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Happyending

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「凄い、まだ2日なのに、結構しっかりくっついてきてる!」

朝早くから、畑できゅうりを取った後、
チョンチョンチョンと傷の消毒をされている背中がくすぐってぇ。

「これなら、5日位で抜糸できるかな。」
「別に、急いでねぇよ。」

もしも抜糸が出来なければ、東京に帰ってからすればいいだけのことだ。
だが、それは言わねぇ。
それを言ったら、ここに居る意味が無くなっちまう。

俺はすぐに帰るつもりはない。
帰る時は、こいつを連れて戻りたい。

その気持ちは、昨晩弟から話を聞いても変わらなかった。


昨日は一晩中考えていた。
俺はこいつと一緒にいてぇけど、それはこいつにとっては苦痛なのか?

自分本位な考え方かも知れねぇけど、こいつだって昨日は楽しそうにしてた。
俺が渡したプレゼントの口紅も喜んでくれた。
2年前、こいつに何があったのかは分からねぇけど、少なくとも、俺のことをそれほど怖がっているようには見えなかった。

それなら、俺はこれまで通りにいく。
そう決めた。




「さてっ!」

俺の傷にガーゼを当て終えた牧野が立ち上がった。
今日は何をするのか、ワクワク楽しみにしている俺がいる。
ここにいるのは今日を含めて後5日が限度。
その間に考えることはたくさんあるが、まずはこいつとの時間を楽しみたい。

「今日は何する?」
「とりあえず洗濯物を干して、ちょっとお掃除をしてから出掛けようかっ。」

・・・・・洗濯?


離れの掃き出し窓に作られた縁側。
朝の9時だが、夏の日差しはすでにだいぶ高くなっている。
軒先にある物干し竿に、牧野が洗濯物を干している姿を、俺はぼーっと眺めていた。
女が洗濯をしている姿なんて初めて見た。
ここに来てからの何もかもが初めてだけど。
うちではメイドがランドリーで洗濯をしているはずだし、ほとんどは業者に頼んでいるだろう。
物干し竿なんて見たこともねぇ。

「ヒョウ柄のパンツとか・・履いてる人いるんだね。」

はっと牧野の手元を確認すれば、そこには俺のボクサーブリーフ。
思わず目をむいちまった。
昨日、シャワーを浴びた時に、“洗濯物はここね”と言われてかごの中に入れたやつだ。

深く考えたことなんてなかった。
脱いだものを誰が洗うか・・とか。
あれを、こいつが洗ったのか?
うぉっ、なんか恥ずかしくねぇか?
これまで何も考えずにメイドにしてもらってたことが、どうしてか気まずい。
それに黒のレオパード、結構気に入ってんだけど・・やばかったのか?

牧野を見てみれば、気まずい思いはないようで、俺のヒョウ柄の隣に、どうやら弟のものと思われる青いストライプのトランクスを干していた。


それから、

2枚の『I LOVE NY』Tシャツが、物干し竿で揺れている。

てっ・・照れるじゃねーかっ。
お揃いのパジャマ・・って、俺が無理やり買わせたんだけど。

____夫婦みたいじゃねーの、これ。


『夫婦』

昨日も頭の端をよぎったキーワード。


けどすぐに、ブンブンっと頭を振った。
いくらなんでも、展開早すぎんだろ。

けどそれも悪くねぇと思うのは、俺だけか?
出会って3日の女にそんな思いを抱くなんて、俺はおかしいのか?

牧野は俺のことをどう思ってるんだろう?





牧野の姿を見つめながら、ゆったりとした時間が過ぎていく。
NYではプライベートな時間なんて皆無だったから、こんな時間を過ごすのは学生以来か?
だが、あの頃だって、こんなに穏やかな気持ちじゃなかった。
薄暗い闇の中で、ただただ無意味な時間が過ぎるのを待っていた。
でも、今の俺は、このままこんな時間を過ごしていくのも悪くねぇと思ってる。
この時間が永遠に続いてほしいと思う位に癒される時間。

「俺も手伝おーか?」

思わずそんな言葉も漏れる。

「え?いいよー。座っててー。」

そう言われても、何かしてぇ。
少しでもこいつに近づきてぇ。

縁側にあったつっかけを履いて、ペタンペタンと歩いて行き、牧野の足元にあったかごに手を入れる。
一枚引き上げてみれば・・・


はっ・・!

俺の手が凍り付く。
いや、体が動かねぇ。

こっ・・これは・・・

「じゃあ、これに・・・っ、ぎゃーっ!!何触ってんのよっ、この変態っ!!」

パシッともぎ取られたのは・・・牧野のパンティ。
ピンクのレースが付いた小っせぇやつ。
それを握りしめた牧野は、若干涙目になっている。

「ごっ、誤解だ。俺は、手伝おうとして・・・」

マジだっ。悪気なんてねぇ!
むしろ、心臓飛び出るかと思ったのは俺だっつーの。
女の下着を直で触るなんてよ・・・。
やっべ、顔と下半身が熱くなってきた。


「もういいから、あっち行っててっ!」
「何だよ、お前だって俺のパンツ触っただろーが。」
「それとこれとは次元が違うでしょ。」
「なんで次元が違うんだよ。宇宙人か。」
「ばっかじゃないのっ!!」

真っ赤な顔をして、テキパキと手を動かし始めた牧野。

「信じらんないっ!」
とか言って、ぷりぷり怒って、俺に背を向けた。
動揺してんの丸わかり。

パンティ触ったぐれぇなんなんだよ・・と思うものの、テンパってんのは俺も同じだ。
下着で興奮って・・マジ変態か・・・俺。

けど・・結構可愛いの着けてんだな。
チラッと足元のかごをもう一度のぞけば、そこに見えたのはパンティと揃いのピンクのブラ。
これを着けてるところ見てみてぇ・・とか言ったら変態決定か?
けど、女嫌いの俺だが、男としての機能がねぇって訳じゃねぇ。
こんなもん目の前に出されたら、男としてはこの程度の妄想仕方ねぇだろ?


