Happyending

Happyending

___チャポン・・


旅館についていた小さな温泉風呂に体を沈めた。


結局、私たちはここに一泊することになった。
ママに明日の朝ご飯を一緒に食べようと言われたらそうしたくなった。だって、きっとしばらくは会えなくなっちゃうでしょ?
それに今から東京に戻ったとしても深夜になっちゃうし、道明寺さんに運転してもらうのも大変だし。
道明寺さんも「お前がそうしたいなら、泊まろうぜ」って言ってくれた。


取り敢えず、着替えの入った鞄を取りに二人で車に戻った。
外の空気は少しひんやりしていて、夜空には満天の星。

「綺麗だねぇ。2年もここにいたのに、こんなに綺麗な星空初めて見た気がする。」
「俺は空なんて気にしたこともなかった。」
「仕事が忙しかったから?」
「いや、興味がなかったんだろうな。」

「今は?綺麗だと思う?」
「クッ・・俺はどっちかっつーと、星が綺麗だとか食べ物が美味いだとか、そんな風に感動してるお前を見るのが好きだ。」
「ええーっ。そんなのつまらないじゃない。」
「つまらなくねぇ。お前を見てるのが一番楽しい。俺はお前にしか興味ねぇよ。」

うっ・・・///
だから、どうしてこの人はこういう事を平気で言うかなぁ。
恥ずかしくないの?

「お前のことが大事だから、お前が嫌がることはしない。」
「嫌がること?」
「ああ。」

道明寺さんは繋いだ私の手をもう一度強く握りしめた。


それから部屋に戻って、道明寺さんはお部屋にある小さなお風呂でシャワーを浴びると言った。
私はこの小さな温泉に入ると言って、部屋を出てきたんだ。



____ポチャン・・


道明寺さん、絶対に誤解してる。
私が嫌がることはしないとか、私のペースに合わせるとか、そう言ってくれたけど、私は別に嫌じゃなかったんだよ、昨日のこと。
そりゃ、ちょっとびっくりしたし、隣に進がいたから焦っちゃったけど、怖くもなかったし、むしろ・・・嬉しかった。
美人でもグラマーでもない私のことを欲してくれる。
道明寺さん以外の男の人だったら多分ダメ・・ううん、絶対にダメ。
だけど、お互いに好きなんだから当たり前だって素直にそう思えた。

『いつかは』じゃなくて、『今』一つになりたい。
私も、この人が欲しいって、はっきりとそう思える。
この人となら、どんなことがあっても後悔しない。



____ふぅ・・


私、そういうことになっても大丈夫だよ。
もしかしたら、痛くてできないかもしれないけど。
この年齢で初めてだとか、面倒臭いって思われるかな・・それはちょっと心配。
けど、本当に好きになったら、相手の全てが知りたくなるんだね。
彼の全てを受け入れたい。
私の全てを知ってほしい。
こんな気持ち、初めてだよ。


出会って、5日目。
それでこんな展開って早すぎる?
だけど、だったらいつならいいの?


ブクブクブク・・・・
湯船に口元まで浸かってみる。

悩む必要なんてない。
だって、答えは出てる。




***



「泊まっていくか?」
「うん。・・・いい?」

いいも悪いもねぇし。
こいつと結婚するためにこいつを連れて行くんだ。
休暇だってまだ残ってる。
両親が一緒に朝食をと言ってくれてるのに、態々急いで帰る必要もねぇ。


牧野と二人きりで見上げた満天の星。
その星達は確かに綺麗だったけど、それ以上に綺麗なのは牧野の瞳だった。
夜空を見上げた牧野とのでっけぇ瞳は、星空を映してキラキラと輝いていた。
星空なんかより、その瞳から目が離せねぇ。

牧野より美人はいくらでもいる。
スタイルがいい女もたくさんいるだろう。
けど、俺の目にはこいつしか映らない。
何でこんなにも彼女に惹かれるんだ?

運命なんて信じてる訳じゃねぇけど、俺たちは出会うべくして出会った。
一緒に海に落ちた瞬間に人生をリセットし、同時に生まれ変わった。
生まれ変わった世界では、俺は財閥の跡取りなんかじゃなくただの男で、そんな男にひたすら優しく接してくれたのが牧野だった。
惹かれて当然なんだ。
俺を、俺自身を見てくれる女だから。
俺から何かを欲しがるでもなく、ただ一緒にいたいと言ってくれる、俺を最高に幸せにしてくれる女。
傍にいてくれるだけで、どれほどの価値があるか・・。
地位とか名誉とか金とか、そんなものがなくても俺を好きだと言ってくれた。
そんな女、今まで一人もいない。


「お前が嫌がることはしない」

それは間違いなく本心だ。
世界でただ一人大切にしたい女。
絶対に怖がらせたくねぇ。
それに、時間ならこれからたっぷりあるはずだ。
焦る必要なんてねぇ。

けど問題は、この部屋だ。
狭すぎだろ?
絶対にあいつの寝息とか聞こえるし、
我慢しようとしたって、つい手が出ちまうだろ?
昨日だってそうだった。同じ過ちを犯しちまう可能性は・・情けねぇけどある。

