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Happyending

Happyending

「一緒に行く。」

牧野のその一言に、心臓が熱くなった。
どれだけの勇気を振り絞ったか、
この結論が簡単だったはずはない。


「牧野、本当にいいんだな?
 いや、嫌だっつっても、連れて行くつもりだけど。
 絶対にお前を手放さない。」

「うん、決めたの。ううん・・初めから決めてた。
 私、道明寺さんと一緒に東京に行くよ。
 大好きな人と一緒にいたいから、迷惑だなんて思わない。
 幸せを諦めたくないの。
 それに、私のこと守ってくれるんでしょ?
 絶対に幸せにしてください。」

牧野がにっこりと微笑んだ。

大好きな人・・・
そのフレーズに胸が震える。
いつの間にか俺は、こいつにとってのそんな存在になれていたんだな。

お前に出会うまでの俺は、人じゃなかったのかも知れねぇ。
何かを手に入れるために熱くなるとか、幸せ過ぎて胸が痛くなるとか、そんな感情を生まれて初めて味わった。
この幸せを手放したくねぇ。
生きる目標を見つけたんだ。
愛する女と生きる人生とその喜び。
お前に出会って、初めて生きていることを実感した。
俺にとってお前は・・・命そのもの。


目の前にあるテーブルをずらして、牧野の両手を掴み、
そのまま俺の胸の中に手繰り寄せた。


「必ず幸せにするから、絶対に俺の手を離すな。」

「うん。」


俺を見上げる牧野の目には決意の光。
けれど、その顔は柔らかくて、
これからの幸福を予感させる、希望の光が見えた。




***




道明寺さんがテーブルをずらして、私の両手を引いた。
スポンと彼の胸に抱き締められて、その広い胸に安心する。
ああ、やっぱり、この場所は誰にも譲れないと思った。

婚姻届にサインをした。
この人と夫婦になるという約束。
これからは私がずっとこの人の傍にいる。
そして、幸せにしてあげたいと思った。

私たち、お互いに言いたいことは言えたみたい。
結局のところ、私が聞きたかったことと、道明寺さんが言おうとしていたことは一緒だったんだね。


時計や車を見た時から裕福な人だと思ってた。
でもだからって態度を変える必要なんてないし、これまで通りでいいんだって、無理やり結論付けていたような気がする。それはたった1週間の付き合いだと思ったから・・。

でもね、ことは結婚だよ。
2つの家族が結びつく一大事だから、やっぱり彼の素性を気にしないと言う訳にはいかなかった。
それを知ったからって、私の気持ちは変わらない。
だけど、彼のことをもっと知りたくもあった。

「釣り合ってなかったら、俺のことを嫌いになるのか?」

そんな訳ない。
そんな事考えてなかった。
だけど、道明寺さんだってずるい!

彼にはご両親が用意した縁談があるらしい。
だけど、私と一緒に生きていきたいと言ってくれた。
その言葉を、私は信じてる。
信じてるけど・・・一瞬ちょっとだけ疑ったのも事実。
もしかしたら、ご両親が用意した縁談を断りたくて私にプロポーズをしたのかも・・って。
本当は私のことなんて、何とも思ってないのかもって。

けど、少し考えれば分かること。
何も持っていない私と結婚して、彼に何の得があるっていうの?
私が持っているのは、彼への愛情だけ。
だとすれば、彼が求めてくれているのは私の愛情しかないじゃない。

『幸せになりてぇ』と言った道明寺さん。
その口調は切ない位に私の胸を突いた。
そして、その気持ちは私と全く同じだった。
私も幸せになりたい、この人と・・・。

それに、彼が絞り出す一言一言にから感じられた。
私のことが好きだって・・・だから一緒にいたいんだって。
今だって、この逞しい両腕がそう言ってる。


今まで、こんな風に私を必要としてくれた人はいなかった。
これからだってきっといないよ・・こんな風に私を好きになってくれる人。
それなら、彼に付いて行かなくてどうするっていうの?