そうこうしているうちに、洗濯物は干し終わり、牧野の下着はタオルで隠されていた。

「そこまでしなくても、態々見ねぇよ。」

「・・・・・。」

牧野が無言で俺を睨んでる。

「そんな顔すんな。俺はそんなに飢えてねぇ。」

深い意味などなかった俺の言葉に、牧野の顔が強ばった。
こいつが男性恐怖症だと言った進の言葉を思い出す。

まて、違う。
俺はをお前を傷つけるつもりなんてねぇんだ。

「悪ぃ。」

自然と謝っていた。
謝る必要なんてねぇ気もするけど、進が言うように俺と出会ってからこいつに笑顔が戻ったのなら、そのままでいて欲しい。


「ううん、私こそごめん。何よねぇ、パンツぐらい。でも、びっくりするでしょ?弟にだってパンツなんて触られたことないんだからっ!」

牧野がもう今まで通りの表情に戻ってるもんだから、ついホッとして、

「俺も、女の下着なんて触ったの初めてだ。」

「・・・え?」

はっ!
俺は何を言ってるんだっ。
これじゃ、自分が経験ないとでも言ってるようなもんじゃねーかっ。
嘘じゃねぇ・・嘘じゃねぇ・・けど・・・

やっべぇ・・・
牧野の視線が痛ぇ。

じーっと俺を見つめる牧野。
左に首を傾げて何やら考えている。
それから、

「私も、パパと進以外の人の下着なんて触ったの初めてだよ。」

そう言って、さっと横を向いた。

高めに結われたポニーテールが、さらっと揺れた。
その首筋が赤い。
日焼けってことはねぇよな。

なぁ、それってどういう意味だよ?
私も男を経験していませんって意味か?
まさか・・俺を誘ってるとか?
いやいや、そんな訳ねぇよな。
こいつは男が怖ぇんだって知ってるが、こいつの俺に対する態度からはそんな様子は微塵もねぇもんだから、ついつい要らぬ妄想に取りつかれる。


こいつが俺の発言をどう思ったのかは分かんねぇけど・・・

なぁ、牧野。
男が怖いお前が、俺の下着なんて干してるっておかしいよな。
それによ。
女が嫌いだったはずの俺が、お前の下着を見ただけでドキドキしてるのも変だよな。

牧野を怖がらせたくねぇと思うのに、
牧野つくしに触れたくて仕方がねぇってのもどうかしてる。

そうだ。
これは・・・
この気持ちは・・・・





「じゃあ、今度は道明寺さんも手伝ってね。」

牧野はさっきの会話なんてそれほど気にしてない様子で、
向こう側から、もう一つのかごを持ってきた。

「何を?」

もう少しで結論が出そうな思考回路に無理矢理ブレーキをかけ、俺は牧野の指示に従う。

次に広げたのは、大きなシーツ。
二人で端っこを持って、竿に掛けた。

「シーツを二人で干すのも初めてだよ。」

「俺も。」

変な意味じゃねぇのに・・・
二人同時にぷっと吹き出して、一緒に笑った。

ひとしきり笑い合ってから、

「今日は洗いたてのシーツで寝れるから、きっと気持ちいいよ。」

牧野がにっこり笑った。


ああ・・・やっぱ、好きだ。
この笑顔が好きだ。

俺はこいつが好きなんだ。

理由なんて分かんねえ。
けど、理由なんて必要ねぇ。



なぁ、牧野。
お前が男性恐怖症だっていうんなら、俺は超女嫌いなんだぜ?
いつもなら一言も口をきかねぇ位に女が嫌いなのに、お前だけは大丈夫なんだ。
お前もそうなんじゃねーの?
俺になら触れられても大丈夫だったんじゃねーの?
俺のことは怖くねぇんじゃねーの?

なぁ、俺ら、案外お似合いだと思わねぇ?


女嫌いの男と、男嫌いの女。

そんな夫婦がいたとしても、いいと思わねぇか?

お互いが唯一無二の存在であったなら・・・


断言できる。
俺は、お前以外の女を受け入れることなんて絶対にない。


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久しぶりにドラマの道明寺に会えました~(≧▽≦)
まさかのホログラムかと泣きそうになったら、あの歩き方で登場(笑)!
喧嘩強いし、かっこ良かったですね!
もう、すっごく満足です(*^^*)
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Comments 3

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Happyending  
こんばんは!

いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
ドラマの道明寺をみてしまったからか、やっぱり押せ押せに(笑)。だって、本家を見ちゃうとなぁ・・流されちゃう(笑)。

さてさて、
花●様
点灯させちゃいましたよ~。ここから頑張ってもらわねばです!どうします?二人で逃避行とか(笑)。いや、ないけど・・(笑)。

スリ●様
まだ三日目だけど・・(笑)。Switchは一目惚れで初日にプロポーズしてたなぁとか思い出しながら書いていました。あれも懐かしいなぁ。去年の今頃は俺の女を早く終わらせたくて焦っていたなぁとかぼんやりと思い出します。それに比べるとやっぱり今年は忙しいなぁ・・・(;^_^A やっぱり潤君のアクション最高ですね(≧▽≦)!

さて、明日中には1話目標と思っています。
もう少しお待ちください。

2018/04/18 (Wed) 22:49 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/18 (Wed) 07:53 | EDIT | REPLY |   
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2018/04/18 (Wed) 06:00 | EDIT | REPLY |   

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