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Happyending

Happyending

「あっ、つくしーっ!!」

久しぶりに滋さんと待ち合わせ。
司は出張で遅くなるって聞いてたからちょうど良かった。
それでも心配性の司の指示で、場所は東京メープルのイタリアンレストラン。


個室に案内されると滋さんはもう席についていて、ガタッと立ち上がった。

「遅くなってごめんね。」
「まだ遅刻じゃないって!私たちが早すぎたのよ。」
「あっ......すみません、こちらが、滋さんのお友達の......?」
「うん、紹介するね。っていうか、彼女も永林だったんだけどさ。私と同学年の安藤麻由里さん。」

滋さんの隣の女性が席を立ち、あたしに向かって深々とお辞儀をした。
安藤麻由里さんかぁ、知らないなぁ。
何でも、滋さんの幼稚舎時代からの知り合いがあたしにどうしても会いたいと言っていると聞いていた。
あたしに話したいことがあるみたいだけど内容は分からないんだって。
だから滋さんが立ち会うから会ってくれないかって連絡があったの。
このことは司は知らない。
いつもあたしの行動を何でも知りたがるけど、これぐらいの秘密はいいでしょ?


「初めまして、安藤麻由里です。」
「あ、はい。こちらこそ初めまして。...道明寺つくしです。」

麻由里さんがニコリと笑った。
可愛い人だなぁって思わず見惚れる。
滋さんと隣に並んだ麻由里さんに向き合う形であたしも席に着いた。

「良かったです。つくしさん、私を見たら帰ってしまわれるんじゃないかと心配していました。」
「・・・・え?」
「あれ?麻由里、つくしのこと知ってたっけ?」
「ええ.....先日のハワイで。」

ハワイ・・・・?
おかしい.....あたしはこの人に会った記憶なんてない。
こんなに綺麗な人、忘れる訳ないもの。
しかもあたしが帰っちゃうかもって、もしかしてあたしの記憶が無い時に何かあった?
それしか考えられないっ!!

滋さんと目が合った。
たぶん、滋さんも同じ考えだったと思う。


「一言謝罪をしたくて、滋さんに頼んだんです。実は、父の会社経由でお詫びを申し入れようとしたのですが、断られてしまって.....。」
「えっと........」
「本当に、あんな下世話な噂話を聞かれていただなんて恥ずかしい限りです。美也子の話は空想の域を出なかったのに、面白可笑しく同調して、本当に申し訳ありませんでした。」

下世話な噂話・・・?


そしてそのまま、あたしは期せずして、知りたかった事実を知ることになった。
当然滋さんも知らなかった事実。


相良建設の相良美也子さんがあたしのことを貶したこと。
あたしみたいな極普通の女を伴侶に選んだ司のことも幻滅したと言ったこと。
あたしには二股をかけている男がいるから正体を暴こうとしていたこと。
その話を、記憶のないあたしが聞いて相当怒っていたらしいこと。

あたしは、どうやら美也子さんに宣戦布告をしたみたいだ。
頭に血が上った美也子さんはあたしの頬を打った。
そこへ司が駆け付けた。
あたしは、司が止めるよりも先に、美也子さんの頬を打ち返した。

それが、あたしの知りたかった真実。


「美也子のお父さんの会社は、道明寺ホールディングスとの取引を全面停止になりました。私の父の会社には処罰は無かったのですが、美也子に申し訳なくて...。いえ、道明寺さんの怒りを買うのは当然です。ですが、見ていられなくて....。どうか、許していただけないでしょうか?つくしさんの怒りが晴れれば、道明寺さんも許して下さるのではと....浅はかだとは思いましたがどうしてもお願いしたくて。」

あたしが傷つけられたのを見て、司は取引停止処分にしたんだ。
やりそう・・・・司なら。
司はあたしに甘いから。
自分よりも、あたしが傷つくのを恐れる人だから。
自惚れだけど、それ位に愛されてる。
こんなあたしのために、公私混同しちゃうような人なんだよ、あの人は。

麻由里さんと美也子さんは本当に仲がいいんだろうな。
こうやってあたしに会いに来るのだって、きっと勇気がいることだ。
下手をすれば、麻由里さんのお父様の会社にだって、司が報復をすることも考えられる。

そうだ、相良建設は今どうなっているんだろう?

