花男の二次小説になります。つかつくonlyです。

With a Happy Ending

今日は早めに仕事の目途がつき、マンションで夕食をとるつもりだった。
いつものように西田と共にマンションに戻り、地下駐車場で別れようとしたところ、西田も一緒に降りてきた。
「牧野さんに、明日からの出張の説明をしていませんでしたので。」

そんなのメールで済ませればいいんじゃねぇの?と思った俺だったが、深く考えずにエレベーターに乗った。

部屋に着くと、パタパタと足音がする。
牧野が走って出てきた。
「お帰りなさいませ。早かったんですね。西田さん、お待ちしていました!」

ん?西田?
隣を見ると、西田が照れくさそうだ。
なんだ、気持ちわりぃな。

「何だよ。何かあんのか?」
「またまた~。坊ちゃんったら。今日は西田さんのお誕生日でしょ。お夕食、たくさん作ったから、一緒にパーティーしましょっ!」

はぁ~?
何で、俺が西田の誕生日パーティーすんだよ。聞いてねぇぞ。
つーか、お前は何で西田の誕生日なんか知ってんだよ!

「お招き頂き、恐縮です。」
って、西田。俺は呼んでねぇっつーの。

「さっ、坊ちゃん、早く着替えて。西田さんは、こちらへ荷物をどうぞ。」
と牧野がいやに張り切っていた。



テーブルには、完璧にそろえられたテーブルセットが二人分。
「お前、食わねぇの?」
と聞いた俺に、
「メイドが一緒に食べるなんて聞いたことがありません。」
と答える牧野。
だからって、このパーティーを西田と二人でやれっていうのかよ!ふざけんな!

「お前も責任とって、一緒に食えよ。」
やけくそでそう言ってやっただけなのに、牧野がすっげぇ嬉しそうな顔をして、
「坊ちゃん、ありがとうございます!」
と胸の前で両手を合わせて、ぺこりと俺に感謝した。
こいつに、感謝されるなんて、初めてじゃねーの?
俺はちょっと動揺しちまった。


牧野が邸で教わったという、牧野流フレンチディナー。
これが重すぎず、軽すぎず、かなり美味い。
舌が肥えている俺や西田も絶賛した。
牧野は照れて笑い、「お料理が趣味なもんで」なんて謙遜していた。
そういえば、こいつの作る朝食や弁当は、食ったことがねぇもんばっかだったりするけど、どれもこれも美味いんだよな。

シャンパンボトルは特別にこの俺が開けてやった。
「やっぱりこれは男の人の仕事よね~」なんて牧野が呟いていたな。
せっかく俺が開けてやったのに、牧野は酒は飲まなかった。
「仕事中ですから…」
といいながら、俺と西田にはせっせと料理を運んでいた。
結構真面目なヤツなんだよな。


案外和やかに進むディナー。
終盤に、牧野が小さなホールケーキを持ってきた。
「お前、まさかこれ食わせる気か?」
「えっ、はい。実はこのケーキはお邸のシェフに頂いたもので…。だから、絶品ですよ!」

いや、そういうことじゃねぇよ。
じゃなくて・・・
牧野がロウソクを一本立てて、
「じゃあ、坊ちゃん、一緒に歌いましょうか。」

俺に誕生日の歌を歌わせようとする牧野。
「頼む、それだけは勘弁してくれ。」
それで結局、牧野が歌い、俺は拍手をつけ、西田が火を吹き消した。

俺が幼い頃に、少しだけ思い描いたことのある、誕生日パーティー。
自宅のテーブルで小せぇケーキを食うっていう、庶民のパーティー。
それが、現実に目の前にある。
なんで西田だよっ、て事は差し引いても、俺を感動させるには十分で・・。

どんなに盛大なパーティーよりも、俺はきっとこういうパーティーが羨ましかったんだと気がついた。
いくら金を払ったとしても、俺には決して手に入れることのできなかったもの・・。
それを牧野はいとも簡単に出してきた。



思いがけず楽しいディナータイムに、俺は仕事の疲れを忘れていた。
と突然、食後のコーヒーを飲みながら、牧野が言い出した。
「坊ちゃんは、あんまりお友達いないんですか?」
「あ?なんでだよ。」
「ほら、全然お友達を自宅に連れて来たりされないから。」
「今は忙しいから、なかなかプライベートな時間はもてねぇよ。」
「そうですか・・」
なんだか残念そうな牧野。
「なんだよ。」
「だって、ここにいても、お客さんが来ることもないから、お料理を振舞うこともないし、坊ちゃんだっていっつもいないわけだし、お邸にいた方が楽しかったなぁなんて。」

・・・。
俺のところにいるよりも、邸のメイドをしていた方がいいってことかよ。
信じられねぇ。
俺に近づこうとする奴らはたくさんいるというのに、こいつはむしろ俺の近くにいるのは迷惑そうだ。


コホンッ、と西田が咳払いをして、我に返った。
「では、牧野さんが、支社長のお友達になってあげて下さい。」
「ええぇ。無理ですよ。雇い主ですよ。」
「とりあえず、その坊ちゃんという呼び方を直しましょうか。」
「坊ちゃんではおかしかったですか。私もちょっと違和感あったんですけれどね。だって、こんなに図体のデカい男に坊ちゃんって、プププ。」
「おいっ!」
と俺が突っ込みを入れる。
「じゃあ、何がいいかな。支社長?あたし、一応メープルの職員だし?」
「お友達にしては固すぎますね。」
「いやいや、お友達じゃないですから。」


そんな会話をしているこいつらを横目で見ながら、俺は思っていた。
こいつがダチっつーのも悪くねぇな。
今日の食事がすげぇ美味いのは、きっとこいつと一緒に食ってるからだ。
まぁ、西田もいるけどよ。

「好きに呼んでかまわねぇよ。そんで、明日から、食事は一緒に食おうぜ。」
気がつけば俺はそう伝えていた。

牧野は驚いて、デケェ目をさらにデカくしていて、笑えた。



 

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たくさんの拍手ありがとうございます。
寝落ちしそうだったけど、なんとか更新できてホッです。
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  1. 理想の恋人
  2. / comment:5
  3. [ edit ]

いつもありがとうございます(^^)/

  1. 2016/10/25(火) 20:21:51 |
  2. URL |
  3. happyending
  4. [ edit ]
昨日は本当にやばかった・・。
アップできないところでした。

さてさて、たくさんのコメント・拍手ありがとうございます。
このなんてことないほのぼの展開が好きと言っていただけると安心します。
そして、コメントや拍手に私も癒される・・。

そうそう、次からの司君の呼び名。
まあ、ここは皆さんの想像通りだとは思いますが・・。
ここでちょっとだけ、ネタバレ。
先の展開で、呼び名を少しだけ変える場面が出てくると思います(笑)。
一応まだ前半戦ですので、もう少しプチ甘モードが続きますが。
へへへ、なんのこっちゃいですかね~。

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/10/25(火) 11:13:58 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/10/25(火) 08:58:25 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/10/25(火) 08:36:37 |
  2. |
  3. [ edit ]
このコメントは管理人のみ閲覧できます

  1. 2016/10/25(火) 08:13:34 |
  2. URL |
  3. じゅんこ
  4. [ edit ]
おはようございます(^^)
うふふふふ♥司がどんどんつくしに惹かれていく様子がたまらんですな(*^^*)きゅんきゅんしちゃうわー☆
どんどんラブラブなっちゃえ!!
毎朝楽しいです(^-^)うきうきします☆

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