ブラックバカラ 15
「もぅ.....忙しいんだったら来なくていいのに。」
「ずっと一緒にいてくれる男がいいって言ったのは誰だよ。」
「そ、そうだけど.....」
都内、下町にあるつくしのアパート。
少し離れた通りには黒塗りのリムジンが止まり、2階にあるつくしの部屋の錆びれたドアの前には、ここには不釣り合いなほど完璧なスタイルの男が意気揚々と立っている。
司とつくしが付き合い出して2週間。
司は時間を見つけてはつくしのアパートに顔を出す。
それも、5分、長くて10分。
少しだけ話をして、小さなキスを落として帰っていく。
つくしだって、それが嬉しくない訳ではない。
けれど、激務をこなす司を知れば知る程不安になってしまう。
一緒に暮らした方が良かったのなぁ.....?
初めて彼女をここに送り届けた時、司はこのマンションを見て驚愕した。
「こんなところに人間が住めるのか?」
「失礼ね!住めるわよっ!!」
2階建てのボロアパート。
壁は明らかに薄く、恐らく隣の部屋の声なんて筒抜けだ。
外階段の手すりは剥げ、ドアにはレトロなチャイムしか付いていない。
覗き窓があるらしいが、逆に覗かれたらどうするんだっ!と司の心配は尽きなかった。
「なぁ、俺のマンションに来ねぇ?」
ポロっと口にした司の一言に、つくしはビクッと震えた。
いくらなんでも、いきなり同棲なんて早すぎる。
結婚する訳でもないし、まだ......キスしかしてないし。
あっ、うそっ!もしかして、そうのが目的.........とか?
なんて.....本気で疑った訳ではないけれど、付き合ってすぐに同棲だなんて考えられなくて、職場がこのアパートの近くであることを理由にその提案を断っていた。
でも、それから不思議なことが続いている。
その翌日には大家が変わったと知らされ、防犯対策のためにドアは静脈承認セキュリティー付きに変わり、モニター付きのインターホンまで設置された。
正直モニターに向かって話しているその言葉が外に筒抜けになっていそう......と思っていたところで、今度は壁の補修だと言って防音と断熱の工事が行われたのが先週のこと。
そんなこんなで改修が行われたからか、ずっと空室だったお隣に誰かが引っ越ししてきたみたいだ。
「このアパート見られるようになったな。」
「あ、そうなの。大家さんが変わったらしくてね。今週は外壁も新しくなったの。ほら、外階段に屋根も付いてるでしょ?」
「そうみたいだな。」
「ほんとありがたいよ~。滑り止めも付いたし、雨の日とかちょっと階段怖かったから。」
「そっか、良かったな。」
ポンっとつくしの頭を撫で、司が何故か満足気に微笑むと、つくしも「うんっ」と笑った。
「今日はどれぐらい時間があるの?」
「40分はいられる。」
「えっ!?」
思わず驚いてしまう。
これまで、10分程度の時間しかなかったから、司がつくしのアパートに上がったことは無かった。
でも、40分と言われれば......
司がいつでも上がれるように、部屋は一応片付けている。
今日はもう22時を回っているし、正直来るとは思わなかった。
でも、忙しいのにせっかく来てくれたんだから.....お茶位出した方がいいよね?
「どうした?」
「ひゃっ!」
「何焦ってんだよ。」
「うっ、ううん。何でもない。あのね。あ...上がってく?うち。」
つくしが一気にそう言うと、司の顔がボッと赤くなった。
「い...いいのか?」
「ど...どうぞ?」
恋人になって2週間目。
ギクシャクとしながら、司は初めてつくしの部屋に入った。
「へぇ、割と綺麗にしてんだな。」
「どういう意味よ!」
ぷぅっと膨れながらも、司のジャケットを自然に受け取りハンガーに掛けてくれた。
改修業者から大体の間取りは聞いていた。
小さなキッチンスペースを通り抜けると8畳弱の洋室が一部屋。
「ここね。事務所で借りてくれてるの。家賃も破格でね。」
「ふーん。」
すでにこのアパートのオーナーは司だ。
だから本来家賃なんて必要ないのだが、それはまだ言えない。
さすがに家賃不要となればつくしもおかしいと気づくだろう。
これまでの短い付き合いからも、そういうことを喜びそうな女には思えなかった。
まぁ、だから惹かれたのかも知れねぇけど.....
