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Happyending

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「この真ん中にあんをのせて。これぐらいね?」
「おぅ。」

ボテッ・・

「皮の周りに半分だけ水を付けるの。」
「オッケ。」

ペタペタ・・

「で、こんな風に襞を作ってね。はい、出来上がり。」

牧野が一瞬にして餃子の皮を折りたたんで、中に入れた肉を包んだ。

すげぇ・・・

とりあえず、俺も同じようにやってみるが、

「ううん、違う。こう、こんな感じ。」

居間のちゃぶ台で、座布団に座りながら並んで餃子を作る俺達。
牧野がススッと俺に近づいてきて俺の手に触れる。
斜め下には牧野の横顔。
その髪からシャンプーの香り。

モールから帰った俺達は、交替でシャワーを浴びた。
俺が先にシャワーを浴び、その間に牧野が餃子のあんを作ったらしい。

すげぇ、いい匂い。
シャンプーの香りだけじゃねぇ。
風呂上がりの、なんか独特な匂いがする。
しかも、完全すっぴんだ。
やっぱりこいつは化粧なんてしなくても、十分可愛い。
肌が白いし、肌理が細けぇ。
睫毛が長ぇな。

「分かった?」
「あ?」

突然、でっけぇ瞳が俺を見上げた。
ドキッとするぐらいに近い、超ドアップ。
餃子なんて見てなかったとは・・・言えねぇ・・

「聞いてなかったでしょ?もう一回ね。」

けど、バレてる。

俺の動揺を他所に、牧野はもう一度餃子の皮を手に取った。



何度か牧野のレクチャーを受けて、餃子の包み方を完璧にマスターした。
俺は元々器用なんだよ。こんなの朝飯前だ。

牧野は台所に戻って、何やらまだなんか作っている。

いいな・・・これ。

一緒にいたいと思う女が、目の届く範囲にいる。
何をしているかも一目瞭然で。
同じ時間を共有したい女なんて初めてだ。
いつもは静寂を好む俺なのに、こいつが立てる物音は全く気になんねぇ。
むしろ心地いい。


___こいつを手放しちゃだめだ。


手では黙々と餃子を包みながら、頭の中は別な思考でいっぱいになる。

こいつを手放さずに済む方法。
それはなんだ?

エプロンを付けた姿を見れば、メイドか?
丁度職が無くなったっていうし、俺専属のメイドとして連れて帰るか?
看護師の資格もあるから、主治医ならぬ専属看護師か?

いやいや・・・
そんなことで東京まで付いて来てくれる訳ねぇよな。
もっと、何か確実な理由。
俺がこいつを連れて行ける、もっともな理由はないのか?

だいたい俺はどうしたいんだよ。
東京に連れて帰ったからって、ここと同じ生活が出来る訳ねぇ。
仕事に戻れば、こんな時間をこいつと過ごせるはずもねぇんだ。
そんなことは分かり切ってるっつーのに。


ブニッ。

やべ。皮から肉がはみ出した。


そうか。東京に戻る必要ねぇよな。
俺を囲う檻のような道明寺財閥。
そこから抜け出すか。
道明寺に戻ったところで、ババァやオヤジからの攻撃を避けられるかは分からねぇ。
そんな俺を牧野がどう思うか・・・。
このままこいつを連れて雲隠れ?
それもいいんじゃね?


ベリッ。

あ、破れた。
皮を開いて肉を戻そうとしたんだが、皮が破れちまった。
失敗だ。


つまり・・・一度飛び出せば、戻ることは難しい。
別に俺は戻りたくもねぇんだけど。
だが、それでいいのか?
逃げても、逃げても、俺の中に道明寺の血が流れている事実は死ぬまで変わらねぇ。
その現実に立ち向かうには、

正面突破か?


財閥のためじゃねぇ。
俺は、俺自身のために生きていく。
こいつと・・・一緒に。

なら、どうやって?


結論はまだ出ない。

だが、

こいつを東京に連れて行く。
それが、俺の頭の中では、ほぼ確定事項になっている。









「ただいまー。」
「おぅ、お帰り、弟。」

ガタッ!!