そう思えたら、私の迷いは吹き飛んだ。
どんな素性だって関係ない。
この人と結婚して、ずっと一緒にいよう。


でもね、本当は・・・みんなに祝福されたいって、そんな希望だって抱いてる。
私の両親はきっと反対なんてしないと思う。
そして、道明寺さんのご両親にだって賛成してもらいたい。
だから、私は頑張るつもり。
何を頑張ればいいのかはまだ分からないけど、簡単に諦めたりしない。
二人だけでも幸せにはなれるかもしれないけど、
みんなに祝福されたらもっと幸せになれる。
私は道明寺さんを幸せにしてあげたいから、どんなことでも頑張るよ。
隣でずっと見ていて・・・。



「えへへっ・・」
「何だよ。」
「何でもないっ!」

勝手に決意をしている自分が急に恥ずかしくなって、彼の腕から抜け出そうとしたら、今度は背中から抱きしめられた。
彼の足の間に挟まれて、彼の腕が私のお腹に回される。
私の肩に彼の顎がのせられて、彼の息が私の首筋にかかった。

もうっ!こういうこと、平気でするんだからっ。
さっきからドキドキしっぱなしだよ!!

初めは言葉数が少ない人だと思ったけど、本当はそうでもないし、愛情表現はストレート。
そう言うところが好きだなぁって思う。

けどさ、結構ずるいところもあるんだよね・・・。

そう思って、ちょっとだけ彼の手の甲をつねってみた。

「イテッ!何すんだっ。」
「だって、大事なこと話してくれてなかったでしょ?」

「なっ・・なんだよ・・・。」
「結婚の話があることとか。」
「相手なんて知らねぇし、受けるつもりもねぇ。」
「ご両親が厄介だとか。」
「昔から厄介過ぎて忘れてた。」
「もぅ~!嘘ばっかりっ!!」

きっと本当にいいにくかったんだろうなって分かってるよ。
そして、縁談なんて受けるつもりもないってことも。
だけど、始めに言われていたら、彼を好きだって言う気持ちにブレーキがかかったかも知れない。
こんなに惹かれるまで黙ってて、最後の最後に言うなんて、本当に策士だ。
だってもう、どんなに厄介だって、離れられないもの。
まんまと彼の罠に嵌っちゃったのかも・・私。

「言い訳するつもりはねぇんだけど、そんなことぶっ飛ばしても、お前と一緒にいてぇんだよ。」
「うん。分かってる。」

分かってる。
色んなことぶっ飛ばしても、道明寺さんと一緒にいたいのは一緒だから。


「牧野」
「ん?」

彼の手の爪を一本ずつ見つめてた。
男の人の手なのに、不思議なぐらいに綺麗なの。

「ありがと。俺を選んでくれて。」

はっとして振り返ったら、私を見つめてる彼と目が合った。
そう、この目が好き。
大好き。

「私の方こそありがとう。私を選んでくれて。」


そのまま彼の唇が落ちてきた。
私は自然にそれを受け止めた。
こんなに自分の体に沿う人は、彼以外には絶対にいない。




「明日、お前の両親に会いに行きたい。」
「あしたっ!?」
「東京に帰る前に挨拶しとかねぇと。」
「でも、両親も働いているし、急だから、本当にちょっと挨拶するぐらいしか無理かも・・。」
「それでもいい。」
「・・・うん、分かった。連絡してみるね。」

パパとママはここから車で1時間ぐらい北に行った旅館で住み込みで働いている。
この時期はそれなりにお客さんがいるかなぁ。

「挨拶が無事に済んだら、東京に戻る。」
「・・・私はいつ東京に行ったらいい?」
「は?俺と一緒に行くに決まってるだろ?」
「って、明日帰るってこと!?」
「できれば。」
「ええーっ!?」

「無理だよ、無理。だって、荷物とか・・・」
「東京で必要なものは俺が用意するから。」
「何言ってるの?そこまでしてもらう訳にはいかないよ。」
「なんで?いいだろ?俺たち、夫婦になるんだし。」
「でも・・・」
「お前ひとりぐらい、すぐにでも養えるから心配すんな。」

すぐに養えるって・・・そういうもの?
っていうか、やっぱり急すぎるでしょ?