ややこしい女だなと思いつつも、やっぱり好きだと思うんだから仕方ねぇ。
「ここに座って?お茶入れるね!」
つくしがキッチンへ出て行くと、司は部屋の中を物色し始めた。
本棚にはぎっしりとファイルが詰っていて勉強家な一面をのぞかせる。
棚の上に置かれた写真立てやアロマポット、窓際の小さな鉢植えからは、彼女の女性らしい一面を垣間見た。
俺んちのトイレ以下のスペースだ。
こんな部屋を見るのは初めてなのに、なんだか懐かしくて、幸せな気持ちになるのはどうしてだ?
司の常識からすると低すぎる天井に、近すぎる壁。
けど、数歩歩けばつくしがいる。
それだけでほっとして安心する。
ずっと一緒にいてくれる男がいいって言ったのはこいつだけど、むしろ俺の方が一緒にいてぇんだと思う。
例え5分でも。どんなに狭い部屋だとしても。
すぐ隣のキッチンでつくしがお茶を用意する音が聞こえた。
少し待つか...と腰を下ろそうとした時、ローテーブルの上に、何かチラシが置いてあるのが見えた。
何となく気になって、その紙を広げてみると、
それは、このあたりで行われる夏祭りのお知らせ。
たくさんの屋台も出るらしく、100円の金券が7枚ついている。
来週の土曜日か...
予定どうなってたかな。
メープルでしたデートの約束はまだ果たされていない。
それは偏に司が忙しいからに他ならない。
日本支社長就任直後で、こんな夜にしか時間を空けられなかった。
これまで何度も「どこに行きたい?いつにする?」とつくしを質問攻めにしていたが、彼女からこれと言った返事はなかった。それも、恐らくは司の多忙を気遣ってのことだ。
でも、こうやってチラシを取っておくぐらいだ。
これに行きてぇってことだよな?
土曜日.....土曜日......
司はこそっとスマホを取り出すと、秘書の西田にメールを打った。
『数日眠れなくてもいいから、土曜の夜は絶対に空けろ!』
スマホをポケットに戻すと同時につくしが入ってきた。
司はこそっとチラシをテーブルの下に置いた。
「どうぞ~。」
「何だ?これ。」
「アイスハーブティー。最近嵌ってるの。疲れも取れるんだよ。」
つくしがニコニコと勧めてくるからか、飲んでみると案外美味しかった。
「牧野、デートのことだけどよ。」
「もー、またその話?道明寺の仕事がもう少し落ち着いてからじゃなきゃ無理でしょ?」
「そうだけど、お前はいつなら都合がいい?」
「都合って言われてもなぁ...。」
圧倒的に司の方が多忙なのだから、基本的には司に合わせるしかないだろうと思うけど...
「ん...っと、あたしは基本土日はお休みなんだけど、クライアントがいれば出勤することもあるんだよね。」
「クライアント?」
「そう。基本は登記の仕事がメインなんだけど、認定司法書士も持っているから、簡易訴訟の代理もしてるのね。」
つくしは高校卒業後、今の事務所で働きながら夜間大学に通った。
司法書士と認定司法書士、パラリーガルの資格を持っている。
事務所は弁護士事務所だが、つくしは登記業務を主に行っている。
「へぇ、色々あるんだな。ずっとその事務所で働いてるのか?」
「うん。夜間大学に行ったらどうかって提案してくれたのも、今の所長でね。司法書士やパラリーガルの資格を取るのも応援してくれたの。感謝してもし足りないんだ、所長には。」
「そうか。」
「だからね、事務所には迷惑かけたくないの。平日も遅い時もあるし。その時の仕事次第って感じかな?」
「じゃあ、来週の土日は?」
「今のところ急ぎの仕事はないかなぁ。でも、道明寺は忙しいでしょ?」
忙しいには忙しい。
けど、好きな女のためなら何でもできる。
ただ、司の方こそ当日ギリギリまでどうなるかは分からなかったから、今ここで期待させるわけにもいかなかった。
結局、二人が会える時間は限られているわけで、
やっぱり、一緒に暮らすのが一番じゃねーか?
