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Happyending

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ガキと消えようとする牧野を追いかけて走り出した。
が、途中、ここぞとばかりに見たこともねぇ奴らに囲まれ、なかなか進まねぇ。
適当に話を交わし、なんとかさっきまで牧野がいた壁際まで来たが、彼女の姿はすでになかった。

くそっ!

何で牧野がここにいるのか?
なんであのガキが.....

どこだ?
どこだ?

さらに周囲を見回すと、
ついに、牧野の後ろ姿を発見した。

何て言う?
何て言えばいい?
さっきの怒ったような横顔が頭から離れねぇ。
なんとか手に入れたOKの返事を、一気に覆されそうで、俺らしくもなく冷や汗が流れた。

俺に背を向けて料理を食っている二人にそーっと忍び寄る。
さりげなく二人の会話に耳を傾けていると、その内容に、俺のテンションは一気に上がった。

___『失恋』

それって、牧野が誰かを好きだってことだ。
こいつには好きな奴なんていないはずだ。
それなら、相手は........俺しかいねぇだろ。

ぐんぐん俺のボルテージが上がって行く。
勝手に勘違いして失恋とかすんな。
俺がお前を手放す訳ねぇってどうすれば分かる?

お前は俺の初恋の女で、唯一の恋人だ。
それをしっかり教えてやらねぇと‥‥




勘違いに気付いたらしい牧野は、真っ赤になってキョトキョトしてる。
こんな可愛い女、ここに置いとく訳にはいかねぇ。

「牧野、一緒に帰ろう。」

明日は休みなんだし、どうせならこのまま‥‥
小さな手を取ろうとすると、彼女がさっと身を引いた。

は?何でだ?

「すみません。これからこの子を自宅まで送って行く約束なんです。」
「は?」

すかさずガキが、牧野の手を握る。

「そうだぞ!オレはつくしと帰る約束してるんだ!」
「はぁっ!?」

リュウってガキが勝ち誇ったようにアッカンベーをしてくる。
牧野は申し訳なさそうに「ごめんなさい」と口を動かした。

いやいや.....おかしいだろ?
ゴメンじゃねーし。
俺たち、完全に両想いってやつじゃねーのか?
俺はお前の恋人で、こいつは俺のライバルだ。
二人きりにさせる訳にはいかねーだろ?

話を聞けば、こいつはこのパーティーのホスト、『葉山コンツェルン』社長の一人息子だった。
牧野が英徳の教師になる理由になった子供で、今は牧野のクラスの生徒だ。
牧野は、今日、家庭訪問ってことでここに来たらしい。
それでそのままパーティーに参加することになり、帰りはこいつを自宅まで送ると...。


「おい、リュウ。お前んちの車が迎えに来るだろ。一人で帰れ。」
「やーだね。今日は、つくしにオレの家に泊まってもらうんだっ!」

「リュウっ!?」
「はぁ~っ!!」

どういうことだよっ。
俺だって、まだ牧野と一晩過ごしたことがねーんだぞっ!
これが許せる訳がねぇ。

牧野も初耳だったのか、慌てて訂正を始めた。

「リュウ、その約束はしてないよ?それはダメ。お家までは送るけど、生徒の自宅に泊まることは、先生はできないの。」
「なんでだよ...つくし。」
「ごめんね、リュウ。」
「つくしだって失恋したんだし。今日は失恋パーティーでもしようぜ?な、良いだろ?」

おい待て・・・
失恋パーティーってなんだっ!

「こいつは失恋なんてしてねぇよ。こいつはな・・・」
「道明寺さんっ!!」

牧野がすっげぇ怖い顔をして、激しく首を振った。
どうやら俺たちの関係は秘密ってことらしい。
なんてややこしいんだ、教師って奴は。
はぁ~っと思わずため息を吐いた。


「オレ、一人で帰りたくないよ。帰ったってどうせまた一人だ。お願い、つくし。今日だけでいいから一緒にいて。」
「リュウ......」

牧野がリュウと同じ目線までしゃがみ込み、こいつの頭を撫でた。
その姿は、本当に女神のようで・・・
ここに来て、こいつが好きな男のタイプっていうのが良く分かる。

『放っておけない男』

牧野はきっと、こういう奴に弱い。
俺のことも、初めはそうだったに違いねぇ。
それに、自慢にもなんねぇが、リュウの寂しさってのは俺も分からない訳じゃなかった。
ガキの頃から邸に一人きり。
俺には姉ちゃんがいたけど、こいつは本当に一人なんだ。

はーっ。
仕方ねぇ。
あれこれ算段すると、これしかねぇな。


「うち、来るか?」

「「えっ?」」

牧野とリュウが同時に俺を見上げた。

「牧野がお前んちに泊まるのは無理だ。まぁ...色々と問題がある。俺んちなら、遊びに来たってことでいいだろ?」

「本当かっ、司!」
「ちょっ、ちょっと、道明寺さんっ!」

なんでガキに呼び捨てにされ、牧野からは“さん付け”なんだ?
納得いかねぇが、今はそこをつっこんでる場合じゃねぇ。

「だめですっ。リュウのご両親だって心配します!」
「大丈夫だろ、俺んちなら。」

もちろん西田を通して、葉山に連絡は入れるがな。
元々うちの親父と仲がいいんだ。問題ねーだろ。

「オレ、司んち行きたい。」
「リュウ、そんな簡単に言わないのっ!」

「それに、つくしも一緒に行ってくれるんだろ?」
「・・・・・・え?」

ポカン.....と口を開け、固まった牧野。

こいつは一体何を考えてるんだ?
もしかして、俺がリュウと二人で一晩過ごすと思ってたのかよ。
ありえねぇだろ。


ガキにはちょっと悪ぃけど、俺が本気で誘いたいのは牧野に決まってる。
だが、牧野はお前も放っておけねぇんだから仕方ねぇ。
二人まとめて俺んちに招待するしかねぇだろーが。

