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Happyending

Happyending

___恋に落ちるということ

それは、彼女の全てを知りたいと思うこと。
そして、彼女の全てが欲しいと思うこと。

恋に落ちた男は皆、
永遠に彼女を手に入れたいと思うに違いない。



そんな思いで臨んだディナーの席。
プロポーズのタイミングを計る俺。

テーブルには最後のデザートが運ばれてきた。

「牧野...」
「うわっ、またこんなに来たよ!ケーキの盛り合わせ?凄ーいっ。司ったら、毎日こんな晩御飯食べてるの?なのによく太らないね!」
「俺はデザートは食わねぇ...」
「えへ、頂きます。」

シェフが腕によりをかけたディナーに、
前菜からテンション上がりまくってる牧野。
俺の神妙な雰囲気なんて感じてる様子は微塵もねぇ。

「良く食うな...」
「あ、ごめん、何の話だったっけ?」

病み上がりとは思えねぇ食いっぷり。
こいつの食いっぷりは嫌いじゃねぇ。むしろ、すげぇ好きなんだけど、今日は、俺のこの緊張はどうしてくれるんだ?と少し拗ねる自分がいる。

「ごめん。疲れてるんだよね。あたしすっかり元気になっちゃって。うるさかったね。そろそろ帰るから、司はゆっくりして?」

「・・・・・・。」

何でそうなるんだ。
牧野の後ろの方では、タマが頭を抱えて出て行った。

やべぇ。完全に間違えた。


「疲れてねぇよ。」
「子供たちもね、みんなそう言うんだから。疲れてないって言ってる人が一番疲れてるのよ?」
「俺はガキじゃねぇ。」
「そうだけど....」

そうじゃねぇだろ?
お前は俺に恋に落ちてねぇのかよ。

「お前は俺と一緒にいたくねぇの?」
「えっ?そんなことないよ!どうして....?」
「じゃあ何で帰るなんて言うんだよ。」
「だって、それは司が疲れてそうだから」

・・・・・。
・・・・・。


こいつは全く分かってない。
俺がどんな気持ちでこの場に臨んでいるのかってことを。
でも、それならこっちから攻めるまでだ。


「牧野」
「うん?」

「俺たち、一緒に暮らそう。」
「・・・・・へ?」

なんだよ、その間抜け面は。
そんなに驚くことかよ。
家を建てるつもりだったことも知ってるはずだ。
家具もカーテンも選んだだろ?
それって、俺と暮らすことを想像してくれたんじゃねーの?

「あたし、家が欲しいなんて言ってないよ?」
「言っただろ?あの住宅展示場...だっけか?」
「あれは、あんな家がいいなぁっていう夢の話だよ。」
「同じじゃねーか。」


あの話を聞いて、俺の夢は膨らんだ。
牧野と暮らす未来、それが俺の夢になった。
けど、昨日は、熱があるってのに頼ってももらえなくてかなり凹んだ。
こいつの暮らしの中で、俺の存在はその程度なんだって思ったら情けねぇと思った。

家や結婚の前に、もっと二人の距離を縮めてぇ。
そうじゃなきゃ、その先の未来もねぇだろ?
そう思って、牧野のマンションに向かい、彼女を連れてこの邸に来た。
一晩中、牧野の少し苦しそうな寝顔を見ていて思ったんだ。

俺は何を遠慮してんだ?
嫌われねぇように遠慮するぐらいなら、どんどん突っ込んで嫌われた方がマシだ。
嫌われたって、俺はこいつを離さねぇんだから。
俺は元々そういう男だろ?

ちんたら距離を縮めるのだってもう無理だ。
牧野と同じベッドで眠るのなら、
もっと先まで、
もっともっとその先まで、
そう望むのが当たり前だ。


そのためには、これを言わなきゃ始まらねぇだろ?



___コトン


俺は胸ポケットから小さな箱を取り出し、テーブルに置いた。
ティファニーブルーのその箱には、白いリボンが結ばれている。


「なぁに?これ。」

「開けてみて。」

「あたしが?」


この期に及んでまで意味わかんねぇって顔してるのはどうしてだ?
お前以外に誰がいる?

俺は牧野の隣に移動した。
向かい合う形の俺たちを隔てるものは何もない。
戸惑う牧野の手のひらに箱を乗せ、リボンを解いだ。


「どうぞ。」

「えっと......」


牧野が急にドギマギしだす。
やっと俺の意図が伝わったらしい。
チラチラと俺を伺いながらも、俺の眼光に圧倒されたのか、恐る恐る箱の蓋を開けた。
中には、赤いベルベットのケース。
牧野はそれを取り出して、ケースを開いた。


「・・・・・ダイヤモンド?」

「おぅ。」


最高級のブリリアントカットのダイヤは、ラウンドシェイプとマーキスシェイプのものを組み合わせた。もちろん俺が特注したデザイン。


牧野は呆然とリングを眺めてる。
この意味は、さすがに分かるだろ?

牧野の手を取り、その左手薬指にリングを通した。
NOの返事は聞かないという意思表示だ。


「あのっ」

「結婚してくれ。」

答えはYESしか受け付けない。
例え逃げられたって、地獄の果てまででも追いかけていく。



牧野は何度も何度も瞬きをして、
更に大きく深呼吸をしてから、

「......まだ、早すぎるよ。」

と、プロポーズの指輪を抜こうとした。
が、それはさせねぇ。
俺はグッとその手を握った。


「早すぎるってなんだ?」
「いつかはって思ってるけど、まだ結婚まで考えてなかった。」

牧野が申し訳なさそうな顔をする。
結婚をチラつかせれば女は靡くと思っていたかつての俺は、なんて浅はかだったんだ。
けどそんな女なら惚れたりしない。
こいつだから。俺が傍にいればそれでいいと言ってくれる女だから。
だから一緒にいてぇと思うんだ。

でもだからって、俺は諦めねぇけどな。


「早くねぇよ。俺は出会った時から決めてた。」
「......司?」
「けど、いつかは結婚OKなんだろ?」
「でもね、仕事もある。中途半端なことはしたくないの。あたし、不器用だから、学校も家庭も全部うまくはできないと思う。だから、もう少し待って欲しい。それに、あたしたち、まだ出会ったばかりだよ?」

俺が牧野を見つけたのは3か月前。
付き合い始めて、1か月半。
その間、デートは1回だけ。
けど、時間じゃねぇ。
直感だ。
俺にはこいつしかいない。


「俺は今まで、お前に嫌われたくねぇって気持ちが強くて、かなり遠慮してた。」
「遠慮?」

そんな風に見えなかったけど......なんて呟くこいつの頬を軽く摘まむ。

「いひゃっ!」
「けど、熱があるって時に連絡も無いのは辛かった。俺はそんなに頼りねぇのかって。」
「そ、そんなつもりじゃないよ!風邪だったらうつしたら大変だし。心配かけるのもどうかなって.....。」

これがこいつの本心なんだろう。
けどな。男にとって、頼ってもらえねぇ程辛いことはねぇよ。
だから、

「もう遠慮は止めることにした。」
「........え?」
「好きだから、独占したい。お前の全てが欲しい。それじゃダメなのか?」

好きだから、ずっと一緒にいたい。
恋に落ちたら、お前の全てが欲しい。
時間だけじゃねぇ。
心も、体も、全て。

彼女の瞳が零れ落ちそうだ。
しかも少し後ずさってるのは気のせいじゃない。
それでも俺は、ここで引く気はない。


「好きだ。だから、一緒になりたい。」

「司......」

「頼む、オッケーって言ってくれよ。」


牧野が小さく息を呑んで、
それから、どれぐらいの時間が経ったのか........

