FC2ブログ

Happyending

Happyending

「ニューヨーク到着後は本社に直行し、本社役員会議に参加。翌日は、AAAI(アメリカ人工知能学会)のカンファレンスに出席、介護ロボット開発について、数社とのミーティングをセッティングしております。翌々日のホワイトハウス主催パーティーでは、通信関連関係各社のトップが招かれています。アストン社長も出席されるご予定とのことで、ここで有意義な話し合いが期待されます。」

プライベートジェットの中で、西田が今後のスケジュールを読み上げていく。
司が力を入れている人工知能搭載介護ロボットの開発。これらの基盤はまだアメリカに置いていて、日本での展開はもう少し先だ。
アストン社は通信関連トップの企業で、昨年司が買い取った通信会社との業務提携を狙っていた。
今回の渡米の狙いはこの二点。

「アストン会長は何て言ってる?」
「通信網の拡大資金の調達ができれば.....といったところでしょうか。」
「相当な額になるな。向こうも自腹を切りたくねぇだろうし。こっちもフィフティーフィフティーを要求するつもりだ。」

強気でいかねぇと呑まれちまう...。
アメリカでの交渉には慣れている司だが、今回の交渉はかなりヘビーなものになりそうだ。

「かなりハードな交渉になるな。」
「ええ。予定より長引くかも知れません。」
「いや、できるだけ早く決着をつける。」

つくしが待っているのだ。
出来るだけ早く片づけたいのが本音。

「それは先方の出方次第かと。」
「チッ」

焦っても良い結果が出ないことなど分かっている。
時に持久戦も必要だ。
だが、今回は時間がねぇ。どう攻めるか・・・
分厚い資料の端から端まで目を通し、あらゆる可能性を探っていく。

「そうだ、ババァと親父にアポは取れてんだろうな。」
「はい。早ければ、本社会議の後に。」
「よし!」

婚姻届けにサインを貰うこと。
これが司の最重要案件。

早くつくしを捕まえたい。
例え紙切れ一枚のことだとしても、彼女を正式な妻にしたい。
どこか不安そうな彼女を安心させたい。

早く、二人きりで暮らしたい。




アメリカ滞在時間を出来るだけ短縮するため、司は機内での業務に没頭していたが、昨日の今日だ。
第二ラウンドの後も興奮して眠れなかった。それなら...と、クリーニングや朝食の手配をし、思い出したように風鈴を吊るす場所を探した。やっと思いついたその場所に満足し、すっかり寝入っているつくしを抱きしめると、漸く眠気が訪れたのはもう明け方で、実際2時間も寝ていなかった。

「ふぅ...」
「少しお休みになられた方が。効率も下がります。」

司がこめかみを抑えたタイミングで、西田が声を掛けた。

「だな。」

一度頭をリセットするために仮眠をとるのはいつものこと。
西田がブランケットを運び、司に渡した。


やはり、相当疲れていたらしい。
毛布を掛け、ライトを落とすと、司はすぐに眠りに落ちた。










『日本茶、コーヒー、紅茶、何がいい?』

誰かが部屋に入ってきた。
顔が、よく見えねぇ。
おかっぱ頭のちっせぇ女。

お前・・・・誰だ?

『タマさんが、道明寺専用だって...もぅっ!』

俺、専用っ!?
女が着ているのは確かにメイド服だ。

ドキッ・・・

そんなの必要ねぇ.....って、いつもなら怒鳴りつけてる筈なのに、
俺の心臓はどうしてこんなに飛び跳ねてる?


『すごーい、ちっちゃな輪っかがついてるっ!かわいいっ!』

は?一体何のこと言ってんだ?

目の前にある天体望遠鏡。思い立って、それを覗いてみた。

・・・・・・土星?
なんだ、この懐かしい感じ。



『ね、これって、ネックレスにしたい大きさじゃない!?』

ぷっ。すげー楽しそうじゃん?

そうだろ?
だから、俺がブルガリで急かして作らせたんだ。

俺が......
そうだ、俺が作らせたんだ。あの、ネックレスを。
探しても無かったから、俺がデザインして特注した。


『うれしいけど、でも、もらう理由なんて.....』

あるだろ?
好きな女にプレゼントやって何が悪いんだよ。



ちゃんと付き合おうぜ、俺たち。
守ってやるから。
お前の心配ごとも、うちのババァのことも、
ちゃんと俺が受け止めるから。



そうだ。
俺は、あの時、あの部屋で告白した。
相手は・・・・誰だ?




