Happyending

Happyending

俺んちの事情ってやつを、話さなきゃなんねぇと思っていた。
けど、俺から話そうと思っていたことを、こいつから切り出されるとは思わなかった。


____俺とお前が釣り合っているか?


金を持っているかどうか・・それを基準とすれば、俺たちは釣り合ってはいないだろう。
牧野が心配しているのは、そういうことだ。


けど、それって重要なことか?
金があっても幸せじゃねぇ奴なんてたくさんいる。
逆に金がなくたって心が満たされることを俺は知った。

大事なのは、互いの気持ちだろ?

相手をどれだけ大切に思っているか、
何があっても一緒にいたいと思えるかどうか、
そして、どれだけ愛しているか?

結婚の条件に、これ以上に重要なことってあるのかよ。
今生きてる場所なんて関係ねぇだろ?
どうせこれから一緒になるんだから。



「それって重要なことか?」
「・・・え?」
「金があるかないかは重要か?」

牧野は首を横に振った。
こいつは金をとるような女じゃない。
もしもそうだとしたら、むしろ俺に飛びついて来るはずだ。
この時計の価値を知り、俺に取り入ろうとするはずだ。

「だけど、道明寺さんのご家族はどう思うかなって。ご挨拶もしていないのに、いきなり婚姻届を書いたりしたら、失礼だと思われるかもしれないでしょ?」


失礼とか思う前に、お前を連れて帰ること自体にぶっ飛ぶに違いない。
それに、俺のこの結論をどう思うかは分かんねぇ。
だが、認めさせてみせる。

だから、今はお前の気持ちの方が重要だ。
絶対に手を離さない・・その覚悟。
そこまで俺を愛してくれるかどうか・・・。


「逆に聞きたい。」
「え?」
「釣り合ってなかったら、俺のことを嫌いになるのか?」
「そんなことっ!!」
「俺は、お前がどんな素性でも、そのままのお前が好きだ。断言できる。」
「私だってそうだよっ!どんな道明寺さんだって好きだよ。そんなの分かり切ってる!」

ほっとした。
その答えが聞きたかった。

そして、

「もしも、俺の親がこの結婚に反対したらどうする?」
「反対・・・・するの?」

明らかに落胆した牧野の様子に、胸が引き裂かれそうだ。
けど、言わなきゃならない。
言わずに東京には連れて行けねぇから。


「正直言うと、俺んちの家族はかなり厄介だ。」
「厄介?」
「ああ。恐らく、お前にも迷惑かけると思う。」
「迷惑?」

こいつを東京に連れて帰ってからのことはまだ予想が付かない。
ババァがどう出るか?
オヤジもどう動くか?

「例えば・・・どんな?」
「俺の母親は家を守ることに必死だ。俺の結婚は、それなりの家柄の女を用意するつもりでいる。」
「用意?」
「好きとか嫌いとか、そういう感情は考慮されない。家にとって都合がいいかどうかが最優先。」
「そんな・・・それじゃ、私・・・・。」

テーブルに置かれた牧野の手が震えてる。
プロポーズをした後にこんな話を聞かせることに、吐きそうなぐらいの罪悪感が込み上げてくる。
ごめん、牧野。
けど、俺にはお前しかいねぇから。

「俺の休暇は、覚悟を決めるための休暇だ。家のために、自分の人生を犠牲にする覚悟。この婚姻届は東京を出る時に母親から渡された。」
「・・・・・・・・。」

「けど、白紙だった。つまり、この空欄を埋めるのは俺自身だ。」
「・・・・・・・・。」


牧野からの返事はない。
ただただじっと、俺のサインだけが記された婚姻届を見つめてる。
震える手を握りしめたまま。

「いきなりこんな話をするのはずりぃよな。
 こんな状態でプロポーズしても、不安になるよな。
 お前を騙すつもりなんて全くないから、そこは誤解しないでくれ。
 けど俺は、親が用意した政略結婚なんてするつもりは無い。
 今まで家のために生きて来た、その人生はリセットしたんだ。
 これからは、自分のために生きていく。
 愛する女と家族になって、その家を守りたい。
 俺はお前と生きて行きたい。
 必ずお前を守るから、頼む、俺と来てくれ。」