東京に戻ったらとりあえず俺のマンションに行くつもりだった。
あそこなら、部屋数があるし、その気になるまで夜は別でも仕方ねぇと思ってた。
でも、同じ部屋で一晩となったらやっぱりな。
我慢できるか自信ねぇ・・・なんて言ったら、約束が違うって怒られるよな。


はぁ・・・・

俺んちのトイレよりも狭い浴室でとりあえずシャワーを浴びた。
大浴場ってのも勧められたが、誰が入ったか分かんねぇ湯船になんか浸かれねぇし。
とにかく、あいつが戻ってくるまでに気合を入れなきゃなんねぇ。
一晩手を出さずにあいつの傍に居られるか・・・くそっ!
冷たいシャワーを一気に浴びて、自制心に輪をかけた。


ガシガシガシッ・・・

信じられねぇぐらいに固いタオルで体を拭いた。
あいつが出してくれた浴衣を着てみたが、裾短ぇし。
襟元に『特』って書いてあるが、これは何だ?俺用の特別仕様なのか?
けどさすがに、あのTシャツって訳にも・・・いかねぇよなぁ。

仕方なく浴衣を着て、そのまま浴室を出ると、


・・・・・一体、どいつの仕業だ?


テーブルは端っこに寄せられて、
布団が二組敷いてあった。
しかも、ぴったり隣り合わせで。

やべぇ・・顔がにやけるし。
いや、ちげぇだろ。
俺はあいつがいいっつーまで待つ。
待てる男だ!そうだ、絶対に待つ!


ふぅ・・・

やっぱ、もう一回シャワー浴びとくか・・
と風呂に戻ろうとした時に、

___カタン

と襖が開く音がして、同時にシャンプーの香りが漂った。

振り返ると牧野が戻ってきてた。
髪をアップに結い上げて、顔が上気してる。
浴衣の合わせから覗く肌が艶かしくて、その先にある膨らみが気になって仕方ねぇ。


やべぇ。
やべぇ。
やべぇって。


____無理だ。

俺の覚悟は海の藻屑と消えた。

一晩何もせずにいられる訳ねぇ!



「あれ、もうお布団敷きに来たんだ。」
「あ・・ああ。シャワーから出たらこうなってた。」

「まだ眠くないよね?何か飲む?」
「この部屋じゃ何にもねぇな。俺、なんか買ってくるわ。」

とりあえず、一旦頭冷やさねぇとマジやべぇ。
いきなり襲いかかるかも知れねぇ。

「あ、待って!お水とビールは買ってきたの。」

そう言って、牧野が買い物袋を見せた。

つーか、そうじゃねぇんだよ。
俺の自制心の問題だ。


「ちょっと頭冷やしてくる。」
「え?」
「今二人きりになると、ちょっとやべぇかも。」
「えっ!?」


こんな裾の短ぇ浴衣着て、外とか出るのもなんだけど、
それでもここに居たらこいつを怖がらせちまうから。

牧野に背を向けて、とりあえず外に出ようと一歩踏み出した。


「まっ、待って!!」


俺を呼び止める声と同時に、背中にふんわりとした温もり。

彼女の腕が俺の腹に回ってる。
背中に感じるのは間違いなく牧野の胸の膨らみで・・・


「やばくても・・・いいです。」

彼女の小さな声が聞こえた。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
関連記事
Posted by

Comments 5

There are no comments yet.
Happyending  
Re: タイトルなし

さと●様
つくしちゃん、可愛すぎですねぇ・・えへ。
そして、やっと次のお話をアップしましたが、これまたここで切るっ!?(笑)。
もう、最近忙しくて無理なんですよ・・。頭が回らない。
なので、許してください!(笑)。

2018/05/16 (Wed) 00:04 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/13 (Sun) 22:59 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんばんは(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
ようやく・・ようやくここまでやって来ました(笑)。
でもここからは、私の超苦手領域でありまして・・なかなか妄想も膨らまないσ(^_^;)でもスルーもできない(笑)。

さてさて、
花●様
本当に・・あのシリアスな司はどこにいっちゃったんでしょうか・・(笑)。もう、完全につくしの虜になっちゃってますね。どんな続きにしようかなぁ・・(*^^*) もうちょっとお待ちくださいませ〜。

スリ●様
聞きそう!何回も確認してそう!こちらの司も余裕ないですからねぇ。私の書く司は常に余裕ないけど(笑)。そして、つくしちゃんはやっぱり肝が座ってました。言っても、高校生じゃないですもんね!あとは、私に妄想が降りてくるのを待つのみ・・(笑)。

H●様
ええーっ。あんまり期待しないでーっ!!そんなに言われたら困る〜!!あうう〜っ!!じっくり書かなきゃ。っていうか、ここはいつも時間かかる部分です・・σ(^_^;)

ぴ●様
いよいよ・・のはずです(笑)!もう少しお待ちください〜。


少し前からPCがダメになっていて、タブレットで書いていたのですが、今日やっとPC買いました!!しかも司レッド!!おおーっ!!やる気でそう(笑)。今、まだセットアップ中で、今週もバタバタ忙しいので合間に少しずつ書きたいと思います。続き、もう少しお待ちください(*^^*)

2018/05/13 (Sun) 22:00 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/13 (Sun) 08:41 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2018/05/13 (Sun) 05:33 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply