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Happyending

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「もうっ、こんなのどうしたらいいか分かんないっ!」
「切って焼くだけだろ?」

帰宅すると、奥からにぎやかな声がする。
台所を覗くと、姉ちゃんと道明寺さんがまな板の前に並んで立っていた。
相変わらず、仲良くお揃いのTシャツを着てる二人はやっぱりいい感じ。


「ただいま。」
「あっ、お帰り、進。ちょうど良かった。今からお肉焼くからね。」

振り返った姉ちゃんの目の前にはでっかい肉の塊。

「すっげ!どうしたの、これ?」
「・・・あ、えっと、これは道明寺さんが勝手に買っちゃって・・。」

「良いだろ、今日は俺たちの・・・」
「ちょっとっ、ストップ!!」

急に頬を赤らめた姉ちゃんが、道明寺さんの口を手のひらで塞いだ。
なんか、動揺しまくりじゃない?


「なんかいいことでもあったんですか?」
「おぅ、聞きたいか?弟。」
「はい。」
「ちょっと、勝手に言わないでっ!」
「いーじゃん。」

道明寺さんが目を細めて笑って、頭一つ以上小さな姉ちゃんの髪をそっと撫でた。

甘い・・・・・・。
道明寺さんが甘い・・・・・甘すぎるっ!
これって・・・何?


「お肉焼くから、二人とも向こうに行ってて!」
「嫌だ。俺はここにいる。」

なんか、おかしい・・・。
二人の距離が昨日より格段に近い。
俺・・もしかして邪魔?


「姉ちゃん、俺、腹減ったから、向こうで何か摘まんでるね。」
「あ、ごめん。まだ何にも用意してなくて。そうだっ、桃!そろそろ食べ頃だと思うから、冷蔵庫に冷やしたの。食べてて!」

姉ちゃんに指示された桃を探して冷蔵庫を開ける。

「あー、懐かしいな。二人で当てた桃かよ。」

背中から道明寺さんの声。

「うん。ちょっと固かったけど、2日でだいぶ熟れたから、今が食べ頃だよ。」

確かに野菜室に桃が並んでた。
その桃に手を伸ばそうとしたら、

「なんか・・俺たちみたいじゃね?」
「・・・・え?」
「初めは固かったよな。それからだんだん柔らかくなって、今日・・・だろ?」

・・・へ?
思わず振り返っちゃった俺が見たのは、道明寺さんが姉ちゃんの顔を覗き込んでる姿で。
その距離はキスできちゃうぐらいに近い。

「どっ、どどっ、どうみょうじっ・・さ・・・」
「道明寺じゃねーよ、司って呼べ。」

「ちょっと・・急に変なこと言わないでっ。」

姉ちゃんが小さな声で道明寺さんを諫めてるようだけど、この距離じゃ丸聞こえだって。
姉ちゃんがこそっと俺の様子を伺った時に、やべっ、目が合っちゃった。
なんか気まずい・・
さらっと視線を逸らそうと思ったけど、俺は見た。

ドコッ!

すげっ。
姉ちゃんの容赦ないパンチを道明寺さんが片手で受け止めたとこ。

赤鬼みたいになって怒ってる姉ちゃんにぷっと吹き出して、ワリィワリィと謝ってる道明寺さん。
けど、本気っぽくも無くて、揶揄ってる感じで、
なんていうか・・
彼女扱い・・・みたいな?

この二人、絶対に何かあったよね?





3人でテーブルを囲んだ後も、二人のいちゃつきは半端ない。
って言うか、道明寺さんが終始姉ちゃんをいじってる感じ。
ステーキ切って、姉ちゃんの口に入れてあげたりしてる。
へぇ・・道明寺さんって、結構世話焼きなんだ、意外。

ほらまた・・姉ちゃんの口に付いたドレッシング拭いててあげてるし。
もういい加減、目の前の光景に耐えられなくなってきた。

「姉ちゃん、道明寺さんと何かあった?」
「ブホッ!ゲホッ・・ゴホッ・・!」
「大丈夫か?」

道明寺さんが姉ちゃんの背中をトントンと叩いてから摩ってあげてる。
姉ちゃんはそれを自然に受け入れてる。


「うっ、うん。えっと・・・・進、あのね。」

呼吸を整えた姉ちゃんが、覚悟を決めたように、そして少し照れた感じで笑った。
こんな可愛い姉ちゃん、初めて見たかも。


「私・・・」

「俺、お前の姉ちゃんにプロポーズした。許してくれるか?」


俺、姉ちゃんに気を取られてて、隣から出て来た道明寺さんはノーマークだった。

・・・・ぷっ・・プロポーズ!!??