と司は思うのだが、ここは慎重に動く必要がある。
司が自分のマンションに誘った時、彼女は瞳がこぼれんばかりに見開かれていたのだ。
あの驚き様は・・・
......処女だって言ってたよな。
てことは、やっぱいきなりってのは無理だよな?
ゆっくりと...時間をかけなきゃまずいだろ?
ぶちゃけ、俺として今すぐでも構わねぇ。
常に準備は出来てるっつーか。すでに半分反応してるっつーか。
けど、こいつを怖がらせちゃ意味がねぇ!
と、心に誓ったはずなのに・・・・
すぐ隣でハーブティーを飲む彼女は無防備過ぎた。
夏だから仕方がねぇのかもしれないが、風呂上りな上に短パンにTシャツ姿。
黒髪はシュシュで一本に纏められ、項が全開だ。
俺も急に時間が取れたらって、遅い時間に来るのも悪ぃんだけどよ。
ブラばバッチリ透けてるし、手足は丸見えで食ってくれと言わんばかり。
俺も健全な男な訳で...
ここで我慢する方がおかしいと思われねぇかな...?
・・・・・・なんて都合のいいことを考えだす。
「何?」
「いっ...いや......」
理性と煩悩が行ったり来たりを繰り返す。
ビジネスで我慢を強いられる時でも、ここまでキツクはねぇ。
「ねぇ、何か目付きおかしいよ?」
そりゃおかしくもなるだろっ。
必死で耐えてんだよっ、俺は!
「疲れてるんじゃない?少し横になる?お布団敷こうか?」
「布団・・・?」
そういやここにはベッドがねぇ。
どうやら旅館みてぇにいちいち布団を敷くらしい。
........って、そんなことはどうでもいいっ!
布団なんか敷かれたら、耐えるもんも耐えられねーだろっ!!
司は、立ち上がろうとするつくしの肩を掴んだ・・・
つもりだったが、勢い余って、彼女を床に押し倒してしまう。
__ドンッ
「きゃっ」
「悪ぃっ!!」
すぐに退こうとするものの、自分が下敷きにしているつくしの姿に体が固まった。
「........道明寺?」
見上げてくる牧野の顔。
これはこいつが悪いだろ。
理性が崩れるのは一瞬だ。
「あっ.........」
何かを言おうとしたつくしの唇を塞ぎ、
司の手が彼女のTシャツの裾に滑り込んだ。

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都内、下町にあるつくしのアパート。
少し離れた通りには黒塗りのリムジンが止まり、2階にあるつくしの部屋の錆びれたドアの前には、ここには不釣り合いなほど完璧なスタイルの男が意気揚々と立っている。
司とつくしが付き合い出して2週間。
司は時間を見つけてはつくしのアパートに顔を出す。
それも、5分、長くて10分。
少しだけ話をして、小さなキスを落として帰っていく。
つくしだって、それが嬉しくない訳ではない。
けれど、激務をこなす司を知れば知る程不安になってしまう。
一緒に暮らした方が良かったのなぁ.....?
初めて彼女をここに送り届けた時、司はこのマンションを見て驚愕した。
「こんなところに人間が住めるのか?」
「失礼ね!住めるわよっ!!」
2階建てのボロアパート。
壁は明らかに薄く、恐らく隣の部屋の声なんて筒抜けだ。
外階段の手すりは剥げ、ドアにはレトロなチャイムしか付いていない。
覗き窓があるらしいが、逆に覗かれたらどうするんだっ!と司の心配は尽きなかった。
「なぁ、俺のマンションに来ねぇ?」
ポロっと口にした司の一言に、つくしはビクッと震えた。
いくらなんでも、いきなり同棲なんて早すぎる。
結婚する訳でもないし、まだ......キスしかしてないし。
あっ、うそっ!もしかして、そうのが目的.........とか?
なんて.....本気で疑った訳ではないけれど、付き合ってすぐに同棲だなんて考えられなくて、職場がこのアパートの近くであることを理由にその提案を断っていた。
でも、それから不思議なことが続いている。
その翌日には大家が変わったと知らされ、防犯対策のためにドアは静脈承認セキュリティー付きに変わり、モニター付きのインターホンまで設置された。
正直モニターに向かって話しているその言葉が外に筒抜けになっていそう......と思っていたところで、今度は壁の補修だと言って防音と断熱の工事が行われたのが先週のこと。
そんなこんなで改修が行われたからか、ずっと空室だったお隣に誰かが引っ越ししてきたみたいだ。
「このアパート見られるようになったな。」
「あ、そうなの。大家さんが変わったらしくてね。今週は外壁も新しくなったの。ほら、外階段に屋根も付いてるでしょ?」
「そうみたいだな。」
「ほんとありがたいよ~。滑り止めも付いたし、雨の日とかちょっと階段怖かったから。」
「そっか、良かったな。」
ポンっとつくしの頭を撫で、司が何故か満足気に微笑むと、つくしも「うんっ」と笑った。
「今日はどれぐらい時間があるの?」
「40分はいられる。」
「えっ!?」
思わず驚いてしまう。
これまで、10分程度の時間しかなかったから、司がつくしのアパートに上がったことは無かった。
でも、40分と言われれば......
司がいつでも上がれるように、部屋は一応片付けている。
今日はもう22時を回っているし、正直来るとは思わなかった。
でも、忙しいのにせっかく来てくれたんだから.....お茶位出した方がいいよね?
「どうした?」
「ひゃっ!」
「何焦ってんだよ。」
「うっ、ううん。何でもない。あのね。あ...上がってく?うち。」
つくしが一気にそう言うと、司の顔がボッと赤くなった。
「い...いいのか?」
「ど...どうぞ?」
恋人になって2週間目。
ギクシャクとしながら、司は初めてつくしの部屋に入った。
「へぇ、割と綺麗にしてんだな。」
「どういう意味よ!」
ぷぅっと膨れながらも、司のジャケットを自然に受け取りハンガーに掛けてくれた。
改修業者から大体の間取りは聞いていた。
小さなキッチンスペースを通り抜けると8畳弱の洋室が一部屋。
「ここね。事務所で借りてくれてるの。家賃も破格でね。」
「ふーん。」
すでにこのアパートのオーナーは司だ。
だから本来家賃なんて必要ないのだが、それはまだ言えない。
さすがに家賃不要となればつくしもおかしいと気づくだろう。
これまでの短い付き合いからも、そういうことを喜びそうな女には思えなかった。
まぁ、だから惹かれたのかも知れねぇけど.....
ややこしい女だなと思いつつも、やっぱり好きだと思うんだから仕方ねぇ。
「ここに座って?お茶入れるね!」
つくしがキッチンへ出て行くと、司は部屋の中を物色し始めた。
本棚にはぎっしりとファイルが詰っていて勉強家な一面をのぞかせる。
棚の上に置かれた写真立てやアロマポット、窓際の小さな鉢植えからは、彼女の女性らしい一面を垣間見た。
俺んちのトイレ以下のスペースだ。
こんな部屋を見るのは初めてなのに、なんだか懐かしくて、幸せな気持ちになるのはどうしてだ?
司の常識からすると低すぎる天井に、近すぎる壁。
けど、数歩歩けばつくしがいる。
それだけでほっとして安心する。
ずっと一緒にいてくれる男がいいって言ったのはこいつだけど、むしろ俺の方が一緒にいてぇんだと思う。
例え5分でも。どんなに狭い部屋だとしても。
すぐ隣のキッチンでつくしがお茶を用意する音が聞こえた。
少し待つか...と腰を下ろそうとした時、ローテーブルの上に、何かチラシが置いてあるのが見えた。
何となく気になって、その紙を広げてみると、
それは、このあたりで行われる夏祭りのお知らせ。
たくさんの屋台も出るらしく、100円の金券が7枚ついている。
来週の土曜日か...
予定どうなってたかな。
メープルでしたデートの約束はまだ果たされていない。
それは偏に司が忙しいからに他ならない。
日本支社長就任直後で、こんな夜にしか時間を空けられなかった。
これまで何度も「どこに行きたい?いつにする?」とつくしを質問攻めにしていたが、彼女からこれと言った返事はなかった。それも、恐らくは司の多忙を気遣ってのことだ。
でも、こうやってチラシを取っておくぐらいだ。
これに行きてぇってことだよな?
土曜日.....土曜日......
司はこそっとスマホを取り出すと、秘書の西田にメールを打った。
『数日眠れなくてもいいから、土曜の夜は絶対に空けろ!』
スマホをポケットに戻すと同時につくしが入ってきた。
司はこそっとチラシをテーブルの下に置いた。
「どうぞ~。」
「何だ?これ。」
「アイスハーブティー。最近嵌ってるの。疲れも取れるんだよ。」
つくしがニコニコと勧めてくるからか、飲んでみると案外美味しかった。
「牧野、デートのことだけどよ。」
「もー、またその話?道明寺の仕事がもう少し落ち着いてからじゃなきゃ無理でしょ?」
「そうだけど、お前はいつなら都合がいい?」
「都合って言われてもなぁ...。」
圧倒的に司の方が多忙なのだから、基本的には司に合わせるしかないだろうと思うけど...
「ん...っと、あたしは基本土日はお休みなんだけど、クライアントがいれば出勤することもあるんだよね。」
「クライアント?」
「そう。基本は登記の仕事がメインなんだけど、認定司法書士も持っているから、簡易訴訟の代理もしてるのね。」
つくしは高校卒業後、今の事務所で働きながら夜間大学に通った。
司法書士と認定司法書士、パラリーガルの資格を持っている。
事務所は弁護士事務所だが、つくしは登記業務を主に行っている。
「へぇ、色々あるんだな。ずっとその事務所で働いてるのか?」
「うん。夜間大学に行ったらどうかって提案してくれたのも、今の所長でね。司法書士やパラリーガルの資格を取るのも応援してくれたの。感謝してもし足りないんだ、所長には。」
「そうか。」
「だからね、事務所には迷惑かけたくないの。平日も遅い時もあるし。その時の仕事次第って感じかな?」
「じゃあ、来週の土日は?」
「今のところ急ぎの仕事はないかなぁ。でも、道明寺は忙しいでしょ?」
忙しいには忙しい。
けど、好きな女のためなら何でもできる。
ただ、司の方こそ当日ギリギリまでどうなるかは分からなかったから、今ここで期待させるわけにもいかなかった。
結局、二人が会える時間は限られているわけで、
やっぱり、一緒に暮らすのが一番じゃねーか?
と司は思うのだが、ここは慎重に動く必要がある。
司が自分のマンションに誘った時、彼女は瞳がこぼれんばかりに見開かれていたのだ。
あの驚き様は・・・
......処女だって言ってたよな。
てことは、やっぱいきなりってのは無理だよな?
ゆっくりと...時間をかけなきゃまずいだろ?
ぶちゃけ、俺として今すぐでも構わねぇ。
常に準備は出来てるっつーか。すでに半分反応してるっつーか。
けど、こいつを怖がらせちゃ意味がねぇ!
と、心に誓ったはずなのに・・・・
すぐ隣でハーブティーを飲む彼女は無防備過ぎた。
夏だから仕方がねぇのかもしれないが、風呂上りな上に短パンにTシャツ姿。
黒髪はシュシュで一本に纏められ、項が全開だ。
俺も急に時間が取れたらって、遅い時間に来るのも悪ぃんだけどよ。
ブラばバッチリ透けてるし、手足は丸見えで食ってくれと言わんばかり。
俺も健全な男な訳で...
ここで我慢する方がおかしいと思われねぇかな...?
・・・・・・なんて都合のいいことを考えだす。
「何?」
「いっ...いや......」
理性と煩悩が行ったり来たりを繰り返す。
ビジネスで我慢を強いられる時でも、ここまでキツクはねぇ。
「ねぇ、何か目付きおかしいよ?」
そりゃおかしくもなるだろっ。
必死で耐えてんだよっ、俺は!
「疲れてるんじゃない?少し横になる?お布団敷こうか?」
「布団・・・?」
そういやここにはベッドがねぇ。
どうやら旅館みてぇにいちいち布団を敷くらしい。
........って、そんなことはどうでもいいっ!
布団なんか敷かれたら、耐えるもんも耐えられねーだろっ!!
司は、立ち上がろうとするつくしの肩を掴んだ・・・
つもりだったが、勢い余って、彼女を床に押し倒してしまう。
__ドンッ
「きゃっ」
「悪ぃっ!!」
すぐに退こうとするものの、自分が下敷きにしているつくしの姿に体が固まった。
「........道明寺?」
見上げてくる牧野の顔。
これはこいつが悪いだろ。
理性が崩れるのは一瞬だ。
「あっ.........」
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