「でも、やっぱり・・・」

荷物を作ったりとか、最低でも1日は必要だよ。
部屋整理しなくちゃ。冷蔵庫だって。
だから、あと1日だけ待ってって言おうと思った・・・その時、


「なぁ・・・俺、限界かも。」
「何が?」
「いろいろ・・・。」
「早く東京に帰りたいってこと?ねぇ、1日だけ待って。そうしたら一緒に・・・」


___ゴロン・・

あれ・・・?


「牧野・・・ちょっとだけ・・・・」

少しだけって・・何?
あれ、道明寺さんの顔が目の前にある・・と思ったら、

クチュ・・って、
いきなり舌が絡むキス。


あれ・・・私、道明寺さんの下敷きになってる?

・・・え?
道明寺さんの手が、私の胸の上に・・・うそっ!


一瞬だけ唇が離されて、
額を合わせたまま、道明寺さんが私の瞳を覗き込んだ。


「牧野」

って、私の名前を呼ぶ彼の声が掠れてる。


これって・・・

_____そういうことなの??


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いつもたくさんの応援をありがとうございます。
すっごくじれったくてごめんなさい!!
日々バタバタでお返事も遅れてます。もう少しお待ちください~。
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Comments 7

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Happyending  
こんにちは(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
次のお話、9割方書けたかなと思うのですが、ipadで書くと誤字が多くて、もう一度見直さなきゃです。今から用事を済ませて、夜にはアップしたいです!

さてさて、
あか●様
笑!ええ〜っ、ですよね。慣れた二人ならこのままでも・・と思いますが、この二人は・・(笑)。答えは夜に!(笑)。

花●様
拍手連打(笑)。ありがとうございます。たまに、拍手するとさらにおまけのお話が出てくる設定ってありますよね。あれってどうやるんだろう?って言っても、難しいことできませんがf^_^; そうそう、ちょっとってどれぐらい?私も自分で書いてそう思いました(笑)。答えは・・夜に(笑)!

スリ●様
こちらの司くんも童●設定なので、なかなか抑制が効かないようです(・・;) つくしちゃんも怖い思いしてますからねぇ。ここは慎重に・・?このつくしちゃんはなかなか度胸があるので、頼もしくて好きです!

さち●様
お久しぶりです!コメントありがとうございます(*^^*) 楓さんねぇ・・どうしましょうかね?(笑)一緒に楽しんでいただけて嬉しいです(o^^o)

さと●様
ゴロン・・・。この擬態語からしても・・(笑)。いやぁ、初めての二人じゃなければ、このスリリングな展開美味しいんですけどねぇ(笑)。どうかな??

ま●様
へびのナマ転がし!(笑)。こういう状況設定、多分私の中ではかなり珍しいと思いますよ(笑)。さて結果は??(笑)。どうぞ夜に覗いていただけたら・・(o^^o)

ぴ●様
いひひ・・。どうなるでしょうか?えへへ・・ではでは、夜に〜(笑)!


いやいや、皆さん、何となーく、無理だろ?感漂ってる感じですが(笑)
私が超司派であることだけはお忘れなく(笑)。
あ、まだ、じれじれしてますが・・σ^_^;

目標は夜9時ぐらいかなぁ。
ということで、用事してきまーす!

2018/05/11 (Fri) 18:34 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/10 (Thu) 20:58 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/10 (Thu) 11:40 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/10 (Thu) 07:56 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/09 (Wed) 23:25 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/09 (Wed) 23:17 | EDIT | REPLY |   
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2018/05/09 (Wed) 22:26 | EDIT | REPLY |   

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