「決まりだな。」
「やったぁ!」
「そんな......」

牧野がグダグダ考え始める前に、俺は西田にコールした。
それから、うちのリムジンをホテル前に回すように指示を出す。

「つくしっ、楽しみだな!」
「う......うん。」

牧野が困った顔で俺を見る。
俺はそれには気付かないフリ。


「オレ、お父さんたちに言ってくる!」
「リュウっ!」

俺んちに泊まれることが嬉しいのか、
牧野と一緒にいられることが嬉しのか、
ただ、一人になりたくないだけなのか、
たぶん、全部だろうな。

弾むように駆け出したリュウを見送り、思わず笑いを漏らした途端、ツンッとスーツの袖を引かれた。


「本当にいいの?」

すぐ隣に俺の彼女。

「嫌か?」
「そうじゃないけど.....迷惑でしょ?」
「本当は二人きりがいいけど?」

牧野がぷぅっと頬を膨らませ、俺の腕をぎゅっと摘んだ。

「痛ぇっ」
「ありがとう」

今度はニコッと笑う。
俺が一番好きな表情。
すげぇ可愛い。



「なぁ、失恋とか言うなよ。」
「だ、だって.....さっき、あの人とお似合いだったよ?」
「んな訳あるか。」
「ごめん....なさい。」

牧野が俯いちまった。
そんな顔させたいわけじゃねぇ。
俺は牧野の柔らかい頬を軽く抓った。

「いひゃっ...」

「言っとくけど、お前以外に恋人がいたことねぇからな。」

「ひぇ?」

「本当にお前だけだ。信じてくれ。」


彼女の瞳に涙が溜まる。
勝手に誤解して、勝手に落ち込んだくせに...
女ってのは厄介な生き物だ。
なのに、全く嫌じゃねぇ。

それは俺が、牧野の全てに惚れてるから。



それに、こいつはしっかりしているようで相当鈍感だ。
周りの奴らが驚いた顔で俺たちを見ていることに全く気付いてねぇ。

こいつは知らないんだろうが、
俺が自ら女に触れたことなんて、今まで一度もないんだからな。




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Comments 4

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Happyending  
こんばんは!

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
リアルの生活がなかなかうまくいかず...ついつい二次に癒しを求め、甘くし過ぎてしまったような...。こんなに甘くてどうするんだ?という15話を投稿しました(笑)。いや、0時目標に頑張ってたのに、過ぎちゃったし...。このコメントも一度打ったのに、アレっと思ったら全部消えてるし...。本当なかなかうまくいかない日々です...( ;∀;)

さてさて
スリ●様
デートの前に・・寄り道させちゃいました!いつも思うんですけど、私東京に詳しくないので、デートとか言っても全く分からなくて困るんですよね~。どこかいいお勧めスポットないでしょうか??そういえば、小学校の卒業式も近いですよね。私、仕事の休みを取るのをすっかり忘れていて...頭痛いです(◎_◎;)ハァ

花●様
まだ、お部屋にたどり着いてないデス...(;・∀・)アレ? もう、これで終わりでいいんじゃないかと思ってしまう位になんだか甘い方向に流してしまいました(笑)。コメディタッチの筈なのに...ブレブレです(;・∀・)ギャー

あ●様
それがなんとっ!一昨日スーパーに言ったら、道明寺桜餅がっ!!私がその気で探していなかっただけで、やはりこちらの主流は道明寺のようです。そして、いつもの桜餅って、長命寺っていうんですね。知らなかったです(;'∀')勉強になりました!これをネタに何か書けないかと思ったけど..(笑) 「道明寺下さい」って言いたいので、和菓子屋さんに行きますね(笑)。

ま●様
拍手コメありがとうございます!! 待ってましたよーっ!!おめでとうございます(≧▽≦)(≧▽≦)!! 良かったぁ。ご健康の様で、私もホッとしました~(*^^*) これから忙しくなりますね。是非是非、気晴らしに遊びに来てくださいね!私もマイペースにやっていると思います。待ってますね~(*^^*)


はぁ、また続きを考えなきゃ(笑)。
どうしようかなぁ。
そして、デートはどこに行こう。もう、無しでもいいかな?(笑)。司に急な仕事とか...。
だって、東京分からないんですよ~。困ったなぁ( ;∀;)
お勧めスポットを是非!(笑)
ではまた、続きで~(*^^*)

2019/03/09 (Sat) 00:42 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/07 (Thu) 22:54 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/07 (Thu) 09:55 | EDIT | REPLY |   
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2019/03/07 (Thu) 07:12 | EDIT | REPLY |   

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