『・・・なんか寂しいねぇ』

寂しい?
けっ、なんの冗談だよ。

『あんなだだっ広い家に一人で住んでたんでしょ?』

寂しくねーよ、今は。
俺にはお前がいるし、あとは別になんにもいらねぇ。


.........そうだ、あの時もそう思った。
お前がいれば、他には何もいらない。

カードが止められて、ババァの差し金だってすぐに気づいた。
それでも俺が最後まで一緒にいたいと思った。
守ってやりたいと思った女は・・・・




『道明寺っ!!』

この声。そうだ、この声だ。

『あんた、俺がお前を幸せにしてやるって言わなかったっけ!?』

荒波の中、女の大声が聞こえた。

『それをなによ!?他の男に任せるって言うの!?』

他の男に何てやる訳ねーだろっ。
お前は、俺の・・・

『舐めてんの!?
 あんたが好きだって言ってるじゃないっ!!
 この、ボケナスッ!!!』

豪快に揺れる船の手すりにつかまりながら、
おかっぱ頭の女が俺に怒鳴った。

俺はその瞳に見惚れて.....


『行かないで・・
 ニューヨークに行かないで。
 行っちゃやだ』

『どうなってもかまわない
 ここから帰れなくてもいい
 もう離れるのはいいや・・・』



俺の前で、女の目に涙が溜まった。
そいつは・・・


牧野だ。
俺が、ずっと好きで、追いかけて、やっと手に入れた。
俺の宝物。




...........................ああ


これが、俺の欠けた記憶。



あいつの不安の原因は.....俺だ。
これからはずっと一緒だと誓ったのに、
道明寺を捨てるとまで言ったくせに、俺はあいつを捨てた。

俺が、あいつを忘れたから。




『もういい。
 あんたはもう、
 あたしの好きだった道明寺じゃない。』


涙目のまま、牧野が俺に背中を向けた。


ちょっ・・・
待てっ!待ってくれよっ!!


................ごめん。ごめん、ごめん、ごめん!!

お前をさんざん傷つけた。
謝って許されることじゃねぇ。
それでも、俺はお前を手放せねぇよ。




___「行くなっ!!!」



司は思いっきり手を伸ばした。




にほんブログ村

いつもたくさんの応援をありがとうございます。
関連記事
Posted by

Comments 5

There are no comments yet.
Happyending  
こんにちは~(*^^*) ②

拍手コメ ま●様
お久しぶりです~。コメありがとうございます(*^^*) ハジメテの記憶も戻ったみたいですよ( *´艸`)ププッ。
私も夏休みは散々でした~。最後になって、ノートにやるべきドリルをやっていなかったことが判明!(;^_^A もう、怒り狂いながらひっ算させましたよ~( ;∀;) 
そして、ブログ、楽しみにお待ちしていますよ~( *´艸`) 下書き?もういっぱいになってないですか??早く読みたい~( *´艸`)
携帯か、PCか。私の周りは半々?現在リレーのメンバーも半々ですね。両方で書ける方もいらっしゃるし。結構皆さん携帯で長文打てるんだなぁ...と感心しきりです!私は携帯で打つと時間がかかって仕方ないし、目が疲れるので、やっぱりPC!でも、確かに、家族と共用は危険だと思います~。私も家族には内緒です(;・∀・) 携帯で打てる方なら携帯でいいかも~。ウイルス対策...iPhoneはウイルス対策いらないと聞いてやってない...(;^_^A 参考にならずにすみません(;・∀・)

拍手コメ X様
お待たせしました~。先ほど更新しています!
楽しんでいただけると嬉しいです(*^^*)


こちらは雨の予報でしたが、まだ降ってないです。
続きもぼちぼち頑張りますね~(*^^*)

2019/09/21 (Sat) 12:26 | EDIT | REPLY |   
Happyending  
こんにちは~(*^^*) ①

いつもたくさんの応援をありがとうございます(*^^*)
先ほど28話投稿して参りました('◇')ゞ
タマさんのシーンから、28話が書きたかったところでもあります(*^^*)
どうぞ、司の気持ちも分かってあげて欲しいっ!←どこまでも司贔屓です(笑)

スリ●様
過去の記憶を知った司も辛いでしょう。それでも、忘れられたつくしももっと辛かった。思い出さなかったとしてもきっと幸せに離れたと思うのですが、ここはやっぱり...思い出して欲しいとずっと思っていたので、ここまでたどり着けて、書いている私が感無量です( *´艸`)アハ

花●様
思い出しました!そして、そう、これからもつくしちゃんを守ってあげられるのは司しかいません!!頑張れ、司!!(*^^*)

二次●様
ふふふっ、ここはやっぱり司ですよね(´艸`*) つくしちゃんの記憶ががっつり先に戻ったら・・・またこんがらがって振出しかも知れません(;_;)/~~~ そんなわけにはいかないっ!(笑)。 イベントサイトも覗いて頂きありがとうございます!私はまずはスタートだったので、その後は暇してました(笑)。ガチになって、ちょっと焦ってますが、焦ったところで何が回ってくるか全く先が読めませんから...(笑)。楽しもうと思います!

2019/09/21 (Sat) 12:13 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/09/21 (Sat) 10:57 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/09/20 (Fri) 08:30 | EDIT | REPLY |   
-  
管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

2019/09/20 (Fri) 08:04 | EDIT | REPLY |   

Leave a reply