「ぐっ!げほっ!・・ひっーっ・・ぐほっ!!」
「ちょっと!進には私が話すって言ったでしょっ!」
「どっちが話してもいいだろーが。つーか、お前もかよ、進、大丈夫か?」

焦ってる俺と姉ちゃんとは違い、道明寺さんはあくまで冷静。

「ゲホゲホゲホッ・・だっ、大丈夫ですっ、げほっ。」

姉ちゃんがくれた水を飲んで、なんとか落ち着きを取り戻した。


プロポーズって・・・
姉ちゃんと道明寺さんが・・・結婚っ!?

っていうか、そもそもこの二人って付き合ってたの?
なんでこんなに急な展開な訳?


「姉ちゃん、道明寺さんと・・けっ、結婚するの!?」
「えっ・・いや。まだそこまでは・・・。お付き合いしてみて、お互いに良ければ・・って思うんだけど。」

姉ちゃんがチラッと道明寺さんを見た。
道明寺さんは眉間にしわを寄せてるけど・・・。

「俺はそんなこと言ってねぇ。」
「でも、急すぎるから・・・。」
「俺は半端な気持ちで東京になんか連れて行けねぇ。行くなら結婚だろ?それが男の責任ってもんだろ?弟だって、お前の両親だって心配するだろーが。」
「そうだけど・・・。」

すげぇ。男の責任って・・。
姉ちゃんを東京に連れていくからには結婚するって。
その決断力に脱帽だ。
けど、一体いつの間にそんな話になったの?


「姉ちゃん、東京に行くの!?」

思わず会話に入っちゃった俺。
姉ちゃんは耳まで真っ赤にして俯きながら、それでもきっぱり言った。

「・・うん。そうしたいなって・・思ってる。」
「ってことは、つまり、二人は・・・」

「うっ・・・・」
「俺たち、今日から付き合うことになった。だから、お前の姉ちゃんを東京に連れて行こうと思ってる。突然のことでお前には迷惑かけるが、許してくれるか?」

姉ちゃんが答えるよりも先に、道明寺さんがきっぱりと交際宣言。
姉ちゃんはただただ恥ずかしそうに、俺と道明寺さんを交互に見てる。


ああ、そっか。そうなんだ。
ちょっとだけ、そんなことを期待してなかった訳じゃない。
姉ちゃんは、道明寺さんに出会って変わった。
以前の明るい姉ちゃんに戻った。
だから・・・

「許すも何も、姉ちゃんが望むなら反対なんてしません。」
「そっか、サンキュ、進。」
「進、本当にいいの?」

「姉ちゃん、俺、実は、秋からアメリカの大学に呼ばれてるんだ。今やってる研究でアメリカの研究室と手を組むことになって、会社から留学させてもらうんだ。その手続きももう進めてる。」
「そうなの?」
「相談しなくてごめん。でも言えなかったんだ。」
「・・・どうして相談してくれなかったの?」

留学の件は半年前から出てた。
行くつもりで準備は始めていたのに、どうしても姉ちゃんには言えなかった。
東京から来た姉ちゃんを一人に出来なくて、ここに一緒に住み始めたけど、2年経った今だってずっと心配だったんだ。姉ちゃんを一人にして大丈夫かって。

「牧野のことが心配だったんだよな?」

道明寺さんが俺の気持ちを代弁してくれる。
この人は、きっと分かってる。俺の気持ち。

「進・・ごめんね。私・・。」
「牧野のことは俺が全て引き受けるから、お前は安心して留学すればいい。」
「道明寺さん・・・。」

道明寺さんと姉ちゃんはお似合いだと思う。
なんというか、初めから初対面とは思えないほど打ち解けてた。
人間としてのタイプは違うんだろうけど、二人が一緒にいると幸せそうで、羨ましいぐらいだった。
お互いがお互いを補っているような、そんな感じ。
だけど、本当に任せていいんだろうか?
だって、道明寺さんは道明寺ホールディングスの副社長だ。
そんな人が姉ちゃんと・・・結婚なんてできるんだろうか?


