10 (Tue) 22:55 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは~。

ぼちぼち更新しております(^^;)
やっぱり忙しくなりますね。新学期が始まると。
とりあえず、明日に1話更新目標!と思ってます。

花●様
暴走させたいけど・・今はダメなのーっ!(笑)。ジレジレ・・ジレジレ・・(^^;) とか言って、そろそろ展開させようと思っているのですが・・2日目が濃厚過ぎた(笑)。

スリ●様
おおっ!鋭いです。そう、楓さん。この人をどうするか・・書き始めた頃とちょっと考えが変わっていたり、いやいや、当初のまま突っ走ろうかと考えたり。。ここはまだ不確定要素です(^^; 

ハル様
そうらしいですね~(≧▽≦)!ブロともさんからも情報を頂いて、潤君髪型どうしたんだろうねって言っていて、想像したらツボに入ってしまった(笑)。二次を書く時には原作コミック派なんですが、ドラマも大好き(#^.^#) なので、10年ぶり?に潤君の道明寺が見れるなんて、絶対に1話目は見逃せませんね!

まり●様
少しずつ近づいて行く二人。1週間でどうなるでしょう?見守って下さいませ~(^^)

明日に一話更新できたらと思います。
ではでは。

2018/04/09 (Mon) 23:02 | EDIT | REPLY |   
ハル  

久しぶりに道明寺司演じる松本潤がみれるみたいですね。

2018/04/08 (Sun) 21:22 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/08 (Sun) 10:01 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/08 (Sun) 06:31 | EDIT | REPLY |   

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