これから先、どんな困難があるかは分からない。
けど、どうしても・・・
俺はもう、お前を手放せない。


「反対されたら・・・どうするの?」
「反対されても、諦めない。」
「でもっ!」
「俺は、お前以外の女なんて認めない。」

牧野がじっと俺を見た。

「そうだろ?なんで、好きな女がいるのに、好きでもねぇ女と結婚出来る?なんで、好きでもねぇ女と子供が作れる?そんな家に誰が帰りたいと思う?そこに幸せなんてある訳ねぇだろ?」

「道明寺さん・・・。」

「俺は、幸せになりてぇ。」

牧野にとっては迷惑な話かもしれねぇ。
けど、俺が幸せになりてぇんだよっ!
我儘だって分かってる。
けど、もう出会っちまったんだ。
お前との未来を諦められねぇ!


「お前が嫌だって言ったら・・・」

それでも構わねぇ。無理やりにでも連れて行く! 
絶対に幸せにするから・・・

そう言おうとした時、



「一緒に行く。」

牧野がゴクッと唾を呑んだ。


「私が、道明寺さんを幸せにしてあげる。だから、一緒に行く。」




彼女が俺の万年筆を手に取った。
そこからは一瞬の出来事で、


『妻になる人』の欄には、

______牧野つくし


俺の愛する女の名前が書き記されて、
書き終えた俺の彼女は、


「手・・震えちゃった」

そう言って、世界一可愛く笑ってくれた。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
関連記事
Posted by

Comments 6

There are no comments yet.
Happyending  
こんばんは~(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
少し前に29話投稿しました~。
もう、時間が無くて、お話を優先にしているとお返事が遅くなる・・けど書きたい(笑)!

さてさて、
花●様
つくしちゃん、頑張ったでしょ?可愛いでしょ?そして、おおっ!押し倒されちゃいましたよ~(笑)。どうなる??・・えへ。

スリ●様
2泊3日の修学旅行、あっという間ですね。お天気どうだったんだろう。山の天気も崩れやすいし心配ですね。婚姻届書いただけじゃ夫婦じゃないんですよねぇ。これを提出せねば・・。証人も必要だし・・困った困ったです(;^_^A 

真●様
初めまして!でしょうか?コメントありがとうございます(*^^*)楓さんの動向、気になりますね。そして、いつになったら東京行くんだ~って感じですね(;^_^A 一つずつ問題をクリアしているうちに気が付けばもう29話。楓さんの前に、もう少しだけジレジレの二人にお付き合い下さいませ~☆彡

さと●様
司よかったねぇ・・ですよね(笑)!原作でも、俺が幸せになりてぇんだって言ってたのが凄く良くて・・。あれはつくしの心にズキューンって来たに違いないと思います。おっと、進君のいる家で、司が押し倒したみたいですよ?(笑)。

まり●様
一世一代の熱烈プロポーズ!!確かにそうですよ。こんな熱いプロポーズされたら、断れる女子がいる訳ないです!!つくしちゃん、可愛すぎますね(笑)。4日で運命の人を見極めた二人。どうぞ、見守ってあげて下さい!

ぴ●様
あはは、すでに次のお話に拍手コメント頂いてました。ええ~って、プププ。いますよ、進!(笑)。続きはもうちょっとお待ちくださいませ~。


さてさて、今日はもう寝ます。
忙しくて、まだ花晴れは見ていないです。
今週・来週は凄く忙しい(涙)。
ですが、少しずつでも進めたいと思っています。
マイペース更新ですが、また覗いてくださいね(#^^#)

2018/05/09 (Wed) 22:59 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/08 (Tue) 13:36 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/08 (Tue) 09:45 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/08 (Tue) 08:53 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/08 (Tue) 08:02 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/08 (Tue) 05:25 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply