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Happyending

Happyending

司が一緒に暮らす家を探していたっていうことに驚いた。
けど、お互いの家族に紹介はしていないけど、一応あたしは彼からのプロポーズを受け入れた訳で...。将来は一緒になりたいと思ってる。それなら二人で暮らすっていうことも悪いことじゃない。

それに、今更ダメだって言ったって、司が聞く耳を持つ訳ない。
確かに、昨日約束しちゃったもんね。


リムジンに乗り込み、目的地へ向かう。
フラフラと歩くあたしを見て、「お前、明日学校行けるのか?」なんて笑うから余計に恥ずかしいっ!!誰のせいよっ!!
「大丈夫だよ」って強がったら、「体育は見学しろよ」って髪の毛をクシャっと撫でられた。
思わずうっとりと流されちゃいそうになるその仕草だけど...
あたしは先生であって、生徒じゃないのよっ!と我に返る。
それでも、明日は体育が無かったことを思い出してホッとしてるあたし。


リムジンから外の景色を眺めていると、だんだんと見慣れた景色が映ってきた。

「あ...英徳だ。英徳の南側?この辺りって賃貸あったかなぁ?」

英徳周辺は戸建の持ち家が多く、マンションは少ない。
所謂セレブ地区?
あたしが住んでいるのは英徳の裏手に当たる北側で、駅の近くにはいくつかの賃貸マンションが出来てるけど、こっちには見かけない。

「もしかして、借家とか?」

窓から目を離し、司に聞いてみる。
一軒家がいいなんて言ったからかな?

「......いや、そうじゃねーけど。」
「ふーん。じゃあ、どんなところだろ?この辺りだとやっぱりお家賃は相当じゃない?」
「家賃はこの際どうでもいいだろ。」
「どうでもいいって....」

確かに...
自分でマンションを所有しているような人だもんね。
あっ!

「もしかして、家買っちゃったの?」
「そうじゃねぇよ。」
「そう...良かった。」

ほっと一息ついていると、
正面に高いフェンスの外構が見えてくる。

「あ...この家.....すっごく広いんだよね。」
「ん?」
「このフェンスどこまで続くのーっ!って感じでね、家庭訪問の時、この家が無ければショートカットできるのに~って怨んでたんだよね。」
「........そうか。」

「こんなに広かったら泥棒とか入らないのかなぁ。」
「フェンスには電流が流れてる。」
「うそっ!」
「だから無暗に触るなよ?夜は庭にドーベルマンが放されてるしな。」
「うわっ!怖っ!!」

司ったら、良く知ってる!

「一体正面はどこなんだろうねぇ。」
「正面ロータリーは南側だ。」
「あれ?知ってるの?」
「知ってるだろ。」
「そうなの?知り合い?じゃあ、お邸に一本道を通してくださいってお願いして欲しい!............なーんて、冗談だよ?」

冗談のつもりだったのに、司があまりにも真剣にあたしのことを見るものだから、慌てて否定した。

「司.....?」

じっとしている司が心配になって声をかけてみる。
すると、

「お前がそう言うなら検討する。」
「・・・・・・え?」

何を言ってるの、この人は?

理解できない...そう思っているうちに、その敷地の南側に来たらしい。
真っ白なゲートが開き、リムジンが吸い込まれるように入っていく。
驚いて声も出せずにいると、しばらくして見えてきたのは、つい昨日見たばかりの豪邸で・・・


「覚えてねぇかな、ここ俺んち」

「うそ.....」






***



記憶を辿ってみた。
一昨日は熱でリムジンで寝ちまった牧野を抱いて邸に入った。
そして昨晩は、牧野に煽られ、リムジンで押し倒しちまったから...
こいつ、俺んちがどこにあるのか知らなかったのか。


「ねぇ...どうしてお邸に戻ってきたの?恥ずかしいよ...」
「なんで恥ずかしいんだ?」
「だって...」

二人きりでいたいからマンションに行ったのに...なんて嘆いているこいつは、俺の計画に気付く様子は全くない。

リムジンから降りるときに抱き上げようとしたら、「恥ずかしいから絶対に嫌っ!」と拒まれ、仕方なく腰を支えて歩き出した。
俺に凭れながらぎこちなく歩いてる方がよっぽどイヤラシイって気づいてねぇ。

「おやおや、随分と早いお帰りだねぇ。」
「タマさんっ!」

タマがニヤニヤしながら俺たちを出迎えた。
二人きりがいいと言った牧野をまたここに連れ戻したのには当然訳がある。

「準備はできてるのか?」
「バッチリでございますよ。」
「何のこと?」

分かってねぇのはこいつだけ。
ゆっくりと歩き、ロビーから東に向かう廊下を進んだ。

突き当りのドアの前で立ち止まる。


「これ、お前に」
「なぁに?...鍵?可愛い...」

ハート形のチャームが付いた銀色の鍵。
それを牧野の右手の平に乗せてやる。

「どうぞ」

扉を開けるように促した。

何が何だか分からないって顔をした牧野が、そのカギで重厚な木目のドアを開ける。


一歩だけ中に入った牧野の足が止まった。

これを見れば俺の意図が分かっただろ?

牧野の背中を後ろから優しく抱きしめ、
昨日知ったばかりの敏感な耳元で囁いてみた。


「俺たちの部屋だ。」


そこには、牧野が付箋を付けていたものの中から俺が最終的に選んだ家具が置かれている。

オフホワイトのソファーに、同系色のラグマット。
間に合うか心配だったキッチンはアイランド型。
テーブルはウォールナットの一枚板。


牧野がフラフラと中に入って行き、家具やキッチンに手を触れた。
驚いて声も出ないらしい。

一番奥には二人の寝室。
ベッドは俺のこだわりのキングサイズ。
クローゼットルームは2人のものを半分ずつ。

寝室から続く部屋は.....
そこをみた牧野は漸くリアクションを返してきた。


「これっ!?」

「お前の部屋」

「なっ、何でっ!?」

牧野のマンションからほぼすべての物を移動させた。
一昨日の夜、こいつの家のキーを持ち帰ってた。

本やファイルや小物まで。
こいつの部屋にあるもの全てを持ってくるように指示を出した。


「これって.....犯罪?」

「何でだよ。一緒に暮らす約束だろ?」

「だからって!」


なんだかんだ言って・・・
英徳から一番近いのはここだと気づいたら、
ここ以外の選択肢は無くなってたんだよな。

俺がいいと思う所で、家賃が手頃で、学校が近い場所。
牧野の条件にもピッタリだ。
だから断られる理由は見つからねぇ。



「英徳はここからチャリで10分掛からないはずだ。」

今の牧野のマンションから、学校を挟むと反対方向だが、治安もこっちの方が確実にいい。

「スーパーは後で調べさせるが、食い物に困ることはねぇだろ。」
「........。」

「駅までは少しあるから、俺が送ってやる。」
「..............。」

「俺んちだから家賃はいらねぇぞ?」
「..........................。」



・・・・・・・・。

しばしの沈黙。

牧野は寝室から出てリビングに戻った。
そこから庭を眺める。

南向きの庭に続くウッドデッキ。
プライバシー保護のため庭はルーバーで囲った。

庭の端には牧野愛用の自転車。
ここからだと、東門を通れば英徳はさらに近い。


「犬小屋はまた作らせる。」

「...............。」

「気に入らねぇ?」


断られる理由なんて無いはずだと思うものの、無言を貫かれると不安になる。

やべぇ...
また変な汗が流れてきた。


「もぅ...仕方ないなぁ。」

牧野が参った...という感じで笑った。

「牧野?」
「だって、あたしの理想のお家なんだもん。断れるはずないでしょ?」

その返事に一気に視界が明るくなった。

「ここで暮らしてくれるのか?」
「もう荷物運んじゃってるくせに!でも、司のご両親の許可は得てる?それが心配。」

牧野からの質問は愚問だ。

「お前と付き合ってることも、ここで一緒に暮らすことも知ってる。」
「本当に!?」

そもそも、この土地建物はすでに俺名義になってる。
だから家を建てようが、改築しようが許可なんて要らねぇんだけどな。
こいつに心配なんかさせたくねぇから、ニューヨークの両親の許可は真っ先に取っていた。


「元々、結婚には口を出さない約束だしな。」

「......え?」

目を丸くしたまま固まる牧野。

その姿を見て確信する。
やっぱ心配だったんだろ?
俺の会社とか、親とか、その辺の面倒くせー俺の付属物が。


「だから、余計な心配すんな。」

「司.....」

「ここで暮らそうぜ?」


牧野に笑顔が広がった。
俺はやっぱりこの表情が一番好きだ。

パフンと俺の胸に飛び込んでくる小さな体。


「........よろしくお願いします。」

って、嬉しすぎる返事。



こうして、待ちに待った牧野との同棲生活が幕を開けた。



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2019/04/29 (Mon) 14:54 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/29 (Mon) 09:24 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/29 (Mon) 08:53 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/29 (Mon) 01:30 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
Re: タイトルなし

あ●様
コメント見てよかったーっ!!私、さっき書いたばかりの30話のコメントのお返事、新元号、和令って書いてました(;^_^A あ●さんのコメントを呼んで、あれ?私さっきなんて変換したかな...と不安になり...気付いてよかった~(;・∀・)ギャッ そんなわけで、今書き直しましたよ~。寝る前で良かった...(;´∀`) 速攻のコメントありがとうございます(*^^*)

そうそう、徒歩圏内なんですよね~(笑)。でも、チャリ通ってことにしました(笑)。子供部屋なんかはさすがにまだ!今回のお部屋はつくしちゃんとの二人暮らしでそんなに広くない(といっても広い)のを想像しています( *´艸`) お風呂は...すっごく豪華なスポンジありそうじゃないですか??(笑) それかシャワージェルを直接??(笑) 妄想広がってヤバくなりますね!!

GWは実家に帰ります。久しぶりです!寒波とか来ないで欲しいです!!

2019/04/29 (Mon) 00:33 | EDIT | REPLY |   
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2019/04/29 (Mon) 00:20 | EDIT | REPLY |   

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