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Happyending

Happyending

「電気消しますね~。」
「おぅ。」

食事が終わり、適当にテレビなんかを見て、俺が案内されたのは進の部屋。
この離れには牧野と弟の部屋しかねぇってことだから、必然的に俺は弟の部屋に割り振られた。
少し前に、布団の準備をした牧野が、『じゃあ、おやすみなさい。』と出て行ったところだ。

一日中一緒にいた女はあいつが初めて。
だからなのか、少し離れただけなのに寂しいとか思っちまうなんて、どうかしてる。


カチッ・カチッ

弟が電気から伸びてる紐を2回引くと、部屋の明かりが消えて、豆電球一つが残った。

暗くはなったものの、眠れねぇ。
時間はまだ11時で、いい大人が寝るにはまだ早い。
それに元々俺はすぐには寝付けねぇタイプだし。
しかも、他人と同室で寝るとか、ガキの頃からの馴染みの奴らだって、一緒に寝たことなんかない。


眠れねぇが、一人起き出す訳にもいかず、俺は頭の中で今日一日を振り返った。

長ぇ一日だったな。
けど、あっという間だった。
朝起きたら牧野が目の前で眠っていて、それから初めて生まれたばかりの赤ん坊を抱いた。
人が人を生み出す神秘。それを目の当たりにしたんだ。
それから、牧野とドライブしてショッピングモールに行った。
あれはどう考えてもモールとは言えねぇな。
けど、予想以上に楽しかった。

全てが初めての体験。
女と揃いの服なんて買っちまったことも。
俺が女にプレゼントなんてしたことも。
女と二人きりで食事したことも。
触りたくもねぇと思っていた女に、自ら触れたいと思ったことも。
料理をしたことも。
ここに来てからの何もかもが、俺にとって未知なる体験。

俺が知らない世界があることを知った。
その世界は温かくて、輝いて見えた。
感じたことのない、満たされた気持ちになった。

けどそれは・・・
この場所が温かくて、輝いて見えるのは、初めての経験をできたからじゃねぇ。
牧野つくしだ。
この女と一緒だったから、新しい世界が見えたんだ。
だから俺は、これからもこいつと一緒にいたいと思った。
それは、我儘なことだと気づいてはいるが・・・。

牧野と一緒にいれば、俺は変われるんじゃねーか。
くだらねぇ政略結婚なんて絶対にしねぇ。
それぐらいなら、牧野とどっかに消えてやる。

だが、一方で思う。
俺は牧野をどうしたいんだ?
あいつと一緒にいたいって、一緒に何をしたいんだ?




「道明寺さん・・まだ起きてますか?」

進の小さな声に、はっとした。

「ああ。まだ早ぇし、眠れねぇな。」
「ですよね。それなら、少し話をしてもいいですか?」
「構わねぇよ。」

むしろ俺の方がこいつに聞きたかった。
牧野つくしのことを。
どんなことでもいい。
彼女のことをたくさん知りたい。

「俺、びっくりしたんですよ。姉ちゃんと道明寺さんが凄く楽しそうで。」
「まぁ・・な。昨日海に落ちたばっかなのにな。」
「そうですよ。なんか、夫婦みたいに仲良くて・・って、あ・・えっと、今のは言葉の綾って奴です。・・すみません。」
「・・・別に構わねぇ。」

いきなり出会ったばかりの女と夫婦みたいだと言われれば気分を害する奴もいるのかもしれねぇ。
いや、俺だって昨日まではそうだった。
夫婦みたいにお似合いだと、結婚をちらつかせてくる狸オヤジには反吐が出る。

だがむしろ、牧野と一緒にいたいと思っているのは俺自身で、
夫婦だなんていわれたら、ちょっと浮かれそうだ・・・


____夫婦・・・


そのキーワードに目の前が開けた気がした。
もし、俺と牧野が夫婦なら?
こいつを連れて東京に戻るのも当たり前だし、一緒にいるのも当たり前だ。
そうだ・・・夫婦なら・・・・・。



そんな単純とも言える思考回路に迷入していきそうになったが、進の声に呼び戻される。

「姉ちゃん、男性恐怖症っていうか、こっちに来てから個人的に男の人と付き合うのは避けてたんですよ。だから・・・凄く意外で。」

「男性恐怖症?」

まさか・・・と言いたい。
今日だって、ずっと俺と二人きりだった。
手をつないだ時も嫌がられたとは思ってねぇし、
あいつから俺の腕を引いたことだってあった。
射的で一等を取った時には、俺の腕に飛びついてきたぐらいだ。

「まさかって思ったでしょう?俺もです。2年前まではそんなんじゃなかったですから。」

「何があった?」

俺は他人になんて興味はねぇ。
けど、牧野のことは、どんなことでも聞いておきたかった。

「俺も、姉ちゃんからはっきり聞いたわけじゃないので、今、言えることはないんです。だけど、姉ちゃんにはこの2年間ずっと男性を避けてました。いや、もっと言えば、誠先生と千尋さん以外、誰とも親しくならなかったかな。」

それは、どうしてだ?
2年前に何があったんだ?
そう聞きたかったが、その理由を進は話そうとしなかった。

「だから、姉ちゃんの今日みたいな笑顔をみるのは俺も久しぶりなんです。俺、道明寺さんに感謝したいです。姉ちゃんを海から救ってくれてありがとうございます。それに、こうしてここにいて下さってありがとうございます。俺、すごく嬉しいんです。姉ちゃんの笑顔を見れるのが。」


弟の言っている意味はよく分かんねぇ。
恐らくだが・・こいつは俺を牽制してるんじゃねーのか。
男性恐怖症の姉貴を傷つけるなって、そう言いてぇんじゃねーのか。


けどな、進。
俺も嬉しいんだ。
あいつの笑顔を見ていることが。

牧野に出会えて感謝してぇのは俺の方なんだ。
俺に新しい世界を見せてくれた。


男性恐怖症?
それを全部理解することは出来ねぇけど、

約束する。
俺は、あいつを傷つけたりはしねぇよ。
絶対に、そんなことはしない。


だがそれでも、俺は牧野の傍にいたい。
傍にいるだけでいいんだ。
それだけは、許してくれるか?


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いつもたくさんの応援をありがとうございます。
上手く話しが繋げらそうになくて、今日は短めです(;^_^A
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Posted by

Comments 3

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Happyending  
ありがとうございます(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
この進君のお話をどのタイミングで入れるかはスッゴク迷いました。
そして、花のち晴れ!リアルタイムで見ました!
久しぶりの道明寺にパワーを得て、夜更かしして続き書いちゃった。っていっても、明日は午前中お休みなのでっていうのもあるけれど(^^;
道明寺パワーで、結構飛ばしちゃいました、16話目(笑)。

さてさて
スリ●様
飛ばしすぎちゃったかもーっ。でも、ここからまだまだだと思いますので・・えへ(^^;

花●様
どうなるでしょう??でも、司に火をつけてみましたよ(笑)。

原作の続きや、ドラマの道明寺を見ちゃうと、自分の書いているお話はうーん・・となっちゃいますが(;^_^A
最後まで頑張るつもりでーす。
ぼちぼちと書いていきますので、これからも応援頂けると嬉しいです(*^^*)

2018/04/18 (Wed) 01:23 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/16 (Mon) 12:35 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/16 (Mon) 08:50 | EDIT | REPLY |   

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