「あの......あたしは、別に怒ってないんていません。たぶんその時は、司の...いえ、主人のことを悪く言われたのが許せなかったんだと......。」
「ええ、そうだと思います。怒って当然です。」

「でもさぁ。相良建設って、そもそもあまり良い噂は聞かないよね。道明寺の新規プロジェクトに参入した時も他社に相当な圧力をかけたんじゃないかって噂になってさ。結局それも外されたらしいけど.....。」

滋さんが「うーん。自業自得?」なんて少し呆れた様子で背もたれにどっぷりと体重を預けた。


滋さんの話では、相良建設はすでに厳しい状態みたいだ。
だからって、あたしに出来ることはもうないと思う。
司はあたしにこの事実を教えてくれなかった。
言う訳ないよ....、たぶん司は分かってる。
この話を知ったら、あたしがどういい出すか......。

それに、どうやらこの話はすでに、あたしがどうにかできる事態ではなくなってる。
司があたしに黙っている時点で決まってる。
あたしが何を言ったところで、司の判断は覆らない。
司のことまで悪く言われていたのなら尚更だ。
そもそもあたしは、司の仕事上の判断に口を出す立場にない。


「すみません。あたしは主人の仕事のことには全く関与していません。なので、主人が決めたことに口出しが出来る立場ではないんです。ごめんなさい。」
「そうですよね....。こちらこそすみません、こんなお話を持ち掛けて。美也子は、私の幼馴染で、気は強いけど悪い子ではないんです。ずっと道明寺司さんに憧れていたっていうのもあって.....あ、すみません、また、こんなこと.....。」
「いえ......。」

思い出した。
美也子さんって、あのチャリティーで会った人だ。
あの人もやっぱり、綺麗な人だったな。

こういう事がある度に思い知る。
本当に、司があたしを好きになってくれたことは奇跡だ。
司の周りには、綺麗で教養があって、お金持ちで.....あたしには無いものを持っている人がたくさんいるのに。


「勝手な事ばかり言って申し訳ありません。ですが、直接お会いして謝罪出来て良かったです。では、私はこれで失礼します。」

そう言って丁重に頭を下げ、麻由里さんは帰って行った。
個室に残ったのはあたしと滋さん。


「ごめん、つくし。まさか、こんな話だったなんて.....。本当にごめん!」
「いいの。実を言うと、ずっと知りたかったの。ハワイで何かあったんだって知ってたの。今日もね、滋さんに会ったら、何か知らないかって聞こうと思ってたんだ。司ってば、絶対に教えてくれないんだもん!」
「道明寺さんは言えないよね.....つくしが悲しい思いをするもん。」
「.....たぶん、そう。」

コクンと頷いた。
司が言わない時点で、こういう事なんじゃないかって少しは覚悟していた部分もあったんだ。

「でもね、あたしが道明寺司の立場だったら、やぱり同じことをしてる。それぐらい、つくしは大切な友達だよ。つくしの良さを理解できない人と仕事をしたいとは思わない。」
「うん......ありがとう。」