俺は思わず、鞄を落とした。

「何やってんだ?早く来いよ。もうすぐメシだぞ。」

それだけ言って、スタスタとまるで自分の家ように奥の部屋に消えていく道明寺司さん。

いつもなら、会社帰りの俺を出迎えてくれるのは姉ちゃんで、医院の仕事が忙しい時には誰もいないことだってある。それなのに、こんな風に大柄な男が出迎えてくれるって・・・凄い威圧感だ。


そっか、道明寺さん、うちにいることになったんだ。
姉ちゃんから、1週間はここにいてもらうつもりだと聞いてたけど。
だけど、本当にまだここにいるとは思わなかった。

だって、初めて会った時から、道明寺さんからはなんか半端ないオーラを感じてた。
普通の人じゃないような。
鈍感な姉ちゃんは全く感じていないようだけど。
破れたTシャツはアルマーニのもので、パンツとベルトはGUCCI。
ドライビングシューズはTOD'Sとくれば、裕福な暮らしをする人だってことは容易に想像できた。
傷が入ってしまった時計はロレックスで、車はメルセデスAMGの最新モデル。
レッカーしてくれた村の人だって、すげぇ車だって驚いてたし、バッテリーも普通のものじゃないから、明日特殊な業者に来てもらうことになった。


俺は、道明寺さんはお寺の人なんかじゃないと思ってた。
そう思ってるのは姉ちゃんと千尋さんだけだ。
誠先生だって、きっと違うと思ってるんじゃないかな。

『道明寺』と聞いて、お寺を思い浮かべる人は少ないだろ?
俺の頭の中には、道明寺ホールディングスが浮かんだ。
日本一の利益を上げる超有名企業。その活躍は世界レベルだ。

だから、俺は調べたんだ。
この人は、きっと凄い人だと感じたから。
そうしたら、やっぱりだった。
道明寺ホールディングス日本支社のトップで、道明寺グループ副社長の名前が『道明寺司』。
会社のHPに載っていた写真は、まさに目の前にいる道明寺さんだった。

つまり、姉ちゃんが大怪我を負わせてしまった人は、道明寺グループの副社長で、万が一のことでもあれば大変な事態になるところだったってこと。
姉ちゃんは、傷が入った時計を見て弁償するつもりみたいだけど、たぶん姉ちゃんが支払えるような額じゃないと思う。Tシャツだって、道明寺さんが着るようなものがこの土地で手に入る訳ないし。


なのに・・・・

目の前を歩いて行く道明寺さんの背中には、『I LOVE NY』のロゴ。
俺ですら恥ずかしくて着れないようなTシャツを選んだのは恐らく姉ちゃんだ。
だけど、そのTシャツを着た道明寺さんは、なんだか楽しそうに見える。


いいのかな・・本当に。
この人にこんな扱いをして・・いいんだろうか?



「進~。お帰りぃ。手、洗ってから来てね~。」

部屋の奥からは、呑気な姉ちゃんの声。
その後には、

「道明寺さん、餃子包み終わった~?」

なんて言う、またまたびっくりするような姉ちゃんの言葉。


どっ・・道明寺さんが・・・餃子??


「・・・これでいいか?」
「わぁっ!結構上手ねぇ。才能あるよ~。」
「まぁな。こういうのは得意なんだよ。」
「初心者とは思えないよ~。」

「じゃあ、俺、ここで雇ってくんねぇ?」
「は?お寺はどうするのよ。第一、お給料なんて出せないわよ。」
「無給でいい。」
「もうっ、バカ言って。」
「本気だぞ?」
「はいはい。」

道明寺さん・・・ギャグっすか?
それを適当にあしらう姉ちゃんもすげぇ。

「じゃあ、お前が俺んとこ来いよ。そうしろ。」
「お寺に?」
「寺で餃子作れ。」
「バカねぇ。お寺はお肉ダメでしょ?」
「そうなのか?」



・・・・・・・・・・。

なんなの?この会話。


何バカ言ってんのか分かんないけど、
すっかり打ち解けた二人の様子。

なんか、すげぇいい雰囲気。


いいの・・・これ?


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Comments 9

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Happyending  
こんばんは~!②

き●様
体調、だいぶいいんです。普通に起きて、仕事して、ご飯作ってますよ!でも、やっぱり疲れていたんだと思います。眠くなったら即寝る生活になって、朝すっきり早起きできるようになりました(笑)。更新が遅れていますが、ぼちぼちやっていきますので、Happyendingまで、どうぞ覗いてください!

み●様
はじめまして!こんばんは~。Side進、笑っていただけました?(笑)。よかったです。二人ともボケボケです(笑)。こちらの進君はなかなか賢いようです。って、普通わかりますよね、寺ってことはないだろうって(笑)。ゆっくり更新しておりますが、お付き合いどうぞよろしくお願いします!

か●様
ね。ほのぼのしてますよね~。そう、つくしちゃんも幸せなんですよね。さぁ、ここから司、どうするでしょうか?どうやってつくしを落とすのか・・。まだ、2日目ですからね(笑)。先は、まだあります。司に頑張ってもらわねば!です(笑)。

ゆ●様
拍手コメントありがとうございます。お寺の住職さんも肉食なんですね!スタンプカード持参でお酒!笑っちゃった。そういえば後輩のお父さんが住職さんだったのですが、確かにガンガン飲んで、ガンガン食べてた(笑)。お寺って修行にいったら、精進料理なんでしょうかねぇ。絶対この司もつくしもお寺のことなんてわかってない!です。二人ともボケボケ・・(笑)。

H●様
拍手コメントありがとうございます。楽しんでいただけて良かったです。ぼちぼちとやっていきますね~!


壊れたPCはもうあきらめて、使っていない主人のPCを譲り受けました。
二次はクラウドに保存しているから、office入れたらそのまま続きを書けそうでほっとしています。ほかのマスター様たちは保存とかどうしているんでしょうねぇ。


すっかり不定期更新になっていますが、できたら明日1話は更新したいです。
もうしばらくお待ちください!

2018/04/13 (Fri) 23:33 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは~!①

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
ほのぼのですよね~。この幸せがずっと続くでしょうか・・・?なーんて。
さてさて、実は午後に役員の仕事をしていたら、パソコンが壊れるわ、なぜかプリンターも壊れるわ・・・ぎゃーっな状況になってしまいました。そんなこんなで、ばたばたして、なんとか立ち直っているのですが、全く続きが書けていません。がーん。
体調はですね、いいです。薬は1,2か月続けないといけないんですけど、かなり普通の生活で、仕事やらなにやらしています。ご心配おかけしておりますが、二次はマイペースで続けていきたいなと思います。

さて、
スリ●様
どうしましょう?どうやって二人をくっつけましょうか??私の妄想、ちょっとやばいかもしれない・・とここにきて思い始めた(;´・ω・) でも、きっとこのままいく・・かな?(笑)。

花●様
司、何気に誘ってますよ?(笑)。軽くスルーされてますけど・・ぷぷっ。いい雰囲気です。これ、どうなっていくと思います??

あ●様
鋭いですね~。私も、書いているときに、あん作るの早いなと思ってて、シャワー上がりの司がアイスコーヒー飲みながらつくしが料理する姿を眺めてるところを書きたかったんですよ!でも、長くなるから書かず・・(笑)。司、ちゃんと離れのお風呂使えたんですかねぇ。一度壊れたら治らないものも多い・・わかります。この腰が・・(涙)。無理するところとしないところの緩急をつけていきたいです。ただ、この6月ぐらいまでは本当に忙しくて・・嫌になっちゃう・・。

さと●様
司に餃子作らせちゃいましたよ。3人分なのに、一体いくつ包んだんでしょうね(笑)。つくしは本当にお寺の人だと思っているのか・・。どうなんでしょう。特に疑ってもいないでしょうね(笑)。射的、私的にも萌えるシチュ!かなりな密着度だと思われます。うししっ(*^^)v

2018/04/13 (Fri) 23:18 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/13 (Fri) 21:40 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/13 (Fri) 11:50 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/13 (Fri) 09:11 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/13 (Fri) 09:05 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/12 (Thu) 23:40 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/12 (Thu) 22:44 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/12 (Thu) 21:33 | EDIT | REPLY |   

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