俺は死刑台にでも上がった気分だ。


「あたし、やっぱり、すぐには仕事を辞められない。」
「仕事は続ければいい。」

「そうは言っても、司に迷惑が掛かるし。」
「迷惑だなんて思わねぇ。」

「それに、司がこんな大きな家に住んでることも知らなかったし、司とあたしの生活って天と地ほど違う気がする。」
「だったら何か問題あるのか?ここが嫌なら気に入ったところに引っ越せばいい。俺はお前さえいればいいんだから。」
「また、そんな簡単にそういうこと言うっ!」
「お前の為なら何だってやる。」

言っとくが、できねぇことは言わねぇよ。
出来るから言うんだ。
俺は絶対に嘘はつかない。

本気なんだ。
いい加減分かってくれ。


牧野と俺が見つめ合う。
いや、睨み合いに近いか...?
負けねぇぞ?
俺はもう、遠慮はしねぇって決めてるからな。


・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。


「・・・・・プッ」

先に笑い出したのは牧野。

「プククッ!」
「何だよ。」

「だって、司、子供みたいなんだもん。」
「ガキじゃねぇ。」
「うん.....。でも、こんなに大きな体で、会社の副社長なんてしてるのに、どうしてか守ってあげたくなるんだよね、不思議。」
「牧野?」

牧野が優しく笑う。
なんか駄々っ子をあやしてるみてぇな...

「すぐに結婚は無理だよ?分かってる?」
「少しは待ってやる。」
「ちゃんと仕事の目途が付くまでね?」
「......ちぇっ。」

「家とか勝手に建てちゃダメだからね?」
「......分かった。」


牧野が俺の手を握った。

「よろしくお願いします。」

「牧野.....?」

「あたしを、幸せにしてください。
 あたしも、司を幸せにしてあげるから.....って、きゃっ!!」


とっさに牧野を抱き上げてた。
クルリと一回りするとワンピースの裾が揺れた。

俺が気に入った生地に描かれていた花は『君子蘭』。
その花言葉は、『情け深い・誠実・高貴』だという。
こいつにピッタリだと思ったんだ。

お人好しってぐらいに優しくて、クソ真面目ってくらいに誠実で、清らかな心を持った女。
こんな女、きっと二人といない。


「今夜は帰さねぇから。」

「えっ、えっ、ちょと待ってーっ!!」


待たねぇよ。
待ってたらいつまでたっても手に入らねぇって分かったからな。
俺らしく、ガンガンに押していく。


いいだろ?
今日から俺は、お前の婚約者なんだから......な?




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Comments 6

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スリ●様
コメントありがとうございます(*^^*)
プロポーズはOKなんですが、学校の仕事を続けながら...というのは無理だと思っているようです。リュウのこともありますしね~。リュウはつくしちゃんが先生になったきっかけですから...。でもこれからも二人で生きていくことは決定です!(*^^*) ええ...書いてみたんですけどね...書いてみたんですけど....(;・∀・)変なところで切っちゃった。もう一度見直しますが、なんか鬼畜っぽいような...?怒らないで下さいね??(;・∀・)

Co●様
拍手コメ、ありがとうございます(≧▽≦)!! 応援嬉しいです! 孤独な作業なもので...時々喝が入るとやる気になります(笑)。また覗いてくださいませ~(*^^*)

2019/04/21 (Sun) 23:28 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/21 (Sun) 10:57 | EDIT | REPLY |   
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花●様
今続き書いてました(笑)。go!ですね!!(笑)。
つくし先生に頑張ってもらいます(^^)v もう少しお待ちを~(*^^*)

2019/04/21 (Sun) 00:18 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/21 (Sun) 00:08 | EDIT | REPLY |   
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こんばんは!

いつもたくさんの応援をありがとうございます!

あ●様
温度差っ!(笑)。そうかも...。でも、追いつきます...たぶん( *´艸`) 二人はそれなりに大人ですからね~(笑)。
次書かなきゃと思うのですが、なかなか筆が進まず(笑)。その先の展開ばっかり考えてます(;'∀') さて、がんばろー!!
コメントありがとうございました(≧▽≦)!!

2019/04/20 (Sat) 23:45 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/20 (Sat) 22:26 | EDIT | REPLY |   

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