「必ず、姉ちゃんを幸せにしてくれますか?」

こんなこと言ったら失礼かな。でも、言わなきゃ。
後からやっぱり駄目だとか言わないでください。
姉ちゃんは、こうと決めたら一途だから、どうか悲しませないでください。

「任せろ。」

男の俺でも惚れちゃいそうな位に真剣な眼差し。
その力強い一言に、道明寺さんの本気が伝わってきた。


「姉ちゃんは大丈夫?」
「何が?」
「もう一度東京に行くこと。」

「進、私ね。本当は、もう絶対に東京なんか戻るもんかって思ってたの。でもね、今は道明寺さんと一緒に行きたいの。おかしいよね。けど、今行かなかったら後悔しそうなの。もう、逃げたくないの。」
「姉ちゃん・・。」

「もしも・・ダメでも、それでもいいの。何もしないよりはずっといい。」
「おいっ、ダメとか言うなっ!」
「うん。」

姉ちゃんは道明寺さんを見つめ、
道明寺さんは姉ちゃんの頭にポンと優しく手を置いた。


そっか。
二人の覚悟は決まってるんだ。
なんだ、そうなんだ。
それなら・・・・


「道明寺さん、姉ちゃんのこと、よろしくお願いします。」

俺は二人を応援するよ。
だから、絶対に幸せになって。


甘く見つめ合う二人・・これ以上見てらんないって!


「俺、風呂入って来る!」
勢い良く立ち上がったら、

「進、ありがとう。」
と姉ちゃんの声が聞こえた。


思わずチラッとだけ振り返っちゃったら、道明寺さんが姉ちゃんを抱き締めてた。
あー、道明寺さんはすげぇカッコいいなって思った。

きっと何でも手に出来る人だ。
姉ちゃんよりも綺麗な人だって、頭のいい人だって、お金持ちの人だって、どんな人だって選ぶことの出来る人。
その人が選んだのは、俺の姉ちゃん。
たった4日で、生涯の伴侶を見極めた。

やっぱりすげぇよ。
道明寺さんは見る目がある。
俺が自慢するのも変だけど、姉ちゃんと結婚する人は、絶対に幸せになれると俺は思う。
道明寺さんは、誰よりも、人の価値が分かってる。

それに、姉ちゃんもすげぇ。
あんなに怖がってたくせに、飛び込む時は迷いがない。
さすがは俺の姉ちゃんだ。


ぶらぼーっ!!

俺はスキップしながら、風呂場に飛び込んだ。


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Comments 5

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Happyending  
こんばんは(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
今日は雨かと思っていたら、晴れてました。皆様いかがでしたか?

さてさて、
花●様
やっぱり!進目線来ました(笑)。これはねぇ、やっぱり書かないと(笑)。司、両想いになってちょっと調子に乗ってる感じで可愛い(*^^*)。今日もお仕事でしたか・・。GWも無いんですねぇ。私は仕事はお休み何ですが、地域の仕事に翻弄されます・・・(;^_^A

スリ●様
私は、司君が幸せだとスリ●さんが嬉しそうなのが嬉しいです!(笑)。
そして、分かる・・。私も、もう難しいことはカットしちまえ!的な妄想に取り憑かれつつある(;^_^A もう、エンド?みたいな(笑)。だってぇ、みなさん短編で花晴れのお話書いてたりとか、楽しそうなんだもん!私も、Happydaysとか書きたくなってきたーっ!(爆)そんな訳で、お肉の塊出してみました(笑)。焦るつもりは無いのですが、こういう時に限って書きたいお話がわーっと沸いて来るんですよねぇ。困ったものです・・(;^_^A

さと●様
4日で生涯の伴侶を決めた司!さすがですよ、ホント。あり得ねぇですよ(笑)!そして、そうなんですよ~。この家には進がいるんです!だからなぁ・・筒抜けすぎでしょ?(笑)。どうしようかなぁ・・その辺りも悩む展開・・(;^_^A いい歳だしなぁ。あんまり、カマトトぶっちゃうのもなぁ・・(笑)。

サ●様
初めまして!コメントありがとうございます(*^^*)いえいえ、拍手頂けるだけで嬉しいですよ~。一緒に楽しんで頂けたら、本当に嬉しいんです。このお話、好きと言って頂けて、またまた嬉しい! ちょっと重いって言うか、暗い感じだったので、好き嫌いは別れるかなぁと思ってはいるので・・。はい、マイペースでやっていきますね。また覗いてくださいね~!

ぴ●様
このお話では、進君が結構大きな役割を果たしているようです(笑)。しかも、癒し系?(笑) バカップルの進目線、楽しんで頂けて良かったです(#^^#)


さて、明日は忙しい一日になりそうです。
明日の夜までに1話アップできたらいいなと考えています。
ではでは、また~(*^^*)


2018/05/03 (Thu) 23:47 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/03 (Thu) 18:20 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/03 (Thu) 17:29 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/03 (Thu) 10:18 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/03 (Thu) 09:47 | EDIT | REPLY |   

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