司の気持ちが痛いぐらいに分かるんだよ。
だから、司を責めるつもりなんてない。
だけど、麻由里さんの気持ちも、相良美也子さんの気持ちも分かっちゃうから.....。

「司の相手があたしじゃなかったら、こんな風に言われることは無かったよね。」
「つくし.....」

「でもさ。それでも、あたしには司しかいないし、司にもあたししかいないと思うんだ。」

そう、そう信じてるから。
あたしが笑ったら、滋さんもホッとしたように笑ってくれた。


「よしっ!今夜は飲もうっ!飲みまくろうっ!!」
「プッ、滋さんってば、ここイタリアンだからね?」


「いいじゃないっ、ここの最高級ワインいこうっ!
 滋ちゃんのおごりだよーっ!!」






***



「もしもし・・・?」

『あきら君!?』

あきらがスピーカーモードに設定したスマホから聞こえてきたのは、予想通り大河原滋の声。

「そう、俺。」
『良かった。ねぇ、今、どこ?』
「どこって、メープルのラウンジで飲んでる。」
『ほんとっ!?ラッキーっ!!』

なんだか、予想していたノリと違うのは気のせいか?
妙にテンション高ぇっつーか。

『ちょっとお願いがあるのよ!』
「は?何?」

あきらが俺を見ながら首を傾げた。
その時に聞こえてきたのは・・・

『ちょっとぉ~っ!しげるぅ、もう帰る気ぃ?飲みまくろうって言ったじゃーんっ!!』
『ぎゃっ、つくし起きたの?帰らないから、帰らない。ちょっと助っ人を呼ぼうと...』
『まだ飲むのぉ~。帰っちゃだーめっ!!』
『分かったから、ね、つくし。とりあえず移動しよう!』
『うー。』

どう考えても酔いつぶれてるつくしの声。
酒を飲むなんて聞いてねぇぞっ!
しかもこんな声、俺は聞いたことねぇしっ!
あいつ、酒なんてほとんど飲めねぇのに何やってんだ!!

『ねぇ、あきらくん。この状態でつくしを帰す訳に行かないからメープルとったの。それで、私、道明寺司の連絡先知らないからさ。今日は私とここに泊まるって適当に伝えてくれない?あの男、つくしが外泊しただけでキレそうだから、あきら君からなら大丈夫でしょ?それから、部屋まで運ぶの手伝って欲しいのよ。うちのSPに頼んでもいいんだけど、あの嫉妬深い男は、それすらキレそうで怖いでしょ?』

俺がこの場にいるだなんて、微塵も思ってねぇんだろう。
始めはつくしのことが心配過ぎて言葉も無かったが、だんだんと額に青筋が浮かんでくる。

一体、どうなってんだっ!?
運ぶの手伝うって...歩けねぇってことか?
なんで、つくしがそこまで酔いつぶれてんだよっ!!

つーか、そもそも、何であきらに連絡してんだっ!!
うちのSPに伝えれば速攻俺に連絡するに決まってんだろーがっ!!


そんな俺の様子に慌てたあきらは、

「今どこだよっ!」
『来てくれるの?』
「いいから早く言えっ!!」

『メープルのイタリアンの個室......』
「分かった、すぐ行く!ブチッ・・ツーツーツー・・」

思いっきり電話をぶった切り、ふぅーっとため息を吐いた。




「おいおい、これはどういうことだぁ?」
「牧野、完全に酔っぱらいだったよね。」

総二郎と類が、ニヤニヤ笑った。

酒が弱いつくしがこれほど飲むなんて、尋常じゃねぇ。
絶対、何かあった。
クソっ!!

ガタンッと席を立つ。

「お前が行くのかよ!」
「俺以外の誰が行くんだよっ!!」

俺はコートを羽織り、駆け出した。




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いつもたくさんの応援をありがとうございます。
あと1話...かなと思います(*^^*)
夕方には衝撃的なニュースが日本列島を駆け巡って.....私も驚きました。
仲良くわちゃわちゃしているグループを見られなくなるのは寂しいです。
でも、残りの期間、楽しませてもらえると信じて!
道明寺を演じてくれた●君の今後の活躍も期待しています(*^^*)
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Comments 3

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Happyending  
こんばんは~(*^^*)

いつもたくさんの応援をありがとうございます!
インフルエンザ流行ってますね~。小学校も学級閉鎖が相次いでいて、びくびくしております(;^_^A

さてさて、
花●様
そうなんです、あの時一緒にいた、名前も無かった美也子さんの友人(笑)。真相を知ったつくしちゃんは飲んだくれて....さて、司が迎えに行くしかないですよね!(笑) あと1話で終わらせるべく頑張りまーす(*^^*)

流石に明日にこれを終わらせないと、31日にお話をアップするのは厳しいと予想されます...←当たり前。
なので、数日は頑張らねばですかね~(*^^*)
ではではまた~。

2019/01/28 (Mon) 21:20 | EDIT | REPLY |   
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2019/01/28 (Mon) 21:18 | EDIT | REPLY |   
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2019/01/28 (Mon) 07:00 | EDIT